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マレーシアで働く方法|現地就職と就労ビザEPの条件【2026年6月改定】

「マレーシアで働きたい」と思ったとき、最初につまずくのはビザではなく順番です。就労ビザは自分では申請できず、給与の下限も2026年6月に上がりました。今の基準で何が必要になるのかを、公式資料から整理します。

結論から言うと、日本人がマレーシアで働くために必要なのはEmployment Pass(EP=就労パス)で、これは本人ではなく雇用主となるマレーシア法人が申請します。そして2026年6月1日、そのEPの最低給与が改定され、いちばん下の区分でも基本給で月RM5,000(約19万円)が必要になりました。改定前の下限はRM3,000だったため、月給RM4,000台の求人では就労パスが下りないという状態が生まれています。その一方で、同じ改定によっていちばん下の区分でも家族を帯同できるようになりました(改定前は認められていませんでした)。ハードルが上がった面と、下がった面が同時に起きています。この記事では、その新しい基準を起点に、申請の流れ・家族の帯同・税金と社会保険までを順番に整理します。あわせて、ほとんどの解説記事が触れていない「その給与で家族3人が暮らせるのか」も、学費と家賃の公表額を並べて確かめます。

結論:2026年6月に「必要な月給」が上がった

マレーシアで働くには就労パス(Employment Pass、以下EP)が必要で、EPは給与の水準によって3つの区分に分かれています。ここが2026年に大きく動きました。移民局ESD(Expatriate Services Division=駐在員の在留手続きを担当する部署)が公表した改定給与政策により、2026年6月1日から新しい最低給与が施行されています。

実務への影響がいちばん大きいのは、最下位のカテゴリーIIIの下限がRM3,000からRM5,000へ引き上げられたことです。これは「月給RM4,000で内定が出ても、そのままではパスが下りない」ということを意味します。日本語で書かれた解説記事の多くは改定前の基準のままなので、求人票と記事の数字を照合するときは、どちらの基準の話かを必ず確かめてください

もうひとつ見落とされやすいのが、ここでいう給与が「基本給のみ」を指すという点です。ESDのFAQでは、手当・賞与、および国外で支払われる分は算入しないとされています。オファーレターの総支給額が基準を超えていても、基本給の欄が下限に届いていなければ区分は下がります。

現地からのリアル

ご相談でよくあるのが、「求人サイトの月給は条件を満たしているように見えたのに、オファーレターを見たら基本給が思ったより低かった」というケースです。マレーシアの求人票は、住宅手当や交通手当を含めた総額で書かれていることが珍しくありません。内定の返事をする前に、オファーレターの内訳で基本給がいくらかを確認する——これだけで、後から手続きが止まるリスクをかなり減らせます。

就労ビザEPの3区分と、改定前後の違い

EPの区分は、給与の下限だけでなくパスの最長期間も分けています。まず改定後(2026年6月1日以降の申請)の基準です。

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区分最低月給(基本給)同一雇用主での最長期間家族の帯同付帯条件
カテゴリー IRM20,000 以上最長10年
カテゴリー IIRM10,000〜19,999最長10年後継者育成計画
カテゴリー IIIRM5,000〜9,999最長5年可(改定で解禁)後継者育成計画
▲ 2026年6月1日施行の改定給与政策による区分。円に直すと RM5,000=約19万円、RM10,000=約39万円、RM20,000=約77万円(RM1≒38.7円で換算)。※製造業とMRS(製造関連サービス)はカテゴリーIIIの下限がRM7,000とされています(内務省の発表による)。またMDECの補足告知では、母語級の語学力を要件とするGBS〈事業サービス〉分野の一部職種について、2027年6月1日までは旧基準で審査され得るとされています。ご自身の業種の扱いは所管機関にご確認ください。後継者育成計画(Succession Plan)の義務化は2027年1月1日からとされています。カテゴリーIIIの家族帯同は2026年6月1日以降に提出された申請が対象です(詳しくは後述)。「最長10年・最長5年」は、1回の発給でその年数が出るという意味ではありません。同じ資料はEPそのものを「1〜60か月の複数回入国ビザ」と説明しており、また転職した場合は「新しい会社での雇用開始日から起算する」、区分が変わった場合は「その区分のパスの発給日から起算する」と定めています。資料は最長期間の欄そのものに「同一の雇用主・職位・EP区分にもとづく」と明記しています。つまり会社や職位が変われば、この年数は積み上がりません。またこの枠組みは半島マレーシアが対象で、サバ州・サラワク州は州ごとの制度になります。区分は改定されることがあるため、申請時点の公式情報でご確認ください。

ただし、この表はあくまで入管が審査に使う基準です。「この金額を満たせば家族で暮らせる」という意味ではありません。ここからさらに所得税・EPF・SOCSOが天引きされ、そのうえで学費と家賃が出ていきます。額面と手取りのあいだにどれだけ差があるかは「パスが下りる給与」と「家族で暮らせる給与」は別の数字ですで、実際の金額を並べて確かめます。

改定前と並べると、引き上げ幅がはっきりします。旧カテゴリーIの下限だったRM10,000は、いまはカテゴリーIIの下限です。同じ給与でも区分が1つ下がった、と理解するとわかりやすいと思います。

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区分〜2026年5月31日(旧)2026年6月1日〜(新)
カテゴリー IRM10,000 以上RM20,000 以上
カテゴリー IIRM5,000〜9,999RM10,000〜19,999
カテゴリー IIIRM3,000〜4,999RM5,000〜9,999
カテゴリーIIIの家族帯同不可
▲ 改定前後の比較。ネット上の日本語記事の多くは左側(旧基準)のままです。「マレーシアはRM3,000から就労ビザが取れる」という記述を見かけたら、改定前の情報だと考えてください。給与の下限は上がった一方で、カテゴリーIIIの家族帯同は解禁されています。

すでにEPを持っている人はどうなるか

ESDのFAQによれば、現在EPを保持している方が、この改定のためだけに再申請をする必要はないとされています。ただし注意が必要なのは更新のタイミングで、更新申請が2026年6月1日以降になる場合は新しい基準が適用されるとされています。数年前に取得したパスをそのまま更新するつもりでいると、更新の段階で給与要件に届かないという事態が起こり得ます。

あわせて、カテゴリーIIIに設けられていた3か月のクーリングオフ期間は、この改定給与政策により廃止されたとされています。古い解説記事にはまだ残っている記述なので、こちらも情報の新旧にご注意ください。

「ずっと住める」わけではない

表の「同一雇用主での最長期間」は、意外と語られない論点です。カテゴリーI・IIは最長10年、カテゴリーIIIは最長5年とされており、この通算年数は雇用する会社ごとに数えるとされています。つまり転職すれば起算は変わりますが、同じ会社に居続ける前提で「マレーシアに永住する」という設計を組むと、どこかで頭打ちになります。

長期の在留を見据える場合、EPで連続3年就労し、基本給が月RM15,000(約58万円)以上、直近2年の納税実績があるといった条件を満たすと、TalentCorpが所管するResidence Pass-Talent(RP-T)という10年のパスを申請できる道があります。ここでいう基本給も手当・賞与を除いた金額です。RP-Tの大きな違いは雇用主に紐づかないことで、取得できれば転職や起業の自由度が上がります。学位・職歴の要件も案内されていますが、公式ページの本文までは確認できなかったため、検討される際はTalentCorpの最新の要件をご確認ください。現地就職を長期戦略として考えるなら、この出口を最初から視野に入れておくと計画が立てやすくなります。

ご家族の状況に合う「働き方の形」を一緒に整理します

現地就職・帯同リモート・単身赴任・現地起業のどれが現実的かは、想定する年数とお子さんの学齢で変わります。
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EPは自分では申請できない(流れ・期間・費用)

ここが日本の感覚といちばん違うところです。ESD/MYXpats Centreの公式FAQには、駐在員本人が自分の査証を申請することはできず、雇用しようとする会社が申請すると明記されています。EPはパスに記載されたその会社でのみ就労できるパスであり、個人が持ち運べる資格ではありません。

この一点が、就職活動の順番を決めます。日本人側でできるのは「申請してくれる雇用主を見つけるところまで」で、そこから先は会社の手続きです。しかも会社側にも前提があります。ESDへの企業登録には払込資本などの要件があり、さらに採用する職位そのものの承認が必要です。規制セクターは所管官庁のSupport Letterを、それ以外のセクターはExpatriate Committee(EC=駐在員委員会)の審査を通ります。内定が出ても、会社がこの登録・承認を済ませていなければ手続きは進みません

もう一つ、日本ではあまり意識しない前提があります。会社は該当する場合、国の求人サイトMYFutureJobsに求人を掲載し、労働局から雇用法1955 第60K条の承認を得たうえで、外国人の採用に進みます。つまり制度としては「まず国内で人を探す」が先にあり、外国人の採用はその次に置かれています。日本人が採用されるのは、日本語対応や日本企業とのやり取りのように国内では埋めにくい役割があるときだと考えると、求人の探し方も自然に絞れてきます。

  1. 雇用主が決まる(内定・雇用契約)

    EPの区分は基本給で決まります。まずオファーレターの基本給の欄を確認します。

  2. 会社がESDに登録しているかを確認する

    企業登録には払込資本などの要件があります。公式ガイドブックでは会社登録の処理を5営業日としています。

  3. ローカル採用の手続きを先に通す

    該当する場合、会社は国の求人サイトMYFutureJobsに求人を掲載し、労働局(JTKSM)から雇用法1955 第60K条の承認を得る必要があります。公式冊子はこの工程を10営業日としています。

  4. 職位の承認を得る

    規制セクターは所管官庁のSupport Letter、それ以外はExpatriate Committeeの審査。システムに無い職位は事前の登録申請が必要です。

  5. 会社がESD OnlineでEPを申請する

    公式のClient Charterでは、書類が揃っていればEPの処理は5営業日とされています。書類不備があると延びます。

  6. 承認後、パスのエンドースメント

    国内にいる場合は承認後30日以内、国外から入国する場合は入国後30日以内に手続きするとされています。

費用は誰が払うのか、いくらか

申請そのものを会社が行うため、費用も会社側で処理されるのが一般的です。ただし負担者を定めた公的なルールは、公表資料からは確認できませんでした。金額の感覚を持っておくと、オファーの段階で「渡航費と申請費用はどちらの負担になりますか」と確認しやすくなります。ESDの公式料金表(2024年9月1日改定)では、内訳は次のとおりです。

費目金額
ESD申請料(Employment Pass)RM2,000(サービス税8%込 RM2,160)
入管のパス料RM200/年
処理料RM125/件
Dependant Pass・LT-SVPの申請料RM500(サービス税込 RM540)+パス料RM90/年+処理料RM50

※ESD公式料金表(2024年9月1日改定)による内訳です。上記のほかに査証(ビザ)代の欄がありますが、料金表では「該当する場合のみ(ビザを要する国籍のみ)」という扱いで、日本は移民局のビザ要否一覧に掲載されていません。なお申請が却下された場合、返金されるのは処理料の一部(RM318・サービス税込)のみで、申請から6か月以内に請求が必要とされています。

日本国籍でも「観光はビザ不要」と同じ感覚では入国できない

ここは意外と知られていない手順です。日本国籍の方は、90日以内の社会訪問(観光など)であればビザなしでマレーシアに入国できます。ただしこの免除は社会訪問のためのもので、就労には使えません。ESDの公式ガイドブックは、就労目的で入国する場合は国籍を問わず、入国前に承認レターを取得しておくことを条件として定めています。

流れとしては、EPが承認されるとVisa Approval Letter(eVAL=ビザ承認レター)がオンラインで発行されます。これを持って入国し、入国後30日以内にパスポートへEPのステッカーを貼ってもらう(エンドースメント)、というのが基本の流れです。すでにマレーシア国内にいる場合は、承認から30日以内が期限になります。eVALの有効期間は6か月とされており、この間に入国しないと取り消され、申請のやり直しになります。

もう一段ややこしいのが、レターとは別に必要な「ビザ本体(Single Entry Visa)」です。ガイドブックの記載は「該当する場合(if applicable)」「ビザを必要とする国籍のみ」という条件つきで、在外公館またはeVISA(MYVisa)で取得するとされています。そして移民局が公開しているビザ要否の国別一覧に、日本は掲載されていません。この2つを重ねると、日本国籍の方は承認レターのみで渡航する形になると読めます。

※ただし「日本国籍はSingle Entry Visaが不要」と明示した公式の一文は、移民局・ESDの公表資料からは確認できませんでした。上記はあくまで条件文と国別一覧を突き合わせた解釈です。会社の担当者と在日マレーシア大使館に、ご自身のケースで確認してから航空券を取ってください。なお古い日本語の解説では「VDR(Visa with Reference)」という名称で説明されていることがありますが、これは2017年版ガイドブックまでの呼称で、現行版ではVisa Approval Letter(eVAL)に変わっています。

家族を連れて行けるか(Dependant Pass)

教育移住の文脈で、EPが持つ最大の利点はここです。EP保持者は家族を帯同できるとされており、対象は次のように分かれます。

ただし重要な制限があります。DP・LT-SVPのいずれも就労は認められておらず、公式には「働く場合はEmployment Passへの転換が必要」とされています。「配偶者は許可を取れば働ける」という書き方をしている記事もありますが、公式資料はあくまでEPへの転換としか記していません。共働きを前提にするなら、配偶者もそれぞれEPを取るという設計になります。

カテゴリーIIIでも帯同できるようになった(2026年6月1日〜)

ここは、日本語の解説記事でほとんど触れられていない変更点です。ESDの改定給与政策の資料には、カテゴリー別の帯同資格が「改定前=不可、改定後(2026年6月1日〜)=可」と明記されており、本文にも「2026年6月1日以降に提出されたカテゴリーIIIの申請は、扶養家族の申請が可能」と書かれています。給与の下限が上がった代わりに、いちばん下の区分でも制度上は家族を帯同できるようになった、という改定です。ただし帯同できることと、その給与で家族の生活が成り立つことは別の話です。金額の面は後の章で確かめます。

ただし判定の基準は「今の給与額」ではなく「申請日・パスの発給日」です。公式FAQには、2026年6月1日より前に発給されたカテゴリーIIIのパスは旧制度が適用され、家族を帯同できないと明記されています。すでにカテゴリーIIIでマレーシアにいる方が家族を呼び寄せたい場合は、いつ発給されたパスなのかが分かれ目になります。

※ここは表現に揺れがあります。ESDの公式冊子は「2026年6月1日以降に提出された(submitted on or after)カテゴリーIIIの申請」と書いていますが、MDECの補足告知は「承認された(approved on or after)」という言い方をしています。境目の時期に申請する場合、提出日で見るか承認日で見るかで結論が変わりうるため、ぎりぎりのタイミングになりそうなら会社経由でESDに確認してください。

子どもの就学は「Student Pass」ではなくDPのまま、が基本

もう一点、誤解の多いところです。18歳未満のお子さんは、Dependant Passのまま「就学許可(Permission to Study)」をパスポートにエンドースしてもらう形で、学校に通えます。ESDの申請様式にも「Permission to Study - Dependant Pass」という区分が独立して用意されており、移民局の書類チェックリスト(Kebenaran Belajar)は対象を「18歳以下の扶養パス保持者」、添付書類を「プレスクール/学校(公立・私立)/高等教育機関の在籍証明」と定めています。申請は本人ではなく親御さんの勤務先が行います

※ただし、Dependant Passのまま通えるケースと、あらためてStudent Passが必要になるケースの線引きを明示した公表資料は見つけられませんでした。移民局のStudent Passのページは対象に「インターナショナルスクール」も含めており、学校側の方針で案内が分かれることがあります。志望校の入学担当に「DPのまま就学許可で通えるか」を必ず先に確認してください。ここが大事なのは、仮にお子さんが学生パスの扱いになると、付き添う保護者の側も別のパスを取ることになり、そのパスでは就労が認められない——つまり現地就職という前提そのものが崩れる可能性があるからです。処理にかかる期間の公表値も見当たらないため、入学時期から逆算して早めに動くのが安全です。

一方で、お子さんが18歳以上になる場合は、Dependant PassからStudent Passへの切り替えが必要とされています。インター校の最終学年で18歳を迎えるケースは珍しくないので、進級のタイミングとあわせて確認しておくと安心です。なお、お子さんの学生パスに親が付き添う「保護者のパス」とは、まったく別の制度です。そちらの整理はマレーシア移住のビザの種類にまとめています。

※就学許可の手続きは移民局のページ改定などで案内が変わることがあります。渡航前には、学校とご自身の勤務先を通じて最新の必要書類をご確認ください。

どんな仕事があるか・給与をどう見るか

日本人向けの求人は、大きく次の3つに集まる傾向があります。①日本語を使うBPO・コールセンター・カスタマーサポート(マレーシアは各国向けの業務受託拠点が集まっており、日本語話者の需要が継続的にあります)、②日系メーカー・商社の現地法人③IT・デジタル関連です。未経験から入りやすいのは①ですが、その分だけ給与水準は上位区分に届きにくく、改定後の下限RM5,000との距離がそのまま在留の可否になります

「給与相場」を数字で示さない理由

この記事では、日本人現地採用の給与相場をレンジで示していません。理由は単純で、公的な統計が存在しないからです。求人サイトが自社の紹介実績を集計した数字は公開されていますが、分母(何件を数えたのか)が示されていないため、相場として扱うには根拠が弱いと判断しました。

代わりに、判断の軸としてお伝えしたいのは次の見方です。就労パスが下りる下限=基本給・月RM5,000(製造業とMRSはRM7,000)が、日本人がマレーシアで働くうえでの実質的な床になります。相場を探すより、「自分の職歴でこの床を超える基本給のオファーが取れるか」を基準にしたほうが、判断を誤りません。参考までに、マレーシアの法定最低賃金は月RM1,700(時給RM8.72)で、2025年8月1日から全ての雇用主に適用されています。外国人に求められる水準が、国内の最低賃金の約3倍に設定されていると理解すると、制度の狙いが見えてきます。

「パスが下りる給与」と「家族で暮らせる給与」は別の数字です

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。カテゴリーIIIの下限RM5,000は入管の基準であって、家族の生活費を想定して決められた金額ではありません。お子さんを連れて行く前提なら、この金額から学費と家賃が先に出ていきます。当社の別記事で公表額をもとに積み上げた数字と並べると、次のようになります。

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基本給(月)教育費 お子さん1人家賃 3ベッド学費・家賃を引いた残り
RM5,000(カテゴリーIIIの下限)RM2,385〜
費用を抑えたインター校
RM2,000〜
中心部以外
RM615ほど
RM10,000(カテゴリーIIの下限)RM4,318〜
中位のインター校
RM3,000〜
中心部
RM2,682ほど
RM20,000(カテゴリーIの下限)RM8,672〜
名門インター校
RM5,000前後
中心部の中位
RM6,328ほど
▲ 学費・家賃の金額はマレーシアの教育費は月いくらクアラルンプールの家賃相場で各校・各エリアの公表額から積み上げたものです。残りの列は、税金・EPF・社会保険を引く前の金額で、食費・光熱費・交通費・医療費・帰国の航空券はまだ一切入っていません。お子さんが2人なら、教育費の列はおおむね2倍になります。

いちばん上の行を見てください。RM5,000のオファーでEPは下りますが、家族3人の生活は、これだけでは組めません。しかも表の「残り」は、税金も社会保険も引く前の金額です。ここに次の章で説明する天引きが重なります。

着任した年が非居住者の扱いになった場合で計算してみます。基本給RM5,000から、所得税30%でRM1,500、EPFの本人負担2%でRM100、SOCSOの本人負担1.25%で約RM63が引かれ、手取りはおよそRM3,338。ここから学費RM2,385と家賃RM2,000を払うと、毎月およそRM1,050(約4万円)足りません。食費も光熱費も交通費も、まだ1リンギットも使っていない段階でです。

しかも渡航直後は、月々の収支よりも最初にまとまって出ていくお金のほうが効きます。住まいは、前家賃1か月に加えて敷金2か月・光熱デポジット0.5〜1か月を契約時に払うのが一般的で、家賃RM2,000のお部屋でも入居時におよそRM7,000〜8,000が動きます(別途、賃貸契約の印紙税もかかります)。学校側も入学金などで1年目だけ費用が上振れし、学校によっては月額換算でRM2,000〜5,000ほど高くなります。この時期の手取りが非居住者扱いで3割減っていることを考えると、渡航前にどれだけ手元資金を用意できるかが、実際には最初の関門になります。内訳は家賃の記事教育費の記事で分解しています。

翌年から居住者になれば税率は累進に切り替わるので、この赤字はいくらか和らぎます。それでも、学費と家賃で手取りの大半が消えるという構図は変わりません。つまり「カテゴリーIIIの帯同が解禁された」というニュースは、制度上の扉が開いたという話であって、その給与で家族を呼べるという話ではありません

もうひとつの壁は「働いている間、誰が子どもを見るか」

金額と並んで見落とされがちなのが、生活動線です。マレーシアのインター校は日本より早い時間に終わるため、フルタイムで働くご家庭は、学校のアフタースクール、シッター、あるいは住み込みのヘルパー(メイド)のいずれかを組み合わせることになります。そして住み込みヘルパーを雇えるかどうかにも、給与の基準があります

ESDの現行ガイドブックでは、外国人ヘルパーを雇用できるのは給与がRM5,000を超えるEP保持者で、2人目はRM10,000超、3人目はRM15,000超と、人数に応じて必要な給与が上がる形になっています。つまりカテゴリーIIIの下限で就職した場合、ヘルパーを雇う余地はほぼありません——基準はぎりぎり満たしても、そこから支払う原資が残らないからです。前の表の「残り」を思い出してください。保育の外注費は、その残りの中から出すことになります。

※旧版のガイドブック(2019年)には「カテゴリーIIIはヘルパーを雇用できない」というカテゴリー別の条件がありましたが、現行版ではその記載は削除され、給与ベースの基準に変わっています。2026年6月の改定後にカテゴリー別の可否を述べた公式資料は確認できませんでした。また移民局の州事務所を通す一般の家事使用人ルートには、15歳未満のお子さんがいることなど別の条件が示されており、駐在員向けのルートとは要件が異なります。混同にご注意ください。

※上の試算は、費用を抑えたインター校・中心部以外の3ベッドという、いちばん安い組み合わせで計算しています。学校や住まいのグレードを上げれば、差はそのまま広がります。社会保険の天引き額は率ではなく金額の区分表で決まるため、実額は数リンギット前後します。

現実的な線として、お子さんを連れて現地就職だけで生活を組むなら、カテゴリーII(RM10,000〜)が実質的なスタートラインとお考えください。それより下の場合は、配偶者の収入・日本側の家賃収入や貯蓄・会社からの住宅手当や学費補助といった、給与以外の原資をどこかに用意する形になります。ご家族で来られる場合、「配偶者が日本で働き続け、必要な期間だけ支える」という組み立てになることもあります。どの形が現実的かは、想定する年数とお子さんの学齢で変わります。

現地からのリアル

もうひとつお伝えしたいのは、最初のポジションが、その後の選択肢をかなり決めてしまうということです。日本語を使う仕事は入口としては入りやすい一方で、英語を使う職種へ移りたいときに職歴の説明が難しくなることがあります。数年後にどうなっていたいかを決めてから1社目を選ぶほうが、結果的に長く働けます。「まず入ってから考える」は、在留期間に上限があるマレーシアでは思ったより高くつく選択です。

手取りを左右する3つ(182日・EPF・SOCSO)

額面が決まっても、手取りは別の話です。特に赴任した最初の年は、想定と実際がずれやすいところです。

1. 税務上の居住者かどうかは「182日」で決まる

マレーシアの所得税は、その暦年にマレーシアへ182日以上滞在したかで居住者・非居住者が分かれます(所得税法1967 第7条)。日本の「183日」と混同されがちですが、マレーシアは182日です。非居住者とされる期間の給与所得には、各種控除のない一律30%が適用されるとされています。居住者になれば累進課税に切り替わり、控除も使えます。LHDNが公表している居住者の税率表(賦課年度2023〜2025)では、課税所得RM5,000以下が0%、RM35,001〜50,000が6%、RM70,001〜100,000が19%、RM100,001〜400,000が25%、最高がRM200万超の30%です。

ここが効いてきます。同じ月給でも、着任した年だけ税率30%、翌年から累進課税という差が出ます。年の後半に着任すると、その年は182日に届かず非居住者として扱われる可能性があるためです。たとえば基本給RM10,000のポジションなら、非居住者期間は月RM3,000が税で引かれる計算になります。着任時期を選べる立場なら、税務の観点も判断材料に入れる価値があります。

※マレーシアでの就労が暦年で60日以内にとどまる場合は、非居住者の雇用所得が非課税とされる扱いもあります(短期の出張者向けの規定で、EPで着任する方には通常あてはまりません)。税率は賦課年度ごとに見直されるため、実額の試算はマレーシア移住と税金の記事とあわせて、必ずLHDNの最新の税率表でご確認ください。

※具体的な税率については、LHDN(内国歳入庁)の公式サイトが自動アクセスを制限しており、本記事では二次情報でしか確認できませんでした。税率と控除の詳細は必ずLHDN公式または現地の税務専門家にご確認ください。

2. EPF(積立年金)は外国人にも義務化された

ここは日本語の情報が古いまま残っている部分です。EPF(従業員退職積立基金)については、EPF(改正)法2025[Act A1760]により、就労パスで一時的に滞在する外国人従業員にも拠出が義務づけられました。料率は雇用主・従業員それぞれ2%です(法律の別表に新設された区分に明記されています)。開始時期はKWSPの告知で2025年10月分の賃金からとされています。メイドや運転手などの家事使用人、75歳を超える方、永住権をお持ちの方は対象外です。駐在員・EP保持者も対象に含まれます。「マレーシアでは年金は自分で用意するもの」という説明は、この改正以前の情報です。

※「2%は入口で、今後4%・6%と上がっていく」という解説を見かけますが、これは公式に否定されています。2025年2月に首相が「2%→4%→6%というのは違う。2%に据え置く」と述べており、法律にも将来の引き上げ条項はありません。ただし施行日そのものは法律ではなく大臣の告示に委ねられており、その告示の原本までは確認できませんでした。最新の料率と適用開始はKWSP公式でご確認ください。

3. SOCSO(PERKESO)の対象範囲は、この2年で2回広がった

SOCSO(社会保障機構)は、労災などを対象とする公的な保険です。PERKESOの公式ページは、対象を「駐在員(expatriates)を含む外国人労働者」と明記しています。ここも情報が古くなりやすいところで、適用範囲がこの2年で2段階に広がりました

その結果、55歳未満で初めて加入する方の料率は、雇用主1.75%・本人1.25%となっています。保険料の算定に使われる月給の上限はRM6,000(2024年10月1日にRM5,000から引き上げ)なので、本人負担は月RM75ほどが上限の目安です(実際の天引き額は率ではなく金額の区分表で決まります)。金額そのものは大きくありませんが、「外国人はSOCSOを引かれない」という説明は、いまは正しくありません。本人負担分は給与から天引きされ、雇用主には給与明細へ記載する義務があります。

さらに新しい動きがあります。PERKESOのFAQによれば、2026年7月8日の閣議決定で、LINDUNG 24 JAMはマレーシア人従業員については任意(脱退できる形)に変更され、外国人従業員のみ引き続き加入必須となりました。つまり同じ職場でも、日本人であるあなたは引かれ、隣の席のマレーシア人は選べる、という状態になっています。給与明細を見て「自分だけ引かれている」と感じても、間違いではありません。※この変更は法改正ではなく閣議決定にもとづくもので、根拠として確認できたのはPERKESOのFAQのみです。今後また変わる可能性があります。

※料率は2026年8月時点のものです。LINDUNG 24 JAMの本人負担分は0.75%(2026年6月1日〜)→1.00%(2028年6月1日〜)→1.25%(2031年6月1日〜)と案内されていますが、PERKESOのFAQ自身が「実施日と決定に従う」と留保しているため、先の年の率は確定した数字として扱わないでください。算定上限額も過去に改定されています。なお55歳以上で初めて加入する場合などは区分が変わり、料率も異なります(マレーシア人の60歳と混同した解説が多いのでご注意ください)。

あわせて、労働条件そのものも法律で守られています。雇用法(Employment Act 1955)の改正により、労働時間は週45時間が上限(2023年1月1日施行)、産休98日・父親休暇7日が定められ、賃金額にかかわらず民間の被用者全般に適用されるようになりました。日本の税・年金・保険をどう扱うかについてはマレーシア移住の税金・年金・保険で別に整理しています。

EP以外の選択肢との比較

「マレーシアで働く」といっても、EP以外にも形はあります。ご自身の状況がどれに当てはまるかを、雇用主がどこにいるかで見分けてください。

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比較項目Employment PassPVP-ExpertDE Rantau保護者のパス
雇用主はどこかマレーシア法人海外企業に在籍のまま海外の雇用主・顧客
現地で働けるか◎ その会社でのみ可△ 記載企業への役務提供のみ△ 現地就職は不可× 就労・事業は不可
期間の目安1〜60か月(通算上限あり)最長12か月3〜12か月+更新12か月お子さんの就学に連動
家族の帯同◎ DP・LT-SVPで可× 不可○ 可(配偶者は就労不可)◎ 保護者本人が対象
向いている人現地の会社に就職する人日本の会社から一時的に派遣される人リモートで働き続ける人お子さんに付き添う親
◎ できる△ 条件つき× できない
▲ 働き方の形と必要なパスの対応。DE Rantauの年収要件はIT・デジタル系がUSD24,000/年、それ以外がUSD60,000/年とされ、対象地域は半島マレーシアとラブアンに限られます。PVP-Expertは正式名称をProfessional Visit Pass-Expertといい、海外企業に在籍したまま現地企業へ技術移転や実務研修を行う形のパスです。

お子さんの学校に付き添う保護者のパスでは就労も事業も認められていません。ここを勘違いしたまま渡航計画を立てると、収入の設計が丸ごと崩れます。ご家庭全体での働き方の組み立てはマレーシア移住で親の仕事はどうするかに、自分で会社をつくる選択肢はマレーシア会社設立(Sdn Bhd)にまとめています。

つまずきやすい5つのポイント

1. 求人の月給が改定後の下限に届いていない

いちばん多い形です。RM4,000台の求人は依然として存在しますが、それは現地の方を想定した募集であることがほとんどです。応募する前に、基本給が改定後の下限を超えているかを見るだけで、無駄な選考を避けられます。

2. 総支給額と基本給を取り違える

区分の判定に使われるのは基本給だけで、手当・賞与・国外払い分は含みません。求人票が総額表示のときは、面接の段階で内訳を聞いておくのが安全です。

3. 会社側の準備を確認していない

EPは会社が申請するものなので、会社がESDに登録済みか、その職位が承認され得るかで結果が変わります。特に設立間もない会社や小規模な事業者の場合、要件を満たしていないことがあります。内定時に「EPの申請実績はありますか」と一言確認しておくと、認識のずれを早く見つけられます。

4. 更新のタイミングを見ていない

すでにEPをお持ちの方でも、更新申請が2026年6月1日以降なら新基準が適用されるとされています。「取得済みだから大丈夫」と考えず、次の更新時点で自分の基本給がどの区分に入るかを確認しておいてください。

5. 転職=パスの取り直しだと知らない

EPは雇用主に紐づくため、転職・職位変更・退職の際には現行パスの短縮(Shorten)手続きが必要とされ、新しい勤務先であらためて申請し直す形になります。日本のように「在留資格を持ったまま転職する」という感覚では動けません。転職時は、次の会社のEPが下りるまでの空白期間をどう扱うかを、両社と事前にすり合わせておくことが大切です。

見落とされがちなのが、在職年数のカウントも会社ごとにリセットされる点です。ESDの公式冊子は、転職した場合のパスの期間は「新しい会社での雇用開始日から起算する」と定めています。長期の在留を狙って前章のResidence Pass-Talent(連続3年)を視野に入れている方にとっては、転職のタイミングがそのまま計画のやり直しになります。

離職してしまった場合の受け皿としては、移民局にSpecial Pass(Pas Khas)という短期の滞在許可があり、帰国準備や、新しい会社のパスが下りるまでのつなぎ、他のパスへの切り替えに使われています。※有効日数や費用を明記した公式の記載は見つけられませんでした。日本語の解説では「30日」と書かれていることが多いのですが、一次資料で確認できていないため本記事では日数を示しません。必要になったら会社経由で移民局にご確認ください。

現地からのリアル

教育移住のご相談で「現地就職」が話題になるとき、いちばんの障害は制度ではなく順番です。お子さんの学校の出願は前年から動き始めるのに対し、現地の求人は「今すぐ来られる人」を探していることが多く、時期が噛み合いません。結果として、最初の1〜2年は日本での在籍を続けたまま渡航し、生活が落ち着いてから現地就職に切り替える、という進め方を選ばれるご家庭もあります。就職を先に決めようとして止まってしまうより、順番を組み替えたほうが前に進みます。

まずは、想定する年数と収入の出どころから整理しませんか?

現地就職が現実的かどうかは、ご職歴・お子さんの学齢・想定される滞在年数で変わります。
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よくある質問

日本人がマレーシアで働くには、どのくらいの給与が必要ですか?

2026年6月1日に施行された改定給与政策では、就労ビザ(Employment Pass)でいちばん下の区分であるカテゴリーIIIの下限が、基本給・月RM5,000とされています。製造業とMRS(製造関連サービス)はRM7,000が下限とされています。ここでいう給与は基本給のみで、手当・賞与・国外で支払われる分は算入されません。業種によっては経過措置が案内されている場合もあるため、ご自身の業種の扱いは申請時点でESDおよび所管機関にご確認ください。改定前の下限はRM3,000だったため、古い基準のまま書かれた記事や求人情報にはご注意ください。区分は変更される可能性があるため、申請時点で移民局ESDの公式資料をご確認ください。

マレーシアの就労ビザは自分で申請できますか?

できません。移民局ESD/MYXpats Centreの公式FAQには、駐在員本人が自分の査証を申請することはできず、雇用しようとする会社が申請すると明記されています。つまり日本人側でできるのは、申請してくれる雇用主を見つけるところまでです。会社側にもESDへの登録や職位の承認といった前提があるため、内定が出てもすぐに手続きへ進めないことがあります。

Employment Passで家族をマレーシアへ連れて行けますか?

EP保持者は、法律上の配偶者と18歳未満のお子さん(実子・継子・法的養子)、および年齢を問わず障害のあるお子さんを、Dependant Passで帯同できるとされています。18〜25歳のお子さんやご自身の親御さん・義理の親御さんは、Long Term Social Visit Pass(最長12か月)の対象です。いずれのパスも就労は認められておらず、働く場合はEmployment Passへの転換が必要とされています。なお2026年6月1日施行の改定給与政策により、これまで帯同が認められていなかったカテゴリーIIIでも、同日以降に提出した申請であれば家族を帯同できるようになりました。それより前に発給されたカテゴリーIIIのパスは旧制度が適用され帯同できないため、パスの発給時期をご確認ください。また18歳未満のお子さんは、Dependant Passのまま就学許可(Permission to Study)を取得する形で学校に通えるとされています。ただしDependant PassとStudent Passの使い分けを明示した公表資料は確認できず、学校によって案内が分かれることがあるため、志望校にご確認ください。

マレーシアで働くと、税金や社会保険はどうなりますか?

マレーシアの所得税は、その暦年にマレーシアへ182日以上滞在したかどうかで居住者・非居住者が分かれます(所得税法1967 第7条)。非居住者とされる期間の給与所得には各種控除のない一律30%が適用されるとされ、赴任した最初の年の手取りが想定より少なくなりやすい点に注意が必要です。社会保険では、EPF(積立年金)が外国人従業員にも義務づけられ、料率は雇用主・従業員それぞれ2%です(KWSPの告知では2025年10月分の賃金から)。SOCSO(PERKESO)は駐在員を含む外国人も対象で、2024年7月1日に障害年金へ、2026年6月1日には業務外傷害保障(LINDUNG 24 JAM)へと適用が広がりました。55歳未満で初めて加入する場合の本人負担は1.25%で、算定上限は月給RM6,000です。なおLINDUNG 24 JAMは2026年7月8日の閣議決定によりマレーシア人従業員は任意となり、外国人従業員のみ加入必須とされています。税率・料率は変わるため、LHDN・KWSP・PERKESOの公式情報で最新をご確認ください。

マレーシアで転職したら就労ビザはどうなりますか?

EPは雇用主に紐づくパスで、パスに記載された会社でのみ就労できます。転職・職位の変更・退職の際は現行パスの短縮(Shorten)手続きが必要とされ、新しい勤務先であらためて申請し直す形になります。また同じ会社で働ける通算期間には上限があり、カテゴリーI・IIは最長10年、カテゴリーIIIは最長5年とされています。この年数は雇用する会社ごとに数えるとされているため、転職すると起算が変わる点も押さえておくと安心です。

子どもの教育のために移住する場合、現地就職は現実的な選択肢ですか?

ご家庭の状況によります。EPが取れれば家族を帯同でき、収入も現地で得られるため、長く暮らす形とは相性が良い選択肢です。一方でEPは雇用主が申請するものなので、仕事が決まらないと手続きが始められないという順番の制約があります。お子さんの学校の出願時期と就職活動の時期が噛み合わないことも多いため、単身赴任・帯同リモート・現地就労・現地起業のどれが現実的かを、想定する年数と収入の出どころから逆算して決めることをおすすめします。

主な参照元(2026年8月時点)

  • マレーシア:移民局 ESD「REVISED EXPATRIATE SALARY POLICY」本文およびFAQ(2026年6月1日施行/カテゴリーI〜IIIの最低基本給・パスの最長期間・基本給の定義・後継者育成計画の2027年1月1日義務化・既存保持者と更新申請の扱い・通算期間の起算・カテゴリーIIIのクーリングオフ廃止/カテゴリーIIIの扶養家族の資格が「改定前=不可・改定後=可」と明記、および2026年6月1日より前に発給されたカテゴリーIIIは旧制度が適用され帯同不可
  • マレーシア:移民局 ESD「Employment Pass」「Dependant Pass」「Professional Visit Pass」各ページおよび Guidebook V6(申請主体は雇用主/DP・LT-SVPの対象範囲と就労不可・就労するにはEPへの転換が必要/PVP-Expertの定義と最長12か月/外国人ヘルパーの雇用は給与RM5,000超で1人・RM10,000超で2人・RM15,000超で3人)。※カテゴリー別のヘルパー雇用可否は2019年版ガイドブックにあった記載で、現行版では削除済み。2026年6月改定後にカテゴリー別の可否を述べた公式資料は確認できず
  • マレーシア:移民局 ESD 申請様式「Permission to Study - Dependant Pass」および移民局チェックリスト(18歳以下の扶養パス保持者の就学許可/添付書類はプレスクール・学校〈公立・私立〉・高等教育機関の在籍証明/申請は雇用主が行う)。※Dependant Pass と Student Pass の使い分けを明示した公表資料は確認できていません
  • マレーシア:移民局「Visa Requirement by Country」「Visa with Reference」および ESD Online Guidebook V4(就労目的の入国は承認レターの取得が条件/Single Entry Visa は「該当する場合・ビザを要する国籍のみ」/エンドースは国内は承認後30日・国外からは入国後30日以内/Visa Approval Letter〈eVAL〉の有効期間6か月)。※「日本国籍はSingle Entry Visaが不要」と明示した公式の記載は確認できず、ビザ要否の国別一覧に日本の掲載が無いことと上記の条件文からの解釈です
  • マレーシア:内務省(MOHA)報道発表 2026年1月14日(改定後の区分/製造業・MRSのカテゴリーIII下限RM7,000/カテゴリーI・II・IIIすべてで扶養家族の帯同を許可)
  • マレーシア:移民局 ESD「ESD Online Guidebook(最新版V6・2025年4月14日)」および MYXpats Centre FAQ(企業登録の要件と5営業日/Expatriate Committeeによる職位承認/Client Charterの処理日数/エンドースメント期限/転職・退職時の短縮〈Shorten〉手続き/却下時の返金)
  • マレーシア:移民局 ESD 公式料金表(payment-table v13・2024年9月1日改定/EP申請料・パス料・処理料・DP/LT-SVPの費用)
  • マレーシア:移民局/ESD「Special Pass(Pas Khas)チェックリスト」およびオンライン申請の告知(帰国準備・新しい会社の承認受領・他パスへの切替が用途)。※有効日数・費用の公表値は確認できていません
  • マレーシア:TalentCorp「Residence Pass-Talent 資格要件」(EPで連続3年以上・基本月給RM15,000〈手当・賞与を除く〉・直近2年の納税実績/10年)。※学位・職歴の要件は公式ページ本文まで確認できていません
  • マレーシア:内国歳入庁 LHDN/所得税法1967 第7条(居住者判定=暦年182日/非居住者の雇用所得は一律30%・60日以内の就労は非課税/居住者の累進税率表〈賦課年度2023・2024・2025〉最高30%)。※英語版ページは改修により404となっており、現行はマレー語ページで確認しています
  • マレーシア:EPF(改正)法2025[Act A1760]官報全文(新70A条=就労パスで一時滞在する非マレーシア国籍の被用者が対象/Third Schedule Part F=雇用主・従業員それぞれ2%/家事使用人・75歳超・永住権保持者は対象外)およびKWSP告知(2025年10月分の賃金から)。※段階的引き上げは首相が2025年2月に否定。施行日を定める大臣告示の原本、およびKWSP本文は取得できず(サイト側が自動アクセスを遮断))
  • マレーシア:PERKESO(SOCSO)外国人労働者向けページ、障害年金FAQ、LINDUNG 24 JAM 公式ページ・FAQ・拠出率表(対象は駐在員を含む外国人労働者/労災保険2019年1月1日/障害年金2024年7月1日・労使各0.5%/LINDUNG 24 JAM〈Skim Kemalangan Bukan Bencana Kerja/根拠法 Act A1788〉は2026年6月1日施行・全額従業員負担0.75%〈2028年6月1日から1.00%、2031年6月1日から1.25%。ただしFAQ自身が留保/2026年7月8日の閣議決定でマレーシア人は任意・外国人のみ必須〉/55歳未満で初加入は雇用主1.75%・本人1.25%/算定上限は月RM6,000〈2024年10月1日〜〉/本人負担分は給与明細に記載)
  • マレーシア:人的資源省 JTKSM/MYFutureJobs(該当する場合の求人掲載と雇用法1955 第60K条の労働局承認=ESD公式冊子の工程図に明記・10営業日)
  • マレーシア:人的資源省 JTKSM「Employment (Amendment) Act 2022」(週45時間上限・産休98日・父親休暇7日・賃金額にかかわらず適用)
  • マレーシア:人的資源省 最低賃金ポータル/Perintah Gaji Minimum 2024(月RM1,700・時給RM8.72/2025年8月1日から全雇用主に適用)
  • マレーシア:MDEC「DE Rantau Nomad Pass」公式FAQ(年収要件・帯同の範囲・対象地域)
  • 為替:マレーシア中央銀行BNM公表レート(2026年8月時点、RM1≒38.7円)

本記事はビザ・税務・労務という変更の多い分野を扱っています。掲載内容は執筆時点で確認した公式情報にもとづく概要であり、個別の可否を保証するものではありません。実際の申請・手続きにあたっては、必ず申請時点の公式情報および専門家にご確認ください。

本記事に記載した費用・制度・学校情報は、2026年8月時点に公開されている情報にもとづく目安です。為替はRM1≒38.7円で換算しています。制度や料金は改定されることがあるため、お申し込みの前に各公式サイト、または当社までご確認ください。