ルシュエット|マレーシア留学・教育移住
大学の海外研修・インターンシップ

大学のマレーシア研修・インターン受け入れ|ビザと単位認定【2026年版】

「マレーシアで短期研修を組みたい。でも学生はどのビザで行くのか、単位認定はできるのか、何名から催行できるのか」——学内決裁に必要な順番で、公式ソースを添えて整理します。

結論から言うと、大学のプログラムとしてマレーシアで研修やインターンシップを組むときの設計の分かれ目は、「期間が3か月未満か」と「就業体験をともなうか」の2点です。マレーシア側の公式情報ではこの2点で必要な在留資格の枠組みが変わり、しかも就業体験をともなう場合は申請するのが学生本人ではなく現地の受け入れ側になります。つまり受け入れ先が決まらないとビザが確定しない構造で、ここを知らずに日程を先に固めると企画が止まります。この記事では、在留資格・単位認定・受け入れ先の選び方・見積前の確認項目を、クアラルンプール現地の立場から順に整理します。

マレーシアが派遣先に選ばれている現状(データ)

結論として、マレーシアはすでに日本の大学の制度に乗って学生が送られている国です。日本学生支援機構(JASSO)の2024年度「日本人学生留学状況調査」では、日本人留学生の派遣先としてマレーシアは3,064人・構成比3.4%で第10位。しかもこのうち2,041人が「協定等に基づく派遣」——つまり大学間の枠組みで送られた学生です。個人手配より制度派遣のほうが多い国だという点が、企画の前提になります。

期間の傾向も同調査に出ています。日本人留学生の総数91,054人のうち1か月未満が60,301人と、短期プログラムが主流です。長期の交換留学だけでなく、夏季・春季休暇に収まる1〜4週間の設計が現実的な選択肢だとわかります。

インターンシップの受け入れ先という観点では、現地の日系企業の層の厚さが効きます。日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、マレーシアの進出日系企業数は1,657社(2026年3月時点/製造業843社・非製造業814社)、在留邦人数は19,690人(2025年10月1日現在)。マレーシア日本人商工会議所(JACTIM)の会員企業も合計647社(2026年6月末時点)にのぼります。製造業と非製造業がほぼ半々という構成は、学部・専攻に合わせて受け入れ業種を選べる余地があるということです。

言語環境については、正確に押さえておく必要があります。マレーシア政府の公式情報では憲法第152条により公用語(国語)はマレー語と定められており、英語は公用語ではありません。ただし同じ政府の記載でも「英語は商業・産業の言語として依然として主要である」とされ、ビジネスや高等教育の場面では英語が広く使われています。大学の授業も英語で行われるのが一般的です。マレーシア統計局の推計では民族構成はマレー系52.7%・その他ブミプトラ11.1%・中国系19.9%・インド系5.8%(2026年1月1日時点の推計値・非市民9.8%を含む総人口を分母とした主要区分)で、英語が「非ネイティブ同士の共通語」として機能している環境です。詳しくはマレーシアで英語は通じる?で解説しています。

移動の負担も小さく、日本からクアラルンプールへは直行便で約7時間・時差はマイナス1時間。引率教員が同行する場合でも、時差調整の日を置かずに初日から動けます。

現地からのリアル

大学のご担当者から最初にいただく質問は、ほぼ決まっています。「何名から催行できますか」「いつまでに決めれば間に合いますか」「請求書払いはできますか」の3つです。プログラムの内容よりも先にここが確認されるのは、学内の予算と募集のスケジュールが動かせないからだと理解しています。

逆に言えば、この3点が最初に固まっていれば企画は一気に進みます。個人向けの留学相談とはまったく順番が違うところです。

期間で変わる在留資格=「3か月の壁」

ここが企画の最重要ポイントです。結論を先に言うと、3か月未満か3か月以上かで枠組みが変わり、さらに就業体験をともなう場合は別の枠組みが関わります。順に整理します。

① 3か月未満/3〜6か月の分岐

マレーシアにはEMGS(Education Malaysia Global Services)という、留学生の在留手続きを一元的に扱う政府系の窓口機関があります。このEMGSが公表している海外教育機関の在籍学生向けプログラムの告知(2023年1月9日発効)では、期間によって発給されるものが次のように書き分けられています。

ここで混同されやすいのが、SVPは「日本で事前に取得するビザ」ではなく、入国時に付与されるものだという点です。入国管理局の公式ページも、短期訪問許可は「到着時に外国人訪問者に与えられる(given to foreign visitors upon arrival)」と記載しています。日本国籍の場合は観光・商用目的の90日以内の滞在にビザが不要とされているため、パスポートに押されるスタンプがそのままSVPにあたります。

ただし「3か月未満だから手続きが何もない」わけではありません。EMGSは3か月未満のモビリティ/エデュツーリズム科目について、受け入れ校が申請するための専用フォームを用意しています。実務の流れは次のようになります。

  1. 受け入れ校がEMGSに事前申請する

    申請主体は学生本人ではなく受け入れ校です。必要書類として挙げられているのは、受け入れ校のオファーレター・在籍校の在籍証明・旅行保険・復路の航空券・パスポート。

  2. EMGSがサポートレターを発行する

    2週間の団体プログラムを公表している大学の案内では、「EMGSが発行したSVPサポートレターと復路の航空券を、マレーシアの入国地点で提示すること」が参加条件として明記されています。

  3. 入国時にSVPが付与される

    入国審査でサポートレターとパスポートを提示し、SVPが付与されてプログラムを受講します。学生パスの申請・発給を待つ工程が発生しないため、リードタイムと費用の両方が軽くなります。

※注意点として、パスの付与と滞在日数の決定は最終的に入国審査官の判断によります。サポートレター・復路の航空券・パスポートの残存期間といった必要書類に不備がないよう、出発前に引率者が全員分を確認しておくのが確実です。

費用面では追い風があります。EMGSは3か月未満のモビリティ/エデュツーリズム申請の処理手数料RM80を、2026年7月1日から2027年12月31日まで免除すると公表しています。あわせて申請フォームの入力項目も簡素化されています。

※パス区分の枠組み自体は2023年1月のEMGS告知(原通達は2022年10月付のマレーシア高等教育省サーキュラー)にもとづく整理で、記事執筆時点でこれを覆す変更は確認できていません。ただし要件・手数料は改定されますので、企画の確定前に受け入れ校とEMGSの公式情報でご確認ください。なお日本国籍の入国時には、パスポートの残存有効期間6か月以上と復路(または次の目的地)の航空券が求められます。

② 就業体験をともなう場合は枠組みが変わる

ここが見落とされやすいところです。マレーシア入国管理局が公表しているShort Term Social Visit Pass の「認められる訪問目的」の一覧には、会議・カンファレンス参加、商談、工場視察、投資機会の調査、セミナー参加、大学での試験受験や親善目的の学生訪問などが列挙されていますが、インターンシップ・就業実習は列挙されていません

一方で、Professional Visit Pass(PVP)——短期間の専門的な訪問のために発給されるパス——の対象カテゴリには、「交流・モビリティ・企業実習(Industrial Training)プログラムで大学・学校・企業・ホテル等に受け入れられる学生」が明記されています。PVPの主な条件は次のとおりです。

実務上の重要ポイントは、就業体験を含む設計にする場合、ビザの申請主体が日本側の大学や学生ではなく現地の受け入れ機関側になるという点です。「先に日程と募集を確定させて、あとから受け入れ先を探す」という順番では詰まります。受け入れ先の選定とビザの申請ルートの確認は、同時に進める必要があります。

③ 企画段階で必ず押さえたいPVPの2つの条件

大学の企画で影響が大きいのは、次の2点です。どちらも公式の申請要件のなかに書かれているものです。

ひとつは、無給が前提とされている点。入国管理局が公開しているPVPの申請チェックリストには、「PVPの申請はすべて給与が支払われないものである」と明記されています。したがって「有給インターンで学生の負担を軽くする」という設計は、このルートでは想定されていません。有給を前提に募集要項を書いてしまうと、受け入れ先との条件調整で手戻りになります。

もうひとつは、送出校と受け入れ先のあいだの協定書(MOU)が求められる点。同じチェックリストには、交流・企業実習プログラムについて「マレーシア側の大学・ホテル・企業と、学生の在籍校・大学との協力協定(MOU)」が必要書類として挙げられています。文面上、受け入れ先が大学であっても民間企業であっても、締結の当事者は「現地の受け入れ先」と「学生の在籍校」——つまり仲介する事業者ではなく大学が名前を出す書類だと読めます。学内で協定書の締結には法務・国際部門の決裁が必要になるため、この一点だけでリードタイムが数か月変わります。後述する「協定がなくても受け入れ可」というルートは、あくまで大学の短期プログラムを受講する形の話です。就業実習をPVPで組む場合は、協定書の締結が前提になり得る——ここは設計を分ける重要な境界線です。

なお受け入れ先が企業の場合、申請ルートが2つに分かれます。企業がESD(Expatriate Services Division)という駐在員向けの申請窓口を通す場合は、企業側が事前にESDへの登録を済ませている必要があり、登録には資本金の要件(外資比率に応じてRM250,000/RM350,000/RM500,000)と2週間程度の処理期間が設定されています。一方、交流・モビリティ・企業実習プログラムの学生枠は入国管理局の別部門が扱う紙の申請として案内されています。「受け入れ先の企業が、そもそも申請できる状態にあるか」を早い段階で確認してください。

※混同しやすい点として、マレーシアの大学に在籍している学生(Student Pass保有者)には週20時間までのパートタイム就労許可の制度がありますが、対象が国立大学・私立高等教育機関の在籍者に限られ(語学センター・技能訓練センターは対象外)、認められる場所も飲食店・給油所・ミニマーケット・ホテル・学内に限定されています。日本の大学から短期で行く学生が使えるルートではありません。在留資格の要件は改定されることがあるため、確定前に必ず入国管理局・EMGSの公式情報または受け入れ機関でご確認ください。

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設計パターン関わる枠組み申請する人期間の上限
3か月未満・座学/語学/視察のみSocial Visit Pass(入国時に付与)受け入れ校がEMGSに事前申請付与されたパスの期間内
3〜6か月・座学/語学中心Student Pass受け入れ校(EMGS経由)6か月まで
就業体験(実習)をともなうProfessional Visit Pass現地スポンサー(入国前・開始1か月前まで)12か月/工場・ホテル研修は6か月
現地大学に在籍中の学生の就労Student Pass の就労許可本人+在籍校週20時間・場所と学校種別の限定あり
手続きが軽い要リードタイム条件が厳しい・注意
▲ 期間と内容で変わる在留資格の枠組み。EMGSの告知(2023年1月発効)およびマレーシア入国管理局の公式ページにもとづく整理です。要件は改定されることがあるため、確定前に公式情報でご確認ください(ルシュエット作成)
現地からのリアル

私たちが現地で手続きに関わっていて一番よく起きるのが、「3か月ちょうど」あたりで組もうとして手戻りになるケースです。区切りが3か月なので、たとえば12週間の設計にすると学生パスが必要かどうかの判断が微妙になり、受け入れ先への確認と回答待ちで数週間かかります。

実務的には、手続きを軽くしたいなら8週間以内に収める、腰を据えるなら最初から学生パス前提で組む——このどちらかに寄せたほうが、企画が早く固まります。

単位認定をどう設計するか(大学設置基準の2ルート)

「単位が出るか」は学生の応募数に直結する要素ですが、制度上の道筋は2つあり、どちらを使うかで設計の手間が変わります。根拠は大学設置基準(昭和31年文部省令第28号)です。

ルートA:自校の授業を外国で実施する(第25条第3項)

第25条第3項は「大学は、第一項の授業を、外国において履修させることができる」と定めています。つまり自校の授業科目として設計し、その授業の実施場所を現地にするという考え方です。シラバス・成績評価・単位数を自校で決められるため、短期のカスタムプログラムはこのルートのほうが設計が早いのが一般的です。

ルートB:留学先で修得した単位を認定する(第28条)

第28条第1項は、他の大学等で修得した単位を60単位を超えない範囲で自校の単位としてみなすことができると定め、第2項でこれを「学生が外国の大学に留学する場合」に準用しています。学期単位の交換留学はこちらが基本です。ただし60単位の上限は、大学以外の教育施設での学修(第29条)や入学前の既修得単位(第30条)と合算した枠なので、学内での既存運用と合わせて確認が必要です。

※どちらのルートを使えるか、時間数を何単位に換算するかは各大学の学則・教務規程によって変わります。企画の初期段階で学内の教務担当と確認することをおすすめします。本記事の記載は制度の枠組みの整理であり、個別の可否を判断するものではありません。

費用面:JASSOの協定派遣は「8日以上」から対象

学生の自己負担を下げる制度としては、JASSOの「海外留学支援制度(協定派遣)」が中心になります。ポイントは対象期間が8日以上1年以内とされている点で、1〜2週間の短期プログラムでも制度に乗せられる余地があるということです。

奨学金の月額は派遣先の地区区分によって決まり、JASSO公式サイトの記載ではA地区12万円/B地区11万円/C地区9万円/D地区8万円。マレーシアはD地区=月額8万円です(2026年度のJASSO公表「国・地域コード表」で確認)。これに加えて、一定の家計基準を満たす場合の渡航支援金16万円、一定の派遣期間を満たす場合の1万円が設定されています。

※支援制度の金額・要件・募集スケジュールは年度ごとに改定されます。マレーシアの地区区分は「B地区」と誤って紹介されている情報も見かけますが、2026年度の公表資料ではD地区です。申請の際は必ずその年度のJASSO公式の募集要項でご確認ください。

受け入れ先の2ルート=協定あり/協定なし

受け入れ先を探すときに最初に切り分けるべきなのは、大学間協定(MoU=覚書)が必要かどうかです。ここで費用の前提が変わります。

協定がなくても受け入れると明記している大学がある

たとえばマラヤ大学(Universiti Malaya)は、短期の受け入れプログラムについて協定校・協定校以外の学生の双方に開かれていると公式サイトに記載しています。同大学の実習・研究受け入れ(インターンシップを含む)は指導教員の監督下で最長12か月とされ、費用も公表されています——処理料は非マレーシア人RM750、月額の受け入れ費用は非マレーシア人の場合で理系RM1,200・臨床系RM1,500・非理系RM400、学内寮は月額約RM900。開始2か月前までの事前申請が求められています。

※この月額費用の表は「マレーシア人/非マレーシア人」の2列構成になっており、日本の大学から送る学生は非マレーシア人の額が適用されます。分野別の下限値(理系RM300など)はマレーシア人向けの額なので、概算を作るときに混同しないようご注意ください。

ノッティンガム大学マレーシア校も、学費を支払う国際学生として1学期または1年間受け入れ、修得した単位を在籍校の学位に充当できると明記しています(出願料RM400+SST 6%、GPA3.0以上、ノミネート締切は4月1日・9月1日)。

交換の枠組みは協定校限定というケースも多い

一方で、交換留学として学費免除で受け入れる枠組みは協定校限定という大学も少なくありません。HELP Universityは交換プログラムについて「学生は在籍校の学費のみを支払い、受け入れ校が追加の学費を課すことはない」と記載していますが(管理費・ビザ費用・宿泊・渡航・生活費は自己負担)、対象は協定校の学生で、公表されている協定校リストに日本の大学も含まれています。UiTMも交換留学の学費免除について「UiTMの協定校からの国際学生」を対象と明記しています。

つまり「協定を結んでから送る」ルートと「協定なしで有償で受け入れてもらう」ルートは費用構造が別物です。協定締結は学内手続きに時間がかかるため、初年度は有償ルートで実施して実績を作り、継続が決まってから協定に進める——という組み方も現実的です。

※ただし前述のとおり、就業実習をPVPで組む場合は協力協定(MOU)が必要書類に挙げられています。「協定なしでも可」が当てはまるのは大学の短期プログラムを受講する形までで、企業での実習を含めるなら協定の締結期間を逆算に入れてください

各校が公表している条件の例(2026年8月時点)

受け入れ先を比較するときの目安として、公式サイトで公表されている条件を並べます。相場観をつかむ材料として使ってください。

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受け入れ先期間の型公表されている条件・費用
Asia Pacific University(APU)2/4/8/12週内容のカスタマイズ可・団体は最少15名
Taylor's University2週間2026年の実施例で参加費USD1,900(空港送迎・宿泊・文化プログラム込み)
Universiti Malaya(UM)最長12か月(実習)処理料RM750+月額RM400〜1,500(非マレーシア人・分野別)/開始2か月前までに事前申請
Nottingham マレーシア校1学期〜1年出願料RM400+SST 6%/GPA3.0以上/協定なしでも可
Universiti Kebangsaan Malaysia1学期〜1年CGPA3.0・IELTS6.0/寮は月額RM490〜680
Universiti Sains Malaysia1〜4週(短期・サマー)オーダーメイド/既存プログラムの両方・単位あり/なしを選べる
語学機関(ELS Malaysia)4週=1レベル週28レッスン(各50分)・毎月開講/大学構内の拠点あり

※各校公式サイトの公表内容(2026年8月確認)を編集部で整理したものです。条件・費用・締切は年度ごとに変わるため、検討時点の各校公式で必ずご確認ください。金額は各校の公表通貨のまま記載しているため、マレーシアリンギット(RM)と米ドル(USD)が混在しています。円で概算を出すときは換算レートを揃えてください(RM1≒38.7円前後で推移していますが変動します)。

語学研修とインターンシップを組み合わせる場合は、前半を語学機関で英語のブラッシュアップ、後半を企業で就業体験というモジュール設計が取りやすい構成です。語学機関の選び方はマレーシアの語学学校の選び方でも解説しています。

見積を取る前に確認したい5項目

ここは競合記事がほとんど触れていない部分ですが、学内決裁で最初に問われる論点です。受け入れ先やエージェントに問い合わせるとき、この5つを最初に聞くと比較が一気に楽になります。

  1. 最少催行人数と、下回った場合の扱い

    団体カスタムで15名以上を条件として公表している大学もあります。募集をかける前に、下回ったときに「催行中止」なのか「単価が変わる」のかまで確認しておくと、募集後の設計変更を避けられます。

  2. リードタイム(実質は前年度に決裁)

    実習受け入れで開始2か月前までの事前申請、交換の枠組みで半年前の出願締切という例があります。学内の予算サイクルと合わせると、実施年度の前年度に企画を通す必要があるケースが多いという前提で逆算してください。

  3. 引率教員の扱い

    引率が必須か、引率なしでも受託されるか、教員の渡航費・滞在費の扱いがどうなるかは受け入れ先ごとに違います。稟議の総額に直結する項目なので、見積依頼の時点で条件に含めて聞くのが確実です。

  4. 請求書払い・公費対応・キャンセル料

    大学の会計は年度と支払い方法の制約が強い領域です。請求書払いが可能か、入金が後払いでも受け入れられるか、キャンセル料の規定はどこから発生するか——この3点は契約前に文書で確認しておくべき項目です。

  5. 危機管理と安全配慮

    24時間の緊急連絡体制、日本語対応スタッフの有無、提携医療機関、保護者説明会に使える資料の有無を確認します。マレーシアの治安日本語が通じる病院もあわせて資料に添えると、学内・保護者向けの説明がしやすくなります。

企画で落ちやすい4つの注意点

1. MDACは前倒しで済ませられない

マレーシアは2024年1月1日から、入国する外国人にMDAC(Malaysia Digital Arrival Card/デジタル入国カード)の提出を義務づけています(シンガポール国民・長期パス保持者などは免除。日本国籍は免除対象に含まれません)。厄介なのは提出時期で、登録できるのは到着日を含めて3日以内(登録フォームの表示は「渡航が、提出日を含めて3日以内であること」)。たとえば9月3日に到着する場合、登録できるのは9月1日・2日・3日の3日間だけです。つまり1か月前にまとめて済ませることはできず、渡航直前の作業になります。参加学生が多い研修では、直前に担当者を決めて全員分の提出を確認する工程を日程表に入れておいてください。登録手順はマレーシアMDACの登録方法で解説しています。

2. ビザの申請主体を決めずに募集を始める

前述のとおり、就業体験をともなう設計では申請主体が現地のスポンサーになります。誰が申請し、申請から発給まで何営業日かかるのかを受け入れ先に確認しないまま学生募集を始めると、渡航直前に日程を組み替えることになります。

3. 祝日で企業訪問の日が消える

マレーシアは多民族・多宗教の国で、州によって祝日が異なります。連邦の祝日に加えて州の祝日があるため、企業訪問やオフィスでの実習を予定していた日が休みになることがあります。日程を仮置きしたら、訪問先の所在する州のカレンダーで必ず突き合わせてください。

4. 学内の決裁サイクルと現地の締切がずれる

現地大学の出願締切は学期の開始半年前に設定されていることが多く、日本側の予算確定を待っていると1年後ろに倒れます。「受け入れ可否の内諾を先に取り、予算確定後に正式申込」という順番で進められるかを、最初に受け入れ先へ相談しておくと1年の遅れを防げます。

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よくある質問

マレーシアでの研修プログラムは何日くらいから組めますか?

受け入れ先が公表している短期プログラムは1〜4週間の設定が多く、2週間・4週間・8週間・12週間から選ぶ形を公表している大学もあります。日本側の制度でいうと、JASSOの海外留学支援制度(協定派遣)は8日以上1年以内が対象期間とされているため、1週間強の日程でも制度に乗せられる余地があります。ただし実働日数は移動日・現地の祝日・予備日を差し引いて計算する必要があるため、日数だけでなく「現地で何日動けるか」で設計してください。

学生はどの在留資格でマレーシアに行くことになりますか?

マレーシア政府の留学生窓口機関であるEMGSの告知(2023年1月)では、海外の教育機関に在籍する学生の短期プログラムについて、3か月未満はSocial Visit Pass(短期訪問の許可)の期間内で受講、3〜6か月はStudent Pass(学生パス)を発給する枠組みが示されています。Social Visit Passは日本で事前に取得するビザではなく入国時に付与されるものですが、3か月未満のプログラムでも受け入れ校がEMGSへ事前申請を行い、発行されたサポートレターを入国時に提示する運用が案内されています。一方、就業体験をともなう場合はProfessional Visit Passというべつの枠組みが関わり、申請はマレーシア国内のスポンサーが学生の入国前に行います。このルートは申請上、給与が支払われない前提とされ、送出校と受け入れ先の協力協定(MOU)が必要書類に挙げられています。要件は改定されることがあり、実際にどの資格で通すかは受け入れ先の運用によって変わるため、受け入れ機関とEMGS・入国管理局の公式情報で必ず確認してください。

マレーシアでの研修を大学の単位として認定できますか?

制度上の道筋は2つあります。ひとつは大学設置基準第25条第3項の「大学は、授業を外国において履修させることができる」という規定にもとづき、自校の授業科目を現地で実施する形。もうひとつは同基準第28条で定められた、他大学等で修得した単位を60単位を超えない範囲で自校の単位とみなす仕組みを、第2項によって外国の大学への留学に準用する形です。どちらを使えるかは各大学の学則・教務規程によって変わるため、企画の初期段階で学内の教務担当と確認することをおすすめします。

大学間の協定(MoU)がないと受け入れてもらえませんか?

協定がなくても受け入れ可能と公式サイトに明記している大学もあります。たとえばマラヤ大学は短期プログラムについて協定校・協定校以外の学生の双方に開かれていると記載しており、ノッティンガム大学マレーシア校は学費を支払う国際学生として受け入れ、修得した単位を在籍校の学位に充当できると記載しています。一方で交換留学の枠組みは協定校限定という大学も多く、学費免除は協定校のみという扱いが一般的です。協定の有無で選べる先と費用の前提が変わるため、最初に切り分けておくと検討が早く進みます。

団体研修に最少催行人数はありますか?

受け入れ先ごとに設定されており、カスタム設計の団体プログラムについて15名以上を条件として公表している大学もあります。人数が下回ると個人向けの既存プログラムへの参加に切り替える、複数大学の合同にする、といった調整が必要になります。学内で募集をかける前に、最少催行人数と、下回った場合の扱い(催行中止か、単価の変更か)を受け入れ先に確認しておくと、募集後の設計変更を避けられます。

主な参照元

  • マレーシア入国管理局(imi.gov.my)Professional Visit Pass/Short Term Social Visit Pass/Student Pass/Visa Requirement by Country
  • マレーシア入国管理局 MDAC(デジタル入国カード)公式案内・インフォグラフィック
  • マレーシア入国管理局 Professional Visit Pass 申請チェックリスト(PDF)
  • Expatriate Services Division(esd.imi.gov.my)Professional Visit Pass/会社登録に関するFAQ・告知
  • Education Malaysia Global Services(EMGS)「Introduction of New Mobility Programmes (Inbound)」(2023年1月9日/原通達は2022年10月19日付 高等教育省サーキュラー)
  • EMGS「Removal of Processing Fee and Simplification of Application Process for Mobility / Edutourism Course」(2026年6月29日)
  • マレーシア政府 公式ポータル(malaysia.gov.my)Official Language(憲法第152条)
  • マレーシア政府観光局 日本語公式サイト(入出国情報・アクセス・時差)
  • 日本学生支援機構(JASSO)海外留学支援制度(協定派遣)/国・地域コード表(2026年度)
  • 日本学生支援機構(JASSO)2024(令和6)年度 日本人学生留学状況調査結果
  • JASSO 海外留学情報(マレーシアの渡航手続き)
  • e-Gov 法令検索 大学設置基準(昭和31年文部省令第28号)第25条・第28条〜第30条
  • 日本貿易振興機構(ジェトロ)マレーシア基礎的経済指標/外国人就業規制・在留許可
  • マレーシア日本人商工会議所(JACTIM)会員構成
  • マレーシア統計局(DOSM)人口統計オープンデータ
  • Universiti Malaya Global Mobility Centre(Inbound Short-Term/Inbound Attachment)公式ページ
  • University of Nottingham Malaysia/HELP University/UiTM Global/Universiti Sains Malaysia/Universiti Kebangsaan Malaysia/Universiti Putra Malaysia 各公式ページ
  • Asia Pacific University(APU)Study Abroad/Taylor's University Inbound Summer Programmes 公式ページ
  • ELS Language Centres Malaysia Student Mobility Programme 公式ページ
  • マレーシア国立銀行(BNM)公表為替レート
本記事に記載した費用・制度・学校情報は、2026年8月時点に公開されている情報にもとづく目安です。為替はRM1≒38.7円で換算しています。制度や料金は改定されることがあるため、お申し込みの前に各公式サイト、または当社までご確認ください。