ルシュエット|マレーシア留学・教育移住
教育移住・お金の計画

教育移住のお金の計画|予算の立て方と資金準備を現地スタッフが解説【2026年】

「いくらかかるか」は調べればわかります。でも本当に難しいのは、その金額をいつまでに、どうやって用意するか。予算の立て方と資金準備の順番を、現地で手続きを見てきた立場から整理しました。

結論から言うと、教育移住のお金は「総額いくら」ではなく「3つの財布 × 何年」で組み立てると崩れにくくなります。毎月の生活費だけを見て計画したご家庭ほど、渡航前にまとまった現金が要ることや、帰国のための費用で足が出ます。この記事では、予算の立て方と資金の用意のしかたを、順番どおりに整理します。

結論:お金は「3つの財布」に分けて考える

教育移住の予算は、①渡航前にまとめて出ていくお金 ②毎月出ていくお金 ③帰るときに要るお金の3つに分けて組むのが基本です。多くのご家庭は②だけを見て計画されます。実際に足が出るのは、ほとんどが①と③です。

理由はシンプルで、①と③は金額が大きいのに、支払うタイミングが1回きりだからです。毎月の家計に埋もれず、貯蓄から直接引かれます。ここを別枠にしておくと、生活が始まってから慌てずに済みます。

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渡航前の財布

住居デポジット・渡航費・家具家電、学校の出願料と登録料、保証金。ビザ申請のために手元に残しておく残高も、この財布に入ります。

母子2人で約200万〜275万円が目安
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毎月の財布

学費・家賃・生活費。ここは暮らし方とエリアで調整できます。学年が上がると学費も上がるため、平均ではなく最終年で見ておきます。

学費は月RM2,385〜11,242が目安
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帰るときの財布

帰国の渡航費・引っ越し・日本での住居の立ち上げ。帰国後すぐ収入が戻るとは限らないため、数か月分の生活費も含めて置いておきます。

計画から抜けやすいのがここ

▲ 教育移住のお金の3つの財布。金額はいずれも家族構成・学校・エリアで変わります(ルシュエット作成)

現地からのリアル

ご相談でよくあるのが、「月の予算は決めてきたけれど、最初の支払いでいくら要るかは考えていなかった」というケースです。学校の登録料と住居のデポジットは、入学が決まってから短い期間でまとめて動きます。

逆に、この3つを分けて書き出しておいたご家庭は、途中で学校を変えることになっても落ち着いて判断できています。金額の大きさより、どのタイミングで何が出ていくかを知っているかのほうが効きます。

ステップ1:金額より先に「何年行くか」を決める

予算を出す前に決めるのは、金額ではなく期間です。同じ学校でも、1年で帰るのか、卒業まで通うのかで必要額は何倍も変わります。期間が決まらないまま費用を調べ続けると、数字だけが増えて判断できなくなります。

期間を決めるというのは、言い換えると「出口」を決めることです。日本の高校受験に戻すのか、現地で卒業して海外の大学を目指すのか。出口によって、必要な年数もお金の置き場所も変わります。

もう一つ、見落とされやすいのが学年が上がると学費も上がる点です。多くのインター校は初等部より中等部の授業料が高く設定されています。予算は入学時の学費ではなく、滞在する最終学年の学費で組んでおくと安全です。

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滞在の型目安の期間お金の考え方向いているご家庭
お試し(短期留学)1〜3か月貯蓄の範囲で完結させる。ビザも観光・短期の枠で足りることが多い合うかどうかを先に確かめたい
区切り型1〜2年総額を先に確定できる。帰国後の学年・受験から逆算しやすい日本の学校に戻す前提がある
卒業まで5年以上収入をどう続けるかが主役になる。貯蓄だけでは組みにくい海外の大学進学まで見据えている
▲ 期間の決め方でお金の組み立ては変わります。迷う場合は短い型から始める方が初期の負担は抑えられますが、延長のたびにビザの手続きと費用が発生する点は差し引いて考えてください(ルシュエット作成)

ステップ2:渡航前に現金で必要な額を確定する

資金計画でいちばん先に確定させたいのが、渡航前に現金で出ていく額です。ここは値引きも分割もしにくく、しかも入学決定から支払いまでが短いためです。

母子2人でクアラルンプールに移る場合、住居のデポジットや渡航などの生活立ち上げに60〜120万円ほど、学校の出願料・登録料・保証金が中位グレードのインター校で135〜155万円前後。合わせて約200万〜275万円になることが多いです。下限の200万円だけを見て準備すると、現地で足が出ます。学校のグレードとエリアで上下します。

ビザで動くお金は「パス代」だけではない

お子さんがインターナショナルスクール(初等・中等)に通い、保護者が付き添う場合は、マレーシア入国管理局の案内するGuardian(School Level)の Social Visit Passが該当します。必要書類には、有効期間18か月以上のパスポート、12か月以上の医療保険、そして直近3か月の銀行明細などによる財政能力の証明が挙げられています。

入管が示すパス代は保護者側がRM90、学生パス本体がRM60。ただしこの2つはステッカー代で、実際に支払う額はこれで終わりません。手続きは学校を通して進めるため、学校の代行手数料と、出身国ごとに金額が決まっている保証金(Security Bond)が別に必要になります。

ここで混同しやすいのが、名前の似た二つの「ボンド」です。Security Bondは学校に預ける保証金で、Sri KDUの公表表では日本国籍は1人あたりRM1,000。卒業や退学のときにパスを正しくキャンセルすれば返還されます。反対に、キャンセルせずに出国すると没収されます。学校に払う授業料のデポジットとは別のお金なので、見積書では分けて数えてください。

もう一つのPersonal Bondは、提出を求められる身元保証書です。学校によっては、マレーシア人に記入してもらい、内国歳入庁で印紙を貼ったものを出すよう案内されます。こちらは預け金ではなく、提出する書類です。「保証人の手配には当校は一切関与しない」と明記している学校もあります。ビザ申請そのものを断られるという意味ではありませんが、マレーシアに頼れる知人がいないご家庭には最初の関門になります。誰に署名を頼むのかを早い段階で確認しておいてください。

学校の代行手数料は、金額を公表している学校とそうでない学校があります。実際に14校の公式の料金表を確認したところ、金額を公表していたのは4校だけでした。残りは「外部の代理店が請求する」という書き方で、学校側は金額を示していません。

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学校(公表年度)学生パスの手数料保護者パスの手数料備考
Sri KDU International School(スバンジャヤ校・AY25-26/2025年10月16日施行)新規 RM1,100新規 RM1,800更新は各RM900。別途 保証金は日本国籍RM1,000(返還あり)。金額は8%のサービス税込み
Mont'Kiara International School(2025/26・2026/27)年 RM500年 RM1,000年額。就労パス・MM2H・PVIPの保持者は対象外
Epsom College in Malaysia(AY25/26)新規 RM2,500/更新 RM1,000新規・更新とも RM1,000表示は税別(6%のサービス税が別途)
Sri Bestari International School新規・更新とも RM250学校へ支払う処理費として公表
▲ 公式に金額を公表している4校(2026年8月時点でルシュエットが確認)。同じ手続きでもRM250からRM2,500まで10倍の開きがあり、税込か税別かも学校で分かれます。調査した14校のうち8校は金額を公表しておらず、外部の代理店が請求する形をとっています。相場や平均は出せないため、必ず志望校の最新の料金表でご確認ください

Sri KDUの公表額で親子2人の初年度を計算すると、返ってこない手数料がRM2,900、これに返還される保証金が2人分でRM2,000窓口で用意する額は合わせてRM4,900になります。パス代のRM60とRM90だけを見ていると、ここで想定が狂います。

ただしこれは新規1年目・保護者1人が同行する場合の金額です。学校の出願料・登録料・授業料は一切含んでいません。同校の場合、これとは別に出願料と登録料がかかります。

「使えないけれど必要」なお金がある

もう一つ、計画から抜けやすいのがビザの申請で示す資金です。これは支払うお金ではありませんが、口座に置いておく必要があるため、実質的には使えません。

ここで知っておきたいのは、入国管理局は必要な残高の金額を公示していないということです。公式にあるのは「直近3か月の銀行明細などで財政能力を示す」という書き方だけ。実際の基準は学校側が持っています

たとえばThe Alice Smith Schoolは、保証する保護者に月収RM25,000程度以上を求めると公表しています。Sri Bestari Internationalは、必要書類の一覧に、母親名義の直近3か月の銀行残高RM30,000以上と、スポンサーから母親の口座への月RM15,000〜20,000の送金証明を並べています。さらにスポンサー側にも、給与が振り込まれる口座の残高RM60,000以上を求めています。どちらか一方を満たせばよい、という書き方ではない点にご注意ください。

Alice Smithの条件には続きがあります。お子さんが複数になると求められる収入額は上がり、しかもマレーシア国外からの収入の流れであることが必須とされています。現地で働いて得た収入では要件を満たせない、ということです。金額も条件も学校によって違うため、志望校に直接ご確認ください

その前に:そもそも保護者が付き添えるかを確認する

資金計画より先に確かめておきたいことがあります。すべてのインター校で「子が学生パス、親が保護者パス」の形が使えるわけではありません

The Alice Smith Schoolは、学生パスを単独では申請できず、親のどちらかがマレーシア国民であるか、有効な長期ビザを持っていることを条件に挙げています。ISKL(The International School of Kuala Lumpur)は、学生ビザのスポンサーを行わないと明記しています。入学できるのは、親の就労許可に紐づくビザを持つご家庭か、MM2Hまたは永住権を持つご家庭に限られます。

この場合、親は就労ビザやMM2Hなど別のビザを自分で用意することになり、必要な資金の桁が変わります。また保護者パスが使える学校でも、実務上はお子さん1人につき保護者1人(多くは母親)とされているのが一般的です。志望校を絞る段階で、ビザの扱いも一緒に確認しておくと安心です。

長期滞在ビザのMM2H(マレーシア・マイ・セカンドホーム)を使う場合は、さらに大きな資金が固定されます。公表されている定期預金額はUSD建てで、Silverが15万米ドル、Goldが50万米ドル、Platinumが100万米ドル、経済特区(SEZ・SFZ)向けが21〜49歳で6万5,000米ドル・50歳以上で3万2,000米ドルです。リンギット建てで紹介されていることがありますが、公式の表記は米ドルです。

資金計画の面でより重いのは、定期預金だけで終わらない点です。MM2Hは住宅の購入も要件とされ、Silverで最低RM600,000、Goldで最低RM100万、Platinumで最低RM200万。しかも購入した住宅は10年間売却できません。公式に認められている例外は、より高額な住宅への買い替えだけです。加えて処理費(Processing Fee)が本人RM5,000・扶養家族1人あたりRM2,500かかり、これはカテゴリごとの参加費(SilverならRM1,000)とは別に発生します。教育移住のために動かせるお金とは、性質がまったく違うことを押さえておいてください。

※ビザの要件は変更が続く分野です。制度の名称・金額・必要書類は、申請を検討する時点でマレーシア入国管理局とMM2Hの公式情報を必ずご確認ください。どのルートが現実的かは、お子さんの年齢・学校種別・保護者の就労状況で変わります。

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渡航前に必要なお金内容目安
生活の立ち上げ住居デポジット・渡航費・家具家電・当面の生活費60〜120万円
学校の初期費用出願料・登録料・保証金(学校により名称が異なる)135〜155万円前後
ビザ関連の実費学生パスRM60・保護者のパスRM90ほか、学校経由の手続き費用学校により異なる
口座に残す資金ビザ申請で示す財政能力の証明(銀行明細など)支払いではないが使えない
※金額は母子2人・中位グレードのインター校を想定した目安で、円換算は当サイト共通の基準であるRM1=38.7円で統一しています。実際にはマレーシア中央銀行(BNM)の公表レートで2026年8月の平均が約39.0円、月末は約39.6円と円安方向に動いたため、実際のご負担はこの表より1〜2%大きくなります。学校の初期費用の名称と金額は学校ごとに大きく異なるため、必ず見積書の合計額でご確認ください。

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ステップ3:資金をどう用意するか(4つの手段)

資金は貯蓄だけで組まず、4つの手段を組み合わせるのが現実的です。貯蓄・日本の資産の整理・移住後も続く収入・借入の4つで、それぞれ性質が違います。

① 貯蓄と、日本の資産の整理

土台になるのは貯蓄ですが、渡航前に確認しておきたいのが日本に置いていく資産の扱いです。特にNISAには、出国前に「継続適用届出書」を出すことで海外転出後も最長5年間そのまま保有できる仕組みがあります。ただし対象は、租税特別措置法の条文上勤務先からの転任の命令など、やむを得ない事由による一時的な出国に限られます

つまり、ご家族の判断で移り住む教育移住はこの継続適用の対象外と考えるのが安全です。対象外の場合、出国の時点で非課税口座が廃止された扱いになります。廃止後に保有している商品をどう扱うか(移すのか、出国前に売るのか)は金融機関ごとに手続きが違うため、渡航を決めた段階でご利用の証券会社に早めにご確認ください。

② 移住後も続く収入をつくる

期間が3年を超えるなら、収入をどう続けるかが計画の主役になります。配偶者が日本で働き続ける単身赴任型、日本の仕事をリモートで続ける型、現地で就労する型の3つが代表的です。

ただし、どの型を選ぶかで使えるビザが変わります。マレーシア入国管理局の案内では、保護者に出る Guardian の Social Visit Pass は就労・事業が認められていません。働き方を先に決めてからビザを選ぶ、という順番になります。

長期滞在ビザのMM2Hも同じです。公式サイトのカテゴリ別の案内では、Silver・Gold・SEZ/SFZのいずれも就労と事業活動が「Not allowed」とされ、認められているのは最上位のPlatinumだけです。「MM2Hを取れば現地で働ける」わけではないため、収入を現地で立てる前提の資金計画とは相性がよくありません。

③ 借りる(日本の教育ローン)

先に結論をお伝えします。マレーシアのインターナショナルスクールの小学部・中学部、つまり義務教育にあたる段階の学費には、日本の「国の教育ローン」(日本政策金融公庫)は使えません。ここを前提にしないと、資金計画の土台が崩れます。

日本政策金融公庫の「教育一般貸付(国の教育ローン)」は、対象を「修業年限が3ヵ月以上で、中学校卒業以上の方を対象とする教育施設」と定めています。公式の案内にも「義務教育期間中の費用は対象とはなりません」とはっきり書かれています。

対象になるのは、外国の高等学校・大学・大学院・短期大学・語学学校などです。海外留学の場合は融資限度額がお子さん1人につき上限450万円に上がり、世帯年収の上限も緩和されます。金利は年4.05%の固定(保証料別・令和8年7月1日現在)、返済期間は20年以内です。

ただし「学校教育法によらない学校は対象とならない場合がある」という但し書きがあります。マレーシアのインター校の高校段階が対象になるかは個別の判断になるため、学校名を伝えて公庫の教育ローンコールセンターにご確認ください。

日本学生支援機構(JASSO)も同じ構図です。海外向けの制度は海外の大学・大学院を対象としていて、初等中等教育のための制度はありません。

つまり、お子さんが小中学生のうちは「借りて通わせる」選択肢が基本的にないということです。資金は貯蓄・日本の資産・移住後の収入の3つで組む前提になります。高校段階まで進んだときに、はじめて借入が選択肢に入ります。

④ 学校の支払い方法を確認する

見落とされがちですが、支払い回数の相談は学校側の話です。年払いより学期ごとの分納にできる学校、兄弟姉妹の割引がある学校、早期納付の割引がある学校があります。制度の有無と条件は学校によって異なるため、出願前の面談で確認しておくと資金繰りが楽になります。

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資金の手段向いている使い道気をつける点
貯蓄渡航前の初期費用ビザで示す残高まで使い切らない
日本の資産まとまった一時金NISAの継続保有は移住では対象外
移住後の収入毎月の学費・家賃働き方でビザの選択肢が変わる
借入・分納支払いの山をならす国の教育ローンは義務教育段階では使えない
▲ 手段ごとに向いている使い道が違います。1つに寄せず、財布ごとに担当を割り当てる考え方です(ルシュエット作成)

計画が崩れる4つの要因と、その備え方

予算を立てたご家庭でも、渡航後にずれる原因はだいたい決まっています。為替・学費の上振れ・日本側に残る固定費・想定外の出費の4つです。順に見ていきます。

① 為替:リンギットで決まる支出は、円換算が動く

学費も家賃もリンギット建てで決まるため、円での負担は為替でそのまま動きます。年間の支出がRM150,000のご家庭なら、1リンギットあたり1円動くだけで年15万円の差です。本記事の基準はRM1≒38.7円ですが、予算は実勢より少し円安寄りで組んでおくと崩れにくくなります。

どれくらい動くのかは、実際の数字で見るのがいちばんです。マレーシア中央銀行(BNM)の公表レートでは、2026年8月の1か月だけで1リンギットあたり38.32円(8月3日)から39.66円(8月28日)まで動きました。差は約1.3円で、先ほどのご家庭なら年20万円近い変動にあたります。1年単位で組む予算では、この幅を見込んでおいてください。

② 学費の上振れ:値上げ・学年・サービス税

学費は毎年見直される学校が多く、進級で上がる分もあります。加えて2025年7月1日から、私立教育サービスにサービス税6%が導入されました。ただし、すべての学校が対象になるわけではありません。

インター校など初等・中等の学校で課税されるのは、1生徒・1学年度あたりの対象料金の合計がRM60,000(約232万円)を超える場合です。しかも超えた分だけでなく、対象料金の全額に6%がかかります。関税局の計算例では、授業料RM72,000に登録料などを加えた合計RM83,000の全額に6%(RM4,980)が課されています。

ここで押さえておきたいのは、条文の言葉が「授業料」ではなく「fees(料金)」だという点です。関税局のガイドも、課税される料金として授業料・登録料・入学金・課外活動費・教具や施設の利用料に加えて、その学校が課す教育関連のその他の費用という包括的な項目を挙げています。名称を変えれば対象から外れる、という性質のものではありません。授業料が年RM5万台の学校でも、初年度だけこのラインを超えることがあります。

ただし実務では、どの費目を対象に含めるかの運用が学校ごとに分かれています。公表されている料金表を見ると、出願料や登録料にもサービス税を明記している学校がある一方、授業料だけに適用すると書いている学校もあります。最終的な金額は、志望校の最新の料金表と見積書の合計で確認してください

なお日本人のお子さんは免除の対象になりません。官報(P.U.(A) 174/2025)が定める免除は「マレーシア国民であり、かつ有効なKad OKU(障害者手帳)を持つ方」と、二つの条件を同時に満たす場合に限られるためです。国籍だけで免除される、という説明を見かけますが誤りです。

反対に、課税されない費目もはっきり決まっています。関税局が公表しているサービス税の方針(Service Tax Policy No.4/2025 附属書A)は、教科書・制服・食費・スクールバスなどの交通費・寮費・PTA費・学生パスやビザの費用、それに校外学習や研修旅行の費用授業料に充当されない返金可能なデポジットを、2025年7月1日にさかのぼって非課税としています(2026年8月時点)。

ここは実務でいちばん効く線引きです。同じ「学校に払うお金」でも、授業料や登録料には6%が乗り、教科書代やスクールバス代には乗りません。予算を組むときは、税がかかる費目とかからない費目を分けておくと計算がぶれません。

③ 日本側に残る固定費と、止まる収入

海外へ転出しても、日本側の支払いがすべて止まるわけではありません。持ち家のローンや管理費、生命保険、通信契約などは残ります。渡航前に「日本で払い続けるもの」を一覧にして月額を出すと、二重にかかる部分が見えます。

反対に、止まる収入もあります。代表的なのが児童手当です。児童手当法では受給資格者を「日本国内に住所を有するもの」と定めているため、親子で住民票を抜くと原則として支給の対象外になります。お子さんが海外にいても続く「留学」の例外はありますが、こども家庭庁の案内ではお子さんが親と別居していることが要件のひとつです。親子で一緒に渡航する教育移住は、ここに当てはまりません。

※児童手当の取り扱いはご家庭の状況によって変わります。実際の可否と手続きは、お住まいの自治体の窓口で必ずご確認ください

④ 想定外に備える予備費

転校・引っ越し・医療・急な一時帰国は、どのご家庭にも起こり得ます。年間予算の1〜2割を予備費として別に置いておくと、その都度の判断が楽になります。予備費がないと、想定外が起きたときに学校を変える判断が早まってしまいます。

現地からのリアル

渡航後に「思ったより出ていく」と言われるのは、学費そのものより周辺の費用です。スクールバス、英語サポート、制服や教材、そして最初の数か月の外食が重なります。

逆に言えば、この周辺費用は暮らし方で調整できます。慌てて学校を変える前に、まず1学期ぶんの実額を書き出してみるとご家庭ごとの癖が見えてきます。

予算が足りないときに見直す順番

足りないと分かったときは、住むエリア → 学校のグレード → 滞在期間の順で見直すのが現実的です。生活費から削ると、暮らしの満足度が先に下がって続かなくなります。

いちばん効くのはエリアです。日本人のご家庭に人気のモントキアラは3ベッドで月RM3,800〜5,800前後(約15〜22万円)が標準的なレンジですが、郊外に移せば同じ広さでも下がります。ただし通学時間と引き換えになるため、送迎の負担まで含めて判断してください。

次が学校です。教育費はお子さん1人あたり月RM2,385〜11,242(約9.2万〜43.5万円)と幅があり、この差を作っているのはほぼ授業料そのものです。名門校でなくても英語環境は得られるため、「合う学校」の条件を先に決めておくと選びやすくなります。

それでも足りなければ、期間を短く区切ります。まず1年で契約し、続けられそうなら延長する形です。最初から長期で組むより資金の見通しは立てやすくなりますが、延長のたびにビザと住居の手続きが発生するため、その手間と費用は織り込んでおいてください。

資金計画のタイムライン(12か月前から)

最後に、お金まわりをいつ動かすかを時系列で並べます。学校選びと並行して進むため、先に地図を持っておくと迷いません。

  1. 期間と出口を決める

    何年行くか、帰国後にどうするかを先に決めます。ここが決まらないと総額が出せません。

  2. 候補校の見積を取り、初期費用を確定する

    出願料・登録料・保証金の合計を見積書で確認します。サービス税の対象になるかもここで分かります。

  3. 資金の担当を決める

    渡航前・毎月・帰国用の3つの財布に、貯蓄・収入・借入をどう割り当てるかを決めます。

  4. 日本側の整理とビザ準備

    日本に残す固定費の棚卸し、証券口座など資産の手続き、ビザで示す残高の確保を進めます。

  5. 送金の道をつくっておく

    初期費用は日本から学校の口座へ送ります。海外送金サービスの口座開設と本人確認は時間がかかるため、直前ではなくこの時期に済ませます。1回100万円を超える送金は、金融機関から税務署へ調書が提出される点も知っておくと安心です。少額でよいので、渡航前に一度テスト送金まで済ませておくと確実です。日本の銀行はワンタイムパスワードの受け取り方法や1日の送金限度額の設定があり、渡航後に気づくと動けなくなります。

  6. 1学期ぶんの実額を記録する

    周辺費用まで含めた実額が出そろってから、2年目以降の予算を組み直します。

学校選びと、お金の段取りをまとめて相談できます

候補校の見積の見方、渡航前に必要な現金、ビザで示す資金まで、
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よくある質問

教育移住の資金は、渡航前にいくら用意しておけば安心ですか?

母子2人でクアラルンプールに移る場合、住居のデポジットや渡航などの生活立ち上げに60〜120万円ほど、学校の出願料・登録料・保証金が中位グレードのインター校で135〜155万円前後かかり、合計で約200万〜275万円になることが多いです。下限だけを見て準備すると現地で足が出るため、上限側で組んでおくと安心です。これに加えて、ビザの申請では直近の銀行明細などで生活を維持できる資金があることを示す必要があるため、使ってしまえない残高も別に見ておくと安心です。金額は学校とエリアで変わります。

日本の教育ローンは海外のインターナショナルスクールにも使えますか?

小学部・中学部の学費には使えません。日本政策金融公庫の「教育一般貸付(国の教育ローン)」は対象を「修業年限が3ヵ月以上で、中学校卒業以上の方を対象とする教育施設」と定めており、案内にも「義務教育期間中の費用は対象とはなりません」と明記されているためです。対象になるのは外国の高等学校・大学・大学院・語学学校などで、海外留学の場合は融資限度額がお子さん1人につき上限450万円、金利は年4.05%の固定(保証料別・令和8年7月1日現在)、返済期間は20年以内です。ただし学校教育法によらない学校は対象外となる場合があるため、インター校の高校段階で使えるかどうかは、学校名を伝えて公庫の教育ローンコールセンターにご確認ください。

為替が円安に動いたら、予算はどのくらい変わりますか?

学費と家賃はリンギット建てで決まるため、円換算の負担は為替でそのまま動きます。たとえば年間の支出がRM150,000のご家庭なら、RM1あたり1円動くだけで年15万円の差になります。本記事の円換算は当サイト共通の基準であるRM1=38.7円で統一しています。実際の2026年8月のマレーシア中央銀行(BNM)公表レートは月平均で約39.0円、月末は約39.6円でした。予算を組むときは実勢より少し円安寄りのレートで計算しておくと、計画が崩れにくくなります。

予算が足りないとき、まず何から見直すべきですか?

住むエリア、学校のグレード、滞在期間の順で見直すのが現実的です。家賃はエリアを一つずらすだけで月数万円変わり、学費は学校によって月RM2,385〜11,242(約9.2万〜43.5万円)と幅があります。食費や交際費といった生活費から削ると暮らしの満足度が先に下がり、続かなくなるご家庭が多いため、固定費の大きいところから順に見直すことをおすすめします。

主な参照元(公式・一次情報/2026年8月時点)

  • マレーシア入国管理局(imi.gov.my)Student Pass ページ … 学生パスと Guardian(School Level)の Social Visit Pass の対象・必要書類・パス代
  • MM2H公式サイト(mm2h.gov.my)カテゴリ別ページおよび overview・apply/guidelines … 定期預金額(米ドル建て)・参加費・住宅購入要件・就労可否・最低滞在日数
  • 官報 P.U.(A) 172/2025(課税範囲・Group M)/P.U.(A) 173/2025(税率6%)/P.U.(A) 174/2025(免除の対象者)、いずれも2025年6月9日公布・7月1日施行 … 私立教育サービスのサービス税としきい値RM60,000、免除は「マレーシア国民かつKad OKU保持者」
  • マレーシア関税局『Guide on Private Education Services』(2025年6月9日版)/Service Tax Policy No.4/2025(Amendment No.2・2025年10月17日/2025年7月1日に遡及) … 課税される料金の列挙と、非課税とされる費目の一覧(附属書A)
  • 各校の公式料金表 … Sri KDU International School Subang Jaya(AY25-26・2025年10月16日施行)/Mont'Kiara International School(2025-26・2026-27)/Epsom College in Malaysia(AY25/26)/Sri Bestari International School/The Alice Smith School/ISKL
  • マレーシア中央銀行(BNM)公表レート … 2026年8月の推移(8月3日 約38.3円〜8月28日 約39.6円・月平均 約39.0円)。本文の円換算は当サイト共通の基準 RM1=38.7円
  • 日本政策金融公庫「教育一般貸付(国の教育ローン)」 … 対象となる教育施設の定義、義務教育期間中の費用が対象外であること、海外留学時の限度額450万円・金利年4.05%(令和8年7月1日現在)・返済期間20年以内
  • 日本学生支援機構(JASSO) … 海外向けの奨学金・海外留学支援制度の対象が海外の大学・大学院であること
  • 租税特別措置法 第37条の14、国税庁NISA Q&A(Q22・Q23)、金融庁NISA特設サイト … 継続適用届出書の対象が「転任の命令その他これに準ずるやむを得ない事由による一時的な出国」に限られること
  • 児童手当法 第3条・第4条、こども家庭庁の制度案内およびQ&A … 海外転出時の児童手当の取り扱いと「留学」の例外要件(父母と同居していないこと等)
本記事に記載した費用・制度・学校情報は、2026年8月時点に公開されている情報にもとづく目安です。為替はRM1≒38.7円で換算しています。制度や料金は改定されることがあるため、お申し込みの前に各公式サイト、または当社までご確認ください。