結論から言うと、マレーシア移住の税金・年金・保険は「日本の住民票を抜くかどうか」と「マレーシアに1年で182日以上いるかどうか」という2つの分岐点でほぼ決まります。日本側は住民票を抜いた瞬間に住民税・国民年金・国民健康保険がまとめて切り替わり、マレーシア側は滞在日数で税率そのものが変わります。この記事では、その2つを軸に「何が起きるか」と「どの順番で手続きするか」を整理します。
日本側とマレーシア側で変わることの全体像
マレーシアに移り住むとき、変化は日本側とマレーシア側の2方向で同時に起きます。日本側は「日本に住所がある人向けの制度」から順番に外れていき、マレーシア側は「マレーシアで税金を払う人」として新しく制度に入っていく——この2つを混ぜて考えると混乱するので、最初に分けて把握するのが近道です。
下の図は、教育移住・親子留学でマレーシアに1年以上滞在する場合に、何がどちらの国の話なのかを整理したものです。
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| テーマ | 日本側で起きること | マレーシア側で起きること |
|---|---|---|
| 住まいの登録 | 海外転出届で住民票を抜く(原則) | ビザに応じた滞在資格で登録 |
| 住民税 | 1月1日時点で住所がなければ翌年度分は課されない | 相当する税はなし |
| 所得税 | 非居住者になると国内源泉所得のみ課税 | 滞在日数で居住者/非居住者を判定 |
| 年金 | 国民年金は強制加入から外れ、任意加入を選べる | EPF(積立基金)は就労している場合に関係 |
| 公的医療保険 | 国民健康保険は資格喪失 | 公的医療保険への加入制度はなし |
| 民間の医療保険 | 海外旅行保険・留学保険で備える | ビザ申請時に加入が義務づけられる |
| 消費まわりの税 | 消費税10%(日本での買い物) | SST(売上税・サービス税) |
| 学費の税 | — | 年6万リンギ超の学費に6%のサービス税 |
税金・年金・健康保険の取り扱いは、ご家族の構成・収入の種類・滞在期間・お住まいだった自治体によって結論が変わります。この記事は制度の全体像をつかむためのもので、個別の判断はお住まいの市区町村・年金事務所・税務署・税理士などの専門家にご確認ください。マレーシア側の税務はLHDN(マレーシア内国歳入庁)または現地の税務専門家が窓口になります。ルシュエットは税務・年金の代行や助言を行う立場ではなく、渡航前後に「どこに確認すべきか」を整理するお手伝いをしています。
最初の分岐点は「住民票を抜くか、残すか」
日本側の手続きは、ほぼすべてが住民票(住民基本台帳の登録)を起点に連動しています。海外転出届を出して住民票を抜けば、住民税・国民年金・国民健康保険・介護保険・児童手当がまとめて切り替わります。逆に残せば、それらの制度に入ったまま海外で暮らすことになります。
「1年以上」は法律に書かれた基準ではない
よく「1年以上の海外滞在なら海外転出届が必要」と言われますが、住民基本台帳法にその日数は書かれていません。同法24条が定めているのは「転出する人はあらかじめ届け出ること」までで、実際には生活の本拠が海外に移るかどうかで判断されます。「おおむね1年以上」という目安は、多くの自治体が案内文の中で使っている運用上の基準です。
受け付けてもらえる時期にも自治体差があります。出国の14日前からとする自治体もあれば、30日前から受け付ける自治体、特に日数を定めていない自治体もあります。渡航日が決まったら、早めにお住まいの市区町村の案内を確認してください。
抜く/残すで何が変わるか
迷ったときは、税金だけでなく「保険をどう確保するか」「日本に戻る時期の見通しがあるか」まで含めて考えることをおすすめします。以下は主な違いです。
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| 項目 | 海外転出届を出す(抜く) | 住民票を残す |
|---|---|---|
| 住民税 | 1月1日時点で住所がなければ翌年度分は課されない | 毎年度課される |
| 国民年金 | 強制加入から外れる/任意加入は選べる | 第1号被保険者として保険料の納付義務が続く |
| 国民健康保険 | 資格を喪失(保険料もかからない) | 資格は続くが保険料もかかり続ける |
| 海外療養費 | 使えない | 申請すれば使える場合がある |
| 介護保険(40歳以上) | 資格を喪失 | 保険料の負担が続く |
| 児童手当 | 原則対象外(特例あり) | 要件を満たせば受給できる |
| マイナンバーカード | 継続利用の手続きが必要 | そのまま |
※国民健康保険は「都道府県の区域内に住所を有する者」が対象と定められているため、住民票を残したまま国保だけを抜けることはできません。また、生活の本拠が明らかに海外に移っている場合は、住民票を残す選択自体が認められないことがあります。
学校もビザも決まって、いちばん最後まで残るのが「住民票をどうするか」です。相談の場では、税金の損得だけで決めようとして手が止まってしまう方が多いのですが、実際に効いてくるのは「日本に戻る時期の見通しがあるかどうか」です。数年で戻る前提なのか、当面は腰を据えるのか。ここが決まると、年金も保険も自然に決まっていきます。
もうひとつ、意外と見落とされるのが「日本側の窓口をどうするか」。住民票を抜くと日本での各種手続きが一気にやりづらくなるので、郵便物の転送先や、いざというときに動いてもらえる日本のご家族を先に決めておくと、渡航後がずいぶん楽になります。
日本の税金:住民税と所得税の変わり方
日本の税金は住民税と所得税でルールが別です。住民税は「1月1日にどこに住んでいたか」、所得税は「居住者か非居住者か」で決まります。この違いを押さえておくと、出国のタイミングを考えるときに迷いません。
住民税は「1月1日」がすべて
個人住民税の賦課期日は、地方税法318条によりその年度の初日が属する年の1月1日と定められています。つまり、1月1日時点で日本に住所がなければ、その年度分の住民税は課されません。前年の12月31日までに海外転出届が済んでいれば翌年度分は発生しない、というのはこの仕組みによるものです。
逆に言えば、1月2日以降に出国した場合、その年度分の住民税は出国後も残ります。住民税は前年の所得に対して後払いで課される税なので、「日本を出たから消える」ということはありません。年度の途中で出国する場合は、残った税額をどう納めるかを決める必要があります。
納税管理人という仕組み
納税管理人とは、日本を離れる人に代わって納税通知の受け取りや納付を行う人のことです(地方税法300条など)。日本に住むご家族や知人にお願いするのが一般的で、市区町村へ申告書を出して選任します。届出の期限には自治体差があり、「出国日の10日前まで」と明示している自治体もあれば、「事前に」としか書いていない自治体もあります。
所得税にも同じ仕組みがあり、こちらは税務署へ届け出ます。所得税では、納税管理人を届け出るかどうかで確定申告のタイミングそのものが変わります。
- 納税管理人を届け出て出国する場合:通常どおり翌年2月16日〜3月15日に申告します。
- 届け出ずに出国する場合:出国の日までに、その年の1月1日から出国日までの分を申告・納税します(準確定申告)。
意外に効いてくるのが、配偶者控除・扶養控除の判定日が変わる点です。納税管理人を届け出た場合は12月31日、届け出ずに出国した場合は出国の日の現況で判定されます。家族全員で移住するのか、日本に誰か残るのかによって結果が変わるため、ここは早めに税務署に確認しておくと安心です。
非居住者になると、日本の課税は「国内源泉所得」だけになる
居住者とは、国内に住所があるか、現在まで引き続いて1年以上「居所」がある個人のことです(所得税法2条1項3号)。それ以外が非居住者です。ここで言う「住所」は住民票の有無ではなく、生活の本拠がどこにあるかという客観的な事実で判定されます。なお所得税法施行令15条には、国外で継続して1年以上の居住を通常必要とする職業に就く場合などは国内に住所を有しない者と推定する、という規定があります。
非居住者になると、日本で課税されるのは国内源泉所得——つまり日本国内で生じた所得だけになります。マレーシアで得た収入について日本で課税されることは、原則としてなくなります。
一方で、日本に不動産を残して人に貸す場合は注意が必要です。国内不動産の賃貸料は国内源泉所得にあたり、賃借料を支払う側に20.42%(所得税20%+復興特別所得税)の源泉徴収義務が生じます。ただし、その物件を自分または親族の住まいとして借りる個人が支払う場合は源泉徴収は不要とされています。また、源泉徴収されたからといって課税が完結するわけではなく、不動産所得として確定申告が必要になる点も押さえておいてください。
もうひとつ、株式や投資信託などを多く保有している方は国外転出時課税制度の対象になる可能性があります。出国時に対象資産の合計が1億円以上あり、かつ出国前10年以内に国内に住所・居所があった期間の合計が5年を超える場合、含み益に所得税が課される仕組みです。該当しそうな方は、渡航計画の早い段階で税理士に相談することをおすすめします。
※日本とマレーシアの間には租税条約(1999年2月19日署名・同年12月31日発効/2010年12月1日発効の改正議定書あり)が結ばれており、二重課税を避けるためのルールが定められています。ただし、外国税額控除は原則として日本の居住者向けの制度です。マレーシアに移って日本の非居住者になった後は、日本側で外国税額控除を使える場面は限られます。「移住すれば自動的に二重課税が解消される」わけではないため、収入源が複数ある方は個別に確認してください。
渡航の時期をいつにするかは、学校の入学時期だけでなく、住民税の1月1日や年度の区切りとも関係します。マレーシア移住の条件(在留資格・資金・家族構成)とあわせて、家族の年間スケジュールとして組み立てると迷いが減ります。
日本の年金:任意加入という選択肢
海外転出届を出すと、国民年金は強制加入から外れます。国民年金法7条1項1号が第1号被保険者を「日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の者」と定めているためです。ここで多くの方が迷うのが、任意加入するかどうかです。
任意加入とは
任意加入とは、強制加入の対象から外れた人が、自分の申し出によって国民年金に入り続けられる制度です。海外に住む日本国籍の方であれば、20歳以上65歳未満で利用できます(受給資格期間を満たしていない場合、65歳以上70歳未満まで延長できることがあります)。
任意加入の実利は、年金額が積み上がることだけではありません。海外在住中の万一に備えて、障害年金・遺族年金の対象にもなります。ここは見落とされがちですが、家族で海外に出る場合には重要な判断材料になります。
注意点は、任意加入の資格が「申し出を行った月」からしか適用されないことです。日本年金機構は「申出のあった月からの加入となり、遡って加入することはできません」と案内しています。また、任意加入している間は、免除・納付猶予・学生納付特例を申請することができません。
任意加入しない場合はどうなるか
任意加入しなかった期間は、合算対象期間(通称:カラ期間)として扱われます。カラ期間とは、老齢基礎年金を受け取るために必要な10年という受給資格期間の判定には算入されるものの、年金額そのものには反映されない期間のことです。日本国籍を有する方が20歳以上60歳未満で海外に住んでいた期間などが該当します。
つまり「海外にいた期間があるせいで年金がまったくもらえなくなる」わけではありませんが、その期間分は年金額が増えないということです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 令和8年度(2026年度)の保険料 | 月額 17,920円(全国一律) |
| 令和9年度(2027年度)の保険料 | 月額 18,290円(令和8年1月23日の厚生労働省発表で公表済み) |
| 任意加入できる人 | 外国に居住する日本人で、20歳以上65歳未満の方 |
| 手続きの窓口 | 海外転出前は住所地の市区町村/在住中は、国内協力者がいる場合は日本の最後の住所地の市区町村、いない場合は最後の住所地を管轄する年金事務所(または千代田年金事務所) |
| 納付方法 | 日本国内の口座からの口座振替、または国内協力者による納付書払い |
※保険料は年度ごとに改定されます。上記は2026年8月時点で公表されている金額です。最新の額と手続きは日本年金機構の公式情報でご確認ください。
会社に在籍したまま赴任する場合は話が別
日本の会社に在籍したままマレーシアに赴任する場合、厚生年金と健康保険は住民票を抜いても継続します。これらの資格は住所ではなく「適用事業所に使用されているかどうか」で決まるためです。一方、介護保険には住所要件があるため、40歳以上の方は適用除外の届出が必要になります。
日本とマレーシアの間には社会保障協定が結ばれていません(厚生労働省「社会保障協定の締結状況」2026年6月2日現在。発効済み24か国・署名済み・交渉中・予備協議中のいずれにもマレーシアの記載はありません)。協定がないことで確実に言えるのは次の2点です。
① 適用証明書によって現地の制度への加入を免除してもらう、という仕組みが使えない。
② マレーシアで年金制度に加入した期間を、日本の年金加入期間に通算することができない。
ただし「必ず両国で二重に負担する」という意味ではありません。マレーシアのEPF(従業員積立基金)には、EPF理事会があらかじめ承認した他の積立制度に参加している外国籍者などを除外する規定があります。日本の会社に在籍したまま赴任するケースでどう扱われるかは、勤務先とKWSPに個別にご確認ください。
日本の健康保険:国保・会社の保険・海外療養費
医療は、移住の準備でいちばん空白が生まれやすい領域です。日本の保険が切れるタイミングと、マレーシアの保険が始まるタイミングをつなぐ必要があるからです。
国民健康保険は資格を失う
海外転出届を出して住民票が除票されると、国民健康保険の資格を失います。国民健康保険法8条は「住所を有しなくなつた日の翌日から資格を喪失する」と定めていますが、自治体の案内では「転出日の前日をもって喪失」と説明しているところもあり、表記に差があります。保険料の精算にも関わるため、喪失日と精算方法は市区町村に確認してください。
海外療養費は「日本の保険に入り続けている人」の制度
海外療養費とは、日本の公的医療保険に加入したまま海外で急病やけがの治療を受けた場合に、日本国内で同じ治療を保険診療で受けたとしたらいくらかかるかを基準に計算した額から自己負担分を引いて払い戻す制度です。
ここで大事なのは2つの限界です。ひとつは、住民票を抜いて国保の資格を失うと使えなくなること。自治体の案内にも「長期間海外に在住する方を対象とした制度ではありません」と明記されています。もうひとつは、いったん現地で全額を自分で払い、帰国後に申請して払い戻しを受ける償還払いだということ。現地でキャッシュレスにはなりません。
申請には、診療内容明細書・領収明細書といった所定の様式、領収書の原本、そしてそれぞれの日本語翻訳文が必要です。時効は費用を支払った日の翌日から2年。治療を目的とした渡航や、日本で保険適用にならない医療(美容整形など)は対象外です。
会社の健康保険なら、住民票を抜いても続く
勤務先の健康保険(被用者保険)は、適用事業所に使用されているかどうかで資格が決まり、住所要件がありません。日本の会社に在籍したまま赴任するなら、住民票を抜いても被保険者資格は続き、海外療養費も利用できます。
ただし帯同するご家族(被扶養者)には国内居住要件があります(令和2年4月1日施行)。もっとも、外国に赴任する被保険者に同行する家族や海外で留学する学生などは海外特例に該当し、住民票がなくても被扶養者と認められる場合があります。査証や赴任辞令、現地の居住証明書などで確認されるため、必要書類は所属の健康保険組合・協会けんぽに確認してください。
「父を日本に残す」場合に確認したい2つのこと
教育移住のご相談で多いのが、父親は日本で働き続け、母子だけが渡航するかたちです。この場合、日本側で扱いを確認しておきたい論点が2つあります。
ひとつは健康保険の被扶養者資格です。前述のとおり被扶養者には国内居住要件があり、例外は海外特例に該当する場合に限られます。お子さんは「外国に留学する学生」として特例の対象になり得ますが、同行するお母さまは「被保険者の海外赴任に同行する家族」には当たりません。同じご家族でも判断が分かれる可能性があるため、認定の可否と必要書類を、渡航前にご主人の勤務先の健康保険組合・協会けんぽへ必ず確認してください。
もうひとつは所得税の扶養控除です。ご家族が日本の非居住者になっても、要件を満たせば日本に残る側で扶養控除を受けられる場合があります。ただし令和5年分以降、30歳以上70歳未満の非居住者である親族は、「留学により国内に住所および居所を有しなくなった人」「障害者である人」「その年に生活費または教育費に充てるための支払を38万円以上受けている人」のいずれかに該当する場合に限られます。16歳以上30歳未満または70歳以上の親族には、この制限はありません。お子さんは通常この制限にかかりませんが、お母さまは年齢によって確認が必要になります。適用には送金関係書類などの保存も求められるため、渡航前に税務署または税理士へご確認ください。
海外旅行保険・留学保険で埋める部分
海外療養費でカバーされない領域——緊急移送費、医療通訳の手配、ご家族が駆けつけるための渡航・宿泊費(救援者費用)、賠償責任、携行品損害——は、海外旅行保険や留学保険の守備範囲です。保険会社によってはキャッシュレスで治療を受けられる病院の手配もあり、現地での実用性はここが大きく違います。長期滞在向けの長期契約に対応している保険会社もあります。
※後述のとおり、マレーシアではビザの種類によって医療保険への加入が申請要件になっています。「日本の保険をどうするか」だけでなく「マレーシアが求める保険をどう用意するか」も同時に考える必要があります。
手続きの順番、家族の状況に合わせて整理しませんか?
住民票・年金・保険・学校の入学時期は、それぞれ締め切りが違います。
ご家族の渡航時期に合わせた進め方を、現地スタッフが一緒に整理します。
マレーシアの所得税:182日ルールと非居住者30%
マレーシア側は、1年(暦年)に何日いたかで税務上の立場が変わります。ビザの種類ではなく滞在日数で決まる、という点がポイントです。
居住者かどうかは滞在日数で決まる
マレーシアの所得税法(Income Tax Act 1967)7条は、税務上の居住者を判定する4つの条件を定めています。もっとも基本的なのが「その年に通算182日以上マレーシアに滞在した場合」です。このほか、182日未満でも前年または翌年の182日以上の連続滞在期間とつながる場合、当該年に90日以上滞在し直前4年のうち3年が居住者または90日以上滞在だった場合などがあります。
ここで言う居住者判定は、あくまで税金の計算に使う区分であって、永住権やビザとは別の話です。MM2Hなどの長期滞在ビザを持っていても、滞在日数が足りなければ税務上は非居住者として扱われます。
居住者の税率は累進、非居住者は一律30%
居住者と判定されると、日本と同じように累進税率が適用され、各種の個人控除(personal relief)も使えます。一方、非居住者は課税所得に対して一律30%が課され、個人控除は使えません。短期の就労で滞在日数が少ないほど税率が高くなる、という逆転が起きるのがこの制度の特徴です。
| 課税所得(リンギ) | 税率 |
|---|---|
| 0 〜 5,000 | 0% |
| 5,001 〜 20,000 | 1% |
| 20,001 〜 35,000 | 3% |
| 35,001 〜 50,000 | 6% |
| 50,001 〜 70,000 | 11% |
| 70,001 〜 100,000 | 19% |
| 100,001 〜 400,000 | 25% |
| 400,001 〜 600,000 | 26% |
| 600,001 〜 2,000,000 | 28% |
| 2,000,000 超 | 30% |
| 非居住者(個人) | 一律 30%(個人控除なし) |
※上記はLHDN(マレーシア内国歳入庁)が公表している課税年度2025年(YA2025)時点の税率表です。2026年課税年度の表はまだ公表されていないため、「2026年の税率」として断定はできません。申告前に必ず公式で最新をご確認ください。なお、マレーシアでの就労が60日未満の場合は免税とする規定もあります。
日本から持ち込んだお金・日本の収入はどうなるか
ここは誤解が多いところです。「マレーシアは国外の所得に課税しない」と単純化するのは正確ではありません。所得税法3条は、マレーシア国内で生じた所得に加えて国外で生じた所得のうちマレーシアで受け取ったものも課税範囲に含めています。
そのうえで、マレーシアの税務上の居住者である個人が受け取る国外源泉所得については、一定の条件を満たす場合に免税とする規定(免税令)が設けられています。もとになったのは2022年7月に官報掲載されたP.U.(A) 234/2022(Income Tax (Exemption) (No. 5) Order 2022)で、当初は2026年12月31日までの期限つきでしたが、2024年12月に官報掲載されたP.U.(A) 451/2024によって、期限が2036年12月31日まで延長されました。改正内容は「2026年12月31日」を「2036年12月31日」に置き換えるという1点のみです。
ただし、この免税には条件と例外があります。ひとつは「源泉地国で同種の税が課されていること」。もうひとつは、免税であっても申告書などの提出義務まで免除されるわけではないこと。さらに、マレーシア国内のパートナーシップ事業から生じる所得は免税の対象から除かれています。「マレーシアに送金すれば無条件で非課税」ではない、という点は押さえておいてください。
※日本の公的年金など、日本側で課税されない収入をマレーシアで受け取る場合に、上記の「源泉地国で課税されていること」という条件を満たすとみなされるかどうかは、公式に明示されていません(租税条約の適用も絡む論点です)。年金や配当などの収入がある方は、渡航前にマレーシアの税務専門家にご確認ください。
※LHDNが公開している国外所得に関するガイドライン(2022年12月29日改正版)は、2026年8月時点でも期限が「2026年12月31日」のままになっています。官報(P.U.(A) 451/2024)のほうが新しいため、日付の食い違いに注意してください。
納税者登録(TIN)が必要になるのはどんなときか
TIN(納税者番号)は、マレーシアで税務手続きに使う個人番号です。マレーシア国民には自動で付与されますが、外国人は自動付与の対象外で、MyTaxのe-Daftarから自分で申請します。LHDNが示している、登録が必要になる主なケースは次のとおりです。
- 単身で、年間の雇用所得がEPF控除後で34,000リンギを超える
- 既婚で配偶者に所得がなく、年間の雇用所得が46,000リンギを超える
- 事業を営んでいる(赤字であっても)
- 月次源泉(MTD/PCB)の対象となる新規従業員である
- 課税所得がある
- マレーシアで不動産を売却・購入する
申告期限は、事業所得がない場合は4月30日、ある場合は6月30日です。お子さんの学生パスに帯同する保護者のように、マレーシアで働かず収入もない場合は、上記のどの条件にも当てはまらないことになります。ただしマレーシア国内に不動産収入などがあれば、就労の可否とは無関係に課税対象になります。ご自身に登録・申告の義務があるかどうかは、LHDNまたは現地の税務専門家にご確認ください。
相続税・贈与税はなく、不動産の譲渡益は外国人に不利
マレーシアには相続税・遺産税・贈与税はありません。一方で、不動産を売ったときの譲渡益税(RPGT)は外国人と国民で扱いが大きく違います。国民・永住権保持者は6年目以降0%になりますが、外国人は5年目まで30%のまま、6年目以降も10%が残ります。
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| 取得からの保有期間 | マレーシア国民・永住権保持者 | 外国人(非永住権) |
|---|---|---|
| 3年目まで | 30% | 30% |
| 4年目 | 20% | 30% |
| 5年目 | 15% | 30% |
| 6年目以降 | 0% | 10% |
※2024年から導入されたキャピタルゲイン税(CGT)は、会社・LLP・信託体・協同組合が対象で、個人は対象外です。「2024年からマレーシアでも個人の株式売却益に課税が始まった」という説明を見かけますが、これは正確ではありません。
マレーシアの生活にかかる税:SSTと学費の6%
マレーシアには、すべての取引に一律でかかる税(日本の消費税にあたるもの)がなく、代わりにSSTがあります。SST(Sales and Service Tax)は「売上税」と「サービス税」の2本立てで、日本の消費税のようにすべての取引に一律でかかるのではなく、対象になる物品・サービスにだけかかるのが特徴です。GST(付加価値税)は2018年に廃止されたままです。
2025年7月1日に対象範囲が拡大され、売上税は原則10%(一部品目は5%)、サービス税は原則8%となりました。ただし生活に身近な13分野は6%に据え置かれています。
| 生活の場面 | 税の扱い(2026年8月時点) |
|---|---|
| 外食・カフェ | サービス税 6%(一定規模以上の事業者) |
| 携帯電話・インターネット | サービス税 6% |
| 住まいの家賃(コンドミニアム等) | サービス税の対象外 |
| 民間の医療機関 | サービス税 6%(マレーシア国民は免除) |
| 私立校・インター校の学費 | サービス税 6%(年6万リンギ超の場合) |
| 保険(個人向け) | サービス税 8%。ただし医療保険・生命保険は対象外 |
| 駐車場 | サービス税 6% |
※上記は関税局(RMCD)が公表している官報・政策文書にもとづく整理です。事業者の登録規模によっては課されない場合もあります。なお、MM2Hや就労パスの保持者が民間医療のサービス税で「非マレーシア国民」として6%の対象になるかは、公式には明記されていません。長期滞在パスをお持ちの方がこの区分でどう扱われるかは、受診前に医療機関または加入している保険会社にご確認ください。※2026年8月時点の情報です。制度・税率は改定されることがあるため、最新は公式情報でご確認ください。
インター校の学費にかかる6%は、日本人家庭に直接効く
教育移住を考えるご家庭にとって、いちばん金額のインパクトが大きいのがここです。2025年7月1日から、1人の生徒の1学年あたりの学費が6万リンギ(約232万円)を超える私立校・インターナショナルスクール等に、6%のサービス税がかかるようになりました。
押さえておきたいポイントは3つです。
- 免除の対象がごく狭い:官報(P.U.(A) 174/2025)で免除の条件とされているのは「マレーシア国民であり、かつ有効な障害者手帳(Kad OKU)を保持する」生徒などです。2つを同時に満たす必要があるため、「マレーシア国民なら一律免除」という説明は、この区分については正確ではありません。非マレーシア国民はこの免除規定の対象から外れ、課税対象に含まれる可能性が高いと考えられます。ご自身のお子さんがどう扱われるかは、見積もりの段階で学校に確認してください。
- しきい値の数え方:判定は「1人の生徒の1学年あたりの学費の合計」で行われます。3学期制で1学期21,000リンギなら合計63,000リンギとなり対象です。そして関税局のガイドの計算例では、しきい値を超えた場合に超えた分だけでなく、学費の全額に対して6%が計算されています(学費72,000リンギを含む小計83,000リンギに対し、税額4,980リンギ=83,000リンギの6%)。ただし課税対象となる費目の解釈や請求のしかたは学校によって異なることがあり、ガイドの改訂でも変わります。実際の金額は、学校が発行する最新の見積書で内訳をご確認ください。
- かからない費目とかかる費目がある:教科書代・制服代・食事代・送迎費・寮費・返金可能で授業料の一部ではない保証金・PTA会費・校外学習費・学生パスの費用などは課税対象外とされています。一方で登録料(registration fee)は課税対象として扱われています。
年間の学費が10万リンギの学校なら、6%は6,000リンギ(約23万円)。年間予算を組むうえで無視できない金額です。
※この6%は学校段階(初等・中等)についての整理です。大学などの高等教育機関や語学センターは、そもそも課税対象となる役務の定義が「非マレーシア国民への提供」に限定されており、6万リンギというしきい値がなく最初の1リンギから課税される仕組みになっています。また、特殊教育を行う学校と語学センターは学校段階の区分からは除かれています。
学校からの見積書や請求書を見るときは、「6% SST別(exclusive of 6% SST)」と書かれていないかを必ず確認してください。税別で表示している学校では、実際の請求時に6%が上乗せされます。学費の比較をするときに、片方が税込・片方が税別だと、判断を誤ります。
もうひとつ、授業料以外の名目にも注意してください。関税局の整理では登録料は課税対象、返金可能で授業料の一部ではない保証金は課税対象外とされています。名目が似ていても扱いが分かれるということです。「この見積もりは税込ですか、税別ですか」「どの費目に6%がかかりますか」と学校に確認しておくだけで、あとから予算がずれる事故を防げます。学校選びの段階で、私たちも必ずここを一緒に確認しています。
学費以外の生活コストの目安は、マレーシアの物価・生活費で費目別に整理しています。学費と住居費の2つで総額が大きく変わる構造は、母子留学の費用もあわせてご覧ください。
マレーシアの社会保険と、義務づけられた医療保険
マレーシアには日本のような国民皆保険はありません。公的な仕組みは就労している人向けの制度が中心で、働いていない帯同家族は原則として民間の保険で備えることになります。
EPF・SOCSOは「マレーシアで働く場合」の制度
EPF(従業員積立基金/KWSP)は、日本の退職金積立に近い強制貯蓄の仕組みです。長らく外国人は任意加入でしたが、2025年10月1日施行の法改正(EPF法改正法 Act A1760)により、外国籍の従業員も拠出が義務化されました。料率は雇用主2%・本人2%で、マレーシア国民の料率より低く設定されています。出国時に引き出す制度(Withdrawal to Leave the Country)がある点も、日本の厚生年金とは性格が異なります。
対象は「マレーシア国民以外で、住所地が国外にあり、入管法上のパスによって一時的に入国・滞在する従業員」と定められています。家事使用人、75歳以上の方、EPF理事会があらかじめ承認した他の積立制度に参加している外国籍者などは除外されます。なお、学生パス保持者がアルバイト等で雇用された場合にEPF拠出の対象となるかは、法定の除外リストに記載がなく、公式にも明示されていません。お子さんが就労を伴う活動をする場合は、雇用先とKWSPに扱いを確認してください。
SOCSO(社会保障機構/PERKESO)にも外国籍の従業員の加入義務があります。労災(Employment Injury)に加えて、2024年7月1日から障害・遺族の保障(Invalidity)が、2026年6月1日からは業務外の傷害を対象とする保障(Non-Employment Injury Scheme)が順次加わりました。現在の拠出率は雇用主が合計1.75%、外国籍の労働者本人が合計1.25%です。なお雇用保険にあたるEIS(Act 800)は、外国籍の従業員が対象から除かれています。
※お子さんの学生パスに帯同する保護者(Guardian)は、マレーシア移民局によって就労・事業活動が認められていません。したがってEPF・SOCSOのいずれも通常は関係してきません。在留資格ごとの活動範囲はマレーシア移住の条件で整理しています。※2026年8月時点の情報です。制度・税率は改定されることがあるため、最新は公式情報でご確認ください。
医療保険はビザの申請要件になっている
ここが日本の感覚と大きく違うところです。マレーシアでは、主要な長期滞在ビザで医療保険への加入が申請要件として求められます。
- MM2H:健康保険は申請時ではなく条件付き承認レターの発行後に提出する書類と位置づけられており、定期預金証明・健康診断報告書などとあわせて90日以内に準備するよう案内されています。保険はマレーシアまたは海外の保険会社によるワールドワイドの補償であることが条件で、60歳以下の申請者に適用されます。
- 学生パス(Student Pass):最低12か月の医療保険が必須です。EMGS(Education Malaysia Global Services)のオンライン申請の中で、指定の保険会社から選んで申し込む形が一般的で、補償はマレーシア入国日から始まります。
- 保護者・扶養家族のパス:こちらも最低12か月の医療保険と、直近数か月の銀行取引明細などの財政能力の証明が求められます。
スケジュールの目安として使えるのは、EMGSが「不備のない申請で14営業日」を標準処理期間として公表していること、そして発行されたeVAL(事前査証承認)の有効期間が6か月であることです。学校の出願、書類の取り寄せ、保険の申し込みが前段にあるため、実際にはこれより早い着手が必要になります。ただし「渡航の何か月前までに始めること」という目安は公式には示されていませんので、学校とEMGSの案内で個別にご確認ください。
※見落としが起きやすい点を2つ。ひとつは、EMGS経由の保険パッケージはお子さん(学生本人)向けであり、保護者ぶんの保険は別に用意する必要があること。もうひとつは、EMGSが案内する保険プランには年齢の範囲(16歳以上70歳以下)が設けられており、それより低い年齢のお子さんはこの枠では加入できないことです。年齢によって用意すべき保険が変わるため、学校に確認してください。
医療費の目安
マレーシアの公立病院には外国人向けの料金体系があり、料金は保健省(MOH)の政令にもとづいています。参考として、ある公立病院が公表している外国人料金は、一般外来40リンギ(約1,550円)、専門医外来120リンギ(約4,600円)、救急100リンギ(約3,900円)、入院(第3級病床)160リンギ(約6,200円)などです。
私立病院については、専門医の技術料が80〜235リンギ、私立の一般医(GP)の診察料が10〜80リンギと法令で上限が定められています。ただしこれは医師の技術料のみで、施設利用料・検査費・薬代は別途かかります。実際の請求額は病院や治療内容によって大きく変わるため、金額の見通しは保険会社や病院に直接確認するのが確実です。日本人を含む在住外国人は、言語対応や待ち時間の面から私立病院を利用する人が多いとされます。
※上記の公立病院の料金は、ある病院が2025年10月時点で公表していた例です。全国一律ではありません。円換算は1リンギ=約38.7円(2026年8月時点)で計算しています。
渡航前後の手続きの順番(7ステップ)
制度を個別に理解しても、実際に困るのは「どの順番でやるか」です。締め切りが先に来るものから並べると、次のようになります。
渡航時期と「1月1日」の関係を確認する
住民税は1月1日時点の住所で決まります。年末年始をまたぐ渡航を考えている場合は、学校の入学時期とあわせて全体のスケジュールを先に決めます。
住民票を抜くか残すかを決める
保険をどう確保するか、日本に戻る時期の見通しがあるかを含めて判断します。市区町村ごとに受付時期が違うため、早めに窓口の案内を確認します。
納税管理人が必要かを確認する
住民税・所得税それぞれに仕組みがあり、窓口も市区町村と税務署で別です。所得税は納税管理人の届出の有無で申告のタイミングが変わります。
年金の扱いを決める
任意加入するかどうかを決め、するなら転出前に市区町村で手続きします。資格は申し出た日からで、さかのぼれません。会社に在籍したままなら厚生年金は継続します。
ビザが求める医療保険を用意する
学生パス・保護者のパス・MM2Hはいずれも医療保険が申請要件です。保護者ぶんが学校のパッケージに含まれているかを必ず確認します。
海外転出届を出し、連動する手続きを済ませる
国民健康保険・介護保険・児童手当の手続き、マイナンバーカードの継続利用、郵便物の転送先や日本側の連絡役の確定までをまとめて片づけます。
渡航後、マレーシア側で必要な手続きを確認する
働かず収入もなければ納税者登録は通常不要です。マレーシアで収入が発生する場合や不動産を購入する場合は、LHDNまたは現地の税務専門家に確認します。
ここまでの内容は、2026年8月時点で公表されている公式情報(日本=住民基本台帳法・地方税法・所得税法・国税庁タックスアンサー・日本年金機構・厚生労働省/マレーシア=所得税法および官報、LHDN、関税局、移民局、MOTAC、EPF、PERKESO)にもとづいて整理したものです。制度は改正されます。実際に手続きをされる時点の最新情報を必ず公式でご確認のうえ、個別の判断は専門家にご相談ください。
よくある質問
マレーシアに移住したら、日本の住民税はいつまで払いますか?
住民税は毎年1月1日時点で日本国内に住所がある人に、その年度分が課される仕組みです(地方税法318条)。そのため、前年の12月31日までに海外転出届が済んでいれば翌年度分は課されないのが原則で、逆に1月2日以降に出国した場合は、その年度分は出国後も残ります。年度の途中で出国する場合は、残った分をどう納めるか(納税管理人を立てる、出国前に一括で納めるなど)を市区町村に確認してください。取り扱いには自治体差があるため、必ずお住まいの市区町村でご確認ください。
海外転出届は必ず出さないといけませんか?
住民基本台帳法24条は、転出する人はあらかじめ市町村長に届け出ることを定めています。ただし「何年以上の滞在なら届け出る」という日数は法律に書かれておらず、多くの自治体が「おおむね1年以上の海外滞在」を目安として案内しているのが実情です。実際には生活の本拠が海外に移るかどうかで判断されます。受付できる時期も出国の14日前からとする自治体、30日前からとする自治体があり差があるため、お住まいの市区町村の案内をご確認ください。
海外に住むと国民年金はどうなりますか?任意加入したほうがいいですか?
国民年金の第1号被保険者は日本国内に住所がある人が対象のため、海外転出届を出すと強制加入からは外れます。日本国籍で20歳以上65歳未満であれば任意加入を選べます。任意加入すると老齢基礎年金の額が積み上がるほか、海外在住中の万一に備えた障害年金・遺族年金の対象にもなります。任意加入しない期間は合算対象期間(カラ期間)として受給資格期間の10年判定には算入されますが、年金額には反映されません。資格は申出のあった月から取得され、さかのぼって加入することはできない点にご注意ください(令和8年度の保険料は月額17,920円)。
マレーシアでは、日本から持ち込んだお金や日本の収入に税金がかかりますか?
マレーシアの所得税法は、マレーシア国内で生じた所得に加えて、国外で生じた所得のうちマレーシアで受け取ったものも課税範囲に含んでいます。ただし居住者である個人については、官報の免税令(P.U.(A) 234/2022、P.U.(A) 451/2024による改正)によって2036年12月31日まで免税とされています。この免税には「源泉地国で同種の税が課されていること」という条件があり、免税であっても申告書の提出義務まで免除されるわけではありません。ご自身のケースが該当するかはLHDN(マレーシア内国歳入庁)や税務の専門家にご確認ください。
インターナショナルスクールの学費に6%の税金がかかると聞きました。本当ですか?
2025年7月1日から、サービス税の対象が私立教育に広がりました。1人の生徒の1学年あたりの学費が6万リンギを超える私立校・インターナショナルスクール等が対象で、税率は6%です。免除の条件は「マレーシア国民であり、かつ障害者手帳(Kad OKU)を保持していること」のように複数を同時に満たすことが求められるため、非マレーシア国民は免除規定の対象から外れ、課税対象に含まれる可能性が高いと考えられます。教科書代・制服代・食事代・送迎費・寮費・学生パス費用などは課税対象外とされる一方、登録料は課税対象として扱われています。学校によって請求書での見せ方(税別表示か税込表示か)も違うため、見積もりの段階で学校に確認することをおすすめします。
日本の健康保険は海外でも使えますか?
海外転出届を出して国民健康保険の資格を失うと、海外療養費(日本国内で同じ治療を受けた場合の費用を基準に払い戻す制度)は使えなくなります。一方、勤務先の健康保険は住所ではなく適用事業所に使用されているかで決まるため、日本の会社に在籍したまま赴任する場合は住民票を抜いても被保険者資格が続き、海外療養費も利用できます。帯同するご家族の被扶養者資格には国内居住要件がありますが、赴任に同行する家族や海外に留学する学生など、海外特例に該当すれば認められる場合があります。いずれも償還払い(いったん全額を自分で払い、後から申請する)のため、現地での高額な医療費に備えるには別途、海外旅行保険や現地の医療保険が必要です。
学生パスの保護者(Guardian Pass)は、マレーシアで確定申告が必要ですか?
マレーシア移民局はGuardianの就労・事業活動を認めていません。マレーシアの納税者登録が必要になるのは、一定額を超える雇用所得がある、事業を営んでいる、不動産を売買したなどの条件に当てはまる場合です。就労が認められていない以上、これらの条件に当てはまる場面は限られますが、マレーシア国内の不動産収入などがあれば就労の可否とは無関係に課税対象になります。ご自身に登録・申告の義務があるかどうかは個別事情によって変わるため、LHDNまたは税務の専門家にご確認ください。
主な参照元(2026年8月時点)
- 日本:住民基本台帳法/地方税法/所得税法・同施行令(e-Gov法令検索)
- 日本:国税庁 タックスアンサー No.1478・No.1923・No.1926・No.2875・No.2878・No.2880
- 日本:日本年金機構(任意加入制度・合算対象期間・海外赴任者の適用・社会保障協定)
- 日本:厚生労働省「社会保障協定の締結状況」(2026年6月2日現在)/全国健康保険協会(海外療養費)
- 日本:財務省 租税条約等一覧(日本・マレーシア租税協定)/外務省 海外安全ホームページ
- マレーシア:Income Tax Act 1967/官報 P.U.(A) 234/2022(Income Tax (Exemption) (No. 5) Order 2022)・P.U.(A) 451/2024(同令の改正・免税期限を2036年12月31日へ)・P.U.(A) 170〜174/2025(2025年7月1日のSST拡大)・P.U.(A) 125/2026(賃貸・リースを6%枠へ)
- マレーシア:LHDN(居住者判定・税率表・納税者登録・RPGT/Public Ruling No.2/2026「Tax Treatment of Foreign Nationals Exercising Employment in Malaysia」2026年3月27日発行)
- マレーシア:関税局 RMCD/MySST(教育サービスのガイド・Service Tax Policy No.4/2025 改訂版)
- マレーシア:EPF法改正法 Act A1760(2025年10月1日施行)/社会保障法改正法 Act A1788・P.U.(A) 205/2026・206/2026(2026年6月1日施行)
- マレーシア:移民局 IMI(学生パス・Guardian・扶養家族)/EMGS(医療保険・標準処理期間)/MOTAC(MM2H)/EPF(KWSP)/PERKESO(SOCSO)/保健省(MOH)
- 為替:Bank Negara Malaysia 公表レート(2026年8月7日、1リンギ=約38.7円)