ルシュエット|マレーシア留学・教育移住
教育移住・国の選び方

教育移住におすすめの国を比較|マレーシア・台湾など7カ国【2026年版】

学校のことは調べれば出てくるのに、「親は何のビザで一緒に住むのか」だけがどこにも書かれていない——ご相談で一番多いのがこの詰まり方です。この記事は、そこを軸に国を比べます。

結論から言うと、教育移住の国選びは「子どもの学校」ではなく「親がどのビザで一緒に住めるか」から絞り込むのが、最も現実的で手戻りの少ない進め方です。子どもの就学制度はどの国にもありますが、親が付き添うための制度は国によって「ある・ない」がはっきり分かれるためです。この記事では、日本人家族の候補に挙がりやすい7カ国について、保護者向け制度の有無・親の就労可否・金額要件を、各国政府の公式情報で確認して並べました。確認できなかったことは「確認できていない」と書いています。

※本記事は2026年8月時点で各国政府・公的機関が公表していた内容をもとにした一般的な情報提供です。ビザの取得や移住の結果を保証するものではありません。制度・金額・対象者は改定されるため、実際に申請される際は必ず各国の公式サイトおよび在外公館で最新の要件をご確認ください。

結論:国選びは「親のビザ」から絞ると早い

教育移住で最初に決めるべきは、学校でも都市でもなく「親がどの資格で滞在するか」です。お子さんの就学制度はどの国にも用意されていますが、親がそれに付き添うための制度は、国によって用意されている国とされていない国に分かれます。ここを後回しにすると、学校を決めてから「親が住めない」と分かって振り出しに戻ります。

実際に各国の政府サイトを当たると、親の付き添いを明文化しているのはマレーシア・オーストラリア・ニュージーランド・タイ・シンガポールで、台湾とカナダについては「子どもの就学に親が付き添うための専用制度」が公式の案内に見当たりませんでした。この2カ国は「親が先に自分の在留資格を取り、その扶養として子が滞在する」という逆の構造で組み立てることになります。

もう1つ、国を決める前に握っておくべきなのが親の就労可否です。保護者として滞在する制度は、就労を認めないのが原則です。つまり多くの国で「渡航したら親の現地収入はゼロ」が前提になります。日本の収入・貯蓄・リモートワークのどれで生活を支えるのかを先に想定しておかないと、各国のビザ要件や金額を比べること自体が難しくなります。

現地からのリアル

ご相談でいちばん多いのが、学校のパンフレットを何校分も集めたあとで「ところで私はどのビザで住めばいいんですか」と聞かれるパターンです。順番が逆になると、学費や住まいの検討がまるごとやり直しになってしまいます。

私たちが最初にうかがうのも、お子さんの学年と同じくらい「どなたが付き添うか(母だけか、両親か、祖父母か)」「日本のお仕事は続けるのか」です。この2つで、選べる制度と国が一気に絞れるからです。

教育移住先を比べる6つの軸

教育移住の比較軸は6つに整理できます。多くの情報サイトは「学費・治安・英語環境・日本からの距離」の4点で比べていますが、実際に移住の可否を決めるのは、そこに親のビザ出口(進学ルート)を足した6軸です。

見るポイント
① 親のビザ親が付き添うための制度があるか。対象は誰か(実の親のみか、祖父母も可か)。滞在できる期間。
② 親の就労・収入現地で働けるか。働けない場合、日本の収入やリモートワークで生活費を賄えるか。
③ 学費と生活費学校のグレードで数倍変わる学費、家賃、医療保険。現地通貨で比べる。
④ 英語で学べるか授業言語。英語が母語でない国でも、インターナショナルスクールなら英語で学べる。
⑤ 距離・医療・生活日本からの飛行時間、日本語が通じる医療機関の有無、日本人コミュニティの規模。
⑥ 出口(進学ルート)どのカリキュラムで、どこの大学に接続するのか。日本に戻る可能性があるかどうか。

※④について補足すると、「英語圏かどうか」と「英語で学べるかどうか」は別の話です。マレーシアや台湾は英語圏ではありませんが、英国式・米国式などのカリキュラムを英語で提供するインターナショナルスクールが都市部にあります。逆に英語圏でも、公立校に入れるかどうかは親の在留資格によって変わります。参考として、民間の英語能力指数(EF EPI 2025年版)ではマレーシアが123カ国・地域のうち24位(High Proficiency)、韓国が48位、タイが116位、日本が96位でした。ただしこれは任意で受けるオンラインテストの結果に基づく民間の指標で、その国の人全体の英語力を表すものではありません(台湾とシンガポールは2025年版に掲載がありません)。

※⑤で見落とされやすいのが日本人学校(全日制)があるかどうかです。文部科学省が認定した在外教育施設の一覧(2026年4月1日時点)では、マレーシアに4校(クアラルンプール・ジョホール・コタキナバル・ペナン)、台湾に3校、シンガポールに3校、タイに2校、オーストラリアに3校があり、ニュージーランドとカナダには全日制の日本人学校がありません。「インターが合わなかったときに日本語で学べる場所があるか」という保険の意味で、渡航前に確認しておく価値があります。

⑥の出口は、日本の情報サイトではほとんど触れられていない軸です。同じ「インターに通わせる」でも、英国式(IGCSE/Aレベル)・米国式・国際バカロレア(IB)でその先の進学先が変わります。国際バカロレア(IB)は、世界の大学が入学審査に使う国際的な教育プログラムのことです。IGCSEは英国式カリキュラムの中学卒業レベルの修了資格、Aレベルはその上の大学進学用の資格を指します。日本の大学に戻る可能性が残るなら、帰国生入試の要件も先に確認しておくと安全です。

「うちの子の年齢と、うちの働き方だとどの軸が効くのか」は、ご家庭ごとに変わります。個別のご相談では、この6軸をお客様の条件に当てはめて一緒に整理しています。

7カ国の保護者ビザ比較表

まず結論の表です。日本人家族の候補に挙がりやすい7カ国について、「親が子どもに付き添うための制度」を各国政府の公式ページで確認し、対象・就労可否・主な要件を並べました。制度名は公式表記のまま載せていますので、ご自身で公式サイトを検索する際の手がかりとしてもお使いください。

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親の付き添い制度対象親の就労主な要件・特徴
マレーシア あり(Social Visit Pass/入国管理局の Guardian・School Level)+ MM2H + DE Rantau の計3ルート 実の親・法定後見人・養親・祖父母・7歳未満の兄弟姉妹 不可
(Guardianは就労・事業・政治活動が不可)
Guardianのパス代はRM90(学生パス本体はRM60)。12か月以上の医療保険と、直近3か月の銀行明細などによる財政能力の証明が必要
台湾 公式の居留ビザ一覧に該当区分が見当たらない 親が取る資格による
(就業金卡なら可/華語研習は6か月通学後に週20時間以内の許可制)
親が就労・投資・華語研習・就業金卡などで自分の居留資格を先に取り、その扶養として子が居留する形。依親の対象は外国籍の配偶者と未成年の子に限られ、依親で居留証を得た人はさらに依親の受け皿にはなれない。高級中等以下の外国人学生の居留ビザは、査証免除国・試行免除国に限って開放と案内(日本は査証免除国のため対象内)
シンガポール あり(Long Term Visit Pass/学生パスの子・孫を持つ親・祖父母向け) 親か祖父母のいずれか1名のみ 実質不可
(就労許可の対象リストに含まれない)
21歳以上のシンガポール国民または永住権保持者のローカルスポンサーが必須。申請S$45+発給S$60(国籍によりMultiple Journey Visa S$30が別途)。処理は6週間以内が目安
タイ あり(Non-Immigrant "O"/生徒の親・保護者向け) タイ教育省認可の小中高に在籍する生徒の親・保護者。在外公館により「20歳未満・フルタイムの長期課程」などの限定あり 公式資料に記載なし
(働くには別途ワークパーミットが必要)
シングルエントリーの場合、査証の有効期間3か月・滞在90日。以降は1年ごとにタイ入国管理局へ延長を申請し、父または母の名義でタイ国内の銀行に50万バーツ以上(申請前3か月間の維持/初年度のみ30日以上)が必要
ニュージーランド あり(Guardian Visitor Visa) 17歳以下、または school years 1〜13 に在籍する子の親・法定後見人。子が複数就学していても同時に1名のみ NZ国内は原則不可
ただしNZ国外の雇用主・クライアント向けのリモートワークは可能な場合あり(2025年1月27日以降に申請した訪問者ビザが対象)。条件変更を申請すれば平日9:30〜14:30のパートタイム就労が認められる場合もある
資金要件は月NZ$1,000(宿泊費を支払い済みなら月NZ$400)。親自身の就学は12か月中3か月まで
オーストラリア あり(Student Guardian visa/subclass 590) 学生ビザ保持者で18歳未満の子の親・監護権を持つ人、または親もしくは監護権を持つ人が書面で指名した21歳以上の親族。例外的な事情で支援が必要な場合は18歳以上の学生も対象 不可
(公式に「働けません」と明記)
親自身の就学はELICOS(英語コース)が週20時間未満、それ以外の学習は3か月以内まで。6歳未満の家族は、同伴しない予定でも原則として不許可。滞在できる期間はビザ許可書に記載された日まで。学生本人を残しての出国には、やむを得ない事情・代替の監護手配・教育機関の承認・出国前の当局への証拠提出が必要
カナダ 専用制度が公式の案内に見当たらない。ただし親が訪問者として同行する道はある 訪問者としての滞在中は不可 親が就労/就学の資格を持つ場合、すでにカナダ国内にいる子は就学許可なしで初等・中等教育を受けられる(就学目的で日本から渡航する場合は入国前に就学許可の申請が必要)。親が訪問者の場合は、子自身の就学許可(study permit)が必要。訪問者の滞在延長は visitor record で申請し、期間は通常6か月または審査官が定める期間
親の就労欄の色:青=条件つきで可能な場合ありグレー=不可・該当区分なし
▲ 教育移住先7カ国の「親の付き添い制度」比較(2026年8月時点・各国政府の公式ページをもとにルシュエット作成)。ビザ制度は改定されます。申請時点の最新要件は必ず各国の公式サイトでご確認ください。

この表を眺めると、日本の情報サイトでよく見る「おすすめランキング」とは違う姿が見えてきます。シンガポールは制度こそありますが、現地に21歳以上の国民または永住権保持者のスポンサーが必要で、つてがないご家庭には実質的に高いハードルがあります。オーストラリアは制度が整っている一方で、6歳未満のご家族がいる場合は原則として認められません。きょうだいの年齢が近いご家庭には、まっさきに効いてくる条件です。

逆にマレーシアは、親の滞在ルートが3本あるのが他国にない特徴です。お子さんの学生パスに付随する保護者パス、長期滞在ビザのMM2H、リモートワーカー向けのDE Rantau——条件に応じて選べる幅があります。次の章で詳しく見ていきます。

マレーシア:親の滞在ルートが3本ある

マレーシアが教育移住先として選ばれやすい理由は、費用や治安より「親の滞在ルートの選択肢が多いこと」にあります。他国の多くは保護者向け制度が1本しかないのに対し、マレーシアには性格の違う3つのルートがあり、ご家庭の資金状況や働き方に合わせて選べます。

ルート①:お子さんの学生パス+保護者のSocial Visit Pass

最も基本的なルートです。マレーシア入国管理局(Jabatan Imigresen Malaysia)の学生パスの案内には、学校レベル(School Level)の Guardian についての規定があり、対象は実の親・法定後見人・養親・祖父母・7歳未満の兄弟姉妹とされています。祖父母が対象に含まれている点は、他国と比べても幅の広い設計です。

※これは公式に列挙されている「対象になり得る人」の範囲であって、申請すれば必ず認められるという意味ではありません。実際に誰が認められるかは、お子さんの状況・学校・入国管理局の判断によって変わります。祖父母やご両親そろっての付き添いを前提に計画される場合は、学校を通じて事前に見通しをご確認ください。

ただしGuardianの就労・事業・講演・政治活動は認められていません。パスの費用はRM90(お子さんの学生パス本体はRM60)で、申請にあたっては有効期間18か月以上のパスポート、12か月以上の医療保険、直近3か月の銀行明細などによる財政能力の証明が必要とされています。手続きは学校を通じて進めるのが一般的です。

※ここでいう「18か月」「12か月」は申請時に必要なパスポートの残存期間と医療保険の期間で、パス自体が何年有効かという話ではありません。Guardianのパスが何年発給されるかは、入国管理局の公式ページには記載が見当たりませんでした。実際の発給期間はお子さんの在籍状況や学校の手続きによって変わるため、出願先の学校と入国管理局に必ずご確認ください。なお、大学以降の「Dependent Pass(扶養家族パス)」は入国管理局の案内で修士・博士課程の学生が対象とされており(EMGSは一部の国籍の学部生についても申請可能としています)、いずれにせよインターナショナルスクールに通う未成年のお子さんが親を呼ぶ制度ではありません。名前が似ているため混同しやすいのでご注意ください。

ルート②:MM2H(マレーシア・マイ・セカンドホーム)

MM2Hは、外国人向けの長期滞在プログラムです。現在はSilver・Gold・Platinum、およびSEZ/SFZ(経済特区枠)の4区分があり、区分ごとに定期預金額・住宅購入額・パスの有効期間が異なります。

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項目SilverGoldPlatinumSEZ/SFZ
申請できる年齢25歳以上25歳以上25歳以上21歳以上
定期預金USD150,000USD500,000USD1,000,000USD65,000(21〜49歳)
USD32,000(50歳以上)
参加費(一括)RM1,000RM3,000RM200,000RM1,000
処理費(参加費とは別)本人RM5,000+扶養家族1名につきRM2,500(全区分共通)
住宅購入RM600,000以上RM1,000,000以上RM2,000,000以上ジョホール州のForest City内で必須
パスの有効期間5年15年20年10年
最低滞在日数
(50歳未満)
年間90日(累計)年間90日(累計)年間90日(累計)年間90日(累計)
最低滞在日数
(50歳以上)
要件なし要件なし要件なし要件なし
就労・事業/投資不可不可不可
▲ MM2Hの4区分(2026年8月時点・MM2H公式サイトの申請ガイドラインおよび区分比較表をもとにルシュエット作成)。定期預金額はUSD建てで公表されています。日本語の情報サイトではリンギット建てとして紹介されていることがあり、混同にご注意ください。最低滞在日数の年齢条件は、各区分の個別ページには書かれておらず申請ガイドライン側に記載されています。要件は改定されます。

※就労と事業/投資については、公式サイトが区分ごとに明記しています。Silver・Gold・SEZ/SFZはMM2Hのパスのままでは就労も事業/投資もできず、「該当する別のパスを申請する必要がある」と記載されています。Platinumのみ、就労と事業/投資の両方が「可(Permissible)」と明記されています。経済特区枠だから働けるということではありません。

最低滞在日数は、日本語の解説でしばしば「全区分で年間90日」と紹介されていますが、公式の申請ガイドラインでは50歳未満の参加者に課される条件と書かれており、50歳以上には最低滞在日数の要件がありません。ここは検討の前提が変わる部分なので、必ず公式のガイドラインでご確認ください。

教育移住の観点で押さえておきたいのは、次の4点です。

※購入した住宅は10年間売却できません(より高額な物件への買い替えは可能とされています)。また承認後、本人・扶養家族とも観光省が指定する医療機関での健康診断が必要です。MM2Hは2002年の開始以降、複数回にわたって要件が改定されてきた制度です。数年前の解説記事の条件はそのまま使えないとお考えください。

ルート③:DE Rantau Nomad Pass(リモートワーカー向け)

日本の仕事をリモートで続けながらマレーシアに住みたいご家庭に、選択肢になり得るのがDE Rantauです。マレーシアデジタル経済公社(MDEC)が運営するリモートワーカー向けのProfessional Visit Passで、教育移住の文脈ではほとんど紹介されていませんが、扶養家族の帯同が認められている点が家族での移住と相性があります。

項目内容
滞在期間3〜12か月+12か月の更新(最長24か月)
年収要件IT・デジタル系:年USD24,000以上/それ以外の職種:年USD60,000以上
帯同できる家族配偶者(事実婚のパートナーを含む)、18歳未満のお子さん(実子・養子・継子)、障害のあるお子さん(年齢制限なし)、本人の親(配偶者の親は対象外)
配偶者の就労不可
申請費用申請者RM1,080(マレーシアのサービス税=SST 8%込・返金不可)/扶養家族1名あたりRM540(同)/これとは別に入国管理局のパス代(3か月ごとRM90・1年RM360)
対象地域半島マレーシアおよびラブアン(サバ州・サラワク州は対象外)

※重要な注意が2つあります。1つは、DE Rantauの扶養パスだけではお子さんは学校に通えない点です。就学には学校を通じた学生パスの申請が別途必要とされています(ホームスクールの場合は不要)。もう1つは、公式のFAQに「マレーシアの多くの銀行はProfessional Visit Passでの口座開設を受け付けない」と明記されている点です。現地での支払い方法を事前に考えておく必要があります。

現地からのリアル

3つのルートは「どれが正解か」ではなく「どれが今のご家庭に合うか」で選ぶものです。まとまった資金を動かせるならMM2H、資金は動かさずお子さんの就学を軸に住むならGuardian、日本の仕事を続けるならDE Rantau——という整理が、ご相談での出発点になります。

そして実務でいちばん時間がかかるのは、ビザそのものより学校の合格を先に取ることです。Guardianのルートはお子さんの学生パスが土台なので、学校が決まらないと親の手続きも動きません。逆算すると、渡航希望日のかなり前から学校の出願準備が必要になります。

まずは、ご家庭に合う滞在ルートを整理しませんか?

3つのルートのどれが合うかは、ご家庭の資金状況と働き方で変わります。クアラルンプール在住のスタッフが、ビザ・学校・費用の条件を個別に整理します。
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台湾:親が先に資格を取る「逆の順番」

台湾は、他の国と手順が逆になります。外交部領事事務局が公表している居留ビザの区分を一覧で確認しましたが、保護者の付き添いに相当する区分は見当たりませんでした。一方で「依親」(家族帯同)の居留ビザは、台湾に戸籍を持つ国民、または合法的な居留・永久居留資格を持つ人の、外国籍の配偶者と未成年の子が対象とされています。つまり親が先に何らかの在留資格を持っている前提の制度です。

さらに、この依親のビザには「依親を事由として居留証を取得した人は対象外」という注記があります。お子さんが就学のために得た居留資格に親がぶら下がる、という組み立て自体が想定されていないことになります。

整理すると、台湾で家族が長く暮らすには、親が就労・投資・華語(中国語)留学などで自分の居留資格を先に取り、その扶養としてお子さんが居留証を得るという順番になります。「子どもの学校を決めてから親が付いていく」というマレーシア型の発想では組み立てられません。逆に言えば、親が自分の事由で居留資格を得られるご家庭にとっては、選択肢から外れる国ではありません。

台湾で親が取り得る資格の例

では親はどうやって資格を取るのか。公式に制度が確認できるものを2つ挙げます。

制度概要
華語(中国語)研習の居留ビザまず研習中文の停留ビザで入国し、教育部が認可する大学付設の華語教育機関で4か月就学したうえで、さらに3か月以上の継続登録をすると、移民署で居留への切り替えを申請できるとされています。出席は週15時間以上(月〜金)が求められます。財力証明の提出も必要ですが、必要な金額は公式には示されていません(本人または三等親以内の親族による証明、海外送金証明、奨学金証明などが認められます)。居留証の有効期間は最長1年、台湾での通算の滞在は2年を超えないことが原則とされています。
就業金卡(Employment Gold Card)居留ビザ・就労許可・居留証(ARC)・再入国許可が1枚になったカードで、有効期間は1〜3年。科学技術・経済・教育・文化芸術・金融・法律など、分野ごとに対象が定められています。公式に「配偶者と子は依親居留を申請できる」と案内されており、直系尊属(本人と配偶者の父母・祖父母)は有効期間1年のマルチビザを申請でき、1回の滞在は最長6か月、台湾国内で延長すれば1回あたり最長1年まで滞在できるとされています。

この2つは、家族帯同のしやすさが大きく違います。就業金卡は配偶者とお子さんの依親居留が公式に案内されており、家族は査証免除などで入国したまま居留証を申請できる特則の対象です。一方で華語研習のルートは、法令上これを家族帯同の対象から除外する規定は見当たらないものの、親自身が居留証を得るまでに4か月の通学が必要で、その間は依親の申請そのものができません。帯同するご家族の居留期間も、親の居留期間に連動します。

華語研習のルートで家族帯同を前提にする場合は、語学学校に学費を振り込む前に、台北駐日経済文化代表処へ個別にご確認ください。公式に「できない」と書かれてはいませんが、「できる」とも明記されていません。また就労については、無許可で働くことはできず、語学課程は6か月以上通学したうえで、週20時間以内のアルバイト許可を申請できるという扱いです(学校による財力等の認定が要件)。ただし在外公館のページによっては「1年以上」と案内している例もあり、窓口によって説明が異なります。いずれにしても、働いて生活費を賄う前提では組み立てられません。

もう1つ、学校側の条件も確認が必要です。高級中等以下(日本でいう高校以下)の学校について、外交部の案内では外国人学生の居留ビザは現段階では査証免除国および試行免除国の国民に限って開放されていると説明されています。日本は査証免除国のため、日本国籍のお子さんは対象に含まれます。また外僑学校(外国人学校)の設置管理弁法では、募集対象はその外国籍の僑民を優先し、若干名の枠を保留して他の国籍の学生に入学申請を提供できると定められています。日本国籍のお子さんが実際に入れるかどうかは、学校ごとの枠の状況によって変わります。

※台湾の制度についても、居留資格・学校の受け入れ枠ともに運用が変わり得ます。検討される場合は、台湾の在外公館(台北駐日経済文化代表処)と、志望校に直接ご確認ください

シンガポール・タイ・NZ・豪州・カナダ

残る5カ国は、制度の性格がそれぞれ大きく違います。「どこも似たようなもの」ではなく、家族構成と働き方で向き不向きがはっきり分かれます。

シンガポール:制度はあるが、現地スポンサーが必要

学生パスで学ぶお子さん・お孫さんを持つ親または祖父母向けに、Long Term Visit Pass(長期滞在パス)が用意されています。ただし取得できるのは親か祖父母のいずれか1名のみで、さらに21歳以上のシンガポール国民または永住権保持者によるローカルスポンサーが必要とされています。現地に頼れる人がいるかどうかで、可否が分かれる制度です。

就労については、就労許可(LOC=Letter of Consent)の対象として案内されているのはシンガポール国民・永住権保持者の配偶者、または21歳未満の未婚の子であるLTVP保持者で、学生パスの子を持つ親・祖父母のLTVPはこの対象に含まれていません。つまりこのLTVPのままでは就労できません(現地で働くなら、別途ご自身で就労パスを取得する必要があります)。費用は申請S$45・発給S$60(国籍によってはMultiple Journey Visa S$30が別途)で、処理は6週間以内が目安と案内されています。

タイ:保護者向けのビザ区分が明確にある

タイにはNon-Immigrant "O"(生徒の親・保護者向け)という区分があり、タイ教育省が認可する小中高(インターナショナルスクールを含む初等・中等教育)に在籍する生徒の親・保護者が対象とされています。在福岡タイ王国総領事館の案内では、シングルエントリーの場合、査証の有効期間は3か月・滞在は90日です。ただしタイ外務省の総則は「90日を超えない範囲」とだけ定めており、有効期間の表記は申請先の公館によって異なります。入国後は、タイ入国管理局へ延長を申請する流れです。

ただしこの区分は、在外公館によって案内の細かさが違います。「20歳未満の生徒」「フルタイムの長期課程」といった限定を明記している公館もあるため、対象になるかどうかはご自身が申請する管轄の在外公館で必ずご確認ください。また、保護者カテゴリでマルチプルエントリーを提供している公館は、今回の確認では見つかりませんでした。

そしてタイを検討するなら、入国後の「延長」の条件こそが本番です。現行のタイ入国管理局命令 第12/2568号(2025年1月23日付)の条項2.11(5)は、就学する子に同行する父または母の滞在延長について、次のように定めています(従前の警察庁令 No.161/2563は2023年9月30日に廃止され、要件はこの命令に引き継がれました。数年前の解説記事が引いている命令番号は、すでに失効しています)。

項目内容
許可される期間1回につき1年以内(=毎年の更新)
資金要件タイ国内の商業銀行、または特別法で設立された政策金融機関に、その父または母の名義で50万バーツ以上を預けていること
維持期間申請前3か月間維持されていること。初年度のみ、申請日の30日以上前からの維持でよい
前提親がNon-Immigrantビザを保持していること/お子さんの就学先が政府系または私立の教育機関に該当すること

※この50万バーツは「父または母の名義で」と定められており、お子さんの人数に応じて増える規定は条文にありません。日本語の解説では「子ども1人につき50万バーツ」と書かれていることがありますが、公式の条文にその文言は見当たりませんでした。なお親の就労可否について、保護者カテゴリの公館ページには記載がありませんでした。タイで働くには別途ワークパーミットが必要とされているため、就労を前提にした計画は立てないでください。またタイの査証手数料は在外公館ごとに設定が異なります。金額は管轄の在外公館の公表値をご覧ください。

ニュージーランド:国外雇用主のリモートワークに触れている唯一の国

Guardian Visitor Visa は、17歳以下、または school years 1〜13 に在籍するお子さんの親・法定後見人が対象です。お子さんが複数ニュージーランドで学んでいても、このビザは同時に1名にしか発給されません。資金要件は月NZ$1,000(宿泊費を支払い済みの場合は月NZ$400)とされています。

特筆すべきは就労の扱いです。ニュージーランド国内での就労は原則として認められていませんが、公式ページには「ニュージーランド国外に拠点のある雇用主やクライアントのためにリモートで働ける場合がある」という説明があります。今回調べた7カ国のうち、リモートワークの可能性に公式が言及しているのはニュージーランドだけでした。日本の仕事を続けたい方には、検討する価値のある条件です。

さらに、条件変更(variation of conditions)を申請すると、平日9:30〜14:30の範囲でパートタイムの就労または就学が認められる場合があります(移民局の現行の運用指示による)。ただしこのビザから就労ビザや学生ビザへ切り替えることはできません。認められるかどうかは審査次第なので、収入をあてにした計画は立てないでください。

※このリモートワークの扱いは、2025年1月27日以降に申請された訪問者ビザが対象と案内されています。またニュージーランドの雇用主やニュージーランド国内の事業者に向けた仕事は対象外です。ご自身の働き方が該当するかどうかは、申請前に必ず公式ページでご確認ください。なお親自身の就学は、12か月のうち3か月までに制限されています。

オーストラリア:制度は明確、ただし年齢の条件が厳しい

Student Guardian visa(subclass 590)は、学生ビザを持つ18歳未満のお子さんの親・監護権を持つ人、または親もしくは監護権を持つ人が書面で指名した21歳以上の親族が対象です。加えて、例外的な事情により支援が必要と認められる場合は、18歳以上の学生の保護者も対象になり得るとされています。公式ページには"You cannot work."(働けません)と明記されています。親自身の就学は、ELICOS(英語集中コース)なら週20時間未満、それ以外の学習・訓練なら3か月以内までという二段構えの条件です。

教育移住で見落とされがちなのが「6歳未満の家族がいる場合は原則として認められない」という条件です。公式ページには「6歳未満のご家族が一緒に渡航する予定がない場合でも適用される」と書かれており、日本に残していく場合でも影響します。下のお子さんが小さいご家庭には、実務上かなり重い条件です。

また学生本人をオーストラリアに残して保護者だけが出国することは、原則としてできません。認められるのは、やむを得ない理由があり、代わりの監護の手配(welfare arrangements)を整え、お子さんが18歳未満なら学校の承認を得て、さらに出国前に当局へその証拠を提出した場合です。一時帰国を織り込むなら、この4点を前提に計画する必要があります。

※資金面では、本人・学生・同伴する家族の12か月分の生活費を示すことが求められます(滞在が12か月未満なら日割り)。渡航しない配偶者・事実婚のパートナーの収入で代替する場合は、申請直前12か月の年収がAUD102,500以上であることを、納税証明などの政府発行の書類で示す必要があります(銀行の取引明細や雇用主の証明書は認められません)。金額は改定されるため、申請時点の公式ページでご確認ください。

カナダ:専用の保護者ビザはないが、親が訪問者として同行する道はある

カナダには、子どもの就学に付き添うための専用ビザが公式の案内に見当たりませんでした。ただし「だから親は行けない」という意味ではありません。移民局の公式ガイドラインには、就労も就学も認められていない訪問者(visitor)の未成年の子は、カナダで学ぶために自分の就学許可(study permit)が必要と明記されています。裏を返せば、お子さんが自分で就学許可を取れば、親は訪問者として同行できるということです。

整理すると、カナダは親の資格によって手続きの重さが2通りに分かれます。

親の滞在資格お子さんの就学手続き
就労許可または就学許可を持っている移民難民保護法(IRPA)第30条第2項の免除により、すでにカナダ国内にいるお子さんは就学許可なしで初等・中等教育を受けられる。ただし日本から就学目的で渡航する場合は、入国前の就学許可の申請が必要(下の注記)
訪問者(visitor)として滞在上の免除の対象外となるため、お子さん自身の就学許可(study permit)の取得が必要

親が就労ビザや留学から組み立てれば手続きは軽くなりますが、そうでなくても道は閉じていません。ただしどちらの場合も、訪問者として滞在する親は就労できません。

ここは日本から渡航するご家庭がいちばん誤解しやすい部分です。IRPA第30条第2項の免除は「すでにカナダ国内にいるお子さん」を対象にしたものです。移民局の審査ガイドラインは、就学を目的にカナダへ渡航するお子さんは、親に就労・就学の許可がある場合でも、入国前に就学許可(study permit)を申請する必要があるとしています。「親が就労ビザなら子の就学許可はいらない」と読んで手続きを省くと、渡航そのものができません。カナダを候補に入れる場合は、この点を必ず公式情報でご確認ください。

※訪問者としての滞在を延ばす場合は visitor record という書類を申請します。滞在期間は通常6か月、または審査官が定める期間とされており、申請すれば必ず長く滞在できるわけではありません。なお、17歳未満のお子さんに親が1人でも同行していれば、カストディアン(現地の後見人)の宣誓書は不要とされています。また「スーパービザ」はカナダ市民・永住者の親や祖父母を対象とした逆方向の制度で、教育移住には使えません。

費用は「学費+生活費+為替」で見る

インターナショナルスクールの年間授業料は、クアラルンプールと台北がほぼ同じ水準で、シンガポールが頭ひとつ高いという並びになります。各校が公式に公開している最新の料金表から、実額を拾って並べました。

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都市小学校(年額)中学・高校(年額)税の扱い
クアラルンプール
(5校)
RM86,500〜106,204
SST込で約355万〜436万円
RM92,300〜130,540
SST込で約379万〜536万円
SST 6%は別途(5校とも明記)
台北
(2校)
NT$674,200〜906,770
約340万〜457万円
NT$786,600〜1,005,105
約396万〜507万円
料金表に税の記載なし
シンガポール
(4校)
S$37,640〜47,490
約476万〜601万円
S$41,560〜58,080
約526万〜735万円
GST 9%を含んだ表示の学校がある
▲ インターナショナルスクールの年間授業料(2026年8月時点・各校公式サイトの料金表をもとにルシュエット作成)。KL=Garden International・Alice Smith・M'KIS・IGBIS・Epsom College(いずれも2026/27年度)、台北=Taipei American School・Taipei European School(2026-2027年度)、シンガポール=UWCSEA・Tanglin Trust・Singapore American School・Australian International School。授業料のみの金額で、出願料・入学登録料・保証金・施設費・スクールバス・給食・外部試験料は含みません。円換算はRMが1リンギット=38.7円(本記事の基準)、台湾ドルとシンガポールドルは日本税関の公示レート(2026年8月9〜15日適用・1台湾ドル=5.04円/1シンガポールドル=126.47円)による目安です。

国をまたいで学費を比べるときは、税の扱いをそろえてください。マレーシアの5校はいずれも「SST(サービス税)6%は別途」と明記しています。1人・1学年度あたりの対象料金の合計がRM60,000を超えると6%が課税され、免除はマレーシア国民などに限られるため、日本人のお子さんは課税対象です。一方シンガポールのUWCSEAとTanglin Trustは9%のGSTを含んだ金額を表示しています。そろえずに並べると、マレーシアが実際より約6%安く見えます。上の表のマレーシアの円換算は、SSTを加えた後の金額です。

※台北はTaipei American SchoolとTaipei European Schoolの2校です。台中のMorrison Academyは小学校がNT$484,000(2026-27年度)で、都市が変わると水準も下がります。Dominican International Schoolは公式の料金表が2024-2025年度のままだったため、この表には含めていません。台湾で見落とされやすいのは初年度の一時金です。たとえばTaipei American Schoolには一度だけかかるCapital Fee(NT$350,000)があります。

生活費の水準は、学費とは別の順番になります。民間の生活費指数(Numbeo・2026年央版・ニューヨーク=100)では、クアラルンプール38.8・バンコク43.5・台北54.5・東京54.3・ソウル64.5・オークランド64.4・シドニー79.2・シンガポール90.8です。学費が近いKLと台北でも、日々の生活費では差が出ます。ただしこの指数は利用者の投稿を主体とした民間の推計で、公的統計ではありません。順位そのものではなく、おおよその幅を見るための目安としてお使いください。

そしてもう1つ、教育移住では為替の変動が学費の差と同じくらい効いてきます。数年単位で続くからです。ここは日本の情報サイトでほとんど扱われていない論点です。

学費と家賃を合わせた年間コストが仮に年400万円相当だとすると、為替が10%動くだけで年40万円ほど円ベースの負担が変わります。3年間なら100万円を超える差です。学校のグレードを1段下げるかどうかで悩むより、為替の前提を保守的に置いたほうが、計画としては安全に働きます。

実務的な対処は3つあります。①金額は現地通貨で管理し、円換算はあくまで目安として扱う。②円安に振れた場合の「上振れ予算」を最初から見込んでおく。③学費以外の毎年の固定費(ビザの更新料・医療保険・一時帰国の航空券)を最初から年間費用に入れておく。特に③は見落とされやすく、家族の人数が増えるほど効いてきます。

※本記事に出てくるリンギット建ての金額は、RM1=約38.7円(2026年8月時点)で換算した場合の目安です。為替は日々変動するため、実際のご負担額は換算時点によって変わります。マレーシアの費用の内訳はマレーシア移住にかかる費用で、学校まわりの費用はマレーシアのビザの種類とあわせてご覧ください。

現地からのリアル

ご相談で費用の話になると、ほとんどの方が学費の数字だけを比べようとされます。ただ、実際に暮らしはじめて効いてくるのは、学費以外の「毎年必ず出ていくお金」のほうです。ビザの更新、医療保険、夏休みの一時帰国——このあたりは、渡航前の見積もりから抜け落ちがちです。

私たちが試算をお手伝いするときは、初期費用・毎月の費用・毎年の費用の3段に分けて並べます。3段に分けると、ご家庭が本当に判断すべきところがはっきりします。

国を絞り込む5ステップ

ここまでの内容を、実際に動く順番に並べ直しました。学校探しから始めないのがポイントです。

  1. 誰が付き添うかを決める

    母だけか、両親か、祖父母か。同伴するきょうだいの年齢も含めて決めます。祖父母が対象になる国、1名しか認めない国、6歳未満の同伴を認めない国があるため、ここで候補が絞れます。

  2. 親の収入源を決める

    現地で働けない前提で、日本の収入・貯蓄・リモートワークのどれで支えるかを決めます。リモートワークが前提なら、それを認めている制度がある国に候補が絞られます。

  3. 親のビザで国を2〜3カ国に絞る

    ①②の条件を、この記事の比較表に当てはめます。ご家庭の条件によりますが、この段階で候補が2〜3カ国まで絞られてくることが多いです。

  4. 絞った国の中で学校を探す

    ここでようやく学校です。カリキュラム(英国式・米国式・IB)と英語サポート体制、日本人比率まで見て、お子さんに合う学校を選びます。

  5. 学校の合格を取ってからビザを申請する

    保護者パスはお子さんの学生パスが土台になるため、学校の合格が先です。渡航希望日から逆算して、出願準備の開始時期を決めます。

国選びでよくある3つの失敗

ご相談を受ける中で繰り返し出てくる、つまずき方を3つに絞りました。

1. 学校から探し始めてしまう

最も多いパターンです。学校を決めてから親のビザを調べ、条件が合わずに国ごとやり直しになります。親の滞在資格を先に決めれば、そもそも見る学校の数が減って検討も早く終わります。

2. 「親も働けるだろう」と考えてしまう

保護者向けの制度は、就労を認めないのが原則です。渡航後の現地収入をあてにした資金計画は、前提から崩れます。日本の収入を維持できるか、貯蓄で何年もつかを先に計算してください。

3. 数年前の記事の条件をそのまま信じてしまう

ビザ制度は改定されます。MM2Hも複数回にわたって要件が変わってきました。金額・期間・対象者は、必ず申請する時点の公式サイトで確認してください。本記事も2026年8月時点の公表内容に基づくもので、その後の改定は反映されていません。

よくある質問

教育移住におすすめの国はどこですか?

ご家庭の条件によって変わるため、順位づけはできません。ただし「親が子どもに付き添うための制度が公式に用意されているか」という条件で絞ると候補はかなり減ります。この条件を満たすのは、マレーシア(学生パスの保護者向けSocial Visit Pass)、オーストラリア(Student Guardian visa/subclass 590)、ニュージーランド(Guardian Visitor Visa)、タイ(Non-Immigrant O/生徒の親・保護者向け)、シンガポール(学生パスの子を持つ親・祖父母向けLTVP)です。台湾とカナダについては、親が子どもの就学に付き添うための専用制度が公式の案内に見当たりませんでした。ただし行けないという意味ではなく、台湾は親が華語研習や就業金卡などで自分の居留資格を先に取る形、カナダはお子さん自身が就学許可を取って親が訪問者として同行する形で組み立てることになります。

教育移住で親は現地で働けますか?

保護者として滞在する制度では、就労は認められないのが原則です。オーストラリアのStudent Guardian visa(subclass 590)は公式に「働けません」と明記され、マレーシアの学生パス保護者向けパスも就労・事業が不可とされています。例外的に、ニュージーランドのGuardian Visitor Visaは公式ページで「ニュージーランド国外に拠点のある雇用主・クライアントのためにリモートで働ける場合がある」と説明されています。ただしこれは2025年1月27日以降に申請された訪問者ビザが対象とされ、ニュージーランドの雇用主やニュージーランド国内の事業者向けの仕事は対象外です。日本の収入や貯蓄をどう確保するかを、国を決める前に整理しておく必要があります。

マレーシアで親が滞在する方法にはどんな選択肢がありますか?

大きく3つあります。1つ目はMM2H(マレーシア・マイ・セカンドホーム)で、Silver・Gold・Platinum・SEZの4区分があり、定期預金額と住宅購入額の要件が区分ごとに異なります。定期預金額はUSD建てで公表されている点にご注意ください。2つ目は、お子さんの学生パスに付随して保護者が取得するSocial Visit Pass(入国管理局のGuardian/School Level)で、対象は実の親・法定後見人・養親・祖父母・7歳未満の兄弟姉妹とされ、就労は認められていません。3つ目はDE Rantau Nomad Pass(リモートワーカー向け)で、扶養家族の帯同が認められていますが、お子さんの就学には別途、学校を通じた学生パスの申請が必要です。いずれも要件は変更されることがあるため、申請時点の公式情報で必ずご確認ください。

台湾への教育移住は難しいのでしょうか?

難しいというより、順番が他の国と逆になります。台湾の外交部領事事務局が公表する居留ビザの一覧に、親が子どもの就学に付き添うための区分は見当たりませんでした。一方で依親(家族帯同)の居留ビザは、台湾に戸籍を持つ国民または合法的な居留・永久居留資格を持つ人の、外国籍の配偶者と未成年の子が対象とされ、さらに依親を理由に居留証を得た人はその受け皿にはなれないと注記されています。つまり台湾では、親が就労や進学などで自分の在留資格を先に取り、その扶養としてお子さんが居留資格を得る形が基本になります。親が取り得る資格としては、華語(中国語)研習の居留ビザや、居留・就労・居留証が1枚になった就業金卡(Employment Gold Card)が公式に用意されています。就業金卡は配偶者と子の依親居留が公式に認められています。

国を比べるとき、学費以外に見落としやすい費用は何ですか?

為替です。学費も家賃も現地通貨で発生するため、円安が進むと同じ学校・同じ家に住んでいても円ベースの負担だけが増えます。学費と家賃を合わせた年間コストが仮に年400万円相当なら、為替が10%動くだけで年40万円ほど変わる計算になります。国を比べる段階では、現地通貨での金額を基準に置き、円換算はあくまで目安として扱うことをおすすめします。あわせて、ビザの更新料・医療保険・一時帰国の航空券も毎年かかる費用として見込んでおくと安全です。

主な参照元(2026年8月時点)

  • マレーシア MM2H(Silver/Gold/Platinum/SEZ の各要件):MM2H公式サイト(mm2h.gov.my)の区分別ページ、区分比較表(Overview)および申請ガイドライン ※最低滞在日数の年齢条件は申請ガイドラインおよび区分比較表の記載による
  • マレーシア 学生パスおよび保護者(Guardians・School Level)のSocial Visit Pass:マレーシア入国管理局(Jabatan Imigresen Malaysia)学生パス案内
  • マレーシア 高等教育の扶養家族パス:マレーシア入国管理局/EMGS(Education Malaysia Global Services)※インターナショナルスクール(初等・中等)は対象区分に含まれない
  • マレーシア DE Rantau Nomad Pass:マレーシアデジタル経済公社(MDEC)公式サイトおよび公式FAQ(最新版)
  • 台湾 居留簽證の区分一覧・外国人学生の居留簽證・依親居留簽證・華語研習の居留簽證:中華民国外交部領事事務局(boca.gov.tw)/就業金卡:国家発展委員会 Taiwan Employment Gold Card 公式サイト(goldcard.nat.gov.tw)/依親の要件:入出國及移民法 第23条・外國人停留居留及永久居留辦法(全國法規資料庫)/居留の申請手続き:内政部移民署/語学課程の学生のアルバイト許可:就業服務法 第50条・雇主聘僱外國人許可及管理辦法 第51条/労働部労働力発展署/外僑学校の就学枠:私立高級中等以下外國僑民學校及附設幼兒園設立及管理辦法 第7条(全國法規資料庫)
  • オーストラリア Student Guardian visa(subclass 590):Department of Home Affairs(immi.homeaffairs.gov.au)/6歳未満の条件・滞在期間・出国の条件:Migration Regulations 1994 附則2 第590項および附則8の各条件/生活費の基準額:内務省の告示(LIN 19/198)
  • ニュージーランド Guardian Visitor Visa および訪問者ビザでのリモートワークの扱い:Immigration New Zealand(immigration.govt.nz)/条件変更によるパートタイム就労の扱い:同局の運用指示(V3.100)および改正通達
  • タイ Non-Immigrant "O"(生徒の親・保護者向け)の発給要件:タイ王国外務省および各在外公館が公表する申請要件/滞在延長の要件:タイ入国管理局命令 第12/2568号(2025年1月23日付・条項2.11(5))※従前の警察庁令 No.161/2563は2023年9月30日に廃止
  • シンガポール 学生パスの子・孫を持つ親/祖父母向けLTVP:Immigration & Checkpoints Authority(ica.gov.sg)/Letter of Consent の対象範囲:人材省(mom.gov.sg)
  • カナダ 未成年の就学に関する規定:移民難民保護法(IRPA)第30条第2項/未成年の就学許可の運用指針および親が訪問者の場合の扱い:カナダ移民・難民・市民権省(IRCC)"Study permits: Guidelines on minor children"・"Studying in Canada as a minor"/訪問者の滞在期間:移民難民保護規則(IRPR)第183条
  • インターナショナルスクールの年間授業料:各校公式サイトの料金表(クアラルンプール=Garden International School・The Alice Smith School・Mont'Kiara International School・IGB International School・Epsom College in Malaysia/台北=Taipei American School・Taipei European School/台中=Morrison Academy/シンガポール=UWCSEA・Tanglin Trust School・Singapore American School・Australian International School)
  • マレーシアの学費に対するSST(サービス税):マレーシア関税局(mysst.customs.gov.my)の課税範囲拡大に関するFAQおよび官報
  • 為替:リンギットはマレーシア中央銀行(Bank Negara Malaysia)公表レート/台湾ドル・シンガポールドルは日本税関の公示レート(2026年8月9〜15日適用)
  • 生活費指数:Numbeo「Cost of Living Index by City」2026年央版 ※利用者投稿を主体とした民間の推計で、公的統計ではありません
  • 英語能力指数:EF English Proficiency Index 2025年版 ※任意受験のオンラインテストに基づく民間の指標です
  • 日本人学校(全日制):文部科学省「認定した在外教育施設一覧」(2026年4月1日時点)

※各国のビザ・在留制度は改定されます。本記事は2026年8月時点で公表されていた内容をもとにした概要であり、申請の可否や要件を保証するものではありません。実際の手続きにあたっては、必ず各国の公式情報および在外公館でご確認ください。

本記事に記載した費用・制度・学校情報は、2026年8月時点に公開されている情報にもとづく目安です。為替はRM1≒38.7円で換算しています。制度や料金は改定されることがあるため、お申し込みの前に各公式サイト、または当社までご確認ください。