結論から言うと、マレーシアのパスの更新で覚えておくべき数字は「3か月前」です。学生パスは期限の3か月前から更新でき、就労系も同じ時期までの申請が推奨されています。そして期限が切れた学生パスは、2023年4月から原則として更新ができません。この記事では、更新できる期間・パス別の手続き・費用・オーバーステイの扱いを、移民局とEMGS、MM2H公式の現行ルールで順に整理します。
更新の3大原則(結論)
- 申請時期:学生パスは期限の3か月前から申請可能。就労系も3か月前までの提出が推奨=これが実質の締切。
- 期限切れの代償:学生パスは原則として期限切れ後の更新が不可。新規申請はマレーシア国外にいることが要件で、eVISAも国内から申請できない。
- 費用の構造:更新は健康診断とeVALが不要なため、手続き費用は新規の5〜6分の1(EMGSの料金表・私立機関の場合)。
更新は「期限の3か月前」から動く
更新の実務は、「期限の3か月前」という一点を押さえるだけで見通しが良くなります。EMGS(マレーシア教育グローバルサービス)は、移民局が学生パスの更新を期限の3か月前から認めていると案内しています。就労パスと扶養家族パスについても、MDEC(マレーシアデジタル経済公社)が期限の3か月前までに更新・延長を申請するよう推奨しています。
ここで大事なのは、3か月前が「早めに動くと安心な目安」ではないという点です。学生パスは2023年4月1日以降、原則として期限が切れたあとの更新ができなくなりました。コロナ禍のあいだ認められていた期限切れ後の更新が、2023年2月27日の通達で撤回されたためです。
切れてしまった場合は更新ではなく新規申請になり、新しいeVAL(eVisa Approval Letter)の取得からやり直します。期限切れから3か月以内なら裁量で更新が認められる場合があるとされていますが、あくまで例外的な扱いです。
そしてもう一つ、見落としやすい条件があります。移民局は学生パスの新規申請について「申請時にマレーシア国外にいること」を要件としているのです。さらに移民局は、eVISAの申請はマレーシア国内からはできないと明記しています(イスラエル・北朝鮮を除く世界中から申請可能、という書き方です)。
この2つが重なると何が起きるか。期限切れは「費用が上がる」だけの話ではなく、手続きを進めるために出国が必要になりうるということです。お子さんが学期の途中でも、家族の予定が決まっていても関係なく発生します。3か月前を締切と考える理由は、ここにあります。
更新でご相談が増えるのは、じつは制度そのものではなく「家族のパスの期限がそれぞれ違う日付になっている」という点です。お子さんの学生パス、保護者のパス、そしてパスポート——この3つは取得のタイミングが少しずつずれるため、満了日も自然にずれていきます。
学校から更新の案内が来る時期も、学校によって違います。案内を待つ姿勢でいると3か月前を過ぎてしまうことがあるため、ご家族全員の期限を1枚のメモにまとめておくことをおすすめしています。
更新するのは「ビザ」ではなく「パス」
日本語では「ビザの更新」とひとくくりにされますが、マレーシアの制度ではビザ(Visa)とパス(Pass)は別のものとして扱われています。移民局の公式サイトも、この2つを独立したサービス区分として分けて掲載しています。
実務上は、ビザが「入国するための許可」、パスが「滞在するための許可」と考えると流れがつかみやすくなります。更新して滞在を延ばしていくのは、後者のパスです。学生パスの取得手順を見ると、両者の関係がはっきりします。
eVAL(ビザ承認レター)を取る
高等教育ならSTARSまたはEMGSのポータルから申請し、移民局のStudent Pass Unitが承認します。新規申請では、この時点で申請者はマレーシア国外にいることが要件です。
渡航前にビザ(SEV)を取る
eVALを受け取ったあと、eVISAポータルでSingle Entry Visaを申請します。短期の観光でビザが要らないことと、パスを取るための入国は別の話です。留学については、EMGSが公開する「SEV Required Countries」に日本が明記されています。申請はマレーシア国内からはできません。
入国し、7日以内に健康診断を受ける
新規の留学生は、到着後7日以内に指定の健康診断(Post-Arrival Medical Examination)を受けます。更新ではこの健康診断は不要とされています。
パスポートへエンドースメントを受ける
医療クリア後、教育機関が最寄りの移民局オフィスへ書類を提出し、パスのステッカーがパスポートに貼られます。ここで初めて「学生パスを持っている」状態になります。
i-Kadが発行される
留学生向けの身分証で、パスポートへのエンドースメント完了後にのみ発行されます。更新の申請と同時に処理され、手数料RM50は申請費用に含まれます。
▲ 更新のときは、この流れのうちステップ1(eVAL)とステップ3(健康診断)が不要になります。だから更新は新規より安く、早いのが基本です。ステップ2のビザは入国のためのものなので、すでに滞在している方の更新では出てきません。
ビザの側にも制約があります。移民局によるとSingle Entry Visaは発給から3か月・1回の入国のみ有効で、Multiple Entry Visaは1回の入国につき滞在30日限り・延長不可です。ビザを何回更新しても滞在は延びません——延ばせるのはパスだけ、という区別がここで効いてきます。
なお、有効な長期滞在パスを持っている方は、原則としてMDAC(デジタルアライバルカード)の登録対象外とされています。登録の要否はMDACの登録方法と入国手続きガイドで整理しています。
パス別・更新の早見表
更新の窓口と期間は、パスの種類でまったく違います。まず全体像を1枚で確認してください。
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| パスの種類 | 更新の窓口 | いつから | 更新の主体 | 最大の注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 学生パス(大学・語学) | EMGS/STARS | 期限の3か月前 | 在籍校 | 期限切れは更新不可 |
| 学生パス(インター校など) | 移民局へ直接 | 期限の3か月前 | 学校(保護者も可) | 同上 |
| 保護者のパス(Guardian) | 移民局 | 本体のパスに連動 | 学校(保護者も可) | 就労は不可 |
| 扶養家族パス(高等教育) | EMGS/移民局 | 本体のパスに連動 | 在籍校 | 修士・博士のみ |
| MM2H | OSC MM2H/移民局 | 5年ごと | 認可エージェント | パスポート次第 |
| 就労パス(EP) | ESD/MYXpats | 3か月前までに(推奨) | 雇用主 | 会社が動かないと進まない |
| DE Rantau | MDEC | 3か月前までに(推奨) | 本人 | 更新込みで上限あり |
| LTSVP | 州のVPP課 | 公式に記載なし | 本人・身元保証人 | 区分で条件が変わる |
この表で最初に見ていただきたいのは、「更新の主体」の欄に自分が入っていないパスが多いことです。学生パスは在籍校、就労パスは雇用主、MM2Hは認可エージェントが申請します。締切は自分に降りかかるのに、手続きは他者の手の中にある——ここが更新の一番やりにくいところです。
学生パスの更新と、期限切れの代償
学生パスの更新で押さえるべきは、時期・学業成績・パスポートの残存期間の3つです。順に見ていきます。
申請ルートは学校の種類で分かれる
まず前提として、学生パスの窓口は一つではありません。大学・私立高等教育機関・語学センターはEMGSまたはSTARSを経由します。一方でインターナショナルスクールなどのSchool Levelは、EMGSを通さず移民局のStudent Pass Unitへ直接申請します。使用するフォームはIMM.14で、新規と更新で共通です。
移民局は、School Levelの申請者を「学校が正式に任命した代表者、親、または法定後見人」と定めています。文面上は保護者も申請できるのですが、実際には教育省私立教育課の支持書など学校側の書類が前提になります。「自分で移民局へ行けば早い」とは考えず、学校のビザ担当と足並みをそろえてください。
この違いは費用にも効いてきます。EMGSの料金表には「International School」という区分がないため、インター校の更新費用にEMGSの料金を当てることはできません。詳しい制度の全体像はマレーシア移住のビザの種類にまとめています。
更新には学業の条件がある
意外に知られていないのが、更新の学業条件です。大学などの高等教育では、EMGSのガイドラインが更新にCGPA 2.0以上と出席率80%以上を求めています。満たせない場合は、教育機関が説明書(explanation letter)を提出することになります。
これはEMGS経由のルートの条件です。インター校など移民局へ直接申請する学校では、求められる証明の形が学校ごとに違います(成績表や進級の証明など)。
語学留学や大学進学で来られる方は、ここが実質的な滞在条件になります。学校選びの段階から出席の扱いを確認しておくと安心です(マレーシア語学学校の選び方)。
パスポートの残存期間が新規と更新で違う
更新の落とし穴として、一番効いてくるのがこれです。EMGSのガイドラインと移民局の案内では、新規申請はパスポートの残存期間が18か月以上、更新は12か月が推奨とされています。つまり新規のほうが厳しいという非対称になっています。
ここが期限切れと結びつくと厳しくなります。更新の期限を逃して新規申請に回ったとき、パスポートの残りが18か月を切っていれば、パスポートの更新から先に片づけなければ進めません。更新の遅れが二重の遅れになる構造です。
更新の費用は新規の5〜6分の1
費用の面では、更新は新規よりはっきり軽くなります。EMGSの料金表(半島マレーシアの私立機関・12か月以内)で並べると差がわかります。
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| 項目 | 新規 | 更新 |
|---|---|---|
| 手続き費(6か月超〜12か月) | RM1,600 | RM250 |
| eVAL費 | RM150 | 不要 |
| 健康診断 | RM250 | 不要 |
| i-Kad | RM50 | RM50 |
| パスのステッカー代 | RM60 | RM60 |
| 小計(保険を除く) | 約RM2,250 | 約RM380 |
※EMGS「Schedule of Fees」より。健康診断は料金表に「更新では不要」と明記されており、eVAL費も更新の欄には計上されていません。手続き費とeVAL費には8%のサービス税がかかるため、小計はその分を含めた概算です。RM1≒38.7円で換算すると、新規が約8.7万円、更新が約1.5万円にあたります。金額は機関の種類・期間・州で変わり、サバ州とサラワク州は別の料金表になります。最新の料率は必ずEMGSの公式料金表でご確認ください。なおこれは公的な手数料で、学校が別に代行手数料を上乗せして請求する場合があります。総額は在籍校の請求書でご確認ください。
これに医療保険が別途かかります。移民局の要件は「個人補償があり、補償期間が12か月以上の医療保険証券」で、EMGSが扱う保険スキームの対象年齢は16歳以上70歳以下です。16歳未満のお子さんはこのスキームの対象外となるため、加入先は学校と保険会社の双方に確認してください(医療保険と医療費の備え)。
更新時に必要な書類は、白背景のパスポートサイズ写真(35mm×45mm)、パスポートのコピー(bio-data・ビザ・observationの各ページ)、学業成績の証明などです。i-Kadは更新申請と同時に処理されますが、紛失・破損による再発行は1回目RM150、2回目RM300、3回目以降RM500と段階的に上がります。i-Kadは半島マレーシアでのみ身分証として使えるもので、渡航書類の代わりにはなりません。
進捗は自分でも確認できる
申請は学校が進めますが、進捗はEMGSの公式トラッカーで自分でも照会できます。パスポート番号と国籍を入力する形式で、学校からの連絡を待たずに今どの段階かを見られます。
期間の目安については、EMGSがFAQで「書類が揃った申請について14営業日」というクライアントチャーターを示しています。ただしこれは更新に限った数値ではなく申請全般のもので、更新の標準処理期間そのものを示した公式の数字は見つかりません。日本語の記事では「更新は2〜3か月」といった数字も見かけますが、公式の裏づけがないため予定を組む根拠にはしないでください。
保護者・家族のパスの更新
ご家族の側のパスは、お子さんの学校の種類で使う制度が変わります。ここを混同すると、更新のときに窓口ごと間違えることになります。
インター校などSchool Levelに通うお子さんの保護者は、Guardianの枠です。移民局が挙げている対象は、実の親・法定後見人・養親・祖父母、そして7歳未満の兄弟姉妹です。パス代はRM90(お子さんの学生パス本体はRM60)で、更新にはIMM.55とIMM.38を使います。新規も更新も、学校の所在地に応じた移民局のStudent Pass Unitへ提出します。
※これは移民局が「認められる保護者」として列挙している範囲です。誰が何人まで実際に付き添えるかは、志望校と管轄の移民局オフィスの運用で変わります。ご家族の構成が上の列挙と完全に一致しない場合は、学校に先に確認してください。
一方で高等教育のDependent Passは、修士・博士課程の学生が対象です。インター校に通う未成年のお子さんが親を呼ぶための制度ではないため、混同しないようご注意ください。学部生の親御さんは原則この枠に入りません。さらに語学センター・訓練センター・認定センターの学生は、そもそも扶養家族を帯同できないと明記されています。語学留学から始めるご家庭は、ここを先に確認しておく必要があります。
どちらの枠でも就労・事業・政治活動は認められていません。「帯同しながら現地で働く」を考える場合は、パスの種類そのものを変える検討が必要になります(マレーシア移住で親の仕事はどうするか)。
更新で用意するものは、本体の学生のパスの有効性を確認する書類、申請者と配偶者のパスポートコピー(18か月以上有効)、健康保険、Personal Bond、そして直近3か月分の銀行取引明細による財政能力の証明です。関係を証明する戸籍などの書類は大使館の認証が求められます。日本側で取り寄せる時間も要るため、3か月前から動く理由がここにもあります。
更新のご相談で意外に多いのが、「書類を集めるところで止まる」ケースです。制度の理解ではなく、日本の役所から取る証明書と、その認証の手間が読めていないことが原因になります。
もう一つは、お子さんの進学や転校とパスの期限が重なるパターンです。学校が変わればパスの申請も新しい学校を通す形になるため、転校の時期を決める前にパスの満了日を確認するのが順番として安全です。
MM2Hと就労系(EP・DE Rantau)の更新
長期滞在の制度は、更新の間隔がパスの年数と一致しない点に特徴があります。とくにMM2Hはここが分かりにくい部分です。
MM2Hは「5年ごとのステッカー更新」
MM2H公式のガイドラインでは、プログラムの年数が満了する前のステッカー更新は5年ごと、または参加者のパスポートの有効期間に応じて行うとされています。カテゴリー自体の年数はPlatinumが20年、Goldが15年、Silverが5年、SEZ/SFZが10年で、いずれも更新可能です。
この段階の費用は、ビザ代がRM0〜50(国籍による)、固定パス料が年RM500と案内されています。プログラムの年数が満了したあとも5年ごとに更新でき、その際は有効なパスポートの写し・直近の健康診断報告書・医療保険を提出します。更新料はカテゴリー別で、SilverがRM1,500、GoldがRM3,000、PlatinumがRM5,000、SEZ/SFZがRM300です。申請先はOSC MM2Hまたは移民局になります。
実務でとくに注意していただきたいのは、パスの有効期間が参加者のパスポートの有効期間に左右されることです。パスポートがパスの満了より先に切れる場合は、新しいパスポートへセキュリティステッカーを貼り替える手続きが必要になります。パスポートの更新が、そのままパスの手続きを呼ぶわけです。
また、年間90日(累計)の滞在義務が課されるのは50歳未満の参加者で、50歳以上には最低滞在日数の要件がありません。25〜49歳は本人および扶養家族の滞在で日数を満たせるとされています。滞在日数は更新時に見られる部分なので、出入国の記録は残しておいてください。
就労パスとDE Rantauは「3か月前まで」
就労パス(Employment Pass)の更新は雇用主側の手続きで、ESD(Expatriate Services Division)またはMYXpatsを通します。MDECは更新・延長の申請を期限の3か月前までに提出するよう推奨しています。
更新の条件として、ESDはパスポートの残存期間が6か月以上、かつ申請時点で現在のEPが最低1か月有効であることを示しています。「切れる直前では申請自体が受け付けられない」という点で、学生パスと同じ構造です。提出物は直近3か月の給与明細・所得税番号・e-BEなどで、同一の雇用主・同一の職位で国内更新する場合は学歴証明や履歴書が不要とされています。
給与基準は2026年6月1日施行の改定が現行で、カテゴリーI(月給RM20,000以上)とカテゴリーII(RM10,000〜19,999)が最長10年、カテゴリーIII(RM5,000〜9,999)が最長5年です。カテゴリーIIとIIIには承継計画が求められます。扶養家族を呼べるのは月給RM5,000超のEP保持者とされているため、ご家族の帯同を前提にするなら基準の確認が先になります。制度は改定が入りやすいので、会社の担当部署と公式情報で必ず確認してください。
DE Rantau Nomad PassはProfessional Visit Passの一種で、更新を含めて最長24か月とされています。年収要件はIT・デジタル系がUSD24,000/年、それ以外の職種がUSD60,000/年です。上限に達したあとは、MTEP(5年のResidence Pass)などへの切り替えを検討する流れです。なお帯同するお子さんは扶養の枠だけでは通学できず、学校経由で別途学生パスが必要です。
帯同できるのは配偶者・18歳未満のお子さん・障害のあるお子さん・本人の親までで、配偶者の就労は認められていません。対象地域も半島マレーシアとラブアンのみです。条件の詳細はDE Rantauの条件・費用・注意点で整理しています。
ご家族のパスの期限、一度いっしょに並べてみませんか?
お子さんの学生パス・保護者のパス・パスポートの満了日を並べると、
いつ何から動くかがはっきりします。現地スタッフが個別に整理します。
オーバーステイとSpecial Pass
先に大前提をお伝えします。マレーシアでのオーバーステイは、1日でも不法滞在(入管法違反)です。移民局はこれをImmigration Act 1959/63の第15条(4)違反と位置づけ、罰金RM10,000以下または5年以下の懲役、もしくはその両方と示しています。コンパウンド(過料)はRM3,000とされています。そのうえで、扱いは2025年10月に変わりました。
そのうえで、2025年10月21日から「Overstay Management Programme」が始まりました。就労パスと扶養家族パスの保持者について、90日を超えないオーバーステイは取締部門へ送致せず、コンパウンドで処理するという内容です。提出時は会社の代表者・本人・扶養家族が移民局に出頭する必要があります。
ただし、この救済から外れる区分が明示されています。90日を超えるオーバーステイ、繰り返しのオーバーステイ、Special Passでのオーバーステイ、入管法違反歴や犯罪歴がある場合、そしてSuspect List(Senarai Syak)に名前がある場合は、取締部門へ送致されます。
※この運用について公式が明記しているのは就労パスと扶養家族パスです。学生パス・LTSVP・MM2Hの保持者が同じ扱いになるかは公式に示されていません。またこれは「90日まで許される」制度ではなく、取締部門へ回さずコンパウンドで済ませるという処理方法の話です。繰り返せば対象から外れ、記録も残ります。該当したときは移民局と在籍校に直接ご確認ください。
Special Pass(Pas Khas)は、移民局のメインのパス一覧には項目として掲載されていません。ただし実務上は手続きのあいだをつなぐパスとして運用されており、移民局は長期社会訪問パスと専門訪問パス向けにオンライン申請(eSP)の告知を出しています。処理は5営業日、承認後7日以内に支払いという案内です。EMGSの料金表にも「Special Pass 1」「Special Pass 2以降」という区分があり、繰り返し発行されうる性質のものだとわかります。
ここで一つ、更新の話に直結する条件があります。移民局のMyPASS@JIMポータルの案内では、eSPは「既存のパスが失効する前に出した申請」しか承認されないとされています。失効後は窓口でのコンパウンド支払いが必要になります。つなぎのパスも、切れてから頼れるものではないということです。Special Pass中のオーバーステイが救済対象外である点も、あわせて覚えておいてください。
※Special Passの有効期間と費用は、移民局・ESDの公式情報では確認できませんでした。流通している日数や金額を推測で補うことはせず、公式に記載のある範囲だけを書いています。実際の条件は移民局または在籍校にご確認ください。
更新でつまずく5つのポイント
ここまでの内容を、現地でご相談を受ける順に5つへ絞りました。
1. 「まだ半年ある」で油断する
更新の窓が開くのは3か月前ですが、書類を集める時間はその前に必要です。期限の6か月前に、ご家族全員のパスとパスポートの満了日を書き出すのが実務的なスタートラインになります。
2. 学校や会社からの案内を待ってしまう
申請の主体は在籍校や雇用主ですが、案内が来る時期は組織によって違います。3か月前を過ぎても連絡がなければ、こちらから状況を聞くほうが確実です。
3. パスポートの残存期間を後回しにする
更新は12か月あれば足りても、新規申請では18か月以上が求められます。パスポートの残りが短い時期に更新を迎える方は、パスポートの更新を先に済ませておくほうが安全です。
4. 期限がずれた家族のうち1人だけを更新する
お子さんの学生パスと保護者のパスは連動しますが、満了日は同じとは限りません。誰か1人のパスが切れると、家族全体の滞在計画が動きます。まとめて管理してください。
5. 申請中の出国を予定に入れてしまう
更新の手続きでは、エンドースメントのためにパスポートが手元を離れる期間があります。この期間の出国可否を定めた公式の規定は見つかりません。各大学の案内では、渡航予定がある場合は大学経由でパスポートの引き上げを依頼するよう説明されていますが、これは学校ごとの運用です。
なお、手元にi-Kadがあっても代わりにはなりません。i-Kadは渡航書類の代わりにはならず、半島マレーシアでのみ有効な身分証だからです。一時帰国や国内の空路移動は、日程を確定する前に在籍校へ必ず確認してください。
更新は、制度を暗記する作業ではありません。「誰が申請するか」と「いつまでに何を渡すか」を先に整理しておくことで、遅延やつまずきのリスクを小さくできます。行政側の事情による遅れは起こりうるので、余裕を持たせておくのが現実的です。滞在の形そのものを見直したい場合は、マレーシア長期滞在の期間別ガイドと移住の手続きの順番もあわせてご覧ください。
よくある質問
マレーシアのビザ・パスの更新は、いつから申請できますか?
学生パスについてEMGSは、移民局が期限の3か月前からの更新を認めていると案内しています。就労パスと扶養家族パスについても、MDECは期限の3か月前までに更新・延長の申請を出すよう推奨しています。3か月前は「早めの目安」ではなく実質的な締切と考え、期限の半年前に手元のパスの日付を確認しておくのが安全です。
学生パスの期限が切れてしまったら、更新できますか?
2023年4月1日以降、期限が切れた学生パスの更新はできません。新規申請として、新しいeVAL(eVisa Approval Letter)の取得からやり直すことになります。期限切れから3か月以内であれば裁量で更新が認められる場合があるとされていますが、あくまで例外的な扱いです。新規申請は申請時にマレーシア国外にいることが要件とされているため、いったん出国が必要になる可能性もあります。
パスの更新にかかる費用は、新規申請と比べて安くなりますか?
学生パスの場合、手続き費用は大きく下がります。EMGSの料金表(半島マレーシアの私立機関・12か月以内)では、手続き費が新規RM1,600に対して更新はRM250です。さらに更新ではeVAL費(RM150)と健康診断(RM250)が不要とされているため、医療保険を除いた手続き費用は新規の5〜6分の1ほどになります。手続き費とeVAL費には8%のサービス税がかかります。
MM2Hのパスは、何年ごとに更新するのですか?
MM2H公式のガイドラインでは、プログラムの年数が満了する前のステッカー更新は5年ごと、または参加者のパスポートの有効期間に応じて行うとされています。カテゴリー自体の年数はPlatinumが20年、Goldが15年、Silverが5年、SEZ/SFZが10年で、いずれも更新可能です。パスの有効期間はパスポートの有効期間に左右されるため、パスポートを更新したときは新しいパスポートへセキュリティステッカーを貼り替える手続きが必要になります。
オーバーステイしてしまった場合、どうなりますか?
移民局はオーバーステイをImmigration Act 1959/63の第15条(4)違反として、罰金RM10,000以下または5年以下の懲役、もしくはその両方と示しており、コンパウンド(過料)はRM3,000とされています。2025年10月21日からは就労パスと扶養家族パスの保持者について、90日を超えないオーバーステイは取締部門へ送致せずコンパウンドで処理する運用が始まりました。ただし90日を超える場合、繰り返しの場合、Special Passでのオーバーステイなどは対象外です。学生パスやMM2Hがこの運用に含まれるかは公式に明記されていないため、必ず移民局と在籍校に確認してください。
参照した公式情報(2026年9月時点)
- マレーシア入国管理局:Student Pass/Types of Visas/Frequently Committed Offences/Long Term Social Visit Pass
- EMGS:学生ビザ申請ガイドライン/Schedule of Fees/i-Kad/申請状況の照会
- Education Malaysia:期限切れ後の学生パス更新に関する通達/FAQ
- ESD(Expatriate Services Division):就労パス更新の案内/2026年の就労パス給与基準/Employment Pass
- 移民局(Special Pass):MyPASS@JIMポータルのeSP申請条件
- MM2H公式(観光芸術文化省):申請ガイドライン/カテゴリー一覧
- MDEC:オーバーステイとSpecial Passに関する移民局の最新運用/DE Rantau Nomad Pass
- マレーシア政府デジタル庁:DE Rantau Nomad Pass の対象拡大
※ビザ・パスの条件と料金は改定されることがあり、州の移民局オフィスや学校によって運用に差が出ることもあります。申請の際は必ず上記の公式情報、在籍校のインターナショナルオフィス、または認可エージェント・専門家でご確認ください。