結論から申し上げます。社員の海外研修に直接使える助成金は、2026年8月現在ほとんど存在しません。日本の企業内研修の柱である人材開発支援助成金は、支給要領で「海外で実施するもの(海外研修 等)」を助成対象外と明記しているためです。例外は実質2つで、いずれも受講者本人の渡航費・宿泊費は助成の対象になりません。この記事では、その根拠となる条文と、数少ない例外、そして検索結果に残り続けている廃止済み制度への注意点を整理します。なお実際の支給可否は、計画の内容にもとづいて管轄の労働局などが個別に判断します。
結論:海外研修に直接使える助成金は原則ない
社員を海外へ送る研修について、費用の一部を国が負担してくれる制度は、現行ではほぼ用意されていません。企業内研修の助成として最も規模が大きい厚生労働省の人材開発支援助成金が、海外での実施を正面から除外しているためです。
「ほぼ」と書いたのは、例外が2つあるからです。ひとつは海外の大学院に社員を派遣する場合、もうひとつは経済産業省の補助事業であるAOTSの専門家派遣です。どちらも一般的な語学研修や現地視察には使えません。
そしてもう一点、御社の予算計画に直結する事実があります。受講者本人の渡航費と宿泊費は、企業内研修の助成では対象外とされるのが通例です。海外研修の費用のうち最も大きな塊がここなので、仮に助成が下りても金額のインパクトは限定的だとお考えください。
私たちがマレーシアで法人の研修をお手伝いしていて、最初に確認されるのがこの助成金の話です。ところが調べ始めると、検索上位に出てくる解説記事が10年前の制度を紹介していて、社内の稟議が途中で止まってしまう——というご相談を何度かいただきました。
そのため私たちは、まず「助成金は基本的に出ない」という前提で予算を組み、そのうえで渡航先と日程で総額を下げる方向をご提案しています。制度を待つより、先に費用の構造を分解したほうが早く着地するためです。
なぜ対象外なのか(支給要領の条文)
根拠は明快です。厚生労働省の人材開発支援助成金の支給要領には、助成対象とならない訓練の実施方法を列挙した表があり、そこに次の一項があります。
「海外、洋上で実施するもの(洋上セミナー、海外研修 等)」——「海外研修」という語がそのまま除外項目に書かれています。この条項は主力の人材育成支援コースと事業展開等リスキリング支援コースでは例外なしで適用されます。つまり研修の中身が業務に直結していても、実施場所が海外であれば落ちます。
語学研修の場合は、さらにもう一枚壁があります。同じ支給要領の別表には、趣味教養として除外される例に「日常会話程度の語学の習得のみを目的とする講習」が挙げられています。海外の語学学校への派遣は、実施場所と目的の両方で除外に触れやすい形になります。
※本記事の記述は、厚生労働省が公表している令和8年8月3日版の支給要領およびパンフレットにもとづきます。同助成金は令和8年度だけで複数回の改正が入っており、条文は今後も変わり得ます。申請を検討される際は、必ず最新版と管轄の都道府県労働局でご確認ください。
ケース別の可否|5類型で判定する
ご担当者さまが実際に検討される研修の形を5つに分け、人材開発支援助成金の対象になるかを整理しました。判定は上記の支給要領にもとづく編集部の読み解きで、最終的な可否は労働局の判断になります。
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| 研修の形 | 助成対象 | 主な理由 | 次に見る制度 |
|---|---|---|---|
| 海外の大学院に派遣 | ○ 条件付き | 人への投資促進コースで例外扱い | 下の「例外①」 |
| 海外の語学学校へ派遣 | × 難しい | 海外実施+語学の目的要件で二重に除外 | 国内研修に置換 |
| 海外拠点でのOJT | × 難しい | 海外実施として除外 | 下の「例外②」 |
| 海外視察・展示会 | × 難しい | 訓練にあたらず、海外実施でも除外 | 自治体の海外展開支援 |
| 国内から受ける海外講師の講義 | △ 要問合せ | 実施場所が国内なら通常の訓練として検討可 | 人材育成支援コース |
この表で押さえていただきたいのは、境目が「研修の質」ではなく「実施場所」で引かれている点です。同じカリキュラムでも、国内で実施すれば検討の土俵に乗り、海外で実施すれば外れます。設計の順番を変えるだけで結論が変わるということでもあります。
ここから当然出てくるのが、「では海外の講師とオンラインでつなぐ研修はどうなるのか」というご質問です。受講する社員が国内にいる以上、実施場所は国内と整理できる可能性がありますが、同時双方向で受講する形式か、録画教材を視聴するeラーニング形式かで求められる要件が変わります。オンラインを前提に組む場合は、計画届を出す前に労働局へ形式ごと相談されるのが確実です。
例外①:海外の大学院に社員を派遣する場合
海外実施でも助成の対象になり得る唯一のコースが、人への投資促進コースです。条件は次の3点に集約されます。
- 対象コースは人への投資促進コースの「成長分野等人材訓練」または「自発的職業能力開発訓練」
- 対象分野はデジタル系・理工学系、または別紙に指定された15校の経営分野(MBA等)
- 受講者は学士以上の学位・TOEFL iBT 100点(IELTS 7.0)以上・累積GPA 3.00以上
厚生労働省のパンフレットにも、コース選択の案内として「海外の大学院を含む大学院での訓練」はこのコースにあたる旨が図示されています。ルートは2つあります。
| 比較項目 | 成長分野等人材訓練 | 自発的職業能力開発訓練 |
|---|---|---|
| 経費助成率 | 75%(企業規模を問わず) | 45%(賃金要件の達成で+15%) |
| 1人1年あたりの限度額 | 500万円(国内の大学院は150万円) | 200万円(国内の大学院は60万円) |
| 1事業所・1年度の上限 | 1,000万円 | 300万円 |
| 賃金助成 | 1,000円/人・時間 ※国内の大学院を利用した場合に助成 | なし |
※出典は厚生労働省「人材開発支援助成金(人への投資促進コース)」の支給要領・パンフレット(令和8年8月3日版)。なお成長分野等人材訓練を除く人への投資促進コース全体には、支給額の合計2,500万円という上限が別途かかります。金額・助成率は改正され得ます。
数字だけ見ると魅力的ですが、実務のハードルは高めです。まず対象分野が3つに限定されています。デジタル技術によるビジネスモデル変革に関わる分野(情報科学・情報工学系)、クリーンエネルギー・バイオ・宇宙などの先端技術分野(理工学系)、そして経営に関する分野です。
このうち経営分野だけは、支給要領の別紙に列挙された15校のMBAプログラムに限られます。ハーバード、スタンフォード、MIT、ロンドン・ビジネス・スクールなどが並ぶ一方、著名校でもリストにないものがあります。逆に、情報系・理工学系の分野には校名リストによる限定がかかっていません。御社が検討中の学校と分野の組み合わせは、必ず最新の別紙でご確認ください。
次に、海外の大学院で訓練を受ける場合は、受講する社員本人にも要件が課されます。これは大学院側の出願条件ではなく、支給要領が支給対象労働者の条件として定めているものです。具体的には学士以上の学位を持つこと、英語ならTOEFL iBT 100点またはIELTS 7.0以上(英語以外はCEFR C1レベル以上)、そして累積GPA 3.00以上(4.00満点)です。この3点は上の表の2ルートに共通して適用されます。
自発的職業能力開発訓練のほうには、さらに制度面の条件が加わります。事業主が訓練経費の2分の1以上を負担し、その額を通貨により直接本人へ支払うこと(事業主が教育訓練機関へ直接支払う場合を除く)、そして制度を定めた就業規則または労働協約を制度施行日までに周知していることが求められます。
もうひとつ、期日の面で見落とされやすい点があります。人への投資促進コースは「令和8年度末までの時限措置」とパンフレットに明記されています。令和9年度以降に延長や後継制度があるかは、2026年8月時点で公表されていません。
海外の大学院は出願から入学まで1年前後かかることも珍しくありません。制度の期限と入学時期の関係は、計画の初期に押さえておかれることをおすすめします。
例外②:AOTS専門家派遣(渡航費が出る数少ない制度)
渡航費・宿泊費が補助対象に含まれる制度として、一般財団法人 海外産業人材育成協会(AOTS)の専門家派遣事業があります。経済産業省の補助事業で、航空賃・外国日当・外国宿泊料・滞在費が補助対象です。航空券はAOTSがeチケットとして交付する形をとり、予防接種費用・査証料などの渡航雑費も対象に含まれます。渡航費が出る制度はほとんどないため、この点は例外的です。
ただし目的が明確に限定されています。この制度は、出資または取引関係にある海外の現地子会社などに対し、日本の企業が自社の従業員を「専門家」として送り、技術指導や人材育成を行うための枠組みです。社員本人が現地で学ぶ語学研修や、幹部候補の見識を広げる目的の海外派遣は、この事業の想定ではありません。
また、条件を調べるときに事業スキームの取り違えが起きやすい点にご注意ください。専門家派遣は経済産業省の事業スキームごとに2種類あり、対象国・業種・補助率・人月上限がそれぞれ異なります。
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| 比較項目 | アジア等ゼロエミッション化 人材育成等事業 | 技術・人材協力を通じた 新興国との共創推進事業 |
|---|---|---|
| 対象国 | アジア・中東の国/地域 | 開発途上国(DACリスト記載) |
| 対象業種 | 製造業全般 | 業種の限定表記なし(個別確認) |
| CO2削減効果の提示 | 必須(定量的に説明) | 要件なし |
| 補助率 | 中堅・中小 1/2 大企業 1/3 | 中小 2/3 大企業 1/3〜1/2 |
| 人月の上限 | 1社あたり原則25人月 | 1社あたり原則20人月 |
両スキームに共通する要件は、派遣期間が原則1〜12か月であること、派遣される方が審査時点で満25〜69歳であること、指導先と資本関係または商取引関係があることです。加えて派遣費総額の10%を派遣実施分担金として企業が負担します。申請は随時受け付けられています。
なお、若手社員を対象にしたジュニア専門家派遣(国庫補助事業)という枠もあります。対象は原則21歳以上40歳以下で業務経験3年以上の方、派遣期間は2週間から12か月です。指導が主目的である点は変わりませんが、指導先企業の業務に従事しながら行うインターンシップ活動が内容として位置づけられており、現地情報の収集や現地企業への訪問・視察が例示されています。「学ぶ」要素を含む派遣を検討されるなら、この枠が最も近い選択肢です。
ただしこちらも、派遣先はOECD-DACが定めるODA対象国・地域に限られ、補助率は開発途上国で3分の2、後発開発途上国およびアフリカで全額という区分になります。加えて国庫補助対象経費総額の10%は派遣実施分担金として企業負担です。
ちなみにAOTSには研修事業もありますが、こちらも同じ向きです。海外研修は日本から講師を送って現地従業員を教育するための事業で、日本人は教える側にあたります。日本に招く受入研修は、研修生の資格要件が現地法人に雇用されている方となっています。日本人社員が海外で学ぶこと自体を目的にした補助メニューは、ここにも用意されていません。
※要件・補助率はAOTSが公開している2026年度の手引および公式サイトにもとづきます。年度ごとに改定されるため、詳細はAOTSへ直接ご確認ください。
お金は出ないが使える無償支援
助成金という形での現金は出ないものの、専門家の知見を無料で使える公的支援はあります。海外研修そのものの費用は下がりませんが、企画段階のコストは確実に下がります。
| 支援名 | 実施主体 | 内容と注意点 |
|---|---|---|
| 新輸出大国コンソーシアム (ハンズオン支援) | JETRO | 専門家による伴走支援を無料で利用できます。専門家が出張同行する場合の出張費もJETRO負担です。ただし負担されるのは専門家側の費用で、御社の社員の渡航費は対象外です。利用には審査があります。 |
| 中小企業海外ビジネス人材育成塾 | JETRO | 受講は無料です。ただし国内開催(オンラインと対面)で海外渡航はありません。海外研修の代替として国内で人材を育てる選択肢になります。 |
| グローバル組織・人財支援デスク | 東京都中小企業振興公社 | 相談は無料ですが金銭的な助成はありません。都内の中小企業が対象で、1事業者あたり原則3回・1回2時間までという運用です。 |
自治体の助成金にも触れておきます。東京都や兵庫県などが海外展開向けの助成を用意していますが、対象経費は展示会の出展料・輸送費・通訳費など「販路開拓」に紐づく費目が中心です。研修目的の渡航費を対象にしている例は多くありません。名称に「海外」と入っていても、社員教育に使えるとは限らない点にご注意ください。
なお東京都には「中小企業の外国人従業員に対する研修等支援助成金」がありますが、これは国内で働く外国人従業員への日本語教育などが対象で、日本人社員の海外派遣とは方向が逆の制度です。名称が似ているため取り違えが起きやすい制度です。
検索に残る「廃止済み制度」への注意
この分野で最も注意していただきたいのが、すでに終了した制度が今も検索結果の上位に残っていることです。実際に「海外研修 助成金」で上位に出る法人向け解説記事のうち、複数が10年前後前の情報のまま更新されていません。
| 制度名 | 現在の状況 |
|---|---|
| 海外進出支援奨励金 (日本再生人材育成支援事業) | 終了済み。厚生労働省のリーフレット原本に「平成25年度末までの事業」と明記されています。「授業料が年間最大100万円」といった記述はこの制度のもので、現在は使えません。 |
| キャリア形成促進助成金 | 改編済み。平成29年4月1日に人材開発支援助成金へと再編されました。 |
| グローバル人材育成訓練 | 現存しません。過去に特定訓練コースのメニューとして紹介されていましたが、現行の支給要領には見当たりません。 |
見分け方はシンプルです。記事の公開日と更新日を必ず確認し、制度名は厚生労働省または実施機関の公式サイトで引き直すこと。この2手間をかけるだけで、古い情報にもとづく稟議が差し戻されるリスクは大きく下がります。
申請実務で落ちやすい点
仮に対象になる研修を設計できたとしても、手続きの段階でつまずく企業は少なくありません。人材開発支援助成金のパンフレットと支給要領から、特に落ちやすい点を順にまとめます。
事前の計画届を出し忘れる
職業訓練実施計画届の提出期間は、訓練開始日の6か月前から1か月前までです。研修が始まってからの申請はできません。カリキュラムの確定と見積の取得にも時間がかかるため、渡航予定日の3〜4か月前には設計と労働局への事前相談を始めておくと安全です。
社内の下準備が間に合わない
計画届の提出日までに、職業能力開発推進者の選任と、事業内職業能力開発計画の策定・周知を終えている必要があります。雇用保険適用事業所であることも前提です。
訓練時間が足りない
1コースあたり10時間以上という下限があります。短時間のセミナーを積み上げても、1コースとして成立しなければ対象になりません。
旅費・宿泊費を見積に入れてしまう
受講者の旅費や宿泊費は「訓練等に直接要する経費以外のもの」として対象外です。海外研修では総額の大半を占める費目なので、期待値の調整が必要です。
資金繰りを読み違える
経費は支給申請までに企業が全額負担済みであることが要件です。つまり一度は全額を立て替えます。支給申請は訓練終了日の翌日から2か月以内で、入金はさらに後になります。
受講者に費用を負担させる
訓練費用の一部でも労働者に負担させると、賃金助成を含めて支給されない扱いになります。福利厚生的に自己負担を求める設計は避けてください。
対象にならない人を数える
助成の対象は雇用保険の被保険者です。役員や個人事業主本人は被保険者ではないため、対象から外れます。
賃金要件による割増を狙う場合は、人材育成支援コースで訓練終了日の翌日から1年以内に、対象労働者全員の毎月の賃金を5%以上引き上げることが求められます(資格等手当による要件は3%以上)。研修の予算だけでなく、賃金制度の設計とセットで判断する話になります。
最後に、不正受給の扱いにも触れておきます。不正が認定されると5年間の不支給措置に加え、返還額に年3%の延滞金と20%の違約金が課され、企業名が公表される場合があります。関係書類は支給決定後5年間の保管が必要で、事前連絡なしの事業所訪問調査もあります。「対象になるか怪しい」まま申請するのは避け、労働局に事前相談されることを強くおすすめします。
助成金が使えないときの現実的な設計
助成金が前提にならないとすると、海外研修の予算はどう組めばよいのでしょうか。私たちが法人のご担当者さまにお伝えしている考え方は3つです。
1. 渡航する部分と国内で完結する部分を分ける
事前学習・事後の振り返り・オンラインでの講義を国内側に寄せ、現地でしかできない体験に渡航期間を絞る設計です。国内で実施する部分だけを助成対象の研修として組み立てられる余地が生まれますし(たとえば国内での語学座学や異文化理解の講義を人材育成支援コースで申請する形)、渡航日数そのものが短くなるため総額も下がります。
2. 渡航先の物価と航空券の水準で総額を決める
助成が出ない以上、コストを左右するのは渡航費と現地滞在費です。同じ日数・同じ内容でも、渡航先が変われば総額は大きく変わります。ここが実務上いちばん効く変数です。
3. 税務上の取り扱いを顧問税理士に確認する
業務に必要な研修費用は損金として処理できるのが一般的ですが、海外渡航を伴う場合は観光的要素の按分など判断が分かれる論点があります。教育訓練費に関する税制上の優遇措置も年度改正の対象になりやすい分野です。金額の大きい研修ほど、実施前に顧問税理士へご相談ください。
マレーシアが法人研修の渡航先として選ばれる理由は、まさに2つ目の変数にあります。日本から直行便で約7時間と近く、英語が広く通じる環境でありながら、欧米圏に比べて滞在費を抑えられます。1名あたりの実費は渡航時期・滞在都市・宿泊のグレードで大きく変わるため、私たちは個別に試算をお出ししています。
助成金が出ない前提で予算を組むなら、「どこで実施するか」が最大の削減余地になります。私たちは費用の内訳を分解したうえで、日程の組み方まで含めてご相談を承っています。
助成金が使えない前提で、予算をどう組むか
費用の内訳の分け方、国内研修との組み合わせ方、現地の受入先事情や日程の考え方について、
クアラルンプールに拠点を置くスタッフがご相談を承ります。
よくある質問
社員の海外研修に人材開発支援助成金は使えますか?
原則として使えません。厚生労働省の支給要領には、助成対象とならない訓練の実施方法として「海外、洋上で実施するもの(洋上セミナー、海外研修 等)」が挙げられています。例外は人への投資促進コースの一部で認められている海外の大学院での訓練だけです。要件は年度ごとに変わるため、申請前に都道府県労働局へご確認ください。
海外研修の渡航費や宿泊費に助成金は出ますか?
人材開発支援助成金では、受講者の旅費や宿泊費は「訓練等に直接要する経費以外のもの」として対象外と明記されています。自治体の研修助成でも交通費・宿泊費・食事代を対象外とする例が一般的です。渡航費が補助対象に含まれる数少ない制度としてAOTSの専門家派遣がありますが、こちらは技術指導を目的とした派遣で、社員本人の語学研修には使えません。
海外の語学学校に社員を送る費用は助成の対象になりますか?
現行の人材開発支援助成金では、二重の意味で対象外になります。まず海外で実施する訓練が除外され、さらに「日常会話程度の語学の習得のみを目的とする講習」が趣味教養として除外されているためです。業務に直結する内容であっても、実施場所が海外であれば除外の対象になります。
「海外進出支援奨励金」や「グローバル人材育成訓練」は今も使えますか?
いずれも現在は存在しません。海外進出支援奨励金は日本再生人材育成支援事業の一メニューで、公式リーフレットに平成25年度末までの事業と明記されています。グローバル人材育成訓練も現行の支給要領には見当たりません。検索上位に残っている解説記事の多くがこれらを前提にしているため、制度名で検索するときは公表年月をご確認ください。
助成金が使えない場合、海外研修のコストはどう抑えればよいですか?
現実的な打ち手は3つです。第一に、渡航を伴う部分と国内で完結する部分を分け、国内側だけを助成対象の研修として設計すること。第二に、渡航費の影響が大きいため、物価と航空券の水準が抑えられる渡航先を選ぶこと。第三に、研修費用の損金算入や税制上の取り扱いを顧問税理士に確認することです。