ルシュエット|マレーシア留学・教育移住
教育移住・親子留学ガイド

マレーシア留学と日本の勉強の両立|教科書・通信教育・算数【2026年版】

英語のために来たはずなのに、日本の勉強が止まっていく——。マレーシアに渡ったご家庭がいちばん早くぶつかるのが、この不安です。何をどこまで続けるのかを、日本の学校が使っている時間を手がかりに整理します。

結論から言うと、最初に決めるべきなのは教材ではなく「どの教科を守るか」です。日本の小学校は国語と算数だけで週9時間前後を使っています。同じ量をご家庭で再現することはできません。この記事では、無償で受け取れる日本の教科書の申請先、通信教育を海外で使うときの確認点、そして算数を先に守る理由を、公的な情報をもとに順に整理します。

結論:全教科は追えない。守る順番を先に決める

インターナショナルスクールに通いながら日本の全教科を並走させるのは、時間の面で現実的ではありません。最初に決めるのは守る教科の順番です。おすすめは算数と漢字を軸に置き、理科・社会は帰国が見えてから巻き返す形です。

根拠は日本の学校が使っている時間の量です。小学3・4年生の場合、国語245単位時間と算数175単位時間で年間420単位時間。年間35週で割ると週12コマになり、1コマ45分ですから12×45分で540分、つまり週9時間に相当します。

一方でご家庭が確保できる時間は限られます。現地校から帰ってきて宿題を終えたあと、日本の学習に回せるのは平日30分前後というご家庭が多くあります。週末を足しても週3〜5時間で、日本の学校の半分にも届きません。

ここで「全部やろう」と決めてしまうと、早ければ数週間で計画が止まってしまうケースが多くあります。だから最初に後回しにする教科を決めておくほうが、結果として多く残ります。積み上げが必要な算数と、毎日の蓄積が効く漢字は後から巻きにくく、逆に理科・社会は帰国が決まってから集中的に進めやすい教科です。

なお、マレーシアに暮らす日本人は2024年10月1日現在で20,025人と報告されています(うち永住者2,009人)。同じ悩みを抱えたご家庭が周囲にいる規模だということも、判断のときに覚えておいてください。

「英語も日本語も中途半端になる」という不安について

渡航前のご相談でほぼ必ず出るのが、この不安です。最初に切り分けておくと考えやすくなります。

中途半端になりやすいのは、日本語の会話そのものより日本語で読んで考える力のほうです。家庭での会話は日本語が続きますし、英語は現地校が毎日引き上げてくれます。誰も動かしてくれないのが、日本語の抽象的な語彙と、まとまった文章を読む量です。

ですから守るべきなのは「日本語を話す時間」ではなく「日本語を読む量」だと考えてください。漫画でも図鑑でもかまいません。日本語の文章を毎日目にする状態が切れないことが、教科の学力を支えます。

ただし言語の伸び方は、お子様の年齢・滞在期間・ご家庭の言語環境によって大きく変わります。子どもの英語がどこまで伸びるかは別の記事で整理していますので、あわせてご覧ください。

現地からのリアル

ご相談でいちばん多いのは「気づいたら1年分たまっていた」という状態です。渡航直後は気持ちに余裕があるので、学年相当の教材を全教科そろえてしまいがちなんです。

そして現地校の宿題と英語の負荷が本格化する2〜3か月目に、まとめて止まります。逆に、最初から量を半分に減らしたご家庭のほうが1年後に残っている——これは繰り返し見てきた傾向です。

日本の教科書は無償で受け取れる(窓口は在外公館)

日本の教科書は、日本国籍があり海外に1年以上滞在するお子様を対象に、現地を管轄する在外公館(大使館・総領事館)を通じて無償で給与されます。ここを知らずに、現地で割高な並行輸入品を買ってしまうご家庭があります。

条件は3つです。日本国籍があること、海外に1年以上滞在すること、そして日本の教科書を必要とすること。海外子女教育振興財団(JOES)が案内しているこの3点が基本になります。1年未満の滞在予定では対象にならない点にご注意ください。

申請するのは学校ではなく在外公館

間違えやすいのが申請先です。海外に滞在している間の窓口は在外公館で、財団に直接申し込む形ではありません。在外公館とは、海外に置かれている日本の大使館・総領事館のことです。

配付は年2回で、出国前に日本で受け取る「出国前配付」と、現地で受け取る「在外配付」に分かれます。申請の時期や方法は公館ごとに異なるため、渡航先が決まった時点で所管の公館の案内をご確認ください。マレーシアはお住まいの州によって所管の公館が変わります。

時期を逃した場合や、あとから必要になった場合は「教科書追加送付申請」という形で受け取ることもできます。ただし教科書そのものは無償でも、送料と梱包手数料は自己負担です。ここは見落とされがちな実費です。

マレーシアでは「在留届」が配布の条件になっている

マレーシアにはもうひとつ前提があります。在マレーシア日本国大使館は教科書の無償配布の案内で、対象を日本国籍があり、現地校やインターナショナルスクールに在籍(または入学予定)もしくは自宅学習をして当地に長期滞在している、いずれ日本に帰国する子女で、かつ大使館に在留届を提出済みの方としています。

ここで押さえておきたいのは、インターナショナルスクールに通うお子様もはっきり対象に含まれていることです。日本人学校に通っていないと教科書はもらえない、と思い込んでいるご家庭がありますが、そうではありません。

在留届は旅券法第16条にもとづく届出で、外国に住所や居所を定めて3か月以上滞在する場合は提出が義務づけられています。オンラインでも提出できます。大使館の案内では在留届の提出済みであることが配布の対象条件に入っているため、出していないと教科書を受け取れません。渡航したら早めに済ませてください。申し込みの時期が来てから慌てると、その回の配布に間に合わないことがあります。

※配布の対象条件・申込時期・必要書類は公館ごとに異なり、年度によって変わることもあります。上記は在マレーシア日本国大使館が案内している内容です。お手続きの前に、必ず所管の公館の最新の案内でご確認ください。

どの学年ぶんを申請するかは「日本にいたら何年生か」で決める

申請でつまずくのが学年の指定です。判断の基準は、現地校での在籍学年ではなく日本にいたら何年生かです。

インター校は学年の数え方も新年度が始まる月も日本と違います。現地の学年表記をそのまま当てはめると、日本の学年と1学年ずれてしまうことがあります。日本の学校は4月に新年度が始まり、同じ学年になるのは4月2日から翌年4月1日までに生まれたお子様です。この区切りで考えると迷いません。

ずれの幅も知っておくと計画が立てやすくなります。クアラルンプール周辺の主なインター校は、公式カレンダーを見ると8月に新年度が始まり、翌年6月に終わる編成です(アリス・スミス校、モントキアラ・インターナショナルスクール、ISKLの各公式ページで確認)。日本の4月始まりとは4か月ずれることになります。

つまり現地校で学年が上がった直後の8月に、日本の教科書はまだ前の学年の後半、という状態が毎年起こります。教科書の学年は現地の進級に合わせて繰り上げないでください。

なお教科によっては上下巻に分かれていて、年度の途中で使う本が変わります。届いた時点で、学年と巻が合っているかを一度ご確認ください。

教科書だけでは家庭学習は進まない

もうひとつ、先に知っておいていただきたいことがあります。教科書は授業とセットで作られているため、それだけを渡しても家庭では進みません。

教科書には問題の量が足りず、解答も付いていません。説明も、先生が口で補う前提で書かれています。ですから家庭で使うなら、教科書準拠のワークや通信教育と組み合わせるのが前提になります。

それでも教科書を取り寄せる価値があるのは、日本の学校がどの順番で何を教えているかが分かるからです。進度の地図として持っておくと、帰国のときに「どこが抜けているか」をご自身で確認できます。

現地からのリアル

教科書が届いたあと、本棚に並んだまま1年たっていた、というのもよくある話です。教科書は学校の授業とセットで設計されているので、家庭だけで進めると「どこまでやるか」が決まりません。

続いているご家庭に共通しているのは、届いた日に目次へ月の目安を書き込んでいることです。ページ数ではなく単元で区切るほうが、崩れたときに戻りやすくなります。

日本の学習を続ける4つの手段と向き不向き

手段は大きく4つです。通信教育、日本語の補習教室、オンラインの塾・家庭教師、そして保護者が教える形。多くのご家庭は通信教育を土台にして、足りないところを他で補う組み合わせに落ち着きます。

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比較項目通信教育日本語の補習教室オンライン塾・家庭教師保護者が教える
日本の進度に合わせやすいか◎ 学年別・無学年式から選べる○ 教室の方針による◎ 日本の教材で個別に△ 家庭の判断次第
保護者の負担の軽さ○ 声かけは必要◎ 送迎のみ◎ 任せられる△ いちばん重い
費用の抑えやすさ◎ 月額制で読みやすい○ 月謝+交通△ 時間単価が高い◎ 教材費のみ
一人で続けやすいか○ 習慣化できれば強い◎ 通う日が決まる◎ 予約が強制力に△ 中断しやすい
マレーシアでの選びやすさ◎ 場所を選ばない△ 地域差が大きい◎ 時差1時間が有利◎ どこでも可
◎ 強み○ ふつう△ 弱み・注意
▲ インター校に通いながら日本の学習を続ける4つの手段。評価は一般的な傾向をもとにした編集部の目安で、実際は会社・教室・ご家庭によって変わります(ルシュエット作成)

補習授業校は地域が限られる

補習授業校とは、現地校に通うお子様が週末などに日本語で日本の教科を学ぶ在外教育施設のことです。ただしマレーシアでは場所が限られます。外務大臣の指定を受けた教育施設の一覧に補習授業校として載っているのは、ペナンとペラの2校で、クアラルンプールはこの一覧に含まれていません。

つまりクアラルンプール在住のご家庭にとって、補習授業校は距離の面で現実的な選択肢になりにくいということです。代わりに民間の日本語教室やオンラインの指導を組み合わせる形が中心になります。

日本語を主軸にするなら日本人学校という道もある

マレーシアには文部科学大臣の認定を受けた日本人学校が4校あります(クアラルンプール・ジョホール・コタキナバル・ペナン)。日本のカリキュラムで学べるので、帰国後の接続はいちばんなだらかです。

ただしこれはインター校との両立ではなく二者択一になります。また入学要件も確認が必要で、クアラルンプール・ジョホール・ペナンの3校は保護者が現地の日本人会の会員であることを入学要件に含めています(コタキナバルは要件ではなく、会員だと入学金が優遇される形です)。

住まい探しの前に知っておきたいのが所在地です。クアラルンプール日本人学校は校名に都市名が入っていますが、学校が建っているのはセランゴール州シャアラムのサウジャナ地区で、クアラルンプール市内ではありません。通学時間はお住まいのエリアで大きく変わるため、学校を検討するなら住むエリアも同時に見てください。

オンラインの塾・家庭教師については、マレーシアには地の利があります。日本との時差は1時間で、日本が1時間進んでいるだけです。日本の夜に開講する授業を、現地の夕方に無理なく受けられます。欧米に渡ったご家庭が苦労する点が、マレーシアではほとんど問題になりません。

通信教育を海外で使うときに確認する4点

通信教育は会社によって海外対応が大きく分かれます。「日本で有名だから海外でも使えるはず」という前提で申し込むと、あとから条件の違いに気づくことがあります。申し込む前に、次の4点をご確認ください。

タブレットの扱いは会社によって真逆になる

とくに見落とされやすいのが2つめです。タブレット教材が海外で使えるかどうかは、会社によって結論が逆になります。

進研ゼミは公式のよくある質問で、専用タブレットの保障とサービスの関係上、チャレンジタッチは海外では受講できないと案内しています。海外で受けられるのは紙の教材のほうです。

一方でZ会は、海外受講の対象として小学生タブレットコースと中学受験コース(3〜6年生)を公式に挙げています。こちらはタブレット側が海外対応という形です。「日本で人気だから海外でも同じ」という前提が崩れるのが、この部分です。

費用の見え方も違います。Z会は小学生タブレットコースについて海外でも国内と同一の会費と案内する一方、中学受験コース(3〜6年生)には教材発送費用などとして海外サポート料金が1か月あたり4,800円かかると示しています。進研ゼミは海外受講費に海外配送費や課題の返送費を含める形をとり、課題を提出するための郵送料や現地の関税・手数料は含まないと明記しています。

そして、公式サイトに海外利用の可否を明記していない会社もあります。その場合は「使えました」と書かれた個人のブログではなく、会社に直接確認するのが確実です。タブレット端末は国をまたぐと保証やサービスの対象外になることがあり、故障したときにいちばん困ります。

あわせて確認したいのが接続の可否です。デジタル教材のなかには日本国内からの接続を前提にしているものがあり、海外の回線からはそのまま使えない場合があります。回避策としてVPN(通信を別の国の回線経由にする仕組み)が話題になりますが、利用規約で認められていないこともあるため、まずは会社に「海外の回線から接続できるか」を確認してください。

※通信教育の対応コース・会費・海外向けの追加料金は、年度ごとに、また予告なく変更されることがあります。上記は2026年9月時点で各社が公式ページに掲載していた内容です。お申し込みの前に、必ず各社の公式ページまたは窓口で、海外受講への対応状況と追加費用の有無を最新の条件でご確認ください。

学費に上乗せでかかるのは、この6項目

日本の学習を続けると、インター校の学費とは別に費用が発生します。金額はご家庭の選び方で変わりますが、かかる項目は共通なので、予算を組むときに漏らさないでください。

上乗せになるのは、①通信教育の会費、②海外向けの追加料金や配送費、③課題を日本へ送る郵送料、④教科書を追加で送ってもらうときの送料と梱包手数料、⑤オンラインの塾や家庭教師を使う場合の月謝、⑥日本語の本を手に入れるための費用の6つです。

このうち見落とされやすいのが③と⑥です。添削を郵送でやり取りする形式は、提出のたびに実費がかかります。日本語の本も現地の書店では割高になりやすいため、電子書籍や一時帰国でのまとめ買いを前提に考えておくご家庭が多くあります。

逆に言えば、デジタル完結の教材を選べば③と④はほぼ消えます。費用を抑えたいご家庭ほど、教材の形式を先に決めるほうが結果的に効きます。

紙かデジタルか、マレーシアではどちらが向くか

どちらにも理由があります。デジタル教材は届くのを待たなくてよく、丸つけも自動で進みます。クアラルンプールのコンドミニアムは回線が整っている住戸が多く、大きな支障は出にくい環境です。

一方で紙の教材は、回線や機器の状態に左右されません。届くまでに時間はかかりますが、届けば確実に手元に残ります。漢字の書き取りだけは紙という組み合わせにしているご家庭も少なくありません。

算数を先に守る理由と、日本の授業時数

2教科のうち先に手を打つべきなのは算数です。理由は3つあります。

1つめは、算数が積み上げの教科だからです。わり算が抜けたまま進むと、分数や割合でつまずきます。国語は読書や日常会話である程度補えますが、算数は飛ばした単元が必ず後から効いてきます。

2つめは、進む順番が日本と違うことです。インター校で英語で算数を学ぶこと自体はお子様の力になります。ただし単元の並びも解き方の書き方も日本とは違うため、日本の教科書に戻したときに「習っていない」単元が生まれます。

3つめは、帰国後のテストが日本語で出ることです。計算はできても、日本語の文章題になると解けないという状態が起こりえます。算数と国語は切り離せません。

日本の学校が国語と算数に使っている時間

では、日本の学校はこの2教科にどれだけ時間を使っているのか。学校教育法施行規則の標準授業時数は次のとおりです。

学年国語算数週あたりの合計
小学1年306136約9時間45分
小学2年315175約10時間30分
小学3年245175約9時間
小学4年245175約9時間
小学5年175175約7時間30分
小学6年175175約7時間30分

※国語・算数の数値は学校教育法施行規則 別表第一(第51条関係)の年間標準授業時数。1単位時間は45分です。週あたりのコマ数は小学1年が約13コマ、2年が約14コマ、3・4年が約12コマ、5・6年が約10コマで、右の列はこれを45分で時間に直した概算です。授業を年間35週(第1学年は34週)以上にわたって計画するという基準にもとづくもので、実際の時間割は学校によって異なります。

この表の使い方は「同じ量をやる」ではありません。逆です。週9時間は家庭では再現できないと確認するための表です。

だから設計は量ではなく頻度で組みます。算数は毎日15分でも、単元が飛ばないように順番どおり進める。漢字は毎日5分でも、学年配当の字を取りこぼさない。この2本を守れていれば、帰国後に戻すときの土台になります。

学年によって、守るべき重みは変わる

同じ「算数と漢字」でも、渡航する学年によって力の入れどころは変わります。先ほどの時数の表と合わせて読んでください。

小学1〜2年は、量より習慣をつくる時期です。国語の時数がもっとも多い学年(小学2年で年間315単位時間)ですが、内容は生活に近く、後からでも補いやすい範囲です。1日10分でも毎日続くほうが効きます。

小学3〜4年は、いちばん差が開きやすい学年です。国語245+算数175で週12コマと負荷が最大になり、わり算・小数・分数・面積といった算数の土台がこの2年に集中します。渡航がこの学年にかかるご家庭は、迷わず算数を最優先にしてください。

小学5〜6年は時数こそ下がりますが(国語・算数とも175)、割合・速さ・比のような抽象的な単元に入ります。日本語の抽象語彙が弱いと、計算はできるのに文章題が読めない状態になりがちです。ここは国語と算数を切り離さずに見てください。

中学以降は教科数が増え、ご家庭だけで全教科を並走させるのは現実的ではなくなります。帰国後に高校受験がかかる場合は、早い段階でオンラインの塾や個別指導を前提に組み直すほうが安全です。

現地からのリアル

現地校に入ってしばらくは、英語にすべての体力を持っていかれます。「日本の勉強は落ち着いてから」と考えるのは自然ですが、算数の単元だけは止めないほうがいいと感じています。

英語は現地校が毎日動かしてくれます。誰も動かしてくれないのが日本の算数と漢字です。だから家庭で持つのはこの2つ、と決めてしまうほうが迷いません。

週の予定に落とす5ステップ

続くかどうかを決めるのは、教材の質より「いつやるか」が決まっているかです。渡航前から順に整えていく流れを5つに分けました。

  1. 現地校の生活リズムを2週間記録する

    下校時刻、宿題にかかる時間、習い事の曜日を書き出します。設計はここからで、記録がないうちに教材を決めると必ず量が合いません。

  2. 日本の学習に使える時間の上限を決める

    平日30分・週末60分などの上限を先に決め、あとから増やしません。上限を決めておくと、教材を絞る基準ができます。

  3. 教科の優先順位を決める

    算数、漢字、読書、その他の順に並べます。理科・社会は帰国の見通しが立ってから取り組む、と割り切るのも現実的な選択肢です。

  4. 上限に収まる量で教材を選ぶ

    学年別か無学年式かもここで決めます。無学年式とは、学年にしばられず理解度に合わせて戻ったり先に進んだりできる形式で、進度のズレには強いつくりです。

  5. 3か月ごとに見直す

    判断は「進んだページ数」ではなく「続いた日数」で行います。止まっていたら、教材を変える前にまず量を減らしてください。

帰国から逆算して「後回しにしてよいもの」を決める

帰国後の学年は原則として年齢に応じた学年です。日本の勉強を完全に並走させないと学年が下がる、という関係ではありません。ここを誤解したまま走ると、必要以上に家庭が追い詰められます。

文部科学省は、日本語の能力が十分でない場合には一時的または継続的に下学年へ編入することもでき、適応が進んだ段階で相当する学年へ移ることもできると示しています。つまり制度の側に調整の余地があるということです。手続きの窓口は、お住まいの市区町村の教育委員会です。

ただし例外もあります。帰国の時期が中学受験や高校受験にかかる場合は、年齢では調整されません。受験を視野に入れているご家庭は、この記事の優先順位とは別に、受験科目から逆算した準備が必要になります。

理科・社会を後回しにしてよいのは、帰国が決まってからでも集中的に進めやすい教科だからです。逆に、積み上げの算数と日々の蓄積が要る漢字は、後から一気に取り戻すのが難しい。「後で巻けるか」で教科を仕分けるのが、限られた時間を配る現実的な方法です。

日本の学校の籍をどう扱うか、帰国後にどの学校へ入るかは、それぞれ別に整理が必要な論点です。下の関連記事もあわせてご覧ください。

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よくある質問

日本の教科書は海外でも無償でもらえますか?

日本国籍があり、海外に1年以上滞在し、日本の教科書を必要とするお子様が対象です。教科書そのものは無償で給与されます。海外に滞在中の申請窓口は在外公館(大使館・総領事館)で、海外子女教育振興財団に直接申し込む形ではありません。配付は年2回で、出国前に日本で受け取る配付と、現地で受け取る在外配付があります。時期を逃した場合などに追加で送ってもらう申請もできますが、その際の送料や梱包手数料は自己負担です。申請の時期と方法は公館ごとに異なるため、渡航先が決まった時点で所管の公館にご確認ください。なおマレーシアでは、在マレーシア日本国大使館が配布の対象を、現地校やインターナショナルスクールに在籍(または入学予定)もしくは自宅学習をして当地に長期滞在している、いずれ日本に帰国する子女で、かつ大使館に在留届を提出済みの方としています。インターナショナルスクールに通うお子様も対象に含まれます。

インター校に通いながら、日本の勉強は1日どれくらい必要ですか?

日本の小学校が国語と算数に使っている時間は、学校教育法施行規則の標準授業時数で小学3・4年なら年間420単位時間です。年間35週で割ると週12コマ、1コマ45分として週9時間に相当します。この量を家庭で再現することはできません。現地校の宿題がある平日に確保できるのは30分前後というご家庭が多く、そのため時間の長さではなく、算数と漢字を毎日短く触る頻度で設計するほうが続きます。

通信教育は海外から受講できますか?

会社によって対応が分かれ、タブレット教材の扱いは結論が逆になることがあります。進研ゼミは公式に、専用タブレットの保障とサービスの関係上チャレンジタッチは海外では受講できないと案内しており、海外で受けられるのは紙の教材です。一方でZ会は小学生タブレットコースと中学受験コースを海外受講の対象として挙げ、小学生タブレットコースは海外でも国内と同一の会費、中学受験コースは教材発送費用などとして海外サポート料金が1か月あたり4,800円かかるとしています。申し込む前に、海外受講に対応しているか、タブレット教材が海外でも使えるか、会費のほかに費用がかかるか、添削の往復にどれくらいかかるかの4点をご確認ください。対応コースや料金は改定されるため、必ず申込時点の公式情報でご確認ください。

クアラルンプールに日本語の補習授業校はありますか?

外務大臣の指定を受けた教育施設の一覧に補習授業校として載っているのは、マレーシアではペナンとペラの2校です。クアラルンプールはこの一覧に含まれていません。クアラルンプールで日本語の学習環境を探す場合は、日本人学校に通うか、民間の日本語教室やオンラインの指導を組み合わせる形が中心になります。なお日本とマレーシアの時差は1時間なので、日本の夜の授業を現地の夕方に受けやすいという利点があります。

帰国したとき、子どもの学年は下がりますか?

原則は年齢に応じた学年への編入です。文部科学省は、日本語の能力が十分でない場合に一時的または継続的に下学年へ編入することもでき、適応が進んだ段階で相当する学年へ移ることもできると示しています。つまり日本の勉強を完全に並走させないと学年が下がる、という関係ではありません。ただし帰国の時期が中学受験や高校受験にかかる場合は年齢では調整されないため、別に準備が必要です。手続きの窓口はお住まいの市区町村の教育委員会です。

この記事で参照した公式情報

  • 公益財団法人 海外子女教育振興財団(JOES)「教科書」「海外滞在中の教科書配付」(対象要件・年2回の配付・在外公館での申請・追加送付の送料自己負担)
  • 文部科学省「海外子女教育の概要(教科書の無償給与)」
  • 学校教育法施行規則 別表第一(第51条関係)=小学校の各教科等の年間標準授業時数/小学校学習指導要領 総則(年間35週、第1学年は34週以上にわたって計画)
  • 学校教育法第17条(就学させる義務の始期=満6歳に達した日の翌日以後における最初の学年の初め)
  • 文部科学省「帰国・外国人児童生徒等の就学に関する手続き」(年齢相当学年への編入学/下学年への編入学と相当学年への移行/窓口は市区町村教育委員会)
  • 在マレーシア日本国大使館「教科書無償配布及び申込みのお知らせ」(配布対象子女の条件=現地校・インターナショナルスクール在籍または自宅学習の長期滞在者かつ在留届提出済み)/旅券法第16条(3か月以上の外国滞在の届出)
  • 文部科学省「在外教育施設の概要」「文部科学大臣が認定した在外教育施設の一覧」(マレーシアの日本人学校4校)
  • 外務省「外務大臣が指定した教育施設一覧」(令和4年外務省告示第303号。マレーシアの補習授業校=ペナン・ペラ)
  • クアラルンプール日本人学校「学校案内」ほか各日本人学校の入学案内(所在地=セランゴール州シャアラム/入学要件・日本人会の会員に関する規定)
  • ベネッセコーポレーション「進研ゼミ 海外受講」および公式FAQ(チャレンジタッチの海外受講不可/海外受講費に含まれる費用と含まれない費用)
  • Z会「海外在住の方へ(小学生)」(海外受講の対象コース/小学生タブレットコースは国内と同一会費/中学受験コースの海外サポート料金 月4,800円)
  • アリス・スミス校 Term Dates/モントキアラ・インターナショナルスクール School FAQs/ISKL School Calendar(いずれも学年暦は8月開始〜6月終了)
  • 総務省統計局『日本統計年鑑』第75回 表2-11(表2-11「海外在留邦人数(令和4〜6年)」。原典=外務省「海外在留邦人数調査統計」=毎年10月1日時点の推計。マレーシア=令和6年〈2024年〉20,025人、うち永住者2,009人)

※本記事は2026年9月時点で各機関が公表している内容をもとに整理しています。制度・配付の運用・通信教育の海外対応は改定されるため、手続きやお申し込みの前に、必ず在外公館・教育委員会・各社の公式窓口で最新をご確認ください。

本記事に記載した費用・制度・学校情報は、2026年8月時点に公開されている情報にもとづく目安です。為替はRM1≒38.7円で換算しています。制度や料金は改定されることがあるため、お申し込みの前に各公式サイト、または当社までご確認ください。