結論から言うと、マレーシアのインター系プリスクールは3歳から受け入れる学校が多く、年間の授業料はおおむねRM25,000〜66,000(RM1≒38.7円で約98万〜256万円)の幅に収まります。そして見落とされやすいのがビザです。マレーシア入国管理局は学生パスの対象を「3歳以上・就学前教育から高等教育まで」としていますが、保護者がMM2HやDE Rantauで滞在している場合は、帯同している扶養家族のパスとは別に就学のための手続きが公式に求められます。この記事では、TaskaとTadikaという公的な区分から、学校が公表している実際の費用、そしてビザの分かれ道までを、順に整理していきます。
マレーシアの「幼稚園」は大きく3種類
まず現在地の確認からです。日本人のご家庭が実際に検討することになる就学前の預け先は、①日系幼稚園 ②インター系プリスクール ③ローカル系の園の3つに分かれます。同じ「幼稚園」という言葉で語られますが、教育の言語も、費用も、その後の進路も別物です。
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| 種類 | 主な言語 | 費用感 | 向いているご家庭 |
|---|---|---|---|
| 日系幼稚園 | 日本語 | 低〜中 | 数年で帰国し、日本の小学校に進む予定がある |
| インター系 プリスクール | 英語 | 高 | マレーシアでインター校へ進む前提。同じ学校の小学部へ内部進学したい |
| ローカル系 | マレー語・中国語・英語など | 低 | 現地に根を下ろす前提で、多言語環境に早くから入れたい |
この記事で扱うのは②のインター系プリスクールです。インター系を選ぶ最大の理由は、就学前の学年から入っておくと、外から改めて受け直すより小学部へ進みやすい学校が多いことにあります。小学校の学年から新しく入ろうとすると学校ごとの入学審査を受けることになりますが、就学前から在籍していれば、環境も友人関係も切れ目なく続きます。ただし内部進学が無条件に約束されるわけではなく、進級の前に面談を設ける学校もあります。逆に、数年で帰国して日本の小学校に進む前提なら、日本語と生活習慣を保てる日系園のほうが合うご家庭もあります。
TaskaとTadika|公的な区分を先に押さえる
学校を探しはじめると、園の名前に「Taska」「Tadika」という単語が付いていることに気づきます。これは施設のブランド名ではなく、根拠となる法律が違う公的な区分です。日本語の情報ではほとんど説明されていませんが、ここを知っているだけで「その園が何を根拠に運営されているか」を自分で判断できるようになります。
Taska(タスカ = 保育施設)
根拠は1984年保育施設法(Akta 308)。同法は Taska を「4歳未満の子どもを、複数の世帯から4人以上、報酬を受けて預かる施設」と定義し(第2条)、すべての Taska に登録を義務づけています(第4条)。登録の申請先は社会福祉局(JKM)の長官です(第7条)。
Tadika(タディカ = 幼稚園)
根拠は1996年教育法(Akta 550)。同法は就学前教育を「4歳から6歳までの子ども向けの教育プログラム」と定義し、10人以上にこの就学前教育を提供する場所を Tadika と呼びます(第2条)。登録せずに運営することは同法第20条で禁じられています。
この2つは制度上きれいに切り分けられています。1984年保育施設法は、1996年教育法にもとづいて登録された幼稚園(tadika)や保育学校(nursery school)を適用の対象から外している(同法第3条(1)(c))ため、同じ施設が両方に二重に該当することはありません。つまり「0〜3歳台は Taska、4〜6歳は Tadika」というのが、法律の文言に沿った理解になります。
※法律が定めているのは「4歳未満を預かる施設は Taska」という線引きで、園ごとの受け入れ年齢そのものではありません。マレーシア政府の情報ポータル(malaysia.gov.my)は運用上の目安として、TASKA を2〜4歳、TADIKA を4〜6歳、政府系の TABIKA(KEMAS)を4〜6歳、公立校の就学前クラスを5〜6歳と案内しています。実際に何歳から預かってもらえるかは、法令上の区分ではなく各園の案内で確認するのが確実です。
もうひとつ知っておくと安心なのが、インター系の学校は、この Tadika の枠組みとは別の位置づけにあることです。1996年教育法は、国際学校や駐在員学校を国の教育制度(国家教育制度)に含めないと定めています(同法第15条)。ただし制度の外にあるからといって無登録でよいわけではなく、同法第79条ですべての教育機関に登録が義務づけられています。「インターだから公的な管理の外」ではなく、「国の教育制度とは別枠で、教育省に登録されている」と理解しておくのが正確です。なお教育機関の登録を受け付けるのは教育省の登録官長(Registrar General)で、Taska を所管する社会福祉局とは窓口の系統が違います。
ご相談で多いのが「園の看板に Tadika と書いてあるけれど、英語で授業をしてくれるのか」という質問です。名称はあくまで法律上の区分なので、教育の言語やカリキュラムまでは決まりません。Tadika として登録されている園にも、英語中心の園、中国語中心の園、モンテッソーリなど独自の教育法を掲げる園が混在しています。看板の言葉ではなく、実際に園でどの言語が使われているかを見学で確かめてください。
インター系プリスクールは何歳から入れる?
結論として、3歳から受け入れる学校が多く見られます。実際に、Alice Smith School、Nexus International School、Mont'Kiara International School はいずれも公式サイトで3歳からの受け入れを案内しています。日本の幼稚園の年少にあたる年齢から、インター校の一員として通いはじめられるということです。
ややこしいのは学年の呼び方が学校ごとにばらばらなことです。英国式の学校では Nursery(ナーサリー)・Reception(レセプション)、IBのPYPを採る学校では EY1・EY2(Early Years=就学前の学年)、米国式では Pre-K、英国のEYFS(就学前の教育課程)にならう学校では EYFS1・EYFS2 といった具合に、同じくらいの年齢でも名前が違います。学校案内を並べて比べるときは、学年の名前ではなく「何歳の子が入る学年か」で揃えて見ると混乱しません。
もうひとつ確認が要るのが学年を決める基準日です。たとえば Alice Smith School は、8月31日時点の年齢で学年を決めると公式に明記しています。基準日は学校ごとに違うため、お子さんの誕生月によっては学校をまたぐと1学年ずれることがあります。日本の学年との対応の考え方はインターの学年(Year)と日本の学年の対応で詳しく整理しています。
※Nursery が3〜4歳、Reception が4〜5歳といった1学年ごとの年齢対応は、学校をまたいで一律に定めた公的な決まりが確認できていません。この記事では一般に用いられる目安として扱っています。志望校の入学ページで、学年ごとの受け入れ年齢と基準日を必ず個別に確認してください。
「早すぎないか」の判断材料|義務教育が始まるのは6歳から
就学前から入れることに迷いがある方に、判断材料をひとつ。マレーシアで義務教育とされているのは小学校の6年間で、就学前教育は義務ではありません。1996年教育法の第29A条は、その学年の1月1日時点で満6歳になる子どもを小学校に就学させる義務を保護者に課しており(違反にはRM5,000以下の罰金が定められています)、この義務の対象はマレーシア国民の親と規定されています。つまり外国籍のご家庭には直接及びません。
※2025年の教育法改正(Akta A1770・2025年10月28日官報公布)で中等教育も義務教育に加えられましたが、施行日は大臣の告示によるとされており、2026年8月時点ではまだ施行されていません。同改正では義務の対象も「親がマレーシア国民」から「子がマレーシア国民でマレーシアに居住していること」へ変わる予定です。いずれにせよ外国籍のお子さんに就学義務が及ばない点は変わりません。
ここから読み取れるのは、就学前の1〜3年間は制度上「必須ではない期間」であり、家庭の判断で自由に設計してよいということです。年少から通わせるご家庭もあれば、小学部の入学に合わせて渡航するご家庭もあります。どちらが正解ということはありません。入学のタイミングそのものをどう考えるかはマレーシアのインターは何歳・何年生で入れるべき?もあわせてご覧ください。
年間費用のリアル|授業料の外側にかかるお金
費用の話に入ります。まず各校が公式に公表している就学前学年の授業料の年額を並べます。2026年8月時点で各校のFee Schedule(費用表)に掲載されている金額です。
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| 学校 | 就学前の学年 | 授業料の年額 | 授業料とは別にかかる主な費用 |
|---|---|---|---|
| Alice Smith School | Pre-School | RM53,730 延長日利用 RM66,270 | 出願料RM1,500/入学金RM20,000(就学前の入学時にRM5,000、Year 1進級時に残りRM15,000)/保護者デポジットRM15,000 |
| Garden International School | Nursery/Reception | RM52,440/RM62,340 | 出願料RM1,590/登録料RM10,000/デポジット1学期分(RM17,480/RM20,780) |
| IGB International School | EY1/EY2 | RM50,800/RM59,300 | 出願料RM1,000/入学金RM10,000/デポジットRM10,000 |
| Nexus International School | Nursery/Reception | RM46,050/RM48,960 | 出願料RM1,300/登録料RM10,000(半日制はRM5,000)/デポジット1学期分 |
| Mont'Kiara International School 2025/2026年度版 | Pre-K3 | 1学期 RM17,555 2学期制=年RM35,110 | 出願料RM1,700/英語判定料RM1,200/Pre-K3・Pre-K4は入学金なし |
| Sri KDU International School (KD) | EYFS1/EYFS2 | 各RM25,200 | 出願料RM1,500/登録料RM8,000(マレーシア国籍はRM4,500)/デポジットRM5,000 |
この表から読み取ってほしいのは金額そのものより、「授業料の外側」に相当なお金がかかるという構造です。出願料はおおむねRM1,000〜1,700、入学金や登録料はRM8,000〜20,000の水準で、いずれも初年度に一度だけ発生します。つまり同じ学校でも、初年度は2年目以降より数十万円単位で負担が重くなります。学費だけを比べて「この学校なら通えそう」と判断すると、渡航直前に予算が合わなくなりかねません。
ただし入学金の払い方は学校によって違い、就学前の段階では負担が軽く設計されていることがあります。たとえば Alice Smith School は入学金RM20,000のうち、就学前に入るときはRM5,000だけを納め、残りのRM15,000はYear 1に上がるときに払う形を公式に案内しています。Mont'Kiara International School は Pre-K3・Pre-K4 について入学金を取らないと明記しています。「就学前から入ると初期費用が全部前倒しになる」とは限らないということです。
もうひとつ性質が違うのがデポジット(保証金)です。これは費用ではなく預け金で、条件を満たせば退学時に返金される扱いが一般的です。金額の決め方も学校によって違い、定額の学校もあれば授業料の1学期分に相当する額を預ける学校もあります。返金の条件(退学の何ヶ月前に通知が必要かなど)も学校ごとに決まっているので、支払う前に規定を確認しておくと安心です。
学費にかかるサービス税(SST)の考え方
教育サービスへのサービス税(SST)は、私立の幼稚園やプレイスクールも対象に含まれます。根拠となる規則の条文には、課税対象として「就学前教育(pre-school)」が明記されているためです。ただし就学前の学年に関しては、多くのご家庭が課税の対象にならずに済みます。仕組みを見ておきましょう。
課税の対象になるのは「1人の生徒・1学年度あたりの料金がRM60,000を超える」場合で、超えたときは超過分だけでなく対象料金の全額に6%が課されます。ここは誤解が多いところで、「RM60,000を超えた分にだけ6%」ではありません。上の表を見ると、就学前学年は授業料だけで見ればRM25,000〜53,730の学校が多く、その範囲であればしきい値に届きません。ただし初年度は入学金や登録料が上乗せされるため、それらを合算するとRM60,000に近づく学校もあります。一方で Garden International School の Reception(RM62,340)や Alice Smith School の延長日利用(RM66,270)のように、就学前でもRM60,000を超える学年・通い方は課税の対象になります。実際、Alice Smith School と Garden International School はいずれも「年間の料金がRM60,000を超える場合に6%のSSTがかかる」と公式に案内しています。
※判定に使う「料金」が授業料だけを指すのか、入学金なども含めた合計を指すのかは、規則の条文が "fees" とだけ書いていて限定しておらず、関税局の計算例にも授業料をもとに判定しているものがあります。ご自身のケースがしきい値を超えるかどうかは、志望校の請求内訳で確認するのが確実です。また学校側の登録手続きの進み具合によって、SSTを請求に反映する時期が学校ごとに違う場合もあります。
課税されるのは授業料・入学金・施設費・課外活動費など「教育に関わる料金」です。逆に教科書・制服・スクールバスなどの送迎・食費・寮費・PTA費・教育旅行費・学生パスやビザの費用、そして授業料の一部ではない返金可能なデポジットは対象外とされています。なお免除の規定はありますが、条件は「マレーシア国民であり、かつKad OKU(障害者手帳)を保持していること」の両方を満たすことなので、日本から来られるお子さんは対象になりません。学費全体の月額イメージはマレーシアの教育費は月いくら?で分解しています。
就学前の学年で見落とされがちなのが、授業料が「通う日数」で変わる学校があることです。週3日・週5日、午前のみ・午後まで、といった選択肢を用意している学校では、同じ学年でも家庭ごとに支払額が変わります。上の表の Alice Smith School に2種類の金額があるのも、通い方の違いによるものです。学校見学では「うちは週何日で考えている」と先に伝えて、その前提の見積もりを出してもらうと、学校間の比較がぶれません。
ビザ|帯同パスだけでは通えないことがある
ここが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。マレーシア入国管理局は、学生パスの対象を「3歳以上の外国籍の学生」とし、対象となる教育段階を就学前教育(pre-school)から高等教育までと案内しています。就学前の年齢も、制度上は学生パスの対象に入ります。対象となる学校の種別にも、インターナショナルスクール・駐在員学校・私立学校・中華系私立中等学校が明記されています。ただしインターナショナルスクールについては、教育省私立教育課の認可に加えて内務省(MOHA)から留学生の受け入れ認可を得ている学校であることが条件として書かれています。申請は学校の代表者、または親か法定後見人が提出する形です。
ただし——ここからが大切なところで、実務では「お子さんの年齢」ではなく「保護者がどのビザで滞在しているか」で手続きが分かれます。そしてもうひとつ、順番の話があります。The Alice Smith School は入学案内で「学生パスは単独では申請できない。両親のいずれかがマレーシア国民であるか、マレーシアに居住できる有効な長期ビザを持っている必要がある」と明記しています。つまり子どものビザは、保護者のビザが決まってから決まるということです。「まず子どもの学校を決めて、ビザは後から」という順番では進みません。
保護者が就労パス・MM2Hなどの長期ビザを持つ場合
- 扶養パス+就学許可の裏書
保護者がDE Rantau(ノマド)で滞在する場合
- 扶養パス+学生パス(学校経由)
▲ 保護者のビザ種別で、子どもの就学手続きが分かれます(2026年8月時点の入国管理局・MDEC・各校公式の案内にもとづく/ルシュエット作成)
就学許可の申請を誰が出すかも決まっています。The Alice Smith School の案内では、この裏書の申請は親の雇用主(MM2Hの場合は代行エージェント)が、学校の推薦状を添えて行うとされています。保護者ご自身が窓口に並ぶ話ではない一方、勤務先の協力が要るということでもあります。MM2Hで申請する場合、観光芸術文化省の案内では必要書類として学校からのオファーレターと入学金の支払い証明が挙げられ、処理期間の目安は14営業日とされています。
※就学許可の対象年齢そのものは政府の公式案内に明示がありません。学校側の規約では「18歳未満」と書かれているものがあり、MM2Hの扶養家族としての子は21歳未満(21〜34歳は無職かつ独身であることが条件)とされています。制度は改定されるため、お申し込みの直前に入国管理局・MDEC・志望校の三方で最新の条件をご確認ください。
もしお子さんが学生パスで通う場合、付き添う保護者は Guardian(後見人)としての Social Visit Pass を取得する形になります。入国管理局が公表している手数料は、学生パス本体がRM60、扶養家族・保護者向けのSocial Visit PassがRM90です。Guardianとして認められるのは実の親・法定後見人・養親・祖父母、そして7歳未満の兄弟姉妹です。このGuardianのパスでは、就労・事業・政治活動や講演が認められていません。マレーシアで働きながら子どもを通わせたいという場合は、そもそも保護者側のビザから設計し直す必要があります。ビザ全体の選択肢はマレーシア移住のビザの種類で比較しています。
手続きの窓口についても、誤解が広がっている点をひとつ。EMGS(Education Malaysia Global Services)が窓口になるのは、大学・私立高等教育機関・語学センターといった高等教育の段階です。初等・中等の学校はこの経路には入らず、学生パスは入国管理局が管轄します。実際、EMGSが公表している料金表の区分は公立大学・私立高等教育機関・語学センター・扶養パスの4つで、インターナショナルスクールという区分自体が存在しません。EMGSの料金表を見て「うちの子もこの金額がかかる」と身構える必要はありません。なお入国管理局は、学生パスの申請書類を提出できる人として「学校が指定した担当者、または親か法定後見人」を挙げています。つまり学校が代行してくれるとは限らず、保護者側で進める前提の学校もあります。ここは学校選びの段階で確認しておきたいところです。
※3歳未満のお子さんの通園については、入国管理局は「学生パスは3歳以上」と定めているだけで、それより下の年齢の扱いを公式に案内していません。ナーサリーやTaskaに預ける場合の在留の扱いは、園と入国管理局に個別に確認してください。
ビザで実際につまずくのは、制度の中身よりも「学校がどこまで手続きを代行してくれるか」が学校ごとにまったく違う点です。各校の公式案内を並べると、手配をまとめて引き受ける学校、提携エージェント経由で有料(数百リンギット規模の手数料を明示している学校もあります)で支援する学校、そして「当校は学生ビザのスポンサーにはならない」と明記している学校まで幅があります。さらに、扶養パスやMM2Hを持つご家庭は支援の対象外と費用表に書いている学校もあります。
だから学校見学では、学費と同じ熱量で「うちの家族構成とビザで、子どものパスはどう取ることになりますか。学校はどこまで手伝ってもらえますか」と聞いてみてください。この質問にすぐ答えられる学校は、外国籍のご家庭の受け入れに慣れている、というひとつの目安にもなります。どの学校でも共通しているのは、パスを有効に保つ最終的な責任は保護者側にあると規約に書かれていることです。
園選びで見るべき6つの基準
学費と知名度だけで決めると後から動きにくくなります。就学前の学年に限って言えば、優先順位は次の6つです。
小学部へそのまま上がれるか
就学前から入る最大の利点は内部進学です。小学部が併設されているか、上がるときに改めて審査があるかを最初に確認します。
通学時間と住まいの位置関係
就学前の年齢では、片道の通学時間がそのまま体力の負担になります。学校を先に絞り、住まいをそれに合わせるほうが後戻りが少なくて済みます。
先生1人あたりの人数と、英語サポートの体制
英語ゼロで入るなら、クラスの人数と補助の先生の有無が効きます。英語のサポート(EAL/ESL)に別途費用がかかるかもあわせて確認します。
下校時間と延長の有無
就学前の学年は昼過ぎに終わる学校が少なくありません。保護者の予定と合うか、延長保育や課外活動があるかは、生活の組み立てに直結します。
送迎手段と給食
スクールバスの対象エリア、給食かお弁当か、アレルギー対応の有無。毎日のことなので、見学のときに実物を見せてもらうのが確実です。
トイレの自立が条件になっていないか
3歳前後の入園で見落とされがちな条件です。ISKL は「すべての生徒はトイレが完全に自立していること」、Garden International School も「すべての生徒はトイレが自立していること」と公式に明記しています。一方で他校の公式サイトには言及がなく、扱いは学校によって分かれます。渡航の準備に直結するので、早い段階で確認しておくと安心です。
住むエリアから逆算したい場合はKLで住むエリアの選び方、生活全体の感覚はマレーシアの子育て環境が参考になります。
入園までの流れ
就学前の学年でも、進め方はインター校の入学とほぼ同じです。違いは、英語のテストではなく遊びや会話を通した様子見が中心になる点です。
候補を絞る(渡航の半年〜1年前)
受け入れ年齢・基準日・空き枠を確認します。就学前の学年は定員が小さく、人気校ほど早く埋まります。
学校見学・面談
教室の様子、先生と子どもの距離感、使われている言語を自分の目で見ます。通学時間の実測もこのときに。
出願・受け入れ判定
出願料を払って書類を提出します。就学前は筆記試験を課さず、親子での面談(Meet and Greet と呼ぶ学校もあります)や、遊びの様子・社会性の観察で見る学校があります。小学校の学年から筆記の審査に切り替わると明記している学校もあります。
入学金・デポジットの支払い
受け入れが決まったら、入学金・登録料・デポジットを納めて席を確保します。返金条件はここで確認します。
ビザ手続き
保護者のビザ種別に応じて、学生パスまたは就学許可の手続きに入ります。学校の受け入れレターが必要になる場合があります。
住まいを決めて渡航
学校が確定してから住まいを決めると、通学時間で失敗しません。
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よくある質問
マレーシアのインター系プリスクールは何歳から入れますか?
3歳から受け入れる学校が多く見られます。Alice Smith School、Nexus International School、Mont'Kiara International School などは、公式サイトで3歳からの受け入れを案内しています。ただし学年の呼び方(Nursery、Reception、EY1、Pre-K3、EYFS1 など)も、学年を決める基準日も学校ごとに違います。たとえば Alice Smith School は8月31日時点の年齢で学年を決めると公式に明記しています。何歳何ヶ月なら何年生になるのかは、志望校の入学ページで必ず個別に確認してください。
マレーシアの幼稚園に通うのに、子どものビザ(学生パス)は必要ですか?
マレーシア入国管理局は、学生パスの対象を3歳以上の外国籍の学生とし、対象となる教育段階を就学前教育(pre-school)から高等教育までと案内しています。つまり幼稚園の年齢も制度上は対象に入ります。ただし実務では、保護者がどのビザで滞在しているかで手続きが分かれます。保護者が就労パスやMM2Hなどの長期ビザを持つ場合、子どもは扶養パスで滞在し、学生パスではなくパスポートへの「Permit to Study(就学許可)」の裏書を取って通うのが一般的で、Garden International School や IGB International School が公式にそう案内しています。一方でDE Rantau(デジタルノマド向けパス)の場合は、MDECの公式FAQに「通学を希望する子どもは学校を通して学生パスを申請する」と明記されています。また学生パスは子ども単独では申請できず、保護者側のビザが前提になります。学校によって手続きの扱いも代行の範囲も異なるため、志望校と最新の公式情報の両方で確認してください。
インター系プリスクールの費用は年間いくらくらいですか?
2026年8月時点で各校が公式に公表している就学前学年の授業料の年額は、おおむねRM25,000〜RM66,000(RM1≒38.7円で約98万〜256万円)の幅に収まります。ただし授業料のほかに、出願料(RM1,000〜1,700程度)、入学金・登録料(RM8,000〜20,000程度)、返金されるデポジットなどが別にかかる学校が多く、初年度の負担は授業料だけを見た金額より大きくなります。金額は学校・学年・年度で変わるため、志望校の最新のFee Scheduleで確認してください。
英語がまったく話せなくても入園できますか?
就学前の学年は、筆記の英語テストで合否を決めるのではなく受け入れる学校が多い段階です。生活の中で英語に触れながら少しずつ慣れていく時期にあたるため、学年が上がってからの編入に比べると英語のハードルは低くなります。ただし面談や遊びの様子の観察は行われますし、受け入れ枠にも限りがあります。英語のサポート(EAL/ESL)の体制や費用の扱いも学校ごとに異なるため、英語力そのものより、受け入れ条件とサポート体制、空き枠の確認を優先するのが現実的です。
日系幼稚園とインター系プリスクール、どちらを選ぶべきですか?
帰国の予定と、その後どの学校へ進むかで変わります。数年で日本へ戻り日本の小学校に進む前提なら、日本語と生活習慣を保てる日系園が合うご家庭もあります。マレーシアでインター校へ進む前提なら、同じ学校の就学前学年から入って小学部へ内部進学できるインター系が、環境の変化が少なくて済みます。どちらが優れているかではなく、次にどこへ進むかから逆算するのが失敗の少ない決め方です。
主な参照元(2026年8月時点)
- 1984年保育施設法(Akta 308 / Child Care Centre Act 1984)第2条・第3条(1)(c)・第4条・第7条(1)(Taska=4歳未満の子を複数世帯から4人以上、報酬を受けて預かる施設/全Taskaに登録義務/申請先は社会福祉局長官=Ketua Pengarah Kebajikan Masyarakat/1996年教育法で登録された幼稚園・保育学校は適用除外)。マレーシア法務長官府 法令ポータル(lom.agc.gov.my)掲載の英語版・マレー語版(2011年12月1日時点の更新版)で確認
- 1996年教育法(Akta 550 / Education Act 1996)第2条・第15条・第20条・第29A条・第79条(就学前教育=4〜6歳向けプログラム/tadika=10人以上に就学前教育を提供する場所/無登録運営の禁止/国家教育制度に国際学校・駐在員学校を含まない/義務教育=その学年の1月1日時点で満6歳の子を小学校へ就学させる義務・対象はマレーシアに居住するマレーシア国民の親・違反はRM5,000以下の罰金/全教育機関の登録義務・申請先は登録官長)。法令ポータル(lom.agc.gov.my)掲載の2020年7月1日時点の更新版で確認
- 2025年教育(改正)法(Akta A1770・2025年10月28日官報公布)=中等教育を義務教育に追加(新第32A条)/就学義務の対象基準を「親がマレーシア国民」から「子がマレーシア国民でマレーシアに居住」へ変更。施行日は大臣の官報告示によるとされ、2026年8月時点で未施行
- マレーシア政府情報ポータル(malaysia.gov.my)早期児童教育カテゴリ(TASKA 2〜4歳/TADIKA 4〜6歳/TABIKA〈KEMAS〉4〜6歳/公立校の就学前クラス5〜6歳)。※法令が定めるのは「4歳未満を預かる施設はTaska」という線引きで、ポータルの年齢は運用上の目安
- マレーシア入国管理局(imi.gov.my)Student Pass ページ(学生パスは3歳以上の外国籍学生・就学前教育から高等教育まで/対象校にInternational Schools・Expatriate Schools・Private Schools・中華系私立中等学校〈SMPC〉を明記、インター校は内務省〈MOHA〉の留学生受け入れ認可が条件/申請は学校代表者・親・法定後見人/学生パスRM60・扶養家族/保護者のSocial Visit Pass RM90/Guardianの対象=実親・法定後見人・養親・祖父母・7歳未満の兄弟姉妹で、就労・事業・政治活動・講演は不可/高等教育のみSTARS・EMGS経由と書き分け)
- 観光芸術文化省(motac.gov.my)MM2H 公式ガイドおよび申請ガイドライン(Permission to Study〈Dependent〉=処理期間の目安14営業日・必要書類に学校のオファーレターと入学金の支払い証明/扶養家族としての子は21歳未満、21〜34歳は無職かつ独身が条件/就学は高等教育の段階まで)。※就学許可の対象年齢そのものは公式に明示なし
- MDEC 公式 DE Rantau Nomad Pass FAQ(V8)Q15(通学を希望する子どもは学校を通して学生パスを申請する/ホームスクールの場合は不要)
- Expatriate Services Division(esd.imi.gov.my)Dependant Pass ページ・MYXpats FAQ・ESD Guidebook v3.1(就労パス保持者の扶養=配偶者と18歳未満の子・18歳未満の養子)。※扶養パスの子が就学する際の手続きは、これらの政府側の現行資料には記載が見当たらず、本記事では下記の各校公式の案内にもとづいて記述している
- 各校公式のビザ・入学案内=Garden International School 入学申込書の規約(非マレーシア国籍の在籍条件は有効な Student Pass または Permit to Study の裏書/扶養パスとMM2Hパスを持つ18歳未満の子は Student Pass の申請は不要だが Permit to Study の裏書が必要/学生ビザが必要な場合は学校が当局への申請を担当するが、有効性の維持は保護者の責任)/The Alice Smith School Immigration ページ(学生パスは単独で申請できず、両親のいずれかがマレーシア国民か有効な長期ビザ保持者であること/Permission to Study のスタンプはMM2Hと扶養パスを補完するもので、申請は親の雇用主〈MM2Hは代行エージェント〉が学校の推薦状を添えて行う/DE Rantau 保持者の子は学生パスが必要/学生パスの申請・更新の責任は保護者にあり、学校の代行は有料)/IGB International School Student Pass & Visa ページ(扶養パスを持つ子=多くは駐在員家庭の子とMM2Hの帯同の子は International Student Pass を要しない/学校は提携エージェントを通じて支援)/ISKL 入学FAQ(当校は学生ビザのスポンサーにならない)/Nexus International School・Mont'Kiara International School の費用表(ビザ申請支援の手数料と、扶養パス・MM2H・就労パス・PVIP 保持者は支援の対象外である旨)
- EMGS(Education Malaysia Global Services)Schedule of Fees v1.6(料金区分は公立大学・私立高等教育機関・語学センター・扶養パスの4区分で、International School の区分は無い)
- 官報 P.U.(A) 172/2025(サービス税規則 第一附則 Group M。課税対象に "Provision of pre-school, primary school…" を明記/しきい値は "imposes fees exceeding RM60,000 per student for each academic year"/2025年7月1日施行)/P.U.(A) 173/2025(第一附則掲載サービスの税率は6%)/P.U.(A) 174/2025 第10項(免除は「マレーシア国民 かつ 有効な Kad OKU 保持者」の累積要件)/マレーシア関税局『Guide on Private Education Services』(2025年6月9日時点版。しきい値を超えた場合は超過分ではなく対象料金の全額に6%/対象に私立の幼稚園・プレイスクール・インター校・駐在員学校を明記)/Service Tax Policy No.4/2025(2025年7月1日施行。非課税=教科書・制服・飲食・送迎・寮費・PTA費・教育旅行費・学生パス/ビザ費用・授業料の一部ではない返金可能デポジット)およびその Amendment No.2(2025年10月17日公表・2025年7月1日から適用)。2026年3月の P.U.(A) 125/2026 でも教育サービスの税率6%は変更なし
- 各校公式のFee Schedule・入学ページ(2026年8月時点に公開されている最新版を確認)=The Alice Smith School(2026/2027年度。Early Years は3〜6歳、8月31日時点の年齢で学年を決定と明記)/Garden International School(2026/27年度)/IGB International School(2026/2027年度。Early Years は3〜6歳)/Nexus International School(2026/27年度。Early Years は3〜5歳)/Sri KDU International School (Kota Damansara)(2026/2027年度。EYFS は3〜5歳)/Mont'Kiara International School(2025/2026年度。Pre-K3 は3歳・1学年度は2学期制と明記)。※Sri KDU International School の費用表にはSSTに関する記載を確認できていない
- 就学前学年の入園条件・審査方法=ISKL「How to Apply」(全生徒がトイレの自立を求められる旨/就学前学年は筆記でなくオンライン質問票と動画の提出)/Garden International School「Application Process」(全生徒がトイレの自立を求められる旨/Early Years は親子でのMeet and Greet・年少の生徒は社会性の準備が鍵と明記、6歳6か月以上はオンラインの診断テスト)。※その他のKL圏の主要校の公式サイトにはトイレの自立に関する記載を確認できておらず、全体の傾向として一般化はしていない
- 為替は本記事の基準としてRM1≒38.7円で換算(マレーシア中央銀行BNM公表レートにもとづく2026年8月時点の目安)