大学生のマレーシア留学で最初に決めるのは、留学先でも学校でもなく「何か月行くか」です。3か月以内に収めるか、3か月を超えて休学するかで、必要な在留資格・単位認定の可否・費用の桁がまとめて変わります。日本国籍の方は観光・商用目的なら到着時に3か月(おおむね90日)の滞在が認められるとされており、ここが境目になるためです。この記事では、休学そのものにかかるお金・マレーシア側の費用・単位認定・就職活動の逆算を、公的な一次情報を添えて順に整理します。
休学して行くか、在籍したまま行くか(3つのルート)
大学生がマレーシアへ行く方法は、大きく3つに分かれます。①大学の交換留学・協定派遣、②休学して個人で行く、③夏休みや春休みの長期休暇に短期で行くの3つです。この3つは「どれが良いか」ではなく、行きたい期間と、大学に枠があるかどうかで自動的に絞られます。
①は在籍したまま行けて奨学金の対象にもなりやすい代わりに、学内選考があり派遣先も協定校に限られます。②は行き先も期間も自由に組める代わりに、費用は原則すべて自己負担で卒業時期が後ろにずれます。
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| 比べる点 | ①交換留学・協定派遣 | ②休学して行く | ③長期休暇の短期留学 |
|---|---|---|---|
| 日本の大学の籍 | 在籍のまま | 休学 | 在籍のまま |
| 卒業時期 | ずれないことが多い | 休学した分だけ後ろへ | ずれない |
| 単位認定 | 制度の枠組みあり | 留学先と大学の判断次第 | 原則なし |
| 日本の大学へ払う額 | 通常の授業料 | 在籍料のみの大学が多い | 通常の授業料 |
| 行ける期間 | 大学の枠しだい | 自由に組める | 2〜8週間程度 |
| 学内選考 | あり(語学要件も) | なし | なし |
| JASSO協定派遣の奨学金 | 対象になりうる | 個人申請は不可 | 協定プログラムなら可 |
迷ったときの順番は単純です。まず在籍大学の国際交流課でマレーシアへの協定校があるかを確認し、無ければ②か③に絞る。次に、行きたい期間が3か月を超えるなら②、収まるなら③。この2問で、たいていの方は自分のルートが決まります。
クアラルンプールでご相談をお受けしていて多いのが、「1年休学するつもりで来たけれど、3か月で十分だったかもしれない」という声と、その逆で「2週間では足りなかった」という声です。分かれ目になっているのは英語力そのものより、現地で日本語を使わずに過ごす時間をどれだけ確保できたかでした。
マレーシアは日本人コミュニティが大きく、日本語で完結する生活も組めてしまいます。休学という大きな決断をされるなら、期間を延ばす前に「英語で過ごす時間をどう作るか」を先に設計されるほうが、同じ費用でも得られるものが変わります。
休学そのものにかかるお金(在籍料・年金・健康保険)
休学留学の総額を読み違える最大の原因は、マレーシア側の費用だけで計算してしまうことです。休学しても日本側に支払いは残り、その額は大学によって0円に近い場合から年間17万円前後まで幅があります。
在籍料は大学ごとに別物。先に見るのは金額より「締切」
国立大学では、休学した翌月から復学の前月までの授業料を月割で免除すると案内している大学があります。一方で、学期の開始後に休学が認められた場合は減額しないとしている大学もあり、扱いは統一されていません。私立大学では授業料を免除したうえで在籍料を徴収する形が多く、公式サイトで公開されている金額には1学期5,000円の例から、半期67,000〜85,500円の例まで開きがあります。
金額よりも先に確認していただきたいのが締切です。大学によっては、休学届の提出が所定の期日を過ぎると学費を全額徴収すると明記しています。渡航日の検討より前に、在籍大学の学則と学費規程で「いつまでに出せばいくらになるか」を押さえてください。ここを外すと、留学費用とは別に数十万円が発生します。
国民年金は「学生納付特例が使えなくなる」点に注意
20歳以上の学生が使える国民年金の学生納付特例について、日本年金機構はパンフレットに「海外の大学等に留学した場合は学生納付特例制度を利用できません」と明記しています。判断の軸は留学の期間ではなく日本国内に住所があるかどうかで、海外転出届を出して住所がなくなると強制加入の対象から外れるためです。住民票を残したまま留学する場合の扱いは個別の判断になりますので、市区町村の国民年金窓口か年金事務所にご確認ください。
強制加入の対象から外れた場合でも、日本国籍で20歳以上65歳未満の方は任意加入ができます。納付は国内の口座振替か、国内の親族による納付書払いです。将来の受給資格期間に関わる部分ですので、渡航前にご自身の場合を確認しておくと安心です。
健康保険は「留学」が国内居住要件の例外にあたる
健康保険の被扶養者には令和2年4月1日から国内に住所を有することという要件が加わりましたが、例外(海外特例要件)の第1類型が「外国において留学をする学生」です。必要な添付書類として、査証・学生証・在学証明書・入学証明書等の写しが挙げられています。ご家族の健康保険の被扶養者として渡航される方は、この手続きの対象になります。
ただし休学中の学生がこの例外に該当するかは、提出できる証明書の内容によって判断が分かれます。休学届を出す段階で「留学先の入学許可書が出るか」を確認し、加入している保険者(健康保険組合・協会けんぽなど)に事前照会されることをおすすめします。
これらの前提になるのが住民票を抜くか(海外転出届を出すか)の判断です。国民健康保険法は都道府県の区域内に住所を有する者を被保険者と定めており、転出届を出せば資格を失い、市区町村での脱退手続きが必要になります。目安は一般に1年以上の滞在とされますが扱いは自治体で異なりますので、休学期間が決まった時点で窓口にご確認ください。
なお、現地で受診したときに使える海外療養費は、急な病気やけがでやむを得ず受診した場合が対象で、治療を目的に渡航して受診した場合は支給されません。支給額も現地で払った実費ではなく、日本国内で同じ傷病を治療した場合の費用が基準になります。診療内容明細書と領収明細書に日本語訳を添える必要があり、請求の時効は支払った日の翌日から2年です。差額は自己負担になりますので、留学保険は別途ご用意ください。
マレーシア側の費用は「期間」でほぼ決まる
マレーシアでの費用は、学校よりも滞在期間と住まいのエリアで決まります。単身でクアラルンプールに滞在する場合の目安が下の表です。授業料は学校・コースによって幅が大きく、公式サイトで公開していない学校も多いため、ここでは生活にかかる費用だけを分けて示します。
| 期間 | 家賃+生活費+航空券の目安 | 別途かかるもの |
|---|---|---|
| 3か月(休学せずに行ける上限に近い) | 約51〜70万円 | 授業料 |
| 6か月(半期休学) | 約100〜130万円 | 授業料+在留手続き 約4〜5万円 |
| 12か月(1年休学) | 約190〜250万円 | 授業料+在留手続き 約4〜5万円 |
※為替はマレーシア中央銀行(BNM)の公表レートをもとに RM1≒38.7円(2026年8月時点)で換算した概算です。レートは日々変動しますので、ご自身で見積りを作るときは最新の値でご確認ください。家賃・生活費は、クアラルンプールの生活費データベース(Numbeo・2026年8月時点)の1ベッドルーム都心RM2,600/郊外RM1,495、家賃を除く単身の月額RM2,468をもとに計算しています。二次情報のうえ、外食中心か自炊かでも大きく変わります。航空券は往復6〜12万円で1回分を計上。授業料・保険料・日本側の在籍料は含みません。
参考までに、マレーシア統計局の家計調査(2024年)では世帯あたりの平均月間消費支出がRM5,566(2022年はRM5,150)と公表されています。日本人留学生の生活水準がそのまま平均世帯と同じになるわけではありませんが、現地の物価感をつかむ基準にはなります。
授業料の桁感は「語学学校か、大学のプログラムか」で違う
表に入れなかった授業料も、目安はあります。クアラルンプールの語学学校で公式サイトに料金を公開している例では、平日夜または土曜のパートタイムコース(全20時間分・約3か月)が1レベルあたりRM530〜580、登録料RM50、教材費RM70〜150という水準です。日本円ではレベルあたり約2〜2.2万円になります。
ただしこれはパートタイムの料金で、学生パスの申請対象になるのはフルタイムのコースです。フルタイムの集中コースの料金を公式サイトで公開していない学校は多く、授業時間が大幅に増えるぶん料金も相応に上がります。ここは推測せず、学校から直接お見積りを取り寄せてください。
大学のプログラムは料金を公開している例があり、2週間のサマープログラムをUSD1,900(最少催行10名)で案内している大学もあります。滞在費込みか授業料のみかはプログラムによって違うため、比較するときは必ず内訳をそろえてください。
授業料に6%のサービス税が乗る
見積りを読むときに欠かせないのがサービス税(SST)です。SSTはマレーシアの売上・サービス税で、2025年7月1日から教育サービスが課税対象に含まれました。標準税率は8%ですが、教育サービスは官報の第一附則第13号に挙げられており、適用されるのは6%です。
誰にかかるかも決まっています。語学センターと高等教育機関については、課税されるのが非マレーシア国民への提供とされており、インターナショナルスクールのような金額のしきい値はありません。つまり日本人の留学は、金額の大小にかかわらず6%が乗る側です。一方で、書籍代・学生寮の寮費・食費・交通費・学校が請求するビザ関係の費用は免税の対象として示されています。見積り全体に一律6%を掛けると多く見積もることになりますので、「この金額はSST込みですか」と一言確認しておくと安心です。
総額に一番効くのは、実は授業料ではなく住まいです。同じクアラルンプールでも、都心と郊外で1ベッドルームの家賃は倍近く変わります。1年の休学留学なら、月3万円の差がそのまま36万円の差になります。
学生の方には、最初の1〜2か月だけサービスアパートメントやシェアで入り、通学ルートと治安を自分の目で確かめてから本契約に移る組み方をご案内することが多いです。エリアごとの相場はクアラルンプールの家賃相場の記事、日常の物価感はマレーシアの物価の記事で個別に整理しています。
ビザは3か月で変わる/現地でアルバイトはできるのか
手続きは、滞在が3か月を超えるかどうかで別物になります。日本国籍の方は観光・商用目的での入国にビザが不要とされ、在東京マレーシア大使館が公表している入国要件表では、到着時に付与される期間が3か月(おおむね90日)、延長の欄は「-」と記載されています。実際に付与される日数は入国審査官の判断によります。延長できる前提では書かれていないため、「とりあえず入国して足りなければ延ばす」という組み立てはできません。
3か月を超える場合は、学生パスなどの在留資格が必要になると案内されています(プログラムの性質によって扱いが変わる場合があります)。実際に、マレーシアの大学が公開している留学生向けの案内では、2〜12週間の短期プログラムはSocial Visit Pass(社交訪問パス)、3〜12か月の長期モビリティは学生ビザとして区分されています。2週間のサマープログラムについてもSocial Visit Passで受け入れると明記している大学があります。
※「3か月未満なら在留資格が不要」と明示した入国管理局・EMGSの公式の一文は確認できていません。上記は各大学が公開している運用にもとづく整理です。実際にどの区分になるかは受け入れ校のプログラムによって変わりますので、出願前に在籍予定校のビザ担当窓口、または留学エージェントを通してご確認ください。
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| 比べる点 | 3か月以内で行く | 3か月を超えて行く |
|---|---|---|
| 日本の大学 | 休学せずに行ける場合がある | 休学が前提になりやすい |
| 在留資格 | Social Visit Pass | 学生パス(Student Pass) |
| 申請の方法 | 入国時の手続きのみ | 学校を通じて申請(本人の直接申請は不可) |
| 入国前の手続き | MDACの提出 | MDACの提出+ビザ(SEV)の取得 |
| 手続きの実費 | ほぼ不要 | 概算 約4〜5万円(保険料別) |
| 準備期間 | 短い | 出発の30日前までの申請が推奨 |
| アルバイト | 不可 | 在籍先の区分による(下記) |
日本国籍は、eVALが出てもビザの取得が別に必要
学生パスの手続きで見落とされやすいのがこの点です。EMGSは入国前にSingle Entry Visa(一回入国ビザ。以下SEV)の取得が必要な国のリストを公表しており、日本はそこに含まれています。eVAL(電子ビザ承認レター)が発行されただけでは入国できず、そのうえでビザを取る工程が別に入ります。観光で入国するときのビザ免除とは別の手続きだと理解しておくと混乱しません。
もうひとつ、入国前のMDAC(マレーシア・デジタル・アライバル・カード)は提出日を含めて到着前3日以内しか登録できません。それより前には受け付けられません。準備を前倒しにするタイプの方ほど早く済ませようとして弾かれますので、出発直前のタスクとしてカレンダーに入れておいてください。登録の手順はマレーシアMDAC登録方法の記事で画面に沿って解説しています。
保険も学生パスの要件に入っています。マレーシア入国管理局は、個人補償があり補償期間が12か月以上の医療保険証券を求めており、マレーシアの保険でも、マレーシアで有効と認められる海外の保険でもよいとしています。半年の休学留学であっても保険は12か月分が必要になる場合がある、という点はお見積りに影響しますので、早い段階で学校に確認してください。
アルバイトの可否は「大学か、語学学校か」で分かれる
ここは休学留学の資金計画に直結します。マレーシア入国管理局の案内では、公立大学または私立高等教育機関の学生パス保持者に、飲食店・ガソリンスタンド・ミニマーケット・ホテル・大学構内など限られた場所で週20時間までの就労が認められる仕組みがあります。ただし同じページでも、マレー語版は学期休みや祝祭休暇の期間に限ると書かれており、英語版の「在学期間中」という記載と表現が一致していません。実際に働けるかどうかは在籍校のビザ担当窓口を通してご確認ください。一方で、語学センター・訓練/技能センター・認定センターの区分で学生パスを取得した人は、この措置の対象に含まれていません。
つまり「休学して語学学校に通いながら現地で稼ぐ」という組み立ては成立しません。大学に在籍する場合も、学校経由での申請と入国管理局の許可が前提で、フロント業務や学生募集エージェントとしての就労は禁止されています。語学学校を選ぶ場合は就労が認められないため、現地でのアルバイト収入をあてにした資金計画は避け、原則として渡航前に必要な総額をご用意いただく前提で組まれることをおすすめします。
「3か月か、半年か」から一緒に整理しませんか?
ご希望の期間・予算・英語力をうかがって、休学が必要かどうか、
どの形なら現実的かを現地スタッフが個別に整理します。
単位は認定されるのか(大学設置基準の2つの条文)
単位認定の可否は「留学先が外国の大学かどうか」で入口が変わります。ここを知らないまま語学学校を選ぶと、1年休学したのに単位がゼロという結果になりかねません。
大学設置基準の第28条は、他の大学等で修得した単位を60単位を超えない範囲で自大学の単位として認定できると定めており、同条第2項で、学生が外国の大学・外国の短期大学に留学する場合にこの規定を準用すると明記しています。つまり外国の大学に留学する場合には、制度上の枠組みが用意されています。
一方、大学以外の教育施設等における学修は第29条の別枠です。認められるのは短期大学・高等専門学校の専攻科における学修のほか「文部科学大臣が別に定める学修」とされ、第28条で認定した単位と合算して60単位を超えないという上限がかかります。語学学校がこの「別に定める学修」に含まれるかどうかは告示の内容によるため、一律には言えません。
実務上の結論はシンプルです。単位を取りたいならマレーシアの大学の正規科目やモビリティプログラムを選ぶ、英語力を上げることが目的なら単位は期待せず休学期間を短く区切る。どちらを選ぶにしても、休学届を出す前に在籍大学の教務課へ「この学校のこのコースは認定対象になりますか」と具体名で照会してください。渡航後に遡って認定されることは、まずありません。
就職活動のスケジュールから帰国時期を逆算する
休学を決める前に押さえておきたいのが、帰国の時期が就職活動の開始に間に合うかです。政府が2025年12月に示した2027年度卒業・修了予定者の日程では、広報活動の開始が卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降、採用選考活動の開始が卒業・修了年度の6月1日以降、正式な内定日が10月1日以降とされています。
この日程から逆算すると、休学を挟んでも卒業年度に入る前年の冬(2月)までに帰国していれば、広報活動の解禁に間に合う計算になります。1年休学して3年次相当を終えた状態で戻る場合、帰国が2月なら翌月からの動きに参加できます。夏のインターンシップまで含めて考えるなら、さらに半年前倒しの見立てが必要です。
もう一点、帰国時期を考えるうえで無視できないのがインターンシップです。同じ政府の文書には、2週間以上の専門活用型インターンシップに参加した学生については、採用選考活動の開始時期の例外が従前どおり適用されると脚注が付いています。従前の扱いでは、3月の広報活動開始以降であれば6月を待たずに内々定を出せるとされていました。このタイプのインターンシップは卒業年度の前年の夏から冬にかけて実施されることが多いため、「3月に間に合えばよい」と考えていると、実質的な入口をひとつ逃す可能性があります。休学の期間を決める段階で、帰国後に参加したいインターンシップの時期まで一緒に並べておくと判断がぶれません。
※2028年度(2029年3月)卒業・修了予定者以降の日程については、見直しの検討を進めると政府の文書に記載されており、本記事の作成時点で決定文書は公表されていません。ご自身の卒業年度の日程は、内閣官房の公表資料で最新のものをご確認ください。
「休学は就活に不利か」については、有利・不利を示す公的な統計は確認できていません。ただし文部科学省の令和6年度の調査では、大学の休学者は68,239人(休学者割合2.70%)でした。休学理由(単一選択)の内訳は「その他」が26.7%で最も多く、それを除くと「海外留学」が13.8%で最多、次いで精神疾患13.0%、経済的困窮11.7%と続きます。休学して留学することは、統計の上では珍しい選択ではありません。
※休学理由の内訳は、大学・短期大学・大学院・高等専門学校を合わせた数値です(休学者割合2.70%・68,239人は大学単独の数値)。
就職活動の話で学生の方にお伝えしているのは、「何か月行ったか」より「何を決めて行ったか」が問われる、ということです。マレーシアは多民族・多言語の環境で、同じ教室にマレー系・華人系・インド系の学生と、中東やアフリカからの留学生が一緒にいることも珍しくありません。
この環境をどう使ったかは、帰国後に自分の言葉で説明できる材料になります。逆に、日本人だけで固まって過ごした1年は期間の長さでは埋められません。ご家族に説明されるときも、期間ではなく計画の中身を軸にされるほうが話が進みます。
奨学金は「協定があるか」でほぼ決まる
先にお伝えすると、協定によらない個人手配の休学留学は、公的な奨学金の対象になりにくいのが実情です。日本学生支援機構(JASSO)の海外留学支援制度(協定派遣)は、学生交流に関する協定等にもとづき大学等に在籍したまま8日以上1年以内の期間で派遣するプログラムが対象で、公式サイトには学生個人での派遣プログラムの申請はできないと明記されています。
もうひとつの選択肢であるトビタテ!留学JAPANの大学生等向けプログラムは、本記事の作成時点で第19期の募集要項が未掲載です。公式サイトには2026年秋頃に掲載を予定すると案内されていますので、時期が来たらご自身でご確認ください。
現実的な第一手は、在籍大学の国際交流課で「大学独自の給付」と「マレーシアの協定校の有無」をまとめて聞くことです。協定校があれば①の交換留学に切り替えられる可能性があり、その場合は休学せずに行けて奨学金の対象にもなります。休学を決める前に、この確認だけは済ませてください。
休学留学でつまずきやすい4つ
ご相談をお受けする中で、「先に知っておきたかった」と言われることの多い4点です。
1. 休学届の締切を、渡航日より後に考えてしまう
学費の扱いは提出日で決まります。期日を過ぎると全額徴収と定めている大学もあるため、学校選びより先に締切を確認するのが正しい順番です。
2. 語学学校を選んでから、単位にならないと気づく
単位認定の枠組みが明確なのは外国の大学に留学する場合です。目的が単位なのか英語力なのかを先に決めてから、学校の種類を選んでください。
3. 在留資格を自分で申請できると思っている
学生パスは学校を通じて申請する仕組みで、本人がオンラインで直接申請することはできません。受け入れ校が決まらないと手続きが始まらないため、逆算すると出願の締切が想像より早くなります。
4. 現地のアルバイト収入を資金計画に入れてしまう
就労が認められるのは限られた区分の学生パス保持者だけで、しかも学校経由の申請と許可が前提です。総額は渡航前に用意する前提で組んでください。
動き出す時期と、渡航までの流れ(6ステップ)
3か月を超える留学では、渡航の4〜6か月前から動き始めるのが現実的です。学生パスの申請が出発の30日前までを推奨とされていること、そこから逆算して出願・入学許可・SEVの取得が必要になることが理由です。
期間と目的を決める(渡航6か月前〜)
単位が欲しいのか、英語力なのか。3か月以内に収めるか超えるか。ここが決まらないと学校もビザも決まりません。
在籍大学に3点を確認する
マレーシアの協定校の有無/休学届の締切と在籍料/単位認定の可否。国際交流課と教務課の両方に聞きます。
学校とコースを決め、出願する
留学生の受け入れ状況は時期によって変わります。見積りはSST込みかどうかまで確認します。
入学許可とビザの手続き(渡航2〜3か月前)
学校を通じて学生パスを申請し、eVAL発行後にSEVを取得します。出発30日前までの申請が推奨されています。
日本側の手続きを片づける
休学届の提出、健康保険の被扶養者の手続き、国民年金の扱い、留学保険の加入。住民票をどうするかもここで決めます。
渡航直前・渡航後
MDACは到着3日前から登録します。到着後は住まいの本契約と、現地での生活の立ち上げに進みます。
休学するかどうかの判断から、ご相談いただけます
期間・費用・単位・帰国時期をまとめて並べたうえで、
ご自身にとって現実的な組み方を現地スタッフが整理します。
よくある質問
大学生がマレーシアに留学するのに、休学は必要ですか?
期間によります。日本国籍の方は観光・商用目的であれば到着時に3か月(おおむね90日)の滞在が認められるとされており、夏休みや春休みの2〜8週間なら休学せずに行けます(実際に付与される日数は入国審査官の判断によります)。一方、3か月を超える滞在は現地で学生パスなどの在留資格が必要になり、日本の大学の授業とも重なるため、休学または大学の交換留学制度を使うのが一般的です。まず「何か月行きたいか」を決めると、休学が要るかどうかが自動的に決まります。
休学すると日本の大学の学費はどうなりますか?
大学によって大きく異なります。国立大学では休学期間の授業料を月割で免除する例がある一方、学期の開始後に休学が認められた場合は減額しないと案内している大学もあります。私立大学では授業料を免除したうえで在籍料を徴収する形が多く、公開されている金額には1学期5,000円の例から半期67,000〜85,500円の例まで幅があります。さらに、休学届の期日を過ぎると所定の学費を全額徴収すると定めている大学もあるため、金額よりも先に締切を確認してください。
休学中のマレーシア留学でも単位は認定されますか?
留学先の種類と、在籍大学の判断によります。大学設置基準第28条は、外国の大学・短期大学に留学して修得した単位を60単位を超えない範囲で認定できると定めています。つまり制度上の枠組みがあるのは「外国の大学」に留学する場合です。語学学校などの大学以外の教育施設での学修は第29条の別枠で扱われ、認められる学修の範囲は文部科学大臣が別に定めるとされています。語学学校が含まれるかは在籍大学の運用によって変わるため、休学届を出す前に教務課へご確認ください。
休学して留学すると就職活動で不利になりますか?
有利・不利を示す公的な統計は確認できていないため、断定はできません。ただし文部科学省の令和6年度の調査では、大学の休学者は68,239人(休学者割合2.70%)でした。休学理由(単一選択)は「その他」26.7%を除くと「海外留学」13.8%が最も多く、次いで精神疾患13.0%、経済的困窮11.7%です(理由の内訳は大学・短期大学・大学院・高等専門学校を合わせた数値)。休学して留学すること自体は珍しい選択ではありません。実務上は、卒業年度がずれることで就職活動の年度も1年ずれる点の整理が重要です。2027年度卒業・修了予定者の日程では、広報活動の開始が卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降、採用選考活動の開始が6月1日以降とされています。
休学して留学する場合、奨学金は使えますか?
日本学生支援機構(JASSO)の海外留学支援制度(協定派遣)は、大学間の協定等にもとづき在籍したまま派遣するプログラムが対象で、学生個人での申請はできないと案内されています。そのため、協定によらない個人手配の休学留学は対象外になります。トビタテ!留学JAPANの大学生等向けプログラムは、2026年9月時点で第19期の募集要項が未掲載で、公式サイトでは2026年秋頃に掲載を予定すると案内されています。大学独自の給付や地方自治体の制度が使える場合があるため、在籍大学の国際交流課への確認が現実的な第一手です。
留学中に現地でアルバイトはできますか?
留学先の種類によって扱いが違います。マレーシア入国管理局の案内では、公立大学または私立高等教育機関の学生パス保持者には、飲食店・ガソリンスタンド・ミニマーケット・ホテル・大学構内など限られた場所で週20時間までの就労が認められる仕組みがあります。一方、語学センター・訓練/技能センター・認定センターの区分で学生パスを取得した人は、この措置の対象に含まれていません。ただしマレー語版の案内は学期休みや祝祭休暇の期間に限ると読める書き方で、英語版の「在学期間中」という記載と一致していません。いずれの場合も学校経由での申請と入国管理局の許可が前提で、フロント業務や学生募集エージェントとしての就労は禁止されています。収入をあてにした資金計画は立てないでください。
主な参照元(2026年9月24日確認)
- 大学設置基準(第28条・第29条)/e-Gov法令検索
- 文部科学省「令和6年度 学生の中途退学者・休学者数の調査結果について」
- 内閣官房「2027年度卒業・修了予定者の就職・採用活動日程に関する考え方」(令和7年=2025年12月26日決定)
- 日本年金機構「国民年金保険料 学生納付特例の申請について」/「任意加入制度」/被扶養者の国内居住要件(海外特例要件)に関するお知らせ
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)「海外療養費」
- 日本学生支援機構「海外留学支援制度(協定派遣)」/トビタテ!留学JAPAN 新・日本代表プログラム(大学生等向け)
- 各国立大学・私立大学の学費規程および休学に関する公式ページ(秋田大学・鹿児島大学・立命館大学・京都産業大学・早稲田大学)
- マレーシア入国管理局(imi.gov.my)Student Pass ページ/MDAC 案内
- 在東京マレーシア大使館 ビザ案内/マレーシア政府観光局 入国情報
- EMGS「SEV Required Countries」/Schedule of Fees(visa.educationmalaysia.gov.my)
- マレーシアの大学が公開する短期・長期モビリティプログラムの受け入れ案内(Sunway University/Taylor's University)
- マレーシア関税局 サービス税ガイド/Service Tax Policy No.4/2025(Amendment No.2)/官報 P.U.(A) 172・173(2025年)
- マレーシア統計局(DOSM)「Household Expenditure Survey Report 2024」(2025年10月8日公表)
- Numbeo クアラルンプール生活費データ(2026年8月時点・二次情報)
※費用・制度・税率・日程は改定されます。本記事は公開情報を整理したものであり、出願・休学届の提出・ビザ申請の判断は、在籍大学および各公式情報、必要に応じて専門家への確認のうえで行ってください。