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マレーシア駐在の子女教育|学校選びと学費補助規程の決め方【2026年版】

赴任の内示が出てから、ご家族が最初に直面するのが「子どもの学校をどうするか」です。マレーシアは選択肢が広い一方で、学校によって年間の学費が数倍違います。現地でご家族の学校探しに同行している立場から、規程・費用・ビザを順に整理しました。

マレーシア駐在に帯同されるお子様の学校は、ご家庭の好みよりも先に、会社の学費補助規程の上限額帰任予定の時期という2つの条件で候補が絞られます。日本人学校とインターナショナルスクールでは年間の学費が数倍違うため、補助の上限をどこに置くかで現実的に選べる学校が変わるからです。この記事では、マレーシアで選べる学校の実際の学費から、人事のご担当者が規程に書いておくべき項目、会社負担分の税務、帯同ビザと就学許可までを順に整理します。

学校選びを決めるのは「補助の上限」と「帰任時期」

マレーシア駐在の子女教育でまず決めるべきなのは、学校名ではなく2つの前提条件です。ひとつは会社の学費補助がどこまで出るか、もうひとつは何年で本帰国する見込みかです。

この順番が大事なのは、マレーシアの学校が「安い順に並んだ一本の列」ではないからです。日本人学校の授業料は月額RM1,670〜1,890(小学部・中学部)ですが、クアラルンプールの著名なインター校は年額でRM100,000前後に達します。円換算すると年間で300万円を超える差が出ることもあり、補助の上限額が決まらないまま学校見学に行くと、気に入った学校が予算の外にあるという結果になりがちです。

人事のご担当者も順番は同じで、規程の上限額が学校の実額と噛み合っているかを先に点検すると問い合わせが減ります。マレーシアは学費の幅が特に大きい派遣先なので、他国と同じ上限額をそのまま当てはめると実態から外れます。

もうひとつの帰任時期は、教育の中身に効いてきます。中学・高校の受験学年に本帰国が重なるご家庭と、滞在が5年以上に延びる見込みのご家庭では、選ぶべき学校が変わります。先に「いつ帰るか」を仮置きしてから学校を見ると、候補が半分ほどに絞れます。

現地からのリアル

学校見学に同行していて多いのが、「学費は会社が出してくれると聞いていたが、上限額までは聞いていなかった」というケースです。内示から赴任までは2〜3か月ということも珍しくなく、上限を確認するだけで1週間が過ぎてしまいます。

ご家族には、学校を探し始める前に人事のご担当者へ上限額と対象費目を確認していただくようお願いしています。金額が分かっていれば、こちらから候補を出す精度が大きく上がります。

マレーシアで選べる3つの学校と、赴任地による違い

駐在に帯同するお子様の進学先は、実務上は日本人学校・インターナショナルスクール・現地校の3つに分かれます。このうち駐在家庭が現実的に比較するのは、前の2つです。

日本人学校は赴任地によって有無が変わる

文部科学省が公表している在外教育施設の一覧では、マレーシアには認定を受けた日本人学校が4校あります。クアラルンプール、ジョホール、ペナン、コタキナバルの4か所で、いずれも現地の日本人会などが設置者になっています。

ここで押さえておきたいのが認定の意味です。文部科学大臣の認定を受けた日本人学校の中学部を卒業した場合、日本の高等学校の入学資格が認められます。本帰国後に日本の高校を受験する前提のご家庭にとって、これは制度として保証された安心材料になります。

文部科学省の資料では、日本人学校は49か国1地域に94校あり、在籍者は約1万6千人とされています(令和6年4月15日時点)。そのうち4校がマレーシアにあり、受け入れ体制は整っている方の国です。

規程の説明資料に書き添えておくと喜ばれるのが教科書の扱いです。文部科学省は昭和42年度から在外公館を通じて教科書を無償で給与しており、令和5年度は約13万7千人が対象でした。受け取り方は赴任先の大使館・総領事館でご確認ください。

一方で、赴任地が上の4か所から離れている場合、通学圏に日本人学校がないという状況も起こります。マレーシアは拠点が分散しているため、「日本人学校がある前提」で規程を作ると、拠点によって実態と合わなくなる点にご注意ください。

補習授業校という選択肢

現地校やインター校に通いながら、土曜日などに日本語で一部の教科を学ぶのが補習授業校です。文部科学省の資料では、補習授業校は世界で51か国1地域に242校(令和6年7月1日時点)あり、在籍者は約2万1千人(令和6年4月15日時点)とされています。

ただし開設・休止は現地の事情で変わりやすいため、最新の状況は在マレーシア日本国大使館や各地の日本人会でご確認ください。

インター校は「式」で中身が分かれる

マレーシアのインターナショナルスクールは、英国式・米国式・国際バカロレア(IB)に大きく分かれます。同じ「インター」でも卒業時に得られる資格が違うため、進学先として想定する国から逆算して選ぶのが基本です。

現地校(政府系の学校)は授業がマレー語中心で、駐在期間が限られるご家庭には現実的な選択肢になりにくいのが実情です。中華系の私立小学校を選ばれる方もいますが、こちらは中国語が主な使用言語になります。

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比較項目日本人学校インター校現地校・中華系私立
主な使用言語日本語英語マレー語・中国語
学費の水準◎ 低い△ 高い◎ 低い
本帰国後の接続◎ 進度がそろう○ 補習が前提△ 差が大きい
英語環境△ 授業外で補う◎ 日常が英語○ 科目による
通える場所△ 4都市に限られる◎ 都市部に多数◎ 全国
短期滞在との相性◎ 良い○ 学年による△ 難しい
◎ 強み○ ふつう△ 弱み・注意
▲ 駐在帯同で比較する3つの進学先。評価は駐在(数年で本帰国する前提)の視点による編集部の目安で、学校ごとに差があります(ルシュエット作成)

学費の実額|日本人学校とインター校でいくら違うか

規程の上限額を決めるには、実額を見るのが早道です。ここでは公式に公表されている金額だけを並べます。

クアラルンプール日本人学校の場合

同校が公表している2026年度の費用は次のとおりです。入学時に一度だけかかるものと、毎月かかるものに分かれます。

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費目金額(リンギット)円換算
入学金(入学時のみ)RM4,000約15.5万円
校舎改修・施設設備拡充負担金(入学時のみ)RM5,000約19.4万円
授業料(月額・小学部)RM1,670約6.5万円
授業料(月額・中学部)RM1,890約7.3万円
学校維持資金負担金(月額)RM370約1.4万円
通学バス(月額)RM409.50約1.6万円

※クアラルンプール日本人学校の公式サイト(小中学部の費用ページ)で公表されている2026年度の金額です。授業料には非常食負担金と損害保険料が含まれます。通学バスは指定のバス会社を利用する場合の2026年4月からの額です。このほかPTA会費が月額RM8かかります。円換算はRM1≒38.7円で計算した目安です。直近1か月は37.6〜39.8円の幅で動いており(2026年9月23日時点で約38.7円)、為替により変動します。

毎月かかるものを積み上げると、小学部で授業料RM1,670・学校維持資金RM370・PTA会費RM8の合計で月額およそRM2,048(約7.9万円)になります。通学バスを使う場合はここにRM409.50が加わり、月額はおよそRM2,458(約9.5万円)です。年間に直すと、バスを含めておよそRM29,500(約114万円)という水準になります。

これに加えて、入学した年だけ入学金RM4,000と施設設備拡充負担金RM5,000の合計RM9,000(約35万円)がかかります。初年度だけ支出が跳ね上がる構造なので、月額上限だけで規程を作ると初年度に必ず不足が出ます。

クアラルンプールのインター校の場合

インター校は学年が上がるほど学費も上がるのが一般的です。公式の学費表から、代表的な2校の年額を挙げます。

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学校・学年年間授業料(リンギット)円換算
モントキアラ・インターナショナルスクール/小学課程(G1〜5)RM106,204約411万円
同/高校課程(G9〜12)RM130,540約505万円
ガーデン・インターナショナルスクール/Year1RM85,590約331万円
同/Year10〜13RM126,870約491万円

※各校が公式サイトで公表している2026/27年度の学費表から授業料部分を抜き出したものです。表示はいずれも税抜きで、次章のサービス税が別途かかります。また入学時の登録料・入学金が別にかかります。学費は学校と学年によって幅が大きく、上記より低い水準の学校も多数あります。最新の金額は各校の公式ページでご確認ください。

この2つを並べると、日本人学校の年間の授業料はおよそRM20,000前後、インター校の上位校は年間RM100,000前後という関係になります。学費だけで年間300万円以上の差が出るため、規程の上限額は「どちらを標準に置くか」を先に決めないと設計できません。

現地からのリアル

ご相談の中でよくあるのが、「インター校は高い順に良い学校」という前提で上位校だけを見てしまうパターンです。実際には、上位校より学費を抑えた価格帯にも、英語が初めてのお子様を受け入れる体制が整った学校があります。

補助の上限が決まっているご家庭ほど、この価格帯から探した方が候補は広がります。学校見学では授業料より先に、英語サポートの担当者が何人いるかを伺うようにしています。

学費に上乗せされるサービス税6%と、学費以外の実費

学費表の金額をそのまま補助の上限に使うと、実際の請求額と合わなくなることがあります。マレーシアでは私立校・インター校の学費にサービス税(SST)が上乗せされるためです。

マレーシア関税局の案内によると、2025年7月1日から私立の就学前教育から中等後教育までの教育サービスにサービス税6%が適用されています。対象は、児童生徒1人・1学年度あたりの対象料金の合計がRM60,000を超える私立校・インターナショナルスクールです。ここでいう料金は授業料だけでなく、登録料や施設費なども含めた合計で判定されます。

免除が認められているのは、マレーシア国籍の児童生徒とOKU(障害者)カードをお持ちの方です。駐在に帯同する日本人のお子様は免除の対象にあたりません。しきい値を超えた場合は超過分だけでなく対象額の全額に6%がかかるため、年間RM100,000の学校であれば年間RM6,000(約23万円)の上乗せになります。

ただし2025年7月以降の改正で、教科書・制服・給食・スクールバス・寮費・PTA会費・ビザ関連費用などは課税の対象外とされました。学費そのものと、これらの実費とで扱いが分かれる点は、規程の対象費目を決めるときに効いてきます。なお税率6%としきい値は、2026年9月時点で変更されていません。

学費表が税抜きか税込みかは学校によって異なるため、見積もりはSSTを含んだ総額で取ると、規程の上限額との突き合わせが正確になります。

逆にいえば、先に見た日本人学校の授業料はこのしきい値を大きく下回ります。インター校とは負担の構造が違うことになります。

規程から漏れやすい実費

学費以外にも、入学時と毎年発生する費用があります。人事のご担当者が規程を作るときに漏れやすいのは、次のような費目です。

入学時にかかるのが、出願料(アプリケーションフィー)、入学金・登録料、制服代、教材費です。毎年かかるのが、スクールバス代、校外学習費、試験受験料(英国式であればIGCSEなどの試験料)です。入学金や登録料は学校によって数十万円規模になるため、補助の対象に含めるかどうかを明記していないと、赴任後に必ず質問が来ます。

出願料は、合否にかかわらず申し込みの時点で発生するのが一般的です。公式に公表されている例では、ガーデン・インターナショナルスクールが出願料RM1,590(サービス税込み)としています。複数校を併願すると、この時点で数万円が出ていく計算になります。

入学金・登録料はさらに規模が大きく、同校ではYear1以上の登録料としてRM20,000(約77万円)が公表されています。同校はいずれも返金不可と明記しているため、「学校を決めたあとで会社の補助対象外だと分かった」という事態が一番避けたいパターンです。出願前に対象範囲を確認しておく価値があります。

費用の内訳をもう少し細かく見たいご家庭向けに、月額ベースで整理した記事もご用意しています。マレーシアの教育費は月いくらかもあわせてご覧ください。

補助の上限額から、通える学校を絞り込みます

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学費補助規程で先に決める7項目

子女教育手当をめぐる揉めごとは、金額の多寡よりも「どこまでが対象か」が書かれていないことから起こります。海外駐在員規程に子女教育に関する条項を置く場合、最低限この7つを決めておくと運用が安定します。

決める項目書いておきたい内容
① 対象の範囲年齢・学齢の範囲と、帯同していることが条件かどうか
② 対象の学校日本人学校・インター校・補習授業校のどれを含めるか
③ 補助の上限年額か月額か、学校種別ごとに分けるか、学年で変えるか
④ 対象の費目授業料のみか、入学金・バス代・制服代・試験料まで含めるか
⑤ 税の扱い学費に上乗せされるサービス税6%を補助の対象に含めるか
⑥ 複数人の扱いお一人あたりの上限か、世帯合計の上限か
⑦ 支給と精算実費精算か定額支給か、学校への直接払いか、証憑は何を出させるか

※上記はご相談を受ける中で質問が集中する項目を整理したものです。規程の文言そのものは労務の専門家のご確認をおすすめします。

上限額は「学校種別ごと」に置くと運用しやすい

実務でよく見かけるのが、日本人学校は実費の全額、インター校は上限額を設けて超過分を自己負担とする設計です。日本人学校とインター校で学費が数倍違う以上、ひとつの上限額でまとめると、どちらかが実態に合わなくなります。

海外子女向け教育サービスのEDUBALが帯同経験のある35家庭に行った任意アンケートでは、勤め先から補助があるご家庭が約83%でした。このうちインター校に通う20名に限ると、65%が年間100万円以上を自己負担しています。母数が小さく統計的な代表性はありませんが、「補助はあるが全額ではない」という形が広く取られていることは、現地でのご相談の実感とも一致します。

実費精算と定額支給のどちらにするか

⑦の支給方法は、実費精算か定額支給かで運用の重さが変わります。実費精算は補助が過不足なく効く代わりに、リンギット建ての請求書を毎学期ごとに円換算して処理する手間が残ります。

定額支給は経理の処理が軽くなる反面、学校によって学費の水準が大きく違うマレーシアでは、実態と合わない額になりやすいという弱点があります。実務上は「授業料は実費精算・上限つき、その他の費目は定額」という組み合わせにすると、手間と実態のバランスが取りやすくなります。

円換算のレートも規程に書いておくと揉めません。支払日のレートか、社内で定めた月次の社内レートかで金額が変わるためです。

⑤サービス税と④入学金は特に明記する

この2つは、学費表の本体価格に含まれないため見落とされやすい費目です。一時金と経常費用を分けて条文に書くと、赴任年だけ支給額が跳ねる理由を説明しやすくなります。

会社が負担した学費は給与課税されるのか

会社が負担した学費は、原則として本人が受けた経済的な利益として課税の対象になり得るという前提で設計するのが安全です。

主な根拠になるのが、学資金の非課税規定(所得税法第9条ほか)の要件です。国税庁のタックスアンサー「学資に充てるための費用を支出したとき」によれば、非課税になるのは通常の給与に加算して支給する費用であることなどが要件で、役員や、役員・使用人と特別の関係がある方(親族など)の学資に充てるために支給されるものは対象から外れます。給与を減額して学資金の名目に振り替えた場合も、非課税にはならないとされています。この線引きは役員と使用人で分かれる部分があるため、自社の支給がどちらに当たるかは税理士にご確認ください。

あわせて参考になるのが、法人が役員のお子様の授業料を一括して負担した場合の国税庁の質疑応答事例です。これは法人税(定期同額給与)の取扱いを扱った事例ですが、その照会文に「この諸手当は、所得税の課税対象とされる経済的な利益に該当することを前提とします」と明記されており、学費の会社負担が課税対象の利益にあたるという理解が前提に置かれていることが読み取れます。

さらに海外赴任では、赴任期間や住所の実態によって居住者・非居住者の判定が入り、源泉徴収の取扱いが変わります。駐在員のお子様のインター校学費を直接扱った公表資料は確認できていないため、個別の設計は必ず事前に、会社の人事・総務を通じて税理士または所轄の税務署にご確認ください。この記事の記載は一般的な枠組みの整理であり、個別の税務判断ではありません。

実務でよく出るのが、会社が学校へ直接支払えば扱いが変わるのかというご質問です。本人に現金を渡すか学校へ直接振り込むかという支払いの経路よりも、本人が負担すべきものを会社が肩代わりしたといえるかどうかが判断の軸になります。支払い方法を変えたから課税されない、という整理にはなりにくい点は押さえておいてください。

手当の設計そのものについては、社員の海外派遣を制度としてどう組み立てるかをまとめた社員を海外へ派遣するときの制度設計もあわせてご覧ください。

帯同のビザと、就学に必要な許可

お子様が学校に通うには、滞在資格と就学の許可がそろっている必要があります。就労ビザ(Employment Pass)で赴任される方のご家族は、扶養家族用のDependant Passで滞在するのが基本の形です。

マレーシア入国管理局の公式案内では、Dependant Passの対象は配偶者と18歳未満のお子様(実子・継子・法的養子)で、障害のあるお子様は年齢を問いません。有効期間は主たる申請者のパスに連動し、この資格のままでは就労できません。帯同される配偶者が現地で働く場合は、ご自身の就労ビザ(Employment Pass)などへ切り替える必要があります。18歳を超えたお子様やご両親の帯同は長期滞在パス(LTSVP)で扱われますが、この資格では就学が認められず、学生パスへの切り替えが必要とされている点にご注意ください。

有効期間が主たる申請者に連動する点は、実務上とくに影響が大きい部分です。赴任者ご本人の就労ビザの更新が遅れると、ご家族の滞在資格も同時に期限を迎えます。学期の途中で更新時期が来ることもあるため、更新の時期は学校にも共有しておくと安心です。

帯同される配偶者の方から多いのが、日本の会社の仕事をオンラインで続けてよいかというご質問です。マレーシアに厳密なルールが定まっているとは言いがたく、契約形態や報酬の受け取り方で考え方が変わります。一般論で判断せず個別にご相談ください。

就学については、Dependant Passで滞在するお子様に対して、移民局が就学許可(Kebenaran Belajar/Permission to Study)という別枠の手続きを用意しています。留学生に発給される学生パス(Student Pass)とは扱いが分かれますが、どちらが必要になるかは学校の種別や課程で変わるため、在籍予定校にご確認ください。クアラルンプール日本人学校の入学案内では、ソーシャルビジットパスでは就学できず就学可能な長期滞在ビザが必要であること、二重国籍のお子様などを除き就学許可証(Permission to Study Pass)の取得が原則必要であることが案内されています。

人事のご担当者に知っておいていただきたいのが、この就学許可の申請者です。移民局が公開している18歳以下のDependant Pass保持者向けの様式では、学校が在学の証明書を出し、申請そのものは雇用主である会社が行う形になっています。会社の署名と社印が必要な書類が含まれるため、入学の手続きは家庭だけで完結しません。許可は1年単位で更新するものとされています。

ビザの取扱いは、学校種別・お子様の年齢・ご家族の国籍で変わります。在籍予定校のビザ担当や、当社のような留学エージェントを通して確認するのが確実です。入国に関する最新の案内は、在マレーシア日本国大使館のページが手がかりになります。

内示から入学までの進め方(6ステップ)

赴任の内示から入学までは、実務上2〜4か月ほどの幅で動くことが多い工程です。順番を間違えると学校の空きが埋まってしまうため、決める順番を固定しておくことをおすすめします。

  1. 補助の上限と対象費目を確認する

    人事のご担当者に、年額または月額の上限、入学金やバス代が対象に入るかを確認します。ここが決まらないと候補が出せません。

  2. 帰任時期と進路の方針を仮置きする

    何年で本帰国する見込みか、帰国後に日本の学校へ戻る前提かを仮置きします。日本人学校とインター校の分岐はここで決まります。

  3. 赴任地から通える学校を洗い出す

    住居の候補エリアと通学時間から、現実に通える学校をリスト化します。マレーシアは渋滞が読みにくいため、距離より所要時間で見ます。

  4. 空き状況と編入時期を確認する

    学年ごとの定員に空きがあるかを問い合わせます。人気校は年度途中の編入枠が限られるため、この確認は早いほど有利です。

  5. 見学・面談・入学テストを受ける

    インター校は英語力を測るテストや面談があります。ご家族の渡航前にオンラインで対応できる学校もあります。

  6. 合格後にビザ・就学許可の手続きへ

    入学が決まってから、滞在資格と就学許可の手続きに入ります。書類の準備に時間がかかるため、入学予定日から逆算して進めます。

人事が赴任前に渡しておくと揉めないもの

子女教育に関する問い合わせは、赴任直前と赴任直後の2回に集中します。次の3つを赴任前に文書で渡しておくと、往復のやり取りがかなり減ります。

ひとつめが上限額と対象費目を1枚にまとめた説明資料です。規程の条文をそのまま渡すより、「授業料は対象、入学金は初年度のみ対象、制服代は対象外」のように費目ごとに○×で示した方が伝わります。

ふたつめが精算の手順と必要な証憑です。学校が発行するインボイスと領収書のどちらを提出するのか、リンギット建ての領収書をどのレートで円換算するのかを先に示しておくと、赴任後の差し戻しがなくなります。

みっつめが相談先の窓口です。学校の選び方そのものは人事が答えられる範囲を超えることが多いため、外部の相談先を案内しておくと担当者の負担が下がります。

公的な窓口として知られているのが、公益財団法人 海外子女教育振興財団(JOES)です。1971年に設立され2011年に公益財団法人へ移行した団体です。セミナー・講演会、教育相談、通信教育、外国語保持教室、帰国後の支援まで一通りそろっているため、赴任者向けの案内にURLを載せておくだけでも効果があります。企業・団体向けは維持会員という区分で、会費は受益の程度に応じて個別に定められるため公式サイトに金額の掲載はありません。

あわせて伝えていただきたいのが学校の空き状況は生ものだという点です。内示の段階で候補校に在籍照会をかけておくと、赴任直前に候補がなくなる事態を避けられます。

現地からのリアル

現地に着いてからご家族が最初に困るのは、学校の書類がすべて英語で、しかも学校ごとに様式が違うことです。出願フォーム、予防接種記録、前籍校の成績証明、パスポートの写し——この4点はほぼ必ず求められます。

日本にいるうちに前籍校へ英文の在学証明・成績証明を依頼しておくと、渡航後の手続きが1〜2週間早く進みます。人事のご担当者から赴任者へ伝えていただくだけで効果がある項目です。

駐在員のご家族の学校探しも承っています

赴任地・補助の上限・お子様の学年をお聞かせいただければ、
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よくある質問

マレーシア駐在の子女教育費は、会社がどこまで負担するのが一般的ですか?

法律で決まった基準はなく、各社の海外駐在員規程で定めるものです。実務では日本人学校の授業料を全額、インターナショナルスクールは年額または月額の上限を設けて差額を自己負担とする設計がよく見られます。マレーシアは日本人学校とインター校で学費が数倍違うため、上限額をどこに置くかで選べる学校が変わります。金額の水準は業種や派遣国で差があるため、自社の他拠点の規程と揃えて決めるのが現実的です。

会社が負担したインターナショナルスクールの学費は、給与として課税されますか?

会社が負担した学費は、原則として本人が受けた経済的な利益として課税の対象になり得ます。国税庁の質疑応答事例(法人税の取扱いを扱ったもの)でも、法人が役員の子の授業料を負担した場合について、所得税の課税対象となる経済的な利益に該当することを前提とした照会が示されています。学資金の非課税規定は通常の給与に加算して支給することなどが要件で、役員や特別の関係がある方の学資に充てるものは対象から外れます。海外赴任中は居住者・非居住者の判定でも取扱いが変わるため、必ず会社の人事・総務を通じ、税理士または所轄の税務署にご確認ください。

マレーシアのインターナショナルスクールの学費にサービス税(SST)はかかりますか?

かかります。マレーシア関税局の案内では、2025年7月1日から私立の就学前教育から中等後教育までの教育サービスにサービス税6%が適用され、児童生徒1人・1学年度あたりの対象料金の合計(授業料のほか登録料や施設費も含む)がRM60,000を超える私立校・インター校が対象です。免除が認められているのはマレーシア国籍の児童生徒とOKU(障害者)カードをお持ちの方で、駐在に帯同する日本人のお子様は対象にあたりません。しきい値を超えた場合は超過分だけでなく対象額の全額に6%がかかります。学費表が税抜きか税込みかは学校によって異なるため、見積もりの段階でご確認ください。

帯同するお子様が学校に通うには、どのビザが必要ですか?

就労ビザ(Employment Pass)で赴任される方のご家族は、扶養家族用のDependant Passで滞在するのが基本です。マレーシア入国管理局の案内では、対象は配偶者と18歳未満のお子様(実子・継子・法的養子)で、有効期間は主たる申請者のパスに連動し、この資格のままでは就労できません(就労ビザへの切り替えが必要です)。Dependant Passで滞在するお子様には、移民局の就学許可(Kebenaran Belajar)という別枠の手続きがあり、18歳以下向けの様式では申請を雇用主である会社が行う形になっています。取扱いは学校種別やご家族の状況で変わるため、在籍予定校のビザ担当や当社のような留学エージェントを通してご確認ください。

本帰国後の進学を考えると、日本人学校とインター校のどちらが安全ですか?

帰任時期によって答えが変わります。文部科学大臣の認定を受けた日本人学校の中学部を卒業した場合は日本の高等学校の入学資格が認められるため、中学生の時期に本帰国の可能性が高いご家庭では進路が読みやすくなります。一方でインター校は英語での学習環境が得られる反面、日本語と日本の学習進度を家庭や補習で補う前提になります。滞在が3年以上に延びる見込みか、受験学年に帰任が重なるかを先に置いてから学校を選ぶことをおすすめします。

主な参照元(2026年9月時点)

本記事に記載した費用・制度・学校情報は、2026年8月時点に公開されている情報にもとづく目安です。為替はRM1≒38.7円で換算しています。制度や料金は改定されることがあるため、お申し込みの前に各公式サイト、または当社までご確認ください。