結論から言うと、日本とマレーシアの教育で本当に効いてくる違いは①中等教育がForm 5(17歳)で終わり、日本の高校3年にあたる学年が制度上ないこと ②学年の始まりが1月で、日本の4月とほぼ半年ずれること ③公立校は外国籍の子どもの受け入れ条件が厳しく、費用も進路も「どの学校を選ぶか」でほぼ決まること——この3点です。学年の対応表だけを見て動くと、渡航の時期と進路の切れ目を外します。この記事では、マレーシア政府・教育省・学校の公式情報をもとに、日本の6-3-3制と正面から並べて整理します。
学年のしくみ:日本は6-3-3、マレーシアは6-3-2
小学校から中学校(前期中等)までは日本とほぼ同じ年齢構成ですが、後期中等にあたる段階で大きく違います。日本は小学校6年・中学校3年・高校3年の6-3-3制で、うち9年間が義務教育。一方マレーシアは、初等教育(Primary)がYear 1〜Year 6の6年間、そのあと中等教育(Secondary)が前期のForm 1〜Form 3と後期のForm 4〜Form 5に分かれます。つまり中等教育は5年間で、日本の高校3年にあたる学年がありません。
マレーシア政府の公式ポータルによれば、初等教育は6年間で7歳から始まり、1996年教育法によって義務教育とされています。法律上の基準は「その学年の1月1日時点で6歳に達していること」で、在学中に7歳になるため現地では「7歳で入学」と説明されます。つまりYear 1は、日本の小学1年とほぼ同じ年齢の子どもたちが通う学年です。カリキュラムはKSSR(初等学校標準カリキュラム)と呼ばれるものです。中等教育は前期のForm 1〜3が13〜15歳、後期のForm 4〜5が16〜17歳で、Form 5の終わりにSPMという全国統一試験を受けます。SPM(Sijil Pelajaran Malaysia)は日本でいう高校卒業資格に近い位置づけの中等教育修了証で、その後の進学先を大きく左右する試験です。
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| その年度に達する年齢 | 日本 | マレーシア(公立) | その学年の節目 |
|---|---|---|---|
| 7歳 | 小学1年 | Year 1(初等1年) | 初等教育スタート |
| 12歳 | 小学6年 | Year 6(初等6年) | 初等教育の最終学年 |
| 13歳 | 中学1年 | Form 1 | 前期中等スタート |
| 15歳 | 中学3年 | Form 3 | 前期中等の最終学年 |
| 16歳 | 高校1年 | Form 4 | 後期中等スタート |
| 17歳 | 高校2年 | Form 5(中等の最終学年) | SPM受験 |
| 18歳 | 高校3年 | Form 6/マトリキュレーション等 | 大学準備課程へ分岐 |
この表で押さえてほしいのは、最下段の18歳の行です。日本の高校3年にあたる時期、マレーシアの子どもたちはすでに中等教育を終えていて、大学準備課程に入っています。「高校卒業」という一つのゴールが、マレーシアには存在しない——ここが日本の感覚と最もずれる部分で、渡航のタイミングを決めるときにも、帰国を考えるときにも効いてきます。
ご相談でいちばん多い誤解が、「日本の高校2年で編入して、あと1年通えば卒業できますよね?」というものです。公立の制度ではForm 5で中等が終わるので、その1年は「高3」ではなく大学準備課程になります。インターナショナルスクールの場合も、英国式ならA Level、IB校ならディプロマプログラムという2年制の課程に入る時期で、途中から入るのが最も難しい学年です。
学年の数字合わせよりも、「その国で、次にどの試験を受ける学年なのか」で見ていただくと、判断を間違えにくくなります。
なお英国式のインターナショナルスクールでは、ケンブリッジ国際が14〜16歳向けと位置づけるIGCSEが中等の区切りになるため、公立のForm 4〜5とほぼ同じ時期に中等修了の試験がやってきます。「中等の終わりに大きな試験がある」という構造そのものは、公立でもインターでも共通だと考えてください。
一方で、学年の数字は公立と一致しません。たとえばガーデン・インターナショナルスクールは公式にYear 10〜11でIGCSEを実施するとしており、IGCSEの対象年齢(14〜16歳)から逆算すると、英国式のYear 1はマレーシア公立のYear 1より1学年早く、日本でいう年長にあたる年齢から始まる計算になります。ただし学年の基準日は学校ごとに違うため、志望校の学年配置は必ず学校にご確認ください。
ただしインターナショナルスクールの学年(Year/Grade)の呼び方と基準日はカリキュラムごとに違います。詳しくはインターの学年と日本の学年の対応で整理しています。
学年暦:日本は4月始まり、マレーシアは1月始まりに戻った
マレーシアの公立学校の学年暦は1月始まり・12月終わりで、4月始まり・3月終わりの日本とは半年近くずれます。日本の年度末に合わせて動くと、マレーシア側では学年の途中からの編入になるため、学年の中身より先にここを確認してください。
そしてここは近年動いた部分です。マレーシア教育省の通達(Surat Siaran KPM Bil.3/2025)によると、2026年度の公立校の学年暦は1月始まりに戻りました。ケダ・クランタン・トレンガヌのグループAが2026年1月11日開始、クアラルンプールやスランゴールを含むそれ以外の州のグループBが2026年1月12日開始とされています。年度の区切りは12月31日ですが、実際の最終授業日はグループAが12月3日、グループBが12月4日で、そのあとは年度末の長期休暇に入ります。コロナ禍の影響で2022年度以降は3月始まりにずれていましたが、段階的に本来の1月へ戻された形です。数年前に書かれた記事は「3月始まり」のままのものが残っているので、学年暦は必ず現行年度の情報で確認してください。
ただし、これは公立校の話です。インターナショナルスクールは各校が独自の学年暦を持ちます。たとえばモントキアラ・インターナショナルスクールは8月〜12月と1月〜6月の2セメスター制で8月始まり、ガーデン・インターナショナルスクールは3学期制です。同じクアラルンプールの中でも学校によって新学期の月が違うので、「マレーシアの新学期は◯月」と一括りにできないのが実情です。
この学年暦のずれは、渡航時に「学年を1つ下げて入るか、そのまま上げて入るか」という選択として現れます。日本の3月に学年を終えてから動くと、8月始まりの学校ならその年の8月から、1月始まりの学校なら翌年1月からの入学になり、空く期間の長さも変わります(学校の空き状況や入学試験の結果によっては、学期の途中から編入できる場合もあります)。どちらを選ぶかは、お子さんの英語力と、次の試験学年までの距離で判断することになります。
何歳・何年生で動くのが有利かは、マレーシアのインターは何歳・何年生で入れるべきかで詳しく整理しています。
学校の選択肢は3つ(公立・インター・日本人学校)
日本人家族がマレーシアで選べる学校は、大きく3種類です。このうち教育移住で現実的に選択肢になるのはインターナショナルスクールか日本人学校で、公立校は制度上の枠こそあるものの、前提条件が厳しく現実的ではありません。
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| 学校の種類 | 授業の言語 | 入りやすさと注意点 |
|---|---|---|
| 公立(国民学校) | マレー語が中心 | 外国籍の子の入学枠はあるが、対象が大使館関係者・有効な就労許可を持つ外国人就労者・永住者などの子に限られる。親の滞在資格が実質的な条件になる |
| インターナショナルスクール | 英語 | 教育移住の主流。英語力に応じたESL(英語補習)の受け入れ体制と、学校ごとの学年配置がポイント |
| 日本人学校 | 日本語 | クアラルンプール日本人学校は文部科学大臣の認定を受けた在外教育施設。日本のカリキュラムで学べ、帰国後の接続が最もなだらか |
公立校について、もう少し具体的に書きます。マレーシア入国管理局の公式情報では、学生パス(Student Pass)は3歳以上の非国民が対象で、政府・政府補助学校、インターナショナルスクール、私立学校などをカバーするとされています。つまり制度上、外国籍の子どもが政府学校に通う道が閉ざされているわけではありません。ただし実際の入学は、大使館職員の子・有効な就労許可を持つ外国人就労者の子・永住者の子・二国間協定による選抜者といった限られたカテゴリが対象で、親の就労パスの区分や雇用主の証明書が必要とされています。ここで押さえておきたいのは、滞在の資格である学生パスを出すのは入国管理局、公立校への入学を認めるのは教育省・州教育局と、管轄が別だという点です。学生パスが取れることと、公立校に入れることはイコールではありません。長期滞在ビザだけを根拠に公立校を前提とした計画を立てることは避けてください。
費用の面も、見た目ほど単純ではありません。教育省の規則にもとづく外国籍の子どもの学費は小学校で年RM120、中学校で年RM240とされていますが、これとは別に州や年度ごとに定まる学校活動費がかかり、非国民は国の教科書貸与制度の対象外です。必要書類や手続きの運用も州教育局によって差があるため、「年RM120で通える」という数字だけを見て判断しないでください。
加えて、授業がマレー語中心である点も現実的なハードルになります。「英語環境を求めてマレーシアへ」という動機で来られる場合、公立校はその目的とそもそも合いません。滞在資格についてはマレーシア移住のビザの種類もあわせてご覧ください。
学費:日本の公立との差はどこで生まれるか
費用の話は、「国の差」ではなく「学校の差」で決まります。日本では公立の小中学校に通う限り授業料はかかりませんが、マレーシアでインターナショナルスクールを選ぶと、年間で数百万円規模の学費が発生します。ここが日本との最大の金銭的な違いです。
実際の金額は学校によって数倍の開きがあります。参考として、公式サイトで料金を公開している2校の年間授業料を挙げます(2026/2027年度)。いずれもマレーシアのインター校の中では上位の価格帯で、より抑えた価格帯の学校も多くあります。
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| 学校(カリキュラム) | 年間授業料の例 | 入学時の一時費用 |
|---|---|---|
| ガーデン・インターナショナルスクール(英国式・Year 1〜13/3学期制) | Year 1=年間RM85,590(約331万円)/Year 10〜13=年間RM126,870(約491万円) | 出願料RM1,590(SST込み)、登録料RM20,000(Year 1〜13・入学時のみ・返金不可) |
| モントキアラ・インターナショナルスクール(IB・米国式系/2学期制) | Grade 1〜5=1学期RM53,102(年2学期で約RM106,204・約411万円)/Grade 6〜8=1学期RM59,337(同じく約RM118,674・約459万円)/Grade 9〜12=1学期RM65,270(同じく約RM130,540・約505万円) | 出願料RM1,802(SST込み)、入学金RM28,000(第1子) |
※本記事の基準として RM1≒38.7円(2026年8月時点の目安)で換算しています。為替は日々動くため、円の金額はあくまで目安としてご覧ください。モントキアラ校は学費を学期ごとに表示しており年額を公表していないため、上表の年間額は学期額を2倍した換算値です。また、両校とも学費はサービス税(SST)別の表示で、出願料のみ税込表示となっています。学費は毎年改定されるため、必ず各校の公式料金表でご確認ください(出典は記事末尾に記載)。
そして見落とされやすいのが、表示学費に乗ってくる税金と一時費用です。マレーシアでは2025年7月1日から、私立教育サービスに対してサービス税(SST)が課されるようになりました。ポイントは3つあります。
- 判定はしきい値の超過分ではない:1人の生徒・1学年度あたりの対象料金の合計がRM60,000(約232万円)を超えると、超えた分だけでなく対象料金の全額に6%が課されます。関税局のガイドの計算例でも、対象料金の合計RM83,000に対してRM4,980(=RM83,000の6%)が課されています。
- 判定の対象は授業料だけではない:授業料に加えて入学金・登録料・施設費・課外活動費など、教育に関わる料金の合計で判定されます。一方、教科書・制服・スクールバス・寮費・食費・学生パスの費用などは対象外とされています。
- 日本国籍の児童生徒は免除の対象外:免除は「マレーシア国民であり、かつKad OKU(障害者手帳)を保持する生徒」という累積要件のため、外国籍の児童生徒には適用されません。
ここで注意したいのが、授業料だけを見てRM60,000を下回っていても、入学金・登録料・施設費・EAL費用を合算するとしきい値を超えてしまうケースです。その場合、合算した対象料金の全額が課税されます。学校の料金表はSST別で表示されていることが多く、見積もりの段階では6%の上乗せと、初年度だけかかる登録料・入学金を必ず足しておいてください。「年間の授業料」だけで比較すると、初年度の実際の支払いは想定を大きく超えます。英語力に応じてEAL/ESL(英語補習)の費用が別途かかる学校も多く、これも対象料金に含まれます。なお、どの料金を課税対象として計上するかは学校側の請求処理によって扱いが分かれることがあるため、実際にいくら乗るかは、学校が発行する見積書・請求書で必ずご確認ください。
学校見学に同行していて感じるのは、初年度と2年目以降で家計の負担感がまったく違うということです。登録料・入学金・制服・教材・デポジットが初年度に集中するため、「2年目以降なら続けられるのに、初年度で予算が尽きる」という相談が実際にあります。
私たちがご相談を受けるときは、年間の学費だけでなく、渡航月から最初の12か月に出ていく総額で見積もりをお出しするようにしています。学校側の料金表は年度ごとに改定されるので、その都度、公式の最新版を突き合わせています。
月ごとの負担感を知りたい方はマレーシアの教育費は月いくらか、英語補習の費用はマレーシアのインター校のESLで詳しく扱っています。
1月始まりへの移行と、Form 5の区切り。動く時期を一緒に整理しませんか?
2026年度から公立の学年暦が1月始まりに戻り、インター校は8月始まりと1月始まりが混在しています。お子さんの学年と英語力から、無理のない渡航時期と学校の候補を、クアラルンプール在住のスタッフが整理します。
マレーシア教育移住の資料とセミナー案内も無料でお送りします。
進路:SPMルートと、A Level・IBルートの分かれ方
日本では高校卒業後に大学入試を受けるという一本道ですが、マレーシアでは中等教育を終えたあと、大学に入るまでに「準備課程」を1〜2年はさむのが標準です。しかも、通っている学校の種類によってその課程が変わります。
公立ルート:SPM から大学準備課程へ
Form 5でSPMを受験(17歳ごろ)
中等教育の修了試験。ここでの成績が、その後に進める課程を左右します。
大学準備課程に進む
教育省が公立高校に置くForm 6(1年半・3セメスター制。修了時にマレーシア試験評議会が実施するSTPMを受験)、教育省マトリキュレーション局が運営するマトリキュレーション(1年制または2年制)、私立カレッジのファウンデーションコースなどに分かれます。ただしマトリキュレーションはマレーシア国籍であることが出願の要件で、しかも原則ブミプトラ(マレー系など)を対象とし、非ブミプトラの枠は10%とされています。つまり外国籍の子どもはそもそも対象外で、日本人のお子さんが選べるルートではありません。
大学へ進学
国内の公立大学・私立大学のほか、マレーシア国内にある海外大学の分校という選択肢もあります。
インタールート:IGCSE から A Level・IB へ
インターナショナルスクールの場合は、国際的な資格の階段を上がっていきます。英国式のカリキュラムでは、ケンブリッジ国際の公式情報によるとIGCSEが14〜16歳向けの資格で、その上にA Level(ケンブリッジ・アドバンスト)が続きます。IB校の場合は、ディプロマプログラム(DP)が最終段階にあたります。いずれも2年をかけて仕上げる課程で、途中からの編入が最も難しい時期です。日本から移る場合、この課程が始まる前に落ち着けるかどうかが、学校選びの現実的な分かれ目になります。
出口:マレーシアにいながら海外大学の学位を取る道がある
マレーシアの進路で日本と大きく違うのが、国内に海外大学の分校(ブランチキャンパス)があることです。オーストラリアのモナッシュ大学のマレーシア校(Monash University Malaysia、スランゴール州バンダー・サンウェイ)は1998年設立で、公式サイトによればマレーシア初の外国大学キャンパス。モナッシュ大学の学位を取得でき、オーストラリアのモナッシュ大学と豪州の高等教育質保証機関TEQSAが品質を保証しています。イギリスのノッティンガム大学のマレーシア校(University of Nottingham Malaysia、スランゴール州スメニ)は2000年9月開校で、公式サイトに「英国と全く同じ学位を授与する」と明記されています。
また、提携先の海外大学の学位課程3年分をマレーシア国内だけで修了する「3+0」と呼ばれる方式も広く提供されています。これは法令上の正式名称ではなく通称ですが、マレーシア資格庁(MQA)の登録簿にも「〈校名〉3+0 in collaboration with 〈海外大学名〉」という名称の課程が実際に登録されています。「英語圏の大学の学位を、英語圏より抑えた費用で取りにいける」という選択肢が国内にあるのは、日本にはない構造です。
卒業後の進路の選び方はインター卒業後の進路で詳しく扱っています。
日本に戻るときはどうなるか
日本に帰国した場合、学齢の子どもは原則としてその年齢に応じた相当学年に編入学します。文部科学省は、日本国民である学齢の児童生徒が帰国した場合、その時点からその保護者に就学義務(子どもに義務教育を受けさせる義務)がかかり、住所地の教育委員会が住民基本台帳に基づいて学齢簿を編製したうえで、就学すべき学校の指定と編入学の期日を保護者に通知するとしています。つまり、マレーシアで1学年ずれた状態で過ごしていたとしても、帰国後は年齢基準に戻るのが基本です。
ただし例外の運用も認められています。文部科学省によれば、学校生活に適応するまでの間、一時的に下の学年へ編入し、適応後に学年の途中で相当学年へ戻すことができます。ただしこれは学年の課程の修了を認めて進級させるという趣旨ではなく、指導要録の上では学齢相当学年に編入したものとして扱う必要があるとされています。日本語能力を著しく欠くなど特別な理由がある場合は、保護者と本人の意向を確認したうえで、指導要録上も下の学年に編入し、義務教育の全課程が修了するまで下の学年で学び続けることも可能とされています。日本語の力が著しく不足している場合には、日本語教育などの措置を前提に就学義務の猶予という道もあります。
もう一つ知っておくと安心なのが、日本人学校の位置づけです。文部科学省が認定した在外教育施設は、国内の小・中・高と同等の教育課程を有すると認定されており、中学部の卒業者には国内の高校の入学資格、高等部の卒業者には大学の入学資格が認められます。クアラルンプール日本人学校もこの認定一覧に掲載されています。帰国の可能性を残しておきたいご家庭にとっては、接続が最もなだらかな選択肢です。ただし同校が運営しているのは幼稚部と小中学部で、高等部は設置されていません。高校の3年間をどうするかは、渡航前に別途考えておく必要があります。
高校・大学の帰国生入試は、必要な海外在留年数などの要件が学校ごとに異なります。「帰国子女枠があるはず」と一般化せず、志望校の募集要項で必ず確認してください。帰国後の学校選びはマレーシア留学の帰国後の学校、日本人学校の詳細はクアラルンプール日本人学校と日本語補習校で扱っています。
我が家はどちらを選ぶか(判断の3軸)
ここまでの違いを、家庭の判断に落とすと3つの軸になります。
1. 「帰る前提」か「出る前提」か
数年で日本に戻る前提なら、年齢基準で編入が戻ることと、日本語・日本のカリキュラムの継続を優先する判断になります。海外大学まで見据えるなら、A LevelやIBの2年課程に間に合う時期に入ることが優先されます。この一点だけで、選ぶべき学校の種類が変わります。
2. 学年の「切れ目」に当たっていないか
Form 5でひと区切りが来る構造、A Level・IB DPが2年制であること、そして学年暦が1月または8月始まりであること。この3つが重なる時期に渡航すると、選べる学校が一気に減ります。逆に切れ目の手前で動ければ、候補はぐっと広がります。
3. 費用は「国」ではなく「学校」で決まる
マレーシアの学費は学校間の開きが非常に大きく、同じクアラルンプールでも年間の授業料が数倍違います。「マレーシアなら安い」ではなく「どの学校なら続けられるか」という視点で見ることをおすすめします。初年度に集中する一時費用とサービス税を足したうえで、卒業までの年数分を無理なく払えるかどうかが、実質的な判断基準になります。
よくある質問
マレーシアの学年は日本の何年生にあたりますか?
年齢で見ると、マレーシアの公立校のYear 1(初等1年)が日本の小学1年、Year 6が小学6年、Form 1が中学1年、Form 3が中学3年、Form 4〜5が高校1〜2年におおむね対応します。ただしマレーシアの中等教育はForm 5で終わり、日本の高校3年にあたる学年が制度上ありません。その先はForm 6やマトリキュレーションという大学準備課程に分かれます。またインターナショナルスクールはカリキュラムごとに学年の呼び方も基準日も異なるため、志望校の学年配置は必ず学校に確認してください。
マレーシアの新学期はいつ始まりますか?
公立校は2026年度から1月始まりに戻りました。教育省の通達では、2026年度はケダ・クランタン・トレンガヌのグループAが1月11日開始、クアラルンプールやスランゴールを含むそれ以外の州のグループBが1月12日開始とされています。年度の区切りは12月31日ですが、実際の最終授業日はグループAが12月3日、グループBが12月4日です。コロナ禍の影響で2022年度以降は3月始まりにずれていましたが、段階的に1月へ戻された形です。なお、インターナショナルスクールは各校独自の学年暦で、8月始まりの学校も1月始まりの学校もあります。
日本人の子どもはマレーシアの公立校に通えますか?
制度としては外国籍の子どもが政府学校に入る枠は存在しますが、対象が大使館関係者の子・有効な就労許可を持つ外国人就労者の子・永住者の子などに限られており、親の滞在資格が実質的な条件になります。授業もマレー語が中心です。そのため、教育移住で現実的な選択肢になるのはインターナショナルスクールか日本人学校で、公立校を前提に計画を立てることはおすすめしていません。入学の可否と必要書類は州教育局や県教育局の運用によって差があるため、必ず最新の条件を確認してください。
マレーシアのインター校の学費に税金はかかりますか?
かかる場合があります。2025年7月1日から、私立教育サービスでは1人の生徒・1学年度あたりの対象料金の合計がRM60,000を超えると、超えた分だけではなく対象料金の全額に6%のサービス税(SST)が課されます。対象には授業料のほか入学金・施設費・課外活動費などが含まれ、教科書・制服・スクールバス・寮費などは対象外とされています。免除はマレーシア国民かつKad OKU(障害者手帳)を持つ生徒という累積要件のため、外国籍の児童生徒は免除の対象外です。学校の料金表はSST別で表示されていることが多く、見積もりでは上乗せを見込んでおくと安全です。実際にいくら乗るかは、学校が発行する見積書・請求書でご確認ください。
マレーシアで教育を受けたあと、日本の学校に戻れますか?
戻れます。文部科学省は、帰国した学齢の児童生徒は原則としてその年齢に応じた相当学年へ編入学するとしています。学校生活に適応するまで一時的に下の学年へ編入し、適応後に学年の途中で相当学年へ戻す運用も認められています。また、クアラルンプール日本人学校を含む文部科学大臣の認定を受けた在外教育施設は、中学部の卒業者に日本国内の高校の入学資格、高等部の卒業者に大学の入学資格が認められます。高校・大学の帰国生入試の出願要件は学校ごとに異なるため、志望校の募集要項で確認してください。
この記事の主な参照元
- マレーシア政府公式ポータル(MyGovernment)「Primary School」/「Secondary School」(初等・中等教育の年数と年齢)
- 教育法1996(Akta 550, Akta Pendidikan 1996)第29A条(Year 1の学齢の基準)
- マレーシア教育省(KPM)Surat Siaran KPM Bil.3 Tahun 2025「Kalendar Akademik 2026」(2026年度の学年暦・最終授業日)
- マレーシア教育省(KPM)「Tempoh Pengajian(Form 6)」/マトリキュレーション局「Soalan Lazim Program Matrikulasi KPM」/マレーシア試験評議会(MPM)(大学準備課程とSTPM)
- マレーシア入国管理局(Jabatan Imigresen Malaysia)「Student Pass」(学生パスの対象と学校区分)
- マレーシア関税局(mysst.customs.gov.my)「Guide on Private Education Services」/官報 P.U.(A) 172/2025・173/2025・174/2025/Service Tax Policy No.4/2025(私立教育サービスのサービス税=税率・課税範囲・非課税項目・Kad OKU保持者の取扱い)
- Garden International School「School Fees」/Mont'Kiara International School「School Fees 2026-2027」(学費の実例)
- Cambridge International「Cambridge IGCSE」(IGCSEの対象年齢)
- マレーシア資格庁(MQA)登録簿/Monash University Malaysia 公式サイト/University of Nottingham Malaysia 公式サイト(海外大学分校の実在と学位)
- 文部科学省「帰国児童生徒の教育」/「認定した在外教育施設の一覧」(帰国後の編入学と在外教育施設の認定)
- クアラルンプール日本人学校 公式サイト
本記事の情報は2026年8月時点で確認したものです。制度・料金・学年暦はいずれも変更されることがあるため、実際のご判断の際は必ず各機関・各校の公式情報で最新の内容をご確認ください。