ルシュエット|マレーシア留学・教育移住
送金・為替ガイド

マレーシアへの送金と為替|学費・生活費の送り方を現地スタッフが解説【2026年】

学費はいくら送ればいいのか、手数料と為替でどれだけ目減りするのか。マレーシアへお金を送るときにご家庭が必ずつまずくポイントを、公式情報と現地の実務から順番に整理します。

結論から言うと、マレーシアへのお金は「学費」と「生活費」で送り方を分けるのが基本です。学費は金額が大きく、学校が支払い方法を指定していることが多いので、まず学校の指定に従います。生活費は少額を毎月送る形なので、手数料の安いオンライン送金と現地口座・カードを組み合わせます。

「Wiseが安い」「銀行が確実」という一般論だけで準備すると、学校の指定外の方法で送って未納扱いになる/現地口座が開くまでの数か月を想定していなかった/メインバンクがそもそもリンギットを扱っていなかった、というつまずき方をします。この記事では、学校7校の公式ページを実際に確認した結果と、手数料の実額・為替の動き・日本側の税務まで、2026年8月時点の公式情報をもとにお伝えします。

結論:学費と生活費で送り方を分ける

送金でいちばん多い失敗は、すべてを一つの方法でまとめようとすることです。学費と生活費は、金額も頻度も受取先もまったく違います。

学費は年に1〜3回の大口で、受取先は学校です。学校が決済サービスや指定口座を案内していることが多く、指定外の方法で送ると入金の確認ができません。安さより先に、学校の指定を確認してください。

ここは一般的な「海外送金の比較」では出てこない部分です。マレーシアの学校は多くの場合、海外からの支払い専用の窓口を別に用意しています。次の章で、実際にどのサービスが使われているかを公式ページで確かめた結果をお見せします。

生活費は毎月の小口で、受取先はお子さんかご自身です。ここは手数料と為替の上乗せが効いてくるので、オンライン送金サービスと現地口座・カードの組み合わせが現実的になります。

現地からのリアル

ご相談でよくあるのが、「学費を安く送りたくて調べていたら、締切に間に合わなくなった」というケースです。学校の請求書には支払い方法と締切が書かれているので、まずそこを読むところから始めていただくと迷いません。

もう一つ多いのが、送金は済んでいるのに学校側で「未納」のままになっている状態です。受取口座名義や振込人名義が請求書と違うと、学校の経理で消し込みができないことがあります。送金後の控えは、学校とのやり取り用に必ず残しておいてください。

学費はリンギット建て。為替差と手数料は誰が負担するのか

マレーシアの学校の請求は、原則としてマレーシアリンギット(RM)建てです。つまり円でいくらかかるかは、支払う日の為替次第で変わります

ここで見落とされやすいのが、負担の所在です。テイラーズ大学は支払い方法のページで、学費はリンギット建てであり、両替で生じた不足分と銀行手数料は学生が負担すると明記しています。多く届いた分は過払いとして次回以降に反映されるとも書かれています。つまり足りないときはご家庭の持ち出しになる仕組みです。

ただし「多めに送っておけば安心」とも言い切れません。同じページには、過払い分を返金してもらう場合にRM200の事務手数料がかかると書かれています(学費の調整など正当な理由による返金は無料)。多めに送るなら、返金ではなく次期の学費に充てる前提で考えておくのが無駄がありません。

為替がどれくらい効くのかは、掛け算で考えるとすぐにわかります。1リンギットが1円動くだけで、RM40,000の学費なら支払額は4万円変わります。大口の支払いでは「レートの上振れ分」を見込んで少し多めに送るのが実務的です。

実際、1か月の中でもレートは動きます。マレーシア中央銀行(Bank Negara Malaysia)が公表している参照レートを2026年8月の営業日で見ると、1リンギットは38.3円(8月3日)から39.7円(8月28日)の範囲で動き、月を通じて円安方向に進みました。同じRM40,000の学費でも、8月頭に送れば約153万円、8月末なら約159万円で、送る時期が1か月違うだけで5万円以上の差がついた計算になります

ここで示したのは仲値にあたる数字で、金融機関が実際に使う対顧客レートには、ここへさらに手数料が上乗せされます。ご自身の支払いのときは、必ずその時点のレートを各社の画面でご確認ください。

※本記事の円換算はすべて概算です。マレーシアの学費・生活費はリンギット建てが正であり、円の金額は目安としてお読みください。

学費は「学校の指定窓口」から払う|7校を調べた結果

結論からお伝えすると、マレーシアの学校の多くは、海外からの学費支払いにFlywire(フライワイヤー)という国際学費決済サービスを使っています。これは学校ごとに専用の支払いページが用意される仕組みで、送金がどの学校のどの生徒宛てなのかが自動でひも付きます。

編集部で、マレーシアの主なインターナショナルスクールと大学あわせて7校の公式ページを実際に確認しました。5校が公式ページでFlywireを支払い方法として案内し、2校は電信送金など別の方法のみでした

学校公式ページでの海外送金の案内
Taylor's UniversityFlywire(専用ページあり)/電信送金 ほか
University of Nottingham MalaysiaFlywire/電信送金 ほか
The Alice Smith SchoolFlywire/小切手・電信送金・JomPay
IGB International SchoolFlywire(マレーシア国内からの支払いには使えない旨の注記あり)
Nexus International School MalaysiaFlywire(海外送金の枠として独立表示)
Sunway UniversityFlywireの記載なし。電信送金・JomPAY・自社決済ページ
Sri KDU International SchoolFlywireの記載なし。電信送金・口座引落・カード・小切手

※2026年8月30日に各校の公式サイト(Fees/Payment ページ)で確認した内容です。学校名は編集部が確認できた範囲の例示で、優劣を示すものではありません。支払い方法は学校の都合で変わるため、実際のお支払いの際は必ずお通いの学校の最新の案内をご確認ください。

なお、日本語のネット記事でよく名前が挙がるConvera(旧Western Union Business Solutions)は、今回調べた7校のマレーシア校では1校も確認できませんでした。検索で出てくるConveraの資料はモナッシュ大学の「オーストラリア本校」のもので、マレーシア校とは別です。同じ大学名でも、キャンパスが違えば支払い窓口も違います。もちろん今回の7校以外ではConveraなど別のサービスを指定している学校もあり得ますので、お通いの学校の案内を基準にしてください。

Flywireのような指定サービスを使うメリットは、安さよりも「未納扱いになりにくい」ことです。学校のポータルから手続きするため、受取口座名義や参照番号の書き間違いが起きません。学費のように締切のある支払いでは、この確実さが効きます。

逆に言えば、指定サービス=いちばん安い、とは限りません。この種のサービスは支払い通貨や支払い方法を選べることが多く、選んだ内容によって適用レートも手数料も変わります。手続きを確定する前に、画面に出る「最終的にいくら払うのか」と「学校にいくら届くのか」の2つを必ずご確認ください。

指定サービスがない学校は、電信送金(Telegraphic Transfer)で受けています。この場合は時間がかかる前提で動いてください。サンウェイ大学は着金まで最大14営業日、ノッティンガム大学マレーシア校は平均2週間と公式に案内しています。締切の直前に送ると間に合いません。

現地からのリアル

「振込は済ませたのに、学校から督促が届いた」というご相談は、ほとんどがこの着金の遅れか、名義の不一致で起きています。電信送金の場合は、締切から逆算して2週間以上の余裕をみておくと安心です。

ノッティンガム大学マレーシア校は、公式の案内の中で両替商(money changer)経由での支払いは推奨しないと明記しています。レートが良く見えても、学校側で入金の確認が取れない形は避けてください。

送金手段を比べる(手数料の実額)

手数料は「送金手数料」「為替の上乗せ」「中継銀行・受取銀行の手数料」の3層でかかります。表に出ている手数料だけを比べても、実際の目減りはわかりません。

まず、公表されている送金手数料を並べます。いずれも2026年8月時点の各社公式サイトの表示です。

送り方送金1回あたりの手数料(公表値)
Wise(20万円をリンギットで送る場合)Wise残高から 1,581円/銀行振込 1,670円/カード払い 8,000円前後
楽天銀行送金手数料 750円+中継銀行手数料 1,000円(送金人負担を選んだ場合)。円を送る場合は円貨送金手数料 3,000円
SMBC信託銀行 PRESTIAインターネットバンキング 3,500円/件・窓口 7,000円/件。顧客ステータスにより2,000円や無料になる区分もあり、経由銀行の手数料が別途かかる場合があります
三菱UFJ銀行ネットバンキングは他行宛 3,000円(同行の在外支店・現地法人宛は2,500円)・店頭 7,000円+外貨取扱手数料 送金額の0.050%(最低2,500円)。窓口で支払銀行手数料を送金人負担にすると+3,000円

※各社公式サイトの表示(2026年8月30日に確認。SMBC信託銀行のページは「2024年10月」掲載の料金表)。三菱UFJダイレクトは受取人負担のみの取り扱いのため、送金人負担の+3,000円は店頭など窓口経由に限られます。同行は2026年10月1日と12月14日に手数料を改定すると告知していますが、これは同行で送金を受け取る側(被仕向送金)の改定です。手数料は改定されるため、送金の直前に必ず最新の料金表をご確認ください。

同じWiseでも、支払い方法をカードにするだけで手数料は5倍前後になります。カード払いの表示額はカードの種別によっても変わります。「どのサービスを使うか」より「どう支払うか」で金額が変わるのが、この分野の実情です。

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比較項目オンライン送金
(Wise等)
銀行の海外送金日本のカードで
現地ATM出金
小口(毎月の生活費)◎ 向く△ 手数料負け○ 少額なら
大口(学費)○ 学校の指定次第◎ 指定されやすい△ 不向き
着金までの時間◎ 当日〜数日○ 数営業日◎ 即時
現地口座が要るか○ 受取に必要○ 受取に必要◎ 不要
渡航直後に使えるか△ 口座待ち△ 口座待ち◎ すぐ使える
金額の上限○ 保有残高に上限◎ 大口向き△ 1日の出金上限
◎ 向いている○ 条件つき△ 不向き・注意
▲ 用途別の向き不向き。生活費はオンライン送金、学費は学校の指定、渡航直後はカードという住み分けになります。※評価は編集部の目安で、学校・金融機関により条件は異なります(ルシュエット作成)

いちばんの落とし穴は「リンギットを扱っていない銀行がある」こと

手数料を比べる前に確認していただきたいのが、取扱通貨です。日本の銀行なら、どこでもリンギットを送れるわけではありません。

三菱UFJ銀行が公表している個人向け外国送金の取扱通貨は12通貨で、その中にマレーシアリンギットは入っていません。ソニー銀行の対円の取扱通貨12種、SMBC信託銀行PRESTIAの海外送金の取扱通貨17種にも含まれていません。一方で楽天銀行は、取扱通貨一覧(2026年8月17日現在で67通貨)にマレーシアリンギットを掲載しています。

PayPay銀行は、外国への送金・外国からの送金を同行のサービスとしては取り扱っていないと公式FAQで案内しています。提携サービスのPayForexを通じた海外への送金は可能ですが、海外からの受け取りはできないと注記されています。

サービス自体が終了することもあります。SBI新生銀行は、自行の海外送金サービス「Goレミット」を2025年10月20日をもって終了したと公表しています。「前に調べたときは使えた」が通用しない領域だとお考えください。

取扱通貨がない銀行でも、円建てや米ドル建てで送ること自体はできる場合があります。ただし受取側で両替が発生し、レートと手数料の条件が読みにくくなります。メインバンクがリンギットを扱っているかは、口座を決める前に確認しておくと安心です。

上限にも注意が必要です。Wiseの日本居住者向けヘルプでは、アカウント内に保有できる残高は全通貨合計100万円が初期設定とされています。チャージや出金は1回あたり最大100万円という別の制限もあります。

この上限は最大2,000万円まで引き上げられますが、引き上げは「Wiseで利用される資金」に限られ、期間も最長6か月です。選んだ期間を過ぎると保有限度額は自動的に100万円へ戻り、申請の時点で残高が100万円以下である必要もあるとされています。超過した状態が続くと、30日以内の引き出しなどの対応を求められます。

つまり「為替の良いときに学費を送っておいて、Wiseに置いたまま支払いの時期を待つ」という使い方は想定されていません。送金サービスはあくまで送るための仕組みで、資金を置いておく場所ではない、と考えておくと安全です。

なお、日本のクレジットカードを現地で使う場合も為替に手数料が乗ります。JCBは公式FAQで、海外利用時は基準レートに1.6%を加えた換算レートで日本円に換算すると案内しています。ただしこの1.6%は国際ブランドとしてのJCBの数字で、実際にご家庭が負担する海外事務手数料はカード発行会社によって異なります。楽天カードは2024年4月1日から、全ブランドで2.20%(税込)に改定したと公表しています。カード払いは「手数料ゼロ」ではありません。お手元のカードの率は、カード裏面の発行会社の案内でご確認ください。

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現地口座が使えるまでの「2〜3か月の空白期間」

ここが、送金の記事でほとんど触れられていない一番の実務ポイントです。渡航してすぐには現地の銀行口座は作れません。

ノッティンガム大学マレーシア校は、留学生の口座開設について「学生パスがパスポートにエンドースされ、パスポートが返却されてから」と案内しています。必要書類の例としては、エンドース済みの学生パスが入ったパスポート原本、大学の学生支援窓口が発行する口座開設用レター、入学許可書、EMGSの承認レター、移民局発行のe-VALなどが挙げられています。初回の預入額は銀行によりおよそRM250〜300とされています。

なぜ待つ必要があるのか。留学生の口座開設には、マレーシア政府系機関のEMGS(Education Malaysia Global Services)が発行する銀行提出用の証明書が要るためです。EMGSはこの証明書を「移民局が学生パスを承認したことを示すもの」と説明しており、2021年10月15日以降、学生の依頼にもとづいて在籍校がシステムから出力できるとしています。つまり学生パスが下りるまで、書類がそろわない仕組みです。

では、その空白期間はどれくらいなのか。同大学は学生パスのエンドースにパスポート提出から14〜21営業日ほどかかるとし、そのうえで「エンドースと口座開設を待つあいだ、およそ2〜3か月は海外のカードや手持ち資金で生活する想定で準備してください」と明記しています。渡航してすぐではなく、数か月単位の話だとお考えください。

この数字は、渡航前の資金計画にそのまま効いてきます。住まいのデポジット、初期の家具や生活用品、最初の学費——これらが現地口座なしの状態で発生することになります。

現地からのリアル

渡航直後のご家庭からいただく連絡で多いのが、「思っていたより現金が必要だった」というものです。日本のカードには1日あたりの利用枠・出金枠があるため、まとまった支払いが続くと枠に当たります。渡航前にカード会社へ枠の確認をしておくと、現地で慌てずに済みます。

お子さんが未成年の場合は、口座の形そのものが変わることがあります。ノッティンガム大学マレーシア校は、18歳未満にはデビットカードが発行されず、通帳型の普通預金口座になる場合があると案内しています。オンラインでの取引ができないこともあるため、その場合は窓口での現金の出し入れが前提になります。

保護者の方の口座は「作れるか」ではなく「どの口座か」の話

保護者の方ご自身の名義については、先に前提を1つ押さえてください。マレーシアの永住権を持たない外国人は、滞在が何年になっても制度上は「非居住者(Non-Resident)」として扱われます。マレーシア中央銀行の外国為替政策通達(2024年11月15日版)に、居住者・非居住者の定義としてそう書かれています。

非居住者が開けるのは、リンギット建ての「External Account(外部口座)」という種別です。中央銀行は非居住者がこの口座を開設・維持することを認めており、入出金についても取引の目的が政策通達に沿っていることを書類で示せれば認められるとしています。つまり論点は「口座を作れるか」ではなく、「どの種別の口座になり、どんな制限が付くか」です。

ここで身構える必要はありません。中央銀行は非居住者について、外貨での受け払いや、マレーシアから資金を国外へ戻すことを認めています。家賃の支払い、デビットカードでの買い物、ATMでの引き出しといった日常の範囲で困る仕組みにはなっていません。「送金が規制で止まる」という心配は、まずしなくて大丈夫です。

実際、パブリック銀行の普通預金の約款には、非居住者は外部口座を開設でき、居住者口座は持てないと明記されています。同行のベーシック普通預金のように、マレーシア国籍者と永住権保有者に対象を限っている商品もあります。

そのうえで、お子さんの学生パスに帯同する保護者名義の口座については、「開設できる」と明記した銀行の公式ページを、私たちは確認できていません。CIMB銀行は必要書類の一覧に帯同家族向けのパスの区分を設けていますが、学生パス保持者の保護者向けパスを名指しした記載はありません。可否は銀行と支店の運用によるため、渡航前に口座を開きたい銀行へ直接ご確認ください。

書類の有効期限にも注意が必要です。CIMB銀行は外国人の口座開設にあたり、パスポートも各種パスも残存有効期間6か月以上を求めています。パブリック銀行の約款には、入国管理関係の書類が失効した場合、翌日から予告なく口座に制限をかけることがあると書かれています。パスの更新が遅れると、口座が使えなくなることがあるとお考えください。銀行ごとの条件と必要書類はマレーシア銀行口座の開設方法で詳しくまとめています。

日本側で手続きが止まらないために

結論として、日本から海外へ送金するときは「本人確認」と「送金目的の申告」が必ず求められます。ここで慌てると、締切のある学費の支払いが止まります。

犯罪収益移転防止法の改正により、2013年4月1日以降、金融機関は外国送金の際に氏名・住所・生年月日に加えて職業と取引を行う目的を確認することになっています。顔写真付きの本人確認書類なども必要です。学費であれば学校の請求書、生活費であれば送金先との関係がわかるものを手元に用意しておくと、やり取りが早く済みます。

もう一つ知っておきたいのが「国外送金等調書」です。国外送金等調書法(内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律)にもとづき、1回の送金ごとの金額が100万円を超える場合、金融機関から税務署へ送金者・受取人の氏名や住所、取引金額を記載した調書が提出される仕組みになっています。年間の合計額ではなく、1回ごとの金額で判定されます。

これは記録が共有されるという制度であって、送金が違法になるという話ではありません。調書を出すのは金融機関で、ご家庭が何か手続きをするわけでもありません。学費や生活費という正当な目的であれば、そのまま申告して問題ありません。金額を分けて調書を避けるような対応は、かえって説明が必要になるためおすすめできません。

もう一段上の金額には、別の報告制度があります。外為法にもとづく「支払又は支払の受領に関する報告書」で、こちらは1回あたりの金額が3,000万円相当額を超える場合に必要になります。日本銀行と財務省がそう案内しています。留学の学費・生活費の金額であれば、まず該当しません。

現金を持ち込む場合は、マレーシア側にも決まりがあります。マレーシア中央銀行は、入出国時に1万米ドル相当額を超える現金を持ち込む・持ち出す場合、税関への申告(Customs Form 22)が必要だと告知しています(2010年1月1日以降)。申告しなかった場合や虚偽申告の場合の罰則も定められています。学費を現金で運ぶのは、金額の面でも紛失リスクの面でも現実的ではありません。なお、この告知は2010年時点のものですので、渡航前に税関の最新情報をご確認ください。

仕送りに贈与税はかかるのか

※この章は日本の国税庁が公表している一般的な取り扱いをご紹介するものです。ご家庭ごとの税務判断を保証するものではありません。実際の送金計画にあたっては、必ず所轄の税務署または税理士にご相談ください。

先に結論をお伝えすると、親からお子さんへの学費・生活費の仕送りは、条件を満たせば贈与税がかからないとされています。ただし条件があります。

国税庁のタックスアンサーNo.4405(令和7年4月1日現在法令等)では、扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で通常必要と認められるものは贈与税の対象にならないとされています。ここでいう扶養義務者には、親子や夫婦、兄弟姉妹などが含まれます。

問題はその後の一文です。非課税になるのは「生活費や教育費として必要な都度、直接これらに充てるためのもの」に限られると明記されています。受け取った資金を預金したり、株式や不動産などの買入資金に充てたりした場合には贈与税がかかるとされています。

教育移住のご家庭でありがちなのが、為替が有利なタイミングで数年分をまとめて送り、現地の口座に置いておくという形です。これは「必要な都度」から外れる可能性があります。まとまった額を先に送りたい場合は、事前に税務署か税理士にご確認ください。本記事は制度の概要をお伝えするもので、個別のご家庭の判断を保証するものではありません。

あわせて、「実際に学費と生活費に充てた」と後から示せる状態にしておくことをおすすめします。学校の請求書と領収書、住まいの賃貸契約書、送金の控えを、日本側とマレーシア側の両方で残しておく。手間はかかりますが、あとから経緯を説明する必要が出たときに、これがそのまま答えになります。

受け取る側であるマレーシアについては、贈与税・相続税は課されていないとされています(税務専門機関の各国税制まとめによる)。ただしこれは二次情報にもとづく整理のため、ご心配な場合はマレーシア側の税務専門家にご確認ください。移住後の税金全般はマレーシア移住の税金・年金・保険で扱っています。

渡航前後の流れ(5ステップ)

ここまでの内容を、実際に動く順番に並べ直します。ご家庭が迷いやすいのは順番であって、個々の手段ではありません。

  1. 渡航前|学校の請求書で支払い方法を確認する

    受取口座名義・支払い方法・締切を先に押さえます。指定の決済サービスがあるかどうかがここで決まります。

  2. 渡航前|日本側の口座とカードを整える

    リンギットを扱えるか、送金手数料と上限はどうか、ネットバンキングで送金できるかを確認しておきます。

  3. 渡航直後|カードと現金で立ち上げる

    現地口座がまだ作れない期間です。デポジットや生活用品の出費を見込んで、手持ち資金とカードの利用枠を準備します。

  4. 学生パスのエンドース後|現地口座を開く

    パスポートが返却されてからの手続きです。必要書類は学校の留学生窓口で最新の案内を受け取ります。

  5. 開設後|生活費は毎月の少額送金に切り替える

    手数料の安い方法で毎月送る形に移行します。大口の学費は引き続き学校の指定に従います。

学校選びから、お金の段取りまで一緒に

学費の支払い時期・口座開設のタイミング・渡航直後に必要な資金まで、
現地スタッフがご家庭の状況にあわせて整理します。

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よくある質問

マレーシアへの送金で手数料がいちばん安いのはどの方法ですか?

金額と急ぎ具合で変わりますが、生活費のような小口では、Wiseなどのオンライン送金サービスが銀行の窓口送金より安く済むことが多いです。Wiseの公式試算では、20万円をマレーシアリンギットで送る場合の手数料はWise残高からの支払いで1,581円、銀行振込で1,670円、カード払いだと8,000円前後と、支払い方法だけで5倍前後の差が出ます(2026年8月30日時点。カードの種別により表示額は変わります)。ただし学費は学校が支払い方法を指定していることがあるため、安さより先に学校の指定を確認してください。

学費はWiseなどのオンライン送金で払えますか?

学校によって異なります。編集部でマレーシアの主なインターナショナルスクール・大学7校の公式ページを確認したところ、5校が国際学費決済サービスのFlywire(フライワイヤー)を案内し、2校は学校名義の口座への電信送金(Telegraphic Transfer)などのみでした(2026年8月30日時点)。学校が指定した方法以外で送ると、入金の消し込みができず「未納扱い」になることがあります。必ず学校の請求書(インボイス)または経理窓口で、受取口座名義・支払い方法・締切を先に確認してください。

100万円を超える海外送金をすると税務署から連絡が来ますか?

1回の送金ごとの金額が100万円を超える場合、金融機関から税務署へ「国外送金等調書」が提出される仕組みになっています。年間の合計額ではなく1回ごとの金額で判定され、この金額は政令で定められています。これは送金の記録が共有される制度であって、送金そのものが違法になるわけではありません。学費・生活費という正当な目的であれば問題ありませんので、送金目的を正しく申告し、学校の請求書などの資料を手元に残しておいてください。なお、調書を避けるために金額を分割するような対応はおすすめできません。

子どもへの仕送りに贈与税はかかりますか?

国税庁のタックスアンサーNo.4405では、扶養義務者から生活費や教育費に充てるために受け取った財産で通常必要と認められるものは、贈与税がかからないとされています。ただしこれは「必要な都度、直接これらに充てるためのもの」に限られ、受け取った資金を現地で預金したり株式や不動産の購入に充てたりした場合には贈与税がかかるとされています。数年分をまとめて送って現地に置いておく形は注意が必要です。ご家庭ごとの判断は税務署または税理士にご確認ください。

現地の銀行口座がないと生活費は送れませんか?

渡航直後は現地口座がまだ作れないことが多いため、日本のクレジットカード・デビットカードでの決済と現地ATMでの現金引き出しでしのぐご家庭が一般的です。留学生の現地口座は、学生パスがパスポートにエンドースされてパスポートが返却されてから開設する流れが多く、渡航から開設までに時間差が生まれます。この空白期間の分を見込んで、渡航時の手持ち資金とカードの利用枠を準備しておくと安心です。

主な参照元(公式・一次情報)

※金額・手数料・制度はいずれも2026年8月時点で各公式サイトを確認した内容です。手数料や制度は改定されるため、実際のお手続きの際は必ず最新の公式情報をご確認ください。

本記事に記載した費用・制度・学校情報は、2026年8月時点に公開されている情報にもとづく目安です。為替はRM1≒38.7円で換算しています。制度や料金は改定されることがあるため、お申し込みの前に各公式サイト、または当社までご確認ください。