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インター入学後のサポート

インターに行きたくない・ホームシック|子どもの適応期間と親の対応【2026年】

朝になると「行きたくない」と言う。帰ってくると「日本に帰りたい」と泣く。せっかく決めた留学だったのに、と胸が痛む時期です。この記事では、適応期間をどう見るか、学校に何を頼めるかを、現地スタッフの視点と公的な資料の両方から整理します。

お子様がインターに通い始めてしばらくすると、「行きたくない」という言葉が出てくるご家庭は珍しくありません。まずお伝えしたいのは、「何か月で慣れます」と数字で言い切れる調査は、現時点では見つかっていないということです。そのうえで大切なのは、気持ちの回復と英語の習得を別の時計で見ること、そして学校に具体的な手を打ってもらうことです。この記事は、その順番で整理しています。

「行きたくない」と言われた日に、まずやること

その日にやることは3つだけです。①休ませるかを親が決める ②理由を問い詰めない ③学校に事実だけを短く伝える。この順番で動くと、翌日以降の選択肢が残ります。

まず休ませる判断について。日本国内の学校については、文部科学省初等中等教育局長の通知(2019年10月25日)が「『学校に登校する』という結果のみを目標にするのではなく」と示しています。教育機会確保法(平成28年法律第105号・2016年成立)の第13条にも「個々の不登校児童生徒の休養の必要性を踏まえ」という文言があります。

これは日本国内の学校を前提にした方針で、海外のインター校にそのまま適用される規定ではありません。ただ、休ませる判断そのものが否定されるものではないという考え方の後ろ盾にはなります。「休ませたら癖になる」と一人で抱え込む必要はありません。

次に、理由の聞き方です。「どうして行きたくないの」と正面から聞いても、小学生のお子様は言葉にできないことが多くあります。それより「今日、誰と何をした?」「お昼は誰と食べた?」と場面を区切って聞くほうが、実際に何が起きたのかが見えてきます。

そして学校への連絡です。この日は原因の分析をせず、事実だけを短く送るのが実務的です。「本日欠席します。朝から腹痛があり、学校に行きたくないと話しています。数日前から続いています」——これで十分です。この一行が学校側の記録に残ることが、後の相談の土台になります

逆に、この段階でやらないほうがよいことを挙げます。

※発熱・体重の減少・強い不眠など、身体の変化が続く場合は、この記事の内容にかかわらず医療機関にご相談ください。本記事は医療・心理の診断や治療の助言を目的としたものではありません。

現地からのリアル

現地でご相談をいただくとき、渡航前に想定されていなかった悩みとして多いのが「休み時間の孤独」です。授業は座っていれば時間が過ぎますが、休み時間と昼食は自分から入っていかないと一人になります。お子様が辛いと言っているのは授業ではなく、そこの時間だった、というケースをよく見ます。

もう一つよくあるのが、渡航から数週間は元気だったのに、1か月ほど経ってから崩れるパターンです。最初は緊張と目新しさで乗り切れていた、という順番なので、落ち着いてきた頃こそ様子を見ていただきたい時期です。

適応期間は「何か月」と言い切れない

先に結論をお伝えします。「◯か月で慣れる」という数字を、信頼できる一次資料から示すことはできません。当社が調べた限り、期間を数値で断定している研究は見つかりませんでした。ここを曖昧にしたまま「半年で慣れます」とお伝えするのは、かえってご家庭を苦しめると考えています。

よく紹介される「4段階」は、実証で支持されていない

海外移住の記事でよく見かけるのが、カルチャーショックの4段階(ハネムーン期→ショック期→回復期→適応期)です。これは人類学者のカルヴァロ・オバーグが1960年に発表した論考が出所で、本人の観察にもとづく枠組みでした。

その後の検証で、この推移は一般的ではないことが示されています。留学生2,480名を18か月間追跡したデメスとヘーラルトの研究(2015年・Journal of Personality and Social Psychology)では、想定どおりの推移をたどった人は全体の4.9%(98名)にとどまりました。最も多かったのは負担が緩やかに軽くなっていく群で47.2%、次に軽いストレスが続く群が40.6%でした。当初のハネムーン期にあたる時期も確認されていません。

つまり、「最初は楽しくて、次に落ち込んで、そのあと回復する」という筋書き自体が、多くの人には当てはまらないということです。お子様がその筋書きから外れていても、異常ではありません。

代わりに、3つの時間軸で見る

期間が一本の線で示せない代わりに、当社では性質の違う3つの時間軸を分けてご説明しています。気持ちの回復と、英語が使えるようになる時期は、同じ速さで進みません。

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見る対象気持ち・登校のしぶり会話の英語(BICS)学習の英語(CALP)
語られる目安数か月〜1年
(個人の記録のみ)
およそ2年5年以上
根拠の確度一次資料での数値なしカミンズの整理(1981年ほか)コリアー&トーマス(1997年)
ご家庭で見えるもの朝の様子・食欲・睡眠友達との雑談・電話成績表・授業の理解度
先に戻るもの最初に動く次に来るいちばん最後
早い中間時間がかかる
▲ 適応を1本の線で見ず、3つに分けて考えるための整理。BICS・CALPの年数はジム・カミンズによる整理と、言語マイノリティの児童70万件超を追跡したコリアー&トーマスの報告(1997年)にもとづく一般的な目安で、お子様ごとの実際の期間を保証するものではありません(ルシュエット作成)

表にあるBICSとCALPという言葉を補足します。BICSは「友達と話せる英語」、CALPは「授業や試験に使う英語」のことで、言語教育の研究者ジム・カミンズが区別して示した考え方です。日常会話の力は2年ほどで追いつく一方、学習面で現地の子と並ぶには少なくとも5年、母語での支援がない場合は7年程度かかるとされています。

この差が、ご家庭で誤解を生みます。半年ほどで友達と英語で話し始めると「もう慣れた」と見えますが、成績表はしばらく上がりません。ここで「サボっている」と受け取ってしまうと、せっかく落ち着いてきた気持ちがまた崩れます。会話ができることと授業がわかることは、別の到達点だとお考えください。

逆に言えば、気持ちの回復は英語の完成を待たなくても起こります。友達が1人できた、昼を一緒に食べる相手が決まった、という出来事で朝の様子が変わることは実際にあります。英語が仕上がるまで辛いまま、ということではありません。

体験談の「半年」「8か月」をどう読むか

ブログやQ&Aサイトを見ると、「最初の3か月は地獄で、6か月でようやく友達ができた」「8か月かかった」といった記録が見つかります。こうした記録は励みになりますが、目安として使うと苦しくなります

渡航時の年齢・学年・渡航前の英語力・学校の日本人比率がそれぞれ違うので、期間だけを取り出しても比較になりません。加えて、辛かった時期の記録は書き残されやすく、静かに慣れていった家庭の記録は表に出にくいという偏りもあります。

参考にするなら、期間ではなく「何がきっかけで変わったか」の部分です。席が変わった、クラブに入った、同じ習い事の子とつながった——こうしたきっかけは、ご家庭や学校が意図的に作れます。

「このままで大丈夫か」を、一人で抱えなくて大丈夫です

お子様の学年・英語力・在籍校の状況から、いま学校に何を頼めるかを整理します。学校とのやり取りの代行や、EALの見直しの相談も承っています。
マレーシア教育移住の資料とセミナー案内も無料でお送りします。

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ホームシックと学校でのつまずきは別のもの

「行きたくない」の中身は、大きく2つに分けて見ると手が打ちやすくなります。日本の人や生活が恋しいホームシックと、学校の中でのつまずきは、原因も対応も別のものです。

ホームシックは、祖父母や日本の友達に会えない、好きだった食べ物や習い事がない、といった失ったものへの寂しさです。こちらはご家庭の側で手当てできる部分が大きく、日本の友達とのビデオ通話を習慣にする、日本食を作る、一時帰国の予定を先に決めて見通しを渡す、といった対応が効きます。

一方の学校でのつまずきは、英語が聞き取れない、輪に入れない、といったいま置かれている環境の問題です。こちらはご家庭だけでは動かせないので、学校に具体策を頼むことになります。

この2つは同時に起きるので混ざって見えますが、「日本に帰りたい」と言うのか、「あの学校に行きたくない」と言うのかで、どちら寄りかの見当がつきます。前者ならご家庭で寂しさを埋める手当てが先、後者なら学校への相談が先です。

そして学校でのつまずきについて、中心は英語そのものより「休み時間」と「昼食」にあることが多いです。授業中は先生が場を進めてくれますが、休み時間は自分で輪に入る必要があります。英語が聞き取れる子でも、ここでつまずきます。

朝の腹痛や頭痛は、言葉になる前のサイン

「お腹が痛い」「頭が痛い」と言って玄関から出られない、というご相談は多くいただきます。登校の時間だけ症状が出て、休んだ日は元気に見える、という形もよくあります。

これは仮病ではなく、まだ言葉にできない負担が身体に出ている状態だと考えられています。だからこそ、「気のせい」と流すのも、病名を当てにいくのも、どちらも避けたい対応です。記録として「いつ・どんな症状が・どのくらい続いたか」を残し、続くようなら学校のカウンセラーや医療機関へおつなぎするのが順序です。

家では元気なのに、学校では黙っている

「家では普通に笑っているのに、学校では一言も話さないと先生に言われた」というご相談もあります。このギャップは、ご家庭を不安にさせる一方で、実は悪い情報ではありません。

家で話せているということは、話す力そのものは失われていないということです。問題は場面に限られていて、その場面を学校と一緒に変えられる余地があるという読み方ができます。逆に家でも言葉が減り、好きだったことに興味を示さなくなっているなら、そちらは早めに相談先につなぐサインです。

「英語がわからず話さない」の多くは、適応の過程

学校でまったく話さないという状態が続くと、ご家庭は強く心配されます。ここで知っておいていただきたい整理が2つあります。

1つは「沈黙期」です。新しい言語の環境に入った子どもが、しばらく発話しない時期があることは言語習得の研究で扱われています。ただし続く長さは研究によって数日から1年以上までばらつき(Kanらの2024年の論文ほか)、期間を言い切れる段階にはありません

もう1つは、場面緘黙(特定の場面で話せなくなる状態)との区別です。診断基準であるDSM-5には「話し言葉の知識が不足していることによるものではない」という条件が明記されています。英語がわからずに話せない状態は、この条件に照らすと当てはまらないと読めます。ただし診断は医療者が行うものです。ご家庭で「違うから大丈夫」と結論づけるのではなく、様子が気になるときは学校のカウンセラーや医療機関へおつなぎしてください。

日本人同士で固まるのは、悪いことではない

「せっかく英語環境に入れたのに、日本人の子とばかり過ごしている」というお声もよく伺います。ただ渡航直後のこれは、むしろ安全基地として働いています。逃げ込める場所があるから登校できている、という時期です。

気をつけたいのは、それが固定化して英語を使う機会が減っていく段階です。やめさせるのではなく、そこに英語で話す相手を1人足していくという方向で、学校に相談するのが現実的です。具体的な頼み方は後の章でお伝えします。

なお、しぶりの背景に特定の相手とのトラブルがある場合は、対応の順番が変わります。学校への伝え方も別に整理していますので、マレーシアのインターでのいじめへの対応も参考にしてください。

マレーシアのインター特有の事情

マレーシアには、適応の入口に影響する固有の事情があります。最も大きいのはクアラルンプール市内で学校暦の起点が2つに分かれていることです。日本の3月卒業から動くご家庭にとって、これは編入時期の選択を左右します。

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系統英国系インター米国系インター豪州系・公立
学年の開始8月中旬〜下旬8月1月
区切り3ターム制2セメスター制4ターム制
日本の4月入学から8月まで待てば学期の頭8月まで待てば学期の頭学期途中の編入になる
長期休暇の山6〜8月6〜8月12〜1月
学期の頭から入れる時期の調整が必要
▲ 学校暦の系統ごとの一般的な形。各校が公表している2026-2027年度のターム日程をもとにした整理で、開始日や区切りは学校ごとに異なります。出願時は必ず在籍を検討している学校の公式日程をご確認ください(ルシュエット作成)

この違いが適応に効くのは、学期の途中に入ると、すでにクラスの中に輪ができているという点です。8月始まりの学校で学年の頭から入れば、周りも新しい顔ぶれに慣れる途中なので、輪に入るコストが下がります。

もちろん、ご家庭の都合で時期を選べないこともあります。その場合は「学期途中になる」と分かっていること自体が武器になります。入学面談の時点で、バディ(案内役の同級生)を付けてもらえるかを先に確認しておくだけで、最初の2週間の景色が変わります。編入時期の考え方はインター編入のタイミングで詳しく扱っています。

英国系・米国系を選ぶと、日本の学年が終わる3月から8月の入学まで4〜5か月の空白が生まれます。この期間に短期留学やサマースクールで一度現地の学校を体験しておくと、8月の初日が「初めての場所」ではなくなります。学校が公開している動画を一緒に見るだけでも、当日の「見たことがある」は作れます。

休み時間に飛び交う言語は、英語だけではない

もう一つ、マレーシアならではの事情があります。授業は英語で行われても、休み時間の会話にマレー語や中国語が混ざることです。マレーシア国籍の生徒が多く在籍する学校では、自然にそうなります。

これは学校の質の問題ではなく、多民族国家の日常です。渡航前に「英語だけの環境」と期待していたご家庭にとっては想定とのずれになるので、英語が伸びてきても輪に入りきれない段階が来ることがあると知っておくと慌てずに済みます。

現地からのリアル

日本人生徒の比率は、同じクアラルンプール市内でも学校によって大きく違います。日本人が多い学校は最初の心細さが軽くなる一方、英語を使う必然性は下がります。逆に日本人がほとんどいない学校は英語に浸れますが、最初の数か月は頼れる相手がいません。どちらが良いということではなく、お子様の性格と、ご家庭が渡航後の何か月をどう支えられるかで選ぶものだと考えています。

比率は年度ごとに変わり、公表していない学校も多いので、見学時に直接お尋ねください。

EAL(英語支援)をどう使うか

お子様が学校でつまずいているとき、学校側で打てる最も具体的な手はEALの見直しです。ここは競合記事があまり踏み込んでいない領域なので、実務として整理します。

まず用語から。EAL(English as an Additional Language)は、英語を母語としない生徒に学校が付ける英語支援のことです。ESL(English as a Second Language)と呼ぶ学校もあり、中身は概ね同じものを指します。

EALは「希望して受ける補習」ではないことが多い

ここが誤解されやすい点です。EALは入学後に希望して申し込む課外授業ではなく、多くの学校で入学審査のときに配置が決まる仕組みになっています。面接と自筆の作文で判定する学校、有料の英語判定テストを受けさせる学校があります。

さらに、EALの受講が在籍の条件として扱われる学校もあります。規定の水準に達する前に受講をやめると在籍の取り消しにつながる、と定めている例が公式の入学規定に見られます。「お金がかかるからやめたい」と単独で判断できる項目ではないということです。

判定方法も学校で分かれます。面接と自筆作文で見る学校、学校指定の英語判定テストを有料で受けさせる学校があり、テスト費用は1,000リンギット台の例が公式の費用表に出ています。この判定結果が、入学後に受けるEALの水準と費用を決めます。出願の段階では手続きの一つに見えますが、実質はその後1年の学校生活を左右する分岐点です。

費用は「上乗せ型」と「定額型」の2つ

EALの費用は授業料に含まれず、別に加算されるのが一般的です。各校が公開している費用表を見ると、大きく2つの型に分かれます。

費用の考え方
上乗せ型授業料の10〜20%程度を、学期ごとに加算
定額型1学期あたりRM2,000〜5,000程度の固定額
集中プログラム型通常のEALとは別建て。ターム単位で数千〜数万リンギットの幅

※各校が公開している2025-2026年度前後の費用表をもとにした一般的な幅で、特定の学校の金額ではありません。EALの料金体系と提供学年は年度ごとに変わります。実際の金額は出願先の最新の費用表でご確認いただくか、当社にご相談ください。

高学年は、そもそも受け皿が狭い

これは渡航前に知っておいていただきたい点です。最終学年に近い学年ではEALを提供しないと明記している学校があります。IGCSEやAレベルなど外部試験の準備に入る学年では、英語を学びながら受験内容を仕上げる時間がないためです。

つまり中学高学年以降の編入は、選べる学校そのものが絞られます。「英語ゼロでも受け入れてくれる学校がある」という話は、小学生から中学前半までを前提にしていることが多いとお考えください。入学後に「行きたくない」となる原因が、そもそも英語支援のない学年に入ってしまったことにある場合、対応の選択肢は学校を変えることに寄っていきます。

EALの中身や学校ごとの違いは、マレーシアのインターのESL・EAL対応で詳しく整理しています。

学校への相談の切り出し方(英語メール例文)

「学校に相談しましょう」と言われても、実際に困るのはその先=何と書けば学校が動くのかです。要点は一つで、「馴染めていません」と状態を伝えるのではなく、「いつ・どこで・何が起きたか」と事実を伝えることです。前者では学校は何を直せばよいか分かりませんが、後者なら手を打てます。

相談窓口は4つある

  1. 担任(Form Teacher / Class Teacher)

    まずここへ。日々の様子を見ている人なので、事実の共有と初動の相談に向いています。

  2. 学年主任(Head of Year / Head of Primary)

    担任に伝えて2週間ほど動きがないとき、あるいは学年全体での配慮が必要なときの相談先です。

  3. Pastoral Care/School Counsellor

    Pastoral Careは学業以外の生活面・心のケアを担う校内の仕組みで、英国系の学校でよく使われる呼び方です。カウンセラーが常駐する学校もあります。心理面の継続的な見守りを頼むときはここへ。

  4. EAL担当(Head of EAL)

    英語支援の配置や時間数の見直しを頼むときの窓口です。担任経由でつないでもらう形が多いです。

実際に送るメールの形

長く書く必要はありません。事実・お願い・返信のお願い、の3ブロックで十分です。

Dear Ms. ○○,

I would like to share something about my daughter, ○○ (Year 3).

For the past three weeks she has said she does not want to go to school, and she has had a stomachache on most school mornings. She tells us that she spends break time and lunch alone.

Could I ask for your help with two things? First, could she be paired with a buddy during break and lunch for a while? Second, could we review her EAL support and the current level of her placement?

I would also be grateful to hear how she seems during the school day from your side. Thank you very much for your time.

※3週間続いていること、朝の腹痛、休み時間に一人という事実を先に書き、頼みごとを2点に絞っています。「様子を教えてください」と学校側の観察を求めるのが、次の一手につながります。

頼めることは、意外と具体的です

「どうにかしてください」ではなく、打ち手を指定すると学校は動きやすくなります。よくお願いするのは次の4つです。

この4つはどれも学校の裁量で動かせる範囲で、費用が増えないものが多いです。「診てください」ではなく「この4つのどれかを試してもらえますか」と書くと、返信の中身が変わります

動きがないときは、2週間を目安に上へ上げる

担任に伝えても何も起きない、というのはよくあることです。学校は同時に多くの生徒を見ているので、悪意なく流れてしまいます。

そこで、最初の連絡から2週間ほど様子を見て、変化がなければ学年主任へ同じ内容を送るという進め方をおすすめしています。このとき「担任に○月○日にお伝えした件です」と一行足すのが大切です。催促ではなく経過の共有という形になり、学校側も対応しやすくなります。

あわせて、やり取りは口頭でなくメールに残してください。送迎時に立ち話で伝えると、記録が残らず引き継がれません。メールなら担当が変わっても経緯が追えますし、後で学校を変える判断をするときにも、何を頼んで何が起きたかが手元に残ります。

英語でのやり取りに不安がある、あるいは伝えたはずなのに動いてもらえない場合は、当社のように現地で学校と直接やり取りしている立場が間に入る方法もあります。私たちは心理や医療の助言をする立場ではありませんが、学校に事実を伝えて具体策を引き出すところは代わりに担えます

保護者が潰れないために/転校・帰国の線引き

ここは最後に、しかし軽くない話です。お子様の適応より先に、保護者の方が消耗していることが実際にあります

これは個人の弱さの話ではありません。厚生労働省の職場のメンタルヘルス情報サイト「こころの耳」には、海外赴任を契機に従業員と配偶者の双方が不調になった事例が掲載されています。言葉の壁、仕事を離れたことによる孤立、相談相手の不在といった要因が挙げられており、公的にも起こりうるものとして扱われているということです。

母子で渡航されたご家庭では、学校のことを相談できる相手が現地にいない、というのがとくに重くのしかかります。公益財団法人 海外子女教育振興財団(JOES)は、臨床心理士や教育アドバイザーが対応する有料の「JOES相談事業」を設けており、対面・電話・メールのほかオンライン(ZoomやTeams)でも利用できます。学校のカウンセラーに英語で話すより先に、日本語で状況を整理する場として使えます。

日本の不登校の数字は、参考値として見る

文部科学省の「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(令和6年度間を対象・令和7年10月公表)では、不登校は小学校137,704人・中学校216,266人の合計353,970人で過去最多でした。同調査で「把握した事実」として挙がった項目は複数回答で、「学校生活に対してやる気が出ない等の相談があった」30.1%、「生活リズムの不調に関する相談があった」25.0%、「不安・抑うつの相談があった」24.3%です。原因の内訳ではない点にご注意ください。

また不登校の児童生徒のうち61.7%(218,246人)が、学校内外の機関で専門的な相談・指導を受けていました。

ただし、この数字はそのまま当てはまりません。統計上の不登校は、日本国内の学校で年度間に30日以上欠席した児童生徒のうち、病気・経済的理由・感染回避によるものを除いたものです。海外のインター校に通うお子様は分母に入っていません。使えるのは「めずらしいことではない」「相談につながっている家庭が6割ある」という傾向の部分だけです。

転校・帰国を考えるときに並べる4点

「何か月続いたら帰国」という線引きは、当社ではおすすめしていません。適応期間そのものが数字で示せないのに、撤退の期限だけ数字で決めるのは筋が通らないためです。代わりに、次の4点を並べてご覧ください。

見る点判断の材料になること
① 続いている期間数日か、数週間か、学期をまたいでいるか
② 身体症状の変化腹痛・不眠・食欲の低下が減っているか、増えているか
③ 学校が動いたか座席・バディ・EALの見直しなど、具体策が実際に打たれたか
④ 本人が言葉にできるか何が辛いのかを話せるようになってきたか

目安としてお伝えするなら、②が増えているのに③が動いていない状態が、環境そのものを見直す検討に入る材料です。逆に③が動いていて④が出てきているなら、時間が味方になっている段階だと考えられます。

そして、転校・帰国そのものは失敗ではありません。学年やEALの受け皿の都合で、最初の学校が合わなかっただけということもあります。帰国を選ぶ場合は、日本の学校への戻り方を早めに整理しておくと、選択の重さが少し軽くなります。英語の維持と日本語の遅れの両方が気になる方は、子どもの英語習得の進み方もあわせてご覧ください。

※最終的な判断はご家庭・学校・医療者が行うものです。本記事は判断の材料を整理したもので、転校や帰国を勧める/勧めないという趣旨ではありません。

いま学校に何を頼めるか、一緒に整理しませんか

在籍校の状況とお子様の学年から、EALの見直し・学校への伝え方・学校を変える場合の選択肢を、現地スタッフが個別に整理します。学校とのやり取りの代行も承っています。
マレーシア教育移住の資料とセミナー案内も無料でお送りします。

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よくある質問

インターに通い始めたお子様が「行きたくない」と言うのは、よくあることですか?

渡航直後の数週間から数か月に「行きたくない」「日本に帰りたい」と言うご家庭は珍しくありません。海外へ移った子どもの適応をめぐる研究でも、環境が変わった直後に負担が出ることは広く扱われています。ただし出方は一人ずつ違い、まったく言わないお子様もいます。言う・言わないでその後の適応が決まるわけではないので、まずは言葉が出てきたこと自体を受け止めていただくのが出発点です。

インターに慣れるまでの適応期間はどのくらいですか?

「何か月で慣れる」と数字で示した信頼できる調査は見つかっていません。よく紹介される「カルチャーショックの4段階」も、留学生2,480名を18か月追跡したDemes&Geeraert(2015年)では、想定どおりの推移をたどった人は4.9%にとどまりました。一方で英語については、日常会話の力はおよそ2年、授業についていく学習面の英語は5年以上かかるとされる研究があります。気持ちの回復と英語の習得は別の時間軸で進むとお考えください。

「行きたくない」と言われたとき、学校を休ませてもいいのでしょうか?

日本国内の学校については、文部科学省が2019年(令和元年)10月の通知で「『学校に登校する』という結果のみを目標にするのではなく」と示し、教育機会確保法第13条も「休養の必要性を踏まえ」と定めています。国内校を前提にした方針ですが、休ませる判断が否定されるものではないという考え方の参考になります。実務としては、休ませるかどうかと同時に、学校へ事実を伝えて記録を残すことが大切です。判断に迷う症状があるときは医療機関にご相談ください。

英語がわからず学校で黙ったままですが、大丈夫でしょうか?

新しい言語の環境に入った子どもが一時的に話さなくなる「沈黙期」は、言語習得の研究で扱われている現象です。ただし続く長さは研究によって数日から1年以上までばらつき、期間を言い切ることはできません。なお場面緘黙の診断基準(DSM-5)には「話し言葉の知識が不足していることによるものではない」という条件があり、英語がわからずに話せない状態はこれに当たりません。診断は医療者の領域なので、ご家庭で判断せず、気になるときは学校のカウンセラーや医療機関へおつなぎしてください。

転校や日本への帰国を考える目安はありますか?

月数で線を引くことはおすすめしていません。代わりに、①しぶりが続いている期間 ②朝の腹痛や不眠などの身体症状が増えているか ③学校に相談した結果、座席やEALの見直しなど具体的な手が打たれたか ④お子様が何が辛いのかを言葉にできているか、の4点を並べてご覧ください。②が増えているのに③が動いていない場合は、環境を変える検討に入る材料になります。最終的な判断はご家庭・学校・医療者で行うものなので、当社は学校との確認や選択肢の整理をお手伝いする立場です。

本記事に記載した費用・制度・学校情報は、2026年8月時点に公開されている情報にもとづく目安です。制度や料金は改定されることがあるため、お申し込みの前に各公式サイト、または当社までご確認ください。